有機合成化学協会誌
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ゼオライト触媒によるメチルシクロペンテン類の合成と反応
斎藤 義一佐藤 寛次安倍 信夫
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1978 年 36 巻 12 号 p. 1064-1067

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抄録

メチルシクロペンテン誘導体の合成法としては, 先にシクロペンタノン誘導体に環化し, ついでヨウ化メチル等のアルキル化試薬を用いる例が多い.ここでは, 天然ゼオライトを触媒としシクロヘキセンを熱異性化し, 直接メチルシクロペンテン類を合成した.異性化触媒としてクリノプチロライト型の天然ゼオライトを使用し, 反応温度430~440℃でシクロヘキセンを異性化した場合は活性アルミナを使用した場合に比し, 好収率で1-メチルシクロペンテンおよび3-メチルシクロペンテンを与え, その生成比はおよそ74 : 26であることがわかった.さらに, 天然ゼオライトを触媒とする場合は, 直接シクロヘキサノールを反応管に導入し, 脱水と同時に熱異性化させることも可能であり, 反応条件などを検討した結果, 反応温度430℃で異性化すると, 異性化率70.8%で相当するメチルシクロペンテン類を得ることができた.これらメチルシクロペンテン類を分留によって分離精製することは困難なため, 混合物のまま過ギ酸を用いて水酸化したのち, 精密分留により, 3-メチルシクロペンタン-トランス-1, 2-ジオールと1-メチルシクロペンタン-トランス-1, 2-ジオールとに分離した。

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