日本先進糖尿病治療研究会雑誌
Online ISSN : 2436-0058
17 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著
  • 柚山 賀彦, 川村 智行, 堀田 優子, 西川 直子, 濱崎 考史
    2023 年 17 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス HTML

    【緒言】本邦における実臨床下でのHybrid Closed Loop(以下HCLと略す)を搭載したミニメド770Gの、有用性に関する情報は乏しい。

    【方法】インスリンポンプ治療中で、Sensor Augmented PumpやContinuous Glucose Monitoringを使用し、ミニメド770Gを導入した1型糖尿病患者を対象に、導入前後での、特にTime in Range(以下TIRと略す)やインスリン使用量の変化を検討した。

    【結果】37名が解析対象。年齢は平均22.8歳。導入前と導入3か月後の比較では、HbA1cは7.51%から7.08%と有意に低下し、TIRは60.4%から69.6%へ有意に増加した。総インスリン投与量に占める基礎インスリン量の割合(以下Basal%と略す)は導入前32.3%、導入後37.0%と増加傾向を認めたが、層別解析で、Basal%が増加していた群は、減少群と比して導入前のBasal%が有意に低かった。Auto mode計算効果値が導入前の効果値よりも100以上小さい症例が4例あった。

    【結論】HCL導入後、HbA1cやTIRは改善した。Basal%は全体に増加傾向であった。特に低年齢層で、計算効果値と元の効果値が乖離して、HCLによる低血糖リスクが示唆された。

  • 村田 敬, 小林 司, 豊田 雅夫, 廣田 勇士, 三浦 順之助, 森岡 宏介, 平野 和保, 鍛冶 亜由美, 高橋 路子, 坂根 直樹
    2023 年 17 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス HTML

    【目的】糖尿病をはじめとする食事療法を必要とする患者にとって、食品中の栄養成分を知ることは極めて重要である。現在、開発中の“AI管理栄養士”アプリのプロトタイプを用いて、栄養成分がわかっている病院給食の画像とレシピを収集してデータベース化し、他の医療機関の給食を用いて物体検出の精度と定量性につき検討した。

    【方法】画像解析プログラムはPython言語により開発した。可食部面積は、病院給食を撮影する際に1辺1cmの立方体マーカーを食事と一緒に動画で撮影して計算した。医療機関Aで撮影した1サイクル(28日分)の病院給食の動画から抽出された複数枚の静止画像を、AIにより料理種別の特定をするための教師あり学習用データとした。米飯可食部の領域はモデルを使った推論でOpenCV技術により面積計算した。他の医療機関BとCの病院給食の動画から抽出された静止画像を用いて物体検出の精度と定量性を評価した。

    【結果】米飯に対する物体検出のPrecisionは100%、Recallは98.3%であった。副食を含む食事メニュー全体に対する物体検出のPrecisionは32.0%、Recallは26.9%であった。学習していない食事メニューは他の食事メニューとして検出、あるいは物体そのものを検出しなかった。医療機関Bでは米飯量200gを平均752g (95%信頼区間482 - 1022g, P <0.001)、医療機関Cでは米飯量130gを平均120g (95%信頼区間96 - 143g, P = 0.982)と推定した。

    【結論】米飯の物体検出の精度は高かったが、定量性についてはさらなる精度の改善が必要と考えられた。

合同開催 第20回日本先進糖尿病治療研究会・第18回1型糖尿病研究会
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