日本養豚研究会誌
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ケージ養豚に関する研究
I. 肉豚のケージ飼育と平飼いの違いが産肉性に及ぼす影響について
川上 素行田中 章人五味 一郎
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1978 年 15 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
肉豚のケージ飼育と平飼いにおける産肉性を比較するため, LH種4腹24頭を, ケージ舎と平飼いおよび夏期と冬期の2元配置により比較検討した。試験期は夏は7~10月, 冬は12月~4月で, 肥育期間は体重30kgから90kgまでとし, 飼料は新豚産肉検定飼料を制限給餌した。なお冬期の暖房はケージ区は温湯床面給温, 平飼い区は, ワラを敷料とした他無給温とした。
その結果を要約すると以下のごとくであった。
1. 増体及び飼料の利用性は, ケージ飼いと平飼いで差はなく, 夏と冬の季節による差も有意ではなかったが, ケージでは冬期給温すると平飼いの無給温より5%ほど飼料消費量が少なかった。
2. と体成績において, 夏期, 冬期ともケージの方がロース面積が大きく, 背脂肪厚がうすい傾向が認められたが, 有意な差ではなかった。
3. 豚産肉能力検定成績判定基準により, 成績の総合判定を行った結果, 夏期, 冬期とも, ケージの方がやや得点が高かった。
4. 冬期ケージでは1頭当り暖房費約1,000円 (灯油40l) を要したが, 今回の試験では, 枝肉格付, 飼料消費の面で平飼いより勝ったため, 暖房費のカバーができた。
5. 以上の結果, 産肉性において, ケージ飼育が平飼い群飼に劣るということは言えなかった。
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