世界各国が取り組むCO2 削減の課題において,日本政府は2050年のカーボンニュートラルの達成に向け,多くのCO2削減策を講じている.多くの企業も躍起になって,その対策に取り組んでいる.しかしながら,産業の発展を維持しつつ,カーボンニュートラルを達成することは容易ではないことが明白である.これまでのCO2 削減対策に加え,CO2 の固定化を含めた新たなアプローチが求められている.特に,これまでCO2 の固定化にはグリーンカーボンが大きな役割を担ってきたが,森林の適切な管理がなされていないことから,CO2 の最大固定量を得られる樹齢を過ぎ,その固定量にも限界がみられる.ゆえに,CO2 の固定化において,ブルーカーボンへの期待が高まっている.本研究の目的は,環境に配慮した藻場形成を実現するため,藻場用ポットの設計・製作および藻場の育成である.石川県の沿岸に藻場を形成することを仮定して,ブルーカーボンの脱炭素化への予測と持続可能性について検証した.実際に生育する藻の様子を確認し,藻場用ポットの使用についても検証を行った.その結果,藻場の拡大面積は5550 ha,ブルーカーボンによるCO2 固定量は27195 t-CO₂/year であり,CO2 削減は大いに期待できる.さらにカーボンクレジットによる地方創生の切り札になる可能性について触れる.
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