日本腰痛学会雑誌
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高齢慢性疾患患者における腰部脊柱管狭窄症のスクリーニングと合併率の検討
大鳥 精司横手 幸太郎齋藤 康高橋 和久
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2008 年 14 巻 1 号 p. 80-86

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抄録
腰部脊柱管狭窄症は,高齢社会における腰痛の原因として重要であり,また適切な治療法によりその症状を改善することができる.一方,内科へ通院する高齢患者における本症の頻度ならびに臨床症状の特徴については不明な点が多い.千葉大学糖尿病代謝内分泌内科シニア外来へ通院する高齢慢性疾患患者51名を対象に,「腰部脊柱管狭窄症の診断基準とQOL評価に関する研究班」の腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールの原理に基づくアンケート調査を実施した.対象者のうち24名(47.1%)が,脊柱管狭窄症の疑診に相当する7点以上のスコアを示した.スコア7点以上で整形外科を受診した患者の57.1%が脊柱管狭窄症と確定診断された.確定診断を受けた患者で最も高頻度にみられた臨床症状は「間欠跛行(87.5%)」と「前屈での下肢症状軽減(62.5%)」であった.これら二大症状の両方を併せもつ場合,少なくとも55.6%に腰部脊柱管狭窄症が存在した.比較的簡便な方法を用いて,内科外来へ通院する高齢患者の脊柱管狭窄症をスクリーニングできる可能性がある.
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© 2008 日本腰痛学会
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