2019 年 28 巻 3 号 p. 190-199
ALMA望遠鏡は,ミリ波・サブミリ波の波長帯で,これまでにない空間分解能と感度を兼ね備えた電波干渉計であり,近傍の星形成領域の中の原始惑星系円盤を,最小で数天文単位の空間分解能で観測することが可能である.従来の惑星形成の枠組みの中で,原始惑星系円盤は滑らかで軸対称な構造を持つことが仮定されてきたが,ALMA望遠鏡の登場により,円盤には様々な構造が存在することが明らかになってきた.本稿では,原始惑星系円盤からのダスト連続波放射の観測を中心に,高空間分解能観測でわかってきた原始惑星系円盤の構造について概観し,今後の課題として,円盤構造の統計・円盤形成初期における構造・データ解析手法の三点を提示する.