山口医学
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症例報告
絞扼性イレウスを呈した内外膀胱上窩ヘルニアの1例
矢野 由香須藤 優太郎中嶋 朔生岩本 圭亮佐野 史歩岡 一斉須藤 学拓
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2025 年 74 巻 4 号 p. 201-204

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抄録

 膀胱上窩ヘルニアは正中臍襞と内側臍襞の間の膀胱上窩にヘルニア門を有する比較的稀な疾患である.今回,腸管切除を要した膀胱上窩ヘルニアの1例を経験したので報告する.

 症例は64歳,男性.他院で腹部手術歴あり.腹痛・嘔吐を主訴に受診.腹部に筋性防御を認めた.腹部CT検査で嚢状の小腸ループが膀胱を圧排していた.内ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し緊急手術を行った.下腹部正中切開で開腹すると左膀胱上窩に小腸が嵌頓していた.ヘルニア門は3㎝大で約15㎝の小腸が嵌頓していた.壊死小腸を切除し,ヘルニア門を縫合閉鎖した.

 膀胱上窩ヘルニアは術前診断率が低い.小腸ループが膀胱を圧排するCT所見が特徴的とされる.原因不明のイレウスの際には内膀胱上窩ヘルニアの可能性も考慮する必要がある.

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