日本腰痛学会雑誌
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腰椎変性すべり症の予後に影響する因子の検討―保存的治療例と手術的治療例の検討から―
増本 眞悟今井 健角南 義文
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2000 年 6 巻 1 号 p. 21-27

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抄録
腰椎変性すべり症の保存例27例と手術例68例を臨床症状と画像所見を中心に比較検討した.まず,症状は単根性の場合,重症度が軽く予後良好群が多かったが,馬尾性では1例を除いた全例が手術群であり保存的治療に抵抗していた.また入院時JOA scoreも予後と有意に相関し特に15点満点では6点以下が予後不良の1つの目安になると思われた.すべり度,不安定性,腰椎alignmentと重症度,予後との間に有意な相関関係を認めなかった.CTM計測値では,関節突起間距離,硬膜管面積,黄色靱帯内側の脊柱管面積は症状と相関しいずれも馬尾性で小さかった.すべり部下位椎弓上縁における骨性脊柱管面積は症状および予後と相関し,変性すべり症においてもdevelopmentalな要素が症状および予後に関与していた.また,神経根症例のみでは外側窩前後径が予後と相関し,外側窩前後径5 mm以下は予後不良の1つの指標になると考えた.
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© 2000 日本腰痛学会
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