日本腰痛研究会雑誌
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腰椎椎間板ヘルニアに対する硬膜外神経ブロック療法の有用性と限界
佐々木 信之佐藤 哲朗
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1998 年 4 巻 1 号 p. 60-64

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抄録
腰椎椎間板ヘルニアに対する持続硬膜外神経ブロック療法 (以下, 硬膜外ブロック) の有用性を検討した.対象は49例であり, いずれもL4/5, L5/S椎間の脊柱管内ヘルニアである.正中部ヘルニアが20例, 傍正中部が21例, 神経根下が8例であった.効果の判定は日整会腰痛疾患治療判定基準とその改善率 (JOA改善率), SLRTの改善 (SLRT改善率) にて判定した.JOA改善率が60%以上の症例を有効例とした.有効例は36例 (73%), 無効例は13例 (27%) であった.硬膜外ブロックの期間は有効例で平均28日, 無効例では平均46日であった.正中部あるいは傍正中部ヘルニアで有効例が多く, 神経根下ヘルニアでは少なかった.有効例では経時的なSLRTの平均改善率が急速にあるいは緩徐に上昇したが, 無効例では低いままであった.特に, 無効例では緩徐に改善した症例に比べて3~4週目にSLRT改善率が低いままであった.硬膜外ブロックは正中部あるいは傍正中部の椎間板ヘルニアに有用である.治りの悪い症例では最低4週間行ってみる必要がある.
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