2021 年 70 巻 3 号 p. 99-108
終末期を迎えた患者や家族には,生活過程で生じる様々な気がかりや未整理の仕事について処理しなければならない多くの課題があり,それらは全人的苦痛に繋がることにもなる.本研究は,一般病棟に入院する終末期がん患者の気がかりや思いに焦点を合わせ,看護師側が患者の気がかりや思いをどのように把握し介入しているのか,そのプロセスを明らかにすることである.
一般病棟の看護師経験3年以上の看護師8名を対象に,半構成的面接調査を実施した.修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した結果,2コアカテゴリーと6カテゴリー,18概念が得られた.患者の気がかりや思いを把握するプロセスにおいて,はじめに看護師から患者への《より安楽な日常生活ケア》を行うことを通して患者との〈関係性の構築〉が図られ,さらに《気がかりや思いへの探索》を通して,最終的に〈気がかりや思いへの介入〉に繋がっていた.一方で,看護師は患者の気がかりや思いへの〈踏み込みへのためらい〉から,介入に繋がらない場合もあった.〈気がかりや思いへの介入〉をした場合も〈踏み込みへのためらい〉から介入しなかった場合も,看護師にはそれぞれの〈経験知の蓄積〉がされていた.《気がかりや思いへの探索》〈気がかりや思いへの介入〉〈踏み込みへのためらい〉に影響を与える因子として〈タイミング〉と〈医療チームの関わり〉があった.
一般病棟の看護師が終末期がん患者の気がかりや思いに介入するには,患者の身体的苦痛の緩和が基盤にあり,病気の早期段階からACPに取り組むなど,プロセスを共有支援する医療チームの関わりが重要であることが示唆された.