抄録
当教室における腰椎前方固定症例に対して術後の患者アンケート調査を行い,術前の病態別にみた成績の差について検討した.前方固定術を施行した243症例中156例(全症例の64.2%)からアンケート結果(JOAスコアの項目のうちSLR testを除いたものに準じて作成し27点満点とした)が得られた.その結果,変性すべり症の臨床成績は椎間板ヘルニアの治療成績と比較して有意(p<0.005)に悪く,特に下肢痛および歩行能力が劣っていた(p<0.01).その原因として変性すべりに伴って生じた分節性脊柱管狭窄が前方固定では解決しなかった可能性が高いと考えられた.