抄録
本研究の目的は,「その人に最善のケア」はどのようにして創造されるのか,そのプロセスを,著者が先行研究において考案した「卓越した看護実践への道モデル(The model of Pathways to Excellent Nursing Practice:PENPモデル)」を用いて明らかにし図示することである.看護師自身の子供への直接の育児の経験を,解釈的現象学によりPENPモデルを用いて分析した.その結果,次のことを明らかにすることができた.母親は児の視点に立って,児の表現,心の世界に生じている問題・矛盾,経験世界を関連付けて理解し,児に共感した.その後,母親は,児の心の世界に生じている問題・矛盾を解決することを目標に設定し,児の心の世界に問題・矛盾を生じさせた経験世界の要因を基に解決策を立てた.そして,目標達成を目指して解決策にそって実施した.本研究の成果をさらに洗練し,これらの研究成果を基に,「その人に最善のケア」を創造し提供できるようになるための教育システムの開発に寄与する必要がある.