有機合成化学協会誌
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p-シメンからカダリンの合成
安達 和郎
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1969 年 27 巻 9 号 p. 875-876

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抄録

ある種のセスキテルペン系化合物の脱水素反応で得られるカダリンはRuzickaらにより発見され, 種々の方法で合成されている。今回著者はかシメンを出発原料としてそのクロルメチル体から純粋な2- (5-イソプロピル-2-メチルフェニル) エタノール (4) を導き, これよりRuzickaらの方法にしたがってカダリンの合成を行なった。この際中間物のメチル-2- (5-イソプロピル-2-メチルフェニル) エチルマロン酸 (7) は結晶化合物として得ることができ, またこれの脱炭酸反応, 酸塩化物化反応, ついで塩化第ニスズによるFriede1-Crafts反応によって1, 6-ジメチルー4-イソプロピル-5-オキソ-5, 6, 7, 8-テトラヒドロナフタリン (9) に導びき, さらにこれを還元したのちイオウで脱水素してカダリンを得た。なお, Friede1-Crafts反応において塩化アルミニウムを用いるとイソプロピル基が脱離して, 1, 6-ジメチル-5-オキソ-5, 6, 7, 8-テトラヒドロナフタリン (12) が生成することがわかった。

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