2008 年 14 巻 1 号 p. 115-121
本研究の目的は,端坐位後屈時における腰痛の有無と骨盤の動きを比較し,関連性を明らかにすることである.対象は,端坐位での後屈時に腰痛がある患者10名(p+群)と,疼痛のない患者10名(p-群)とした.はじめに,端坐位での骨盤前傾角度を左右とも水平角度計で測定した.次に端坐位のまま後屈するように指示を与え,疼痛の有無を確認すると同時に骨盤前傾角度を測定した.端坐位での骨盤前傾角度は,有意差がなかった.後屈時の骨盤前傾角度は,p+群はp-群に比べ有意に後傾していた.また,p-群はすべて両側5°以上だったのに対し,p+群は10例中7例が両側または片側が5°未満であった.結果より,端坐位での痛みのない後屈動作を行うには,少なくとも5°以上の骨盤前傾角度が必要であり,後屈時に腰痛が生じる患者に対し,端坐位での後屈時痛の有無と骨盤前傾角度を評価することは有用であることが示唆された.