2023 年 72 巻 3 号 p. 85-95
【研究背景】肝細胞癌の腫瘍マーカーであるα-fetoprotein(AFP)とprotein induced by vitamin K absence or antagonist-II(PIVKA-II)の併用検査は肝硬変や慢性肝炎など肝癌ハイリスク因子を有する患者に対して保険適応となっているが,早期癌の検出には限界がある.この問題解決のためには新たな検査の開発が必要であり,その一つとしてリキッドバイオプシーが挙げられる.今回我々はこれらの腫瘍マーカーにリキッドバイオプシーを加えた場合の早期肝細胞癌の検出性能を評価するため,本研究を行った.
【方法・材料】健常者25人,慢性肝疾患30人,肝細胞癌78人(うち早期肝細胞癌44人)を対象とした.被験者の血清からAFP,PIVKA-IIを測定した.また,リキッドバイオプシーとしてメチル化SEPT9及びメチル化HOXA1のコピー数を測定した.
【結果】AFPとPIVKA-IIの併用検査では早期肝細胞癌の検査感度56.8%,特異度94.5%であった.一方,これらの検査に加えてメチル化SEPT9を併用したところ,感度77.3%,特異度89.1%であり,メチル化HOXA1の併用では,感度63.6%,特異度90.9%であった.
【結論】早期肝細胞癌の検査感度の点では,AFP,PIVKA-IIとの併用マーカーとしては,メチル化HOXA1よりもメチル化SEPT9の方が優れていた.AFPやPIVKA-IIにメチル化SEPT9を組み合わせることでより多くの早期肝細胞癌患者の拾い上げが可能になることが示唆された.