抄録
長時間の着座に伴う腰痛を緩和する試みとして,椅子の背もたれ部の突出(Lumbar support)の収縮による腰椎用CPMを作成した.日常生活で腰痛のない10人の健常者(平均21歳)を対象とし,2時間の持続的着座姿勢を維持させ腰痛,腰の張り,疲労感,臀部の痺れをLumbar supportのない椅子,Lumbar supportのある椅子,CPMの3つの状態でのvisual analogue scalesを用いて比較検討した.Lumbar supportのない椅子と比べLumbar support付きでは腰痛と全身の疲労感は有意に改善したが,CPMではさらに臀部のしびれも有意に改善した.また追加実験によりCPMによる全身の動きは骨盤の動きに比べ,頭部や下腿で動きが軽微なこと,さらにCPMにより座面の臀部表面の接触圧分布が有意に変化することを明らかにした.CPMは長時間の着座に伴う腰痛,疲労感,臀部の痺れを包括的に改善する機器として発展する可能性がある