日本腰痛学会雑誌
Online ISSN : 1882-1863
Print ISSN : 1345-9074
ISSN-L : 1345-9074
〔投稿論文〕
慢性の職業性腰痛における危険因子について─養護学校教職員に対する連続アンケートによる追跡調査─
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 8 巻 1 号 p. 153-159

詳細
抄録

養護学校教職員の腰痛の実態について,連続してアンケート調査を行うことによって,腰痛の程度や発生頻度を縦断的に検討した.さらに,慢性腰痛保持者の背景因子について,危険因子としての有意性を検討した.大阪府立の養護学校教職員(定数2,879人)を対象とした.有効回答の総数は,2000年4月は1821人,2001年3月は1,825人(回収率63%)であった.腰痛の定義を,明確な腰痛とは,単純回答にて腰痛ありと答え,しかもVASが1点以上で腰部にPDを確認できるものと規定した場合,養護学校教職員の全体としての腰痛の発生頻度は2000年には30%,2001年は31%と異なる調査時期においても同等の発生率を示した.個々の追跡調査では,2回の調査において,連続して明確な腰痛を訴えたものは24%に留まった.連続して腰痛を訴える群と腰痛を訴えない群を比較すると,危険因子として,年齢,体型は有意性を認めなかったが,他疾患の合併や既往に有意性を認めた.腰痛の疫学調査において,縦断的な追跡調査は,職業性腰痛における慢性腰痛保持者の実態や危険因子を追究するうえで有用であった.

著者関連情報
© 2002 日本腰痛学会
前の記事 次の記事
feedback
Top