日本養豚研究会誌
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肉豚飼料におけるナタネ粕の利用に関する研究
ナタネ粕の違いが豚の肥育におよぼす影響
佐野 修福田 勤中谷 哲郎田上 末四郎久池井 忠男
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1971 年 8 巻 3 号 p. 109-115

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抄録

いずれもカナダ産ナタネを原料とし, 製造場所を異にする3種類のナタネ粕をそれぞれ10%配合した飼料を用い, 豚産肉能力検定の実施要領に準じて肉豚の肥育試験を行ない, ナタネ粕の利用性について検討した。
(1) 供試豚はランドレースで1区あたり3頭あるいは4頭とし, 体重24kg前後から約90kgに達するまで飼養した。供試各飼料の可消化粗蛋白質含量ならびに可消化養分総量は, ナタネ粕の配合の有無にかかわらず, ほぼ同じにそろえた。
(2) 発育について, ナタネ粕配合飼料給与の影響はほとんどみられなかったが, 水溶性窒素指数の低いナタネ粕の場合には, やや劣る傾向にあった。
(3) 屠体の肉質や脂肪などについては, ナタネ粕給与の影響は認められなかったが, 甲状腺ならびに肝臓の重量はナタネ粕配合飼料の給与により有意に増加した。
(4) 本実験の条件下においては, ナタネ粕の配合の有無およびナタネ粕の種類の如何にかかわらず, 供試飼料の嗜好性には差異はないものとみなされた。
(5) 以上の結果から, ナタネ粕10%程度の配合量であるならば, 実用上肉豚の発育ならびに屠体の品質について3種類のナタネ粕の間に, とくに差異があるとは云えないようであり, ナタネ粕10%配合飼料による肉豚の肥育の可能性がたしかめられたものと考えられる。

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