山口医学
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症例報告
タール便を契機に発見された十二指腸腫瘍の1例
矢野 愛恵平野 厚宜大下 理史原田 克則土屋 昌子木村 輝昭加藤 彰瀬戸口 美保子山下 智省沖田 極
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2015 年 64 巻 2 号 p. 115-120

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抄録

タール便は主に上部消化管出血による症状であり,その原因としては,胃・十二指腸潰瘍,食道・胃静脈瘤破裂が多く,その他の原因はまれである.今回,我々はタール便を契機に発見された十二指腸腫瘍の1例を経験したので報告する.

 症例は64歳男性.主訴はタール便.患者はタール便を自覚し近医を受診.同院で上下部消化管内視鏡検査を施行され,十二指腸球部後壁に全体が発赤調で,大きさが20mmを越える粘膜下腫瘍(SMT;submucosal tumor)様隆起性病変が認められた.観察時に十二指腸病変からの出血は認められなかったが,頂部にびらんを認め,出血源の可能性が疑われたため,加療目的で当科に紹介,入院となった.入院後,上部消化管内視鏡検査を施行したところ,十二指腸球部後壁に全体が発赤調で,大きさが20mmを越える山田・型様の形態をとる病変を認めた.立ち上がりはなだらかで,表面は平滑であり,SMTと考えた.同病巣に対し,EMR;Endoscopic mucosal resectionを施行し一括切除した.病理の結果,30×25mm大のブルンナー腺過形成と診断した. ブルンナー腺過形成は主に十二指腸球部に生じる良性疾患であるが,サイズが大きいものでは出血や消化管閉塞を来たすことも報告されている.本症例は,腫瘤径が大きく切除の適応であったと思われる.また,腫瘍からの顕出血は認めなかったが,腫瘍表面は発赤が強く易出血性と考えられ,また前医で施行された上部消化管内視鏡検査では腫瘍頂部にびらんを認めたことより,同病変がタール便の原因であった可能性が示唆された.

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© 2015 山口大学医学会
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