日本腰痛学会雑誌
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〔投稿論文〕
重症心身障害児・者(重症者)介護者の腰痛と腰椎X線所見
奥野 徹子
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2002 年 8 巻 1 号 p. 160-165

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抄録

重症者の介護者は近年では成人となった重症者を抱え,前屈姿勢が持続するために慢性腰痛,急性腰痛が起こりやすくなっている.介護者の腰痛検診にJOAスコアを用い,腰椎のX線検査を行ったので報告した.対象は重症者施設の看護師,介護員,指導員,保育士の87名でJOAスコア,腰椎3方向のX線写真,肥満度の計測を行った.年齢は23∼63歳(平均45歳),勤続年数の平均は14年であった.JOAスコアの平均は25.6点で自覚症状なしは18%,時に軽い腰痛ありが40%,それに下肢痛を伴ったのが21%であった.X線所見の有無と腰痛との関連性はなかったが,年齢別に3群に分けると,50歳以上では明らかに変形性脊椎症,椎間板腔狭小化,腰椎すべり症が増加していた.腰痛防止のために介助時の姿勢に注意するとともに,椅子を改良して抱える回数を減らすことが大切である.

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© 2002 日本腰痛学会
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