抄録
Brunner腺過形成は主に十二指腸球部に生じる良性疾患であるが,出血や消化管閉塞を来すことも報告されている.今回我々は5年に渡り内視鏡による経過観察を行い,最終的に出血を来したため手術を行ったBrunner腺過形成の一例を経験したため報告する. 症例は50歳代男性.検診を契機に十二指腸球部に長径15mm程度の粘膜下腫瘍様の隆起性病変を指摘され,当科に紹介となった.生検から腫瘍性病変の可能性は低いと判断し,年1回の上部消化管内視鏡検査(EGD)にて経過観察されていた.しかし,病変は年々増大し30mm大となったため,精査目的で当科入院となった.入院の2~3日前から黒色便が認められたため,EGDを施行したところ,経過観察中の病変表面にびらんが生じ,出血が認められた.病変が増大傾向にあることと再出血の可能性を考慮し,切除の適応と判断した.内視鏡的切除は困難であったため,外科的に十二指腸部分切除術が施行された.摘出標本の病理組織診断にてBrunner腺過形成と診断された.本症例はBrunner腺過形成の出血に至るまでの形態変化を経時的に追えた点で貴重と考えられた.