日本腰痛学会雑誌
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慢性腰痛症患者に対する体幹筋の表面筋電図評価
三浦 雄一郎福島 秀晃森原 徹鈴木 俊明
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キーワード: 歩行, 慢性腰痛症, 筋電図
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2008 年 14 巻 1 号 p. 122-128

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抄録

腰椎椎間板ヘルニアと診断された慢性腰痛症患者2名に対し,歩行時における体幹筋の筋活動について表面筋電図を測定し,健常群と比較,検討した.症例Aでは内腹斜筋の筋活動は歩行周期を通して平坦化していた.また,腰背筋筋活動パターンは立脚期中期,遊脚期にも筋活動が増加し,多相性を呈した.常時腰背筋の筋緊張を高めることが脊柱可動性低下の一要因であると考えられた.症例Bにおける歩行時の腰背筋筋活動パターンは左側多裂筋,最長筋,腸肋筋ともに多相性パタ-ンを呈した.運動療法後は最長筋,腸肋筋,多裂筋ともに健常群のパターンに類似したが,多裂筋は立脚期中期および遊脚期中期の筋活動増大が残存した.ラセーグ徴候陽性,SLR角に変化を認めなかったことからブレーキング作用が生じたと考えられる.慢性腰痛症患者に対して表面筋電図を用いて問題点を明確にすることが運動療法の内容,治療効果判定を判断するために重要であると考える.

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© 2008 日本腰痛学会
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