山口医学
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認知症疾患医療センターが担う在宅支援-独自の支援と地域包括支援センターとの連携による支援内容の分析-
永田 千鶴松本 佳代北村 育子清永 麻子
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2015 年 64 巻 3 号 p. 183-189

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抄録

本研究は,認知症疾患医療センター(以下,医療センター)が行っている在宅療養継続支援および在宅移行支援と,地域包括支援センター(以下,包括)との連携の内容を明らかにし,医療センターが担うべき認知症患者の在宅支援のあり方に関して検討することを目的とする.

 熊本県の医療センターの連携担当者および包括の専門職を対象とした半構成的面接により得られたデータを質的記述的に分析し,カテゴリー化した.その結果,医療センターの在宅療養継続支援は,【トリアージ】【医療センターにつなげる】【タイムリーな介入】【地域連携システムの構築】が,在宅移行支援では,【専門的な医療の提供】【在宅移行の調整】【療養場所の選択のための支援】が行われていた.包括との連携内容では,【医療センターの役割】【医療センターと包括の日常的な連携】【包括の役割】が抽出された.

 本研究の結果から,医療センターは,【トリアージ】【タイムリーな介入】【専門的な医療の提供】という独自の役割を果たしつつ,【地域連携システムの構築】にも力を注ぎ,認知症患者の在宅支援を行っていることが明らかになった.医療センターが担うべき在宅支援で重要なことは,医療センター独自の役割を遂行することである.そのためには,包括による【地域連携システムの構築】の促進を後押しする施策が必要であると考えられた.

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© 2015 山口大学医学会
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