山口医学
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症例報告
リンパ節転移を有していた潰瘍性変化のない径1cm未分化型粘膜内早期胃癌の一例
濵田 頼臣柳井 秀雄中鉢 龍徳坂口 栄樹林 秀知古谷 卓三村上 知之
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2014 年 63 巻 2 号 p. 167-172

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抄録
近年,日本では早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応が拡大される傾向にある.『胃癌治療ガイドライン2010』では絶対適応病変だけでなく,リンパ節転移のリスクが限りなく低いものを適応拡大病変としており,適応拡大病変に対して積極的にESDを行う施設も珍しくない.しかし,我々は適応拡大病変の条件を満たしているにも関わらずリンパ転移を有していた症例を経験した.症例は,40歳代女性.検診の経鼻上部消化管内視鏡検査で,胃前庭部に10×5mm大の0Ⅱc病変を認め,生検にてGroup5(sig)と診断された.ESDの適応拡大病変と推定されたが,本人は確実な治療としてリンパ節郭清を伴う外科手術を希望した.切除後の病理結果で,胃の原病変は10mm大,UL(?),M,ly0,v0であり,ESDにおける追加切除の必要のない適応拡大病変としての条件を満たしていたが,#4dリンパ節に転移を認めた.本例をESDで加療した場合には,追加切除の対象とならなかったと考えられ,後日に転移がみつかり予後不良となった可能性がある.適応拡大病変の転移陽性例は非常に稀だが文献報告もあり,患者本人への転移リスクの情報提供が重要と考えられた.
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© 2014 山口大学医学会
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