日本養豚研究会誌
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豚におけるトウモロコシの粒度と消化率の関係
杉本 亘之高橋 正也
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1986 年 23 巻 2 号 p. 57-61

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抄録

飼料の粒度と消化率との関係について, 現在配合飼料の主原料の一つであるトウモロコシを用いて検討した。
粉砕機のスクリーンの穴径を1mm, 2mm, 3mmおよび5mmの4段階に設定し, 穀実トウモロコシをそれぞれ紛砕処理した。各粉砕トウモロコシは, 豚産肉能力検定飼料に40%づつ配合し, 試験飼料とした。供試豚は, ランドレース去勢雄5頭 (体重32~38kg) で, 消化試験は4種の試験飼料の他に基礎飼料として用いた配合飼料の5種類について5×5のラテン方格法により, 予備期間5日, 採糞期間5日の全糞採取法により行なった。飼料の給与量は体重の4%とし, 1日に2回に分けて給与した。
トウモロコシの消化率を1mm, 2mm, 3mmおよび5mm処理の順に示すと, 乾物90.3, 89.3, 88.8, 87.6%, 有機物91.2, 90.1, 89.6, 88.4%, 粗蛋白質82.1, 74.9, 73.8, 70.6%, 粗脂肪84.3, 80.5, 74.6, 66.9%, NFE94.1, 93.9, 93.0, 92.7%, 粗繊維19.5, 22.0, 27.6, 26.4%, エネルギー89.8, 88.2, 87.5, 85.9%, 澱粉100.0, 99.9, 99.7, 99.6%であった。したがって, 粗繊維の消化率を除き, 各成分の消化率は粉砕粒度が大きくなるにつれ低下の傾向を示した。なお, 粗繊維以外の各成分の消化率は, 1mmと5mm処理との間にいずれも有意差 (P<0.05) がみられた。
トウモロコシの乾物の栄養価を, 1mm, 2mm, 3mmおよび5mm処理の順に示すと, DCP7.7, 7.0, 6.9, 6.7%, DE4.05, 4.05, 3.94, 3.93kcal/g, TDN94.3, 93.1, 92.1, 90.4%であり, 1mmと5mm処理との間に, いずれの栄養価とも有意差 (P<0.05) が認められた。なお, DCPおよびTDNについては, 1mmと3mm処理との間にも有意差 (P<0.05) が認められた。
以上の結果, 粒度が消化率に大きな影響を及ぼすことから, 飼料の消化率および栄養価を精度よく比較検討する上で, 飼料の粒度表示も重要な要因になるものと考えられた。

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