抄録
クリニカルパスを導入し腰椎椎間板ヘルニア治療を効率よく行っていく過程で,入院日数の短縮は重要な課題である.そこで過去のデータを検討し,術後入院日数に対する危険因子の検討を行った.過去6年間に腰椎開窓術およびヘルニア摘出術を施行し,1年以上経過観察をした症例のうち自宅退院した87例(男56例,女31例)を対象とした.術後入院日数は平均22.6日であり性差は認められなかった.術後入院日数は年齢と有意な相関を示したが,術前JOAスコアとは相関していなかった.術後長期入院例ではLSCS合併による症状残存例や合併症治療併用例など年齢と関連した症例が多く,統計学的には40歳以上の症例が4週間以上入院する危険因子と考えられた.2001年3月より6症例にクリニカルパスを導入し期待される入院期間の短縮は得られているが,今後生じるVarianceと危険因子との関連を調べることは,クリニカルパス導入に際して重要である.