抄録
腰部脊柱管狭窄症に対して,非固定広範椎弓切除術と固定併用術との手術成績を経時的変化を含めて検討した.対象は非固定群209例と固定群60例で,固定群の半数は変性すべり症であった.結果として,非固定群で有意に手術時間が短く,術中出血量が少なかった.改善率では,両群とも経時的にやや成績の低下はみられるものの,長期まで比較的良好な成績が維持されており,固定術併用の有無で最終調査時および経時的な改善率に有意差はなかった.変性すべり症に限ってみても,各時期で有意差はみられなかった.また腰痛点数で検討すると,全症例および変性すべり症とも,短期,中期では非固定群の方が有意に点数が高かった.以上より,症例を選択して手術を行えば,非固定広範椎弓切除術は手術侵襲も少なく,固定術に勝るとも劣らない手術成績をあげることができると考えられた.