山口医学
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ミニ・レビュー-中村賞受賞者-
川崎病新規バイオマーカーおよび治療標的としてのインターロイキン33/ST2系
岡田 清吾
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2023 年 72 巻 4 号 p. 145-154

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抄録

 川崎病は主に4歳未満の乳幼児に好発する原因不明の全身性血管炎である.川崎病では冠動脈に最も強い炎症が生じ,冠動脈病変(coronary artery lesions:CAL)を合併する.CAL合併川崎病患者は心筋梗塞や瘤破裂などの危険性があり,若年突然死の原因となる.近年,川崎病発症に自然免疫の異常が関与しているという自然免疫説が注目されている.インターロイキン(IL)-33はIL-1ファミリーに属するサイトカインで,通常は核内に局在しているが組織傷害にともない細胞外に放出される.放出されたIL-33は膜貫通型受容体ST2Lを発現する細胞を活性化するalarminとしての機能をもち,IL-33/ST2系は自然免疫制御機構の一つとして機能している.筆者らは川崎病冠動脈炎およびCAL発症にIL-33/ST2系が関与しているのではないかという仮説を立て,川崎病患者血清および冠動脈細胞を用いた解析を行った.治療前の患者血清を用いた解析では,IL-33の可溶性受容体であるsST2濃度がCAL合併群おいて有意に高値であった.また,培養ヒト冠動脈内皮細胞(HCAEC)を用いた実験では,IL-33刺激濃度依存性に上清中の炎症性サイトカイン濃度が上昇した.特筆すべきことに,従来川崎病リーディングサイトカインとされてきたtumor necrosis factor-αに比し,IL-33による刺激はHCAECからのより強い炎症性サイトカイン産生を惹起した.これらの結果から,川崎病冠動脈炎においてIL-33/ST2系は新たなバイオマーカーおよび治療標的となり得る可能性が示唆された.

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© 2023 山口大学医学会
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