2024 年 73 巻 4 号 p. 145-155
【目的】がん・呼吸器専門病院においてAdvance Care Planning(ACP)推進の取り組みを行い,職員の意識調査により活動全体を評価し,今後取り組むべき課題を明らかにすることを目的とした.
【方法】ACPワーキンググループによるACP推進の取り組み(職員や患者・家族に対しての教育・啓蒙活動,院内マニュアル等の文書作成)を行い,職員(医師・看護師・リハビリ療法士・医療ソーシャルワーカー)を対象としたアンケート調査でACPの認知度や終末期医療・ケアの意思決定に対する意識の変化を検証した.
【結果】アンケート結果から,取り組み後に職員のACPの認知度は上昇していた.しかし実際に終末期医療・ケアに多職種で関わっているか,本人の意思や価値観が反映できているかという点では意識の変化がなかった.終末期の意思決定支援を難しいと思う割合も依然として高く,その理由として「意識レベルの低下や認知症等により本人の意思が不明」「本人と家族(および医療者)間の意見の食い違い」「話し合いを始めるタイミングが分からない」「スタ ッフの能力不足」「業務上の問題がある」「家族とのコミュニケーション不足」「職種間の連携不足」などの意見があった.
【結論】ACPワーキンググループの取り組み後に職員のACP認知度は向上した.しかしACPをさらに推進するためにはそれだけでは不十分で,今後の取り組みとして,患者・家族へのさらなる啓蒙,具体的な症例を用いた多職種カンファレンスの実施,スタ ッフや家族間の情報共有ツールの開発・活用,および効率的なACP実践方法の検討が必要と思われた.