抄録
Nordinらは腰痛は20世紀を代表する災厄であり,米国では約500億ドル(2001年のGNPの0.5~0.6%)の出費が行われたと報告した.現在では,椎間板再正の基礎的研究をはじめとして,腰痛の病態・成因・治療にかかわる研究の多くが椎間板に向けられている.従来から,腰痛に対する手術として脊椎固定術などが行われているが,最近米国では人工椎間板手術が盛んである.しかし,初期にその成績の有用性が報告されたものの,成績不良例,曖昧な対象群との比較など,その使用に疑問を投げかける意見も少なくない.本稿では,椎間板性腰痛の臨床というテーマで,われわれが行ってきた,椎間板性腰痛の発症機序,画像評価,ブロック療法,手術成績など文献を踏まえつつ記載したい.