抄録
腰椎椎間板ヘルニア摘出術実施後,多くの症例は良好な経過をたどる.しかし早期に明らかな再発所見なく腰痛が出現,または遺残症状が悪化する症例もたびたび経験する.このような症例がどのようなADLを困難とするのか特徴を明らかにするため,Oswestry Disability Index(ODI)から検討した.対象は2007年5月~08年8月にヘルニア摘出術を実施した122例中,退院2週後の再来時にVisual Analogue Scaleで症状増悪が認められた10例であった.Control群は再来時に良好であった30例とした.検討項目はODIおよびsub-scoreとした.悪化群はsub-scoreの「座ること」について困難度で高値を示す例が多かった.また,再来時に「座ること」「物を持ち上げること」で困難度が高かった例では,“腰痛の悪化”,“早期の職場復帰”が関与していることが考えられた.症例に応じた適切な生活指導と運動療法により退院後の症状悪化を予防できる可能性が示唆された.