日本腰痛学会雑誌
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アグリカン遺伝子多型からみた腰椎椎間板変性および椎間板ヘルニア発症のリスク
川口 善治金森 昌彦石原 裕和長田 龍介木村 友厚
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2000 年 6 巻 1 号 p. 6-12

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抄録
アグリカン遺伝子(AG)の多型性が腰椎椎間板変性およびヘルニア発症のリスクになり得るかを検討した.64名の20歳代女性を対象とし,腰椎MRIにて椎間板変性とヘルニアを検討した.AGの多型は,末梢血からgenomic DNAを抽出し,コンドロイチン硫酸鎖結合部で反復配列(VNTR)の多型が存在する領域をPCR法で増幅後,電気泳動を行い分析した.AGの多型は,VNTRの最も少ないアレル18から最も多い29までの8種類が確認された.椎間板変性数およびそのレベルとAGの多型を検討したところ,少ないVNTRを持つものに多椎間の椎間板変性および上位腰椎の変性が多く認められた.一方,ヘルニア椎間数およびヘルニアタイプとの関連は認めなかった.以上より,AG多型の少ないVNTRを持つものは,若年期より椎間板変性を起こしやすいリスクがある可能性が示された.しかし椎間板ヘルニアとは関連がなかったことから,ヘルニアの発症にはこれ以外の要因が関与していると考えられた.
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© 2000 日本腰痛学会
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