化学生物総合管理
Online ISSN : 1349-9041
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4 巻, 1 号
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巻頭言
特集
  • 原稿種別: 前書き
    2008 年 4 巻 1 号 p. 3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
  • 貞升 健志, 新開 敬行, 長島 真美, 尾形 和恵, 吉田 靖子, 山田 澄夫, 矢野 一好
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 4-16
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    近年、高病原性鳥インフルエンザH5N1による鳥感染事例が日本を含む東南アジアからヨーロッパや世界の他の国々へと広がっている。300例以上のH5N1型感染鳥からヒトへの感染事例が東アジアを中心に報告されている。鳥インフルエンザウイルスはヒトまたはブタのインフルエンザウイルスとの交雑により、人への感染力、致死力の高い新型インフルエンザウイルスに最もなりうる型と考えられており、中でもH5N1は世界保健機関によりその発生動向が注視されている。鳥インフルエンザ発生地域からの帰国者で、インフルエンザ様症状を示した事例が都内で発生した場合には、鳥インフルエンザか否かの迅速な判断を行うことが健康危機管理上、重要となる。しかしながら、H5N1型とヒトインフルエンザウイルスを区別する方法がなかったため、鳥インフルエンザ、ヒトインフルエンザウイルスの迅速遺伝子診断を目的とし、real-time PCR法、Nested-PCR法、LAMP法を組み合わせた鳥インフルエンザ検査システムを開発し、2005年以降6事例の鳥インフルエンザ緊急検査(東京感染症アラート検査)検査に応用した。
  • 鈴木 仁, 田端 節子, 木村 圭介, 飯田 憲司, 鎌田 国広
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    各種調味料及び漬物中のクロロプロパノール類 (3-クロロ-1,2-プロパンジオール(3-MCPD)、1,3-ジクロロ-2-プロパノール (1,3-DCP) 及び2,3-ジクロロ-1-プロパノール (2,3-DCP)) の含有量を調査した。定量限界は0.01mg/kgであった。3-MCPDは調味料106試料中22試料から検出された。特にタイ産及びフィリピン産の一部から、0.1mg/kg以上の高濃度で検出された。また、3-MCPDを高濃度検出された試料の一部から2,3-DCPが検出された。3-MCPDは漬物25試料中3試料から検出された。
  • 森 謙一郎, 中村 義昭, 大貫 奈穂美, 寺島 潔, 横山 敏郎, 宮本 道子, 荻野 周三, 斉藤 和夫
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 26-33
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    化粧品中の安息香酸デナトニウム (benzyldiethyl-N-2,6-xylylcarbamoylmethyl ammonium benzoate、DBと略す) の分析法を作製した。1-2 gの化粧品試料を秤量し、メタノールに溶かし10 mLとした。沈殿のある場合は高速遠沈で精製した。溶液は陽イオン交換カラムに負荷し、メタノールで洗浄し、1% HCl-MeOH 10 mLで溶出した。溶出液は蒸発乾固し、0.1% HCl-MeOH 500 μL で溶解し、HPLCに注入した。HPLCの条件は次のとおり、カラムODS、移動相 water/acetonitrile (7:3)・0.01 mol/L sodium 1-pentanesulfonate・0.015 mol/L sodium sulfate、注入量20 μL、検出器206 nm。検出限界は 0.1 ppm。本法により輸入化粧品5品から1-9,000 ppmのDBを妨害なく分析することができた。1.0 ppmのDB水溶液1.0mLは苦く、DBの摂食阻害性を十分確認した。国産の化粧品、家庭用品中に誤飲防止剤としてDBが入っているのはほとんど見ないが、欧米の製品には多く、多岐にわたっている。
  • 鈴木 仁, 高橋 美佐子, 瀬戸 隆子, 長嶋 真知子, 奥本 千代美, 安田 一郎
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    NMRを用いたラッシュ系薬物の確認方法を確立した。従来の方法では、確認できる薬物は標準品があるものに限定されること、また位置異性体を含む亜硝酸エステル各化合物マススペクトルに大差がないことから、より正確な確認方法が必要であった。そこで、ラッシュ系薬物を溶媒と混和してNMRを測定し、そのスペクトル値から亜硝酸エステルの同定及び確認する方法を開発した。また、標準品のない亜硝酸エステルは合成するとともに、NMR及びGC/MSより確認した。市販製品中から亜硝酸iso-プロピル、亜硝酸iso-ブチル、亜硝酸n-アミル、亜硝酸iso-アミル及び亜硝酸2-メチルブチルの存在を明らかにした。
  • 安井 明子, 大石 充男, 石川 ふさ子, 新藤 哲也, 堀江 正男, 伊藤 弘一
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    食品擬似溶媒(n-へプタン)を用いた溶出試験においてプラスチック容器からノニルフェノール(NP)が2~2800 ng/cm2検出された検体について、その食品中のNP分析を、GC/MSおよび選択性の高いLC/MS/MSによる簡便な分析法により行った。その中で、溶出試験においてNPが最も高く検出された容器中のアイスクリーム1検体より140 ng/gのNPが検出された。容器から食品へのNPの移行は、プラスチック中のNP含有量や、プラスチック部分と食品部分の接触面積、NPが移行しやすい油脂分の食品中の量に影響すると考えられた。
  • 小西 浩之, 冨士栄 聡子, 矢口 久美子, 中川 順一
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 49-59
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    ノニルフェノールは水道法水質基準の要検討項目の一つにあげられている。GC/MS法で得られる異性体の13本のピークについて測定し精度の高い分析法とするため、GC条件・抽出法の検討を行った。分離カラムはHP-5で良好な分離ができ、高圧注入法で注入圧を30 psiのときすべてのピークを0.01 ppmまで測定できた。固相カラムはPLS-3で回収率は84~114 %と良好であった。検討した分析法を用いて東京都の島しょ及び多摩地域の48地点の水道水及び水道原水中NP濃度の実態調査を行ったところ、すべての地点で定量下限値未満であった。
  • 多田 幸恵, 藤谷 知子, 小縣 昭夫, 上村 尚
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 60-68
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    プラスチック難燃剤テトラブロモビスフェノールA (TBBPA) をオリーブオイルに懸濁させ、0 (対照群)、350、700及び1,400 mg/kg体重の投与用量、10 mL/kg体重の投与液量で、1日1回14日間、ICR雄マウスに胃ゾンデを用いて強制経口投与し、血液・血清生化学及び病理学的に検索した。
    その結果、投与群で血清総コレステロール及び肝臓重量の増加が認められた。主要臓器の組織観察では、投与群の肝臓に肝細胞の腫脹、炎症性細胞の浸潤及び肝細胞の壊死が多く認められた。
  • 斎藤 育江, 瀬戸 博, 上村 尚
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 69-77
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    竣工直後のビルに入館した多数の職員が、異臭及び体調不良を訴えた事例に関して、室内空気濃度測定と臭覚パネルによる官能試験を行い、臭気の原因物質について解析を試みた。臭気と症状に関するアンケート調査では入館者202名の職員のうち120名から回答が得られた。異臭や体調不良を訴えたのは94名 (78%) で女性では89%の高率であった。主な症状は、鼻が刺激される、目がチカチカする、喉がイガイガする、気分が悪い・胸がむかむかする等であった。館内の化学物質濃度を測定したところトルエン、エチルベンゼン、キシレン、ブタノールが高濃度で検出され、発生源は床材のビニルシートを貼り付けるのに使用された接着剤と推定された。館内10ヶ所の化学物質濃度と臭覚パネルによる官能試験を実施し、両者の関連性をみたところ、ブタノール、キシレン、エチルベンゼンと臭気レベルとの相関が高かった。これらの物質の臭覚閾値を考慮するとブタノールが異臭の原因物質と推定された。
  • 有賀 孝成, 押田 裕子, 川本 厚子, 青山 照江, 永山 敏廣
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 78-87
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    プール水中の二酸化塩素、亜塩素酸イオン及び残留塩素の定量法としてN,N'-ビス(2,4-ジスルホベンジル)トリジン (SBT) 試薬を用いる方法を検討した。pH5.0‐5.6の酢酸緩衝液を用いると二酸化塩素の測定において遊離塩素の妨害を受けるため、pH6.3のリン酸緩衝液を使用した。しかし、リン酸緩衝液では呈色後、吸光度が急激に低下することからSBT試薬の添加後、直ちに測定した。また、亜塩素酸イオンの測定はヨウ化カリウム溶液を添加した後に硫酸を添加すれば遊離塩素の影響を受けない。プール水を測定した結果、本法による測定値はN,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン (DPD) 吸光光度法による測定値とよく一致した。
報文
  • SAICM合意後1年間の歩みを振り返る
    高橋 俊彦, 増田 優
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 88-111
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    2006年2月のSAICMの採択は、国際機関、国、産業界などの政策に大きな影響を与えている。ここでは、これまで世界の化学物質総合管理に関する議論の場であったIFCSがSAICMの採択によって受けた影響とIFCSの今後の見通しについて報告する。また、第2回ICCMの準備のために5つの地域でSAICM地域会合が行われることになった。このうち2006年にはアフリカ、中東欧、EU-JUSSCANNZの3つのSAICM地域会合が開催された。本報告ではこれらの動きを中心にSAICM採択後1年間の世界の動きの概要を検証するとともにSAICMに対する日本の取り組みについて考察を述べた。
  • 実効的な市民参加には真の規制改革が不可欠
    星川 欣孝, 増田 優
    原稿種別: 報文
    2008 年 4 巻 1 号 p. 112-134
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル フリー
    日本が国際合意に呼応して社会の化学物質管理能力を強化するために喫緊の課題の一つは、広範な関係者との協議の場を設定して化学物質管理の現状分析を行い、それを基に前報で提言した新法の制定を含む改善行動計画を策定して実行することである。この報文では主に行政の政策形成・実施過程への多様な関係者や市民の参加の問題を取り上げ、OECDの規制の質の確保にかかわる活動および日本の規制改革に対するOECDの対日審査における勧告事項を参照しつつ、行政手続法によるパブリックコメント制度や化審法等の見直しを行っている審議会の限界などを分析する。そして、規制政策の形成・実施過程への市民参加のあり方や縦割り行政の弊害を是正する規制改革のあり方などを考察して、実効的な社会各層の参加の場を構築して化学物質総合管理法制を実現するためには、関係省庁の行政事務の分担を組み直す真の規制改革が必要であることを指摘する。
特集2
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