日本惑星科学会誌遊星人
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探査機「はやぶさ」が持ち帰った小惑星イトカワ粒子の初期記載について(特集「はやぶさ帰還試料の分析で分かったこと」)
矢田 達安部 正真岡田 達明中村 智樹野口 高明岡崎 隆司石橋 之宏白井 慶上椙 真之唐牛 譲八亀 彰吾上野 宗孝向井 利典吉川 真川口 淳一郎藤村 彰夫
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2013 年 22 巻 2 号 p. 68-77

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抄録
地球外物質の採取・記載・保管および配布の目的で発足したJAXAキュレーションセンターでは,現在は小惑星イトカワにタッチダウンした探査機「はやぶさ」の試料を取り扱っている.「はやぶさ」から分離して地球帰還した再突入カプセルを受け入れ,その内部の試料コンテナを取り出してクリーンチェンバー内に導入し,開封を行った.試料コンテナ内の残留ガスから地球外起源の希ガスは検出できなかったが,キャッチャー内部からは主にケイ酸塩鉱物から成る微粒子を回収した.初期記載の結果,それらの鉱物比・鉱物組成がLL4-6コンドライト隕石に近いことが分かり,イトカワ試料と確認された.現在までに400個以上の粒子の回収・初期記載を行い,そのうち8割がイトカワ粒子だった.キュレーションセンターではこの試料を初期分析チーム,NASA,国際公募研究に対して配布し,多様な科学成果が挙がっている.
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© 2013 日本惑星科学会
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