日本腰痛学会雑誌
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投稿論文
分娩後発症腰痛遷延例の検討
瀬尾 理利子久野木 順一
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キーワード: 分娩, 遷延, 腰痛
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2004 年 10 巻 1 号 p. 139-143

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抄録
(緒言)分娩後発症の腰痛の多くは数カ月以内に軽快するが,遷延した例について検討した.(対象および方法)分娩後に発症または増悪した腰痛が,1年以上持続した経産婦23例について過去の腰痛歴,出産歴,理学所見,腰椎および骨盤のX線検査所見について調べた.(結果)罹病期間は平均6.9年と長期化している例が多く,疼痛は臀部または臀部から腰椎全体にわたり,圧痛は22例で仙腸関節に限局していた.腰痛を悪化させる姿勢としては立位,歩行,仰臥位,側臥位であった.歩行では,大股歩行が困難であった.片脚起立骨盤X線像で恥骨結合部に2 mm以上のずれを11例に認めた.治療は,13例に仙腸関節を中心に軟性の骨盤ベルトを装着し,有効であった.(考察)当センターにて出産した990例中,6カ月以上疼痛が持続したものが12.2%で,今回の検討からも出産は女性の慢性腰痛の危険因子と考えられた.分娩後発症腰痛の慢性化を予防するために,整形外科医が積極的に介入する必要があると思われた.
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© 2004 日本腰痛学会
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