【目的】糖尿病をはじめとする食事療法を必要とする患者にとって、食品中の栄養成分を知ることは極めて重要である。現在、開発中の“AI管理栄養士”アプリのプロトタイプを用いて、栄養成分がわかっている病院給食の画像とレシピを収集してデータベース化し、他の医療機関の給食を用いて物体検出の精度と定量性につき検討した。
【方法】画像解析プログラムはPython言語により開発した。可食部面積は、病院給食を撮影する際に1辺1cmの立方体マーカーを食事と一緒に動画で撮影して計算した。医療機関Aで撮影した1サイクル(28日分)の病院給食の動画から抽出された複数枚の静止画像を、AIにより料理種別の特定をするための教師あり学習用データとした。米飯可食部の領域はモデルを使った推論でOpenCV技術により面積計算した。他の医療機関BとCの病院給食の動画から抽出された静止画像を用いて物体検出の精度と定量性を評価した。
【結果】米飯に対する物体検出のPrecisionは100%、Recallは98.3%であった。副食を含む食事メニュー全体に対する物体検出のPrecisionは32.0%、Recallは26.9%であった。学習していない食事メニューは他の食事メニューとして検出、あるいは物体そのものを検出しなかった。医療機関Bでは米飯量200gを平均752g (95%信頼区間482 - 1022g, P <0.001)、医療機関Cでは米飯量130gを平均120g (95%信頼区間96 - 143g, P = 0.982)と推定した。
【結論】米飯の物体検出の精度は高かったが、定量性についてはさらなる精度の改善が必要と考えられた。
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