Annual Meeting of the Geological Society of Japan
Online ISSN : 2187-6665
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The 130th Annual Meeting(2023kyoto)
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T15. Regional geology and stratigraphy: review and prospect
  • Rie S. Hori, Miu Hiraoka, Shin-ichi Sano
    Session ID: T15-O-3
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
    CONFERENCE PROCEEDINGS FREE ACCESS

    四国西予ジオパーク西南部の秩父累帯南帯には、層状チャート層ユニットと砂岩泥岩からなる砕屑岩ユニットが繰り返す斗賀野層群(斗賀野ユニットとも呼ばれる)相当層が広く分布すると共に、数mから数km規模に及ぶ石灰岩体が南縁部に点在する。中でも“斗賀野層群”中に孤立して分布する愛媛県西予市三瓶町蔵貫の山中に産する石灰岩体は、阿部(1953)によって鳥巣式石灰岩として六射サンゴや腕足類の産出が報告されて以降、石灰岩から産出したある特定の化石分類群が取り上げられる事はあったものの、長らく三瓶町蔵貫の石灰岩体(以降、蔵貫岩体と表記)が再調査されることはなかった。愛媛大学では、近年、富山大学や東京大学の共同研究者と共に、三瓶町から明浜地域の “斗賀野層群”中の層状チャートユニットの微化石層序や、含有される石灰岩体の調査を西予市や四国西予ジオパークの許可・協力の下、実施している。特に、蔵貫岩体については、地元の方々の調査依頼・支援を受け、2020年12月より学術研究調査を開始し、現在までに以下の成果を得ている。1) 蔵貫岩体は、黒色泥岩を主体とする砕屑岩で石灰岩体が囲まれ、下部では、周りの付加体基質泥岩層と滑り面で接しているのが観察される。岩体内には初生的な堆積構造が保存され、下位から上位にむかって石灰岩の岩相・生物相変化が観察される。2) 岩体下部には砂質石灰岩が発達し、最下部では、破砕された砂質石灰岩中に泥岩が注入しているのがしばしば観察される。その上位には塊状石灰岩が層厚20m以上に及ぶ連続層序として確認できる大規模露頭が確認される。3) 岩体内には、保存良好な化石群が豊富に産出する。特に、多数の層孔虫と枝状サンゴや、ネリネア類を主体とした多様な巻貝が産出すると共に、上位には、大型厚歯二枚貝が密集して産する層準が確認できる。  豊富な化石群は、連続露頭断面中にも、また、点在する小規模露頭や、露頭周辺の転石においても確認できる。特に、山体斜面の石灰岩露頭や転石中に、大型巻貝であるネリネア類がしばしば含有されているのが観察される。山体中腹で発見された内部殻形状が識別できる標本については、Cryptoplocus属と判断できた。また岩体中には、すでに他地域の鳥巣式石灰岩からParastromatopora 属と報告されているものに類似する層孔虫化石が多数確認されるが、最終的な同定には、組織等を詳細に検討する必要がある。加えて本岩体には、岩体上部に、後期ジュラ紀から前期白亜紀初頭に栄えた、巻貝型の形態を持つ、大型厚歯二枚貝の密集層が観察されるが、厚歯二枚貝化石の詳細については、共著者である佐野によって別途報告予定である。 本調査により確認された大規模石灰岩体の層序断面は、層厚23mに及び、下部には砂質石灰岩層が発達し、下位から層厚37cmの角礫化が著しい砂質石灰岩層、層厚49cmの,砂質から上部になるにつれてより石灰質になる石灰岩層、その上に14cm〜23cmの層厚を持つ砂質石灰岩層が2層と、順に変化する。さらに上位には、単層の厚さが1.5mから5m以上になる灰色塊状石灰岩層が整合に重なる。石灰岩層の下部に発達する砂質石灰岩の風化面は灰色から肌色を呈し、下位の砂質から塊状石灰岩へ移り変わる層の上部には、レリーフ状に多くの化石が浮き上がってみえる。上位の石灰岩層にも化石密集部分が見られ、巻貝や二枚貝類、大型厚歯二枚貝化石等が密集して産するのが確認できる。石灰岩層の走向と傾斜は、N5度E, 4度Wで、ほぼ水平の上方上位を示す。岩体下部で片理がやや発達している黒色泥岩層と密着しているが、泥岩の片理面と石灰岩層の面構造は斜交している。松岡(1998)は、鳥巣式石灰岩岩体は、周りの付加体ユニット(斗賀野層群相当)にテクトニックに挟み込まれたブロック状岩体と述べた。一方、我々の調査では、最下部の石灰岩層は角礫化し、角礫間の基質には黒色泥岩が注入している産状が確認できるので、元々の関係は準整合的で、後の構造運動に伴って境界面がすべり面となった可能性も否定できない。今後のさらなる詳細な検討が必要である。周辺の付加体ユニットの層状チャートからは、これまでの研究により、前期三畳紀後期から中・後期ジュラ紀の放散虫化石が得られており、今後、蔵貫岩体の含有化石生物相の変遷や、岩体と接する砕屑岩の時代を詳細に検討する事により、蔵貫石灰岩体の形成史が明らかにされていくと思われる。 なお、現在、本蔵貫石灰岩体は、ジオサイトに選定され、許可なく調査・化石・試料採取を行うことは禁止されている。阿部 治朗(1953) 八幡浜市南方におけるいわゆる鳥巣石灰岩の発見. 地質学雑誌, 59, 527.松岡 篤(1998) 四国西端部秩父累帯の地体構造区分. 地質学雑誌, 104(9) 565-576.

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  • Atsushi MIYASHITA
    Session ID: T15-O-4
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
    CONFERENCE PROCEEDINGS FREE ACCESS

    黒瀬川帯は九州中部から関東山地までの分布が知られており,その最東端については,坂ほか(1989)および島村ほか(2003)により関東山地東縁の名栗断層中の蛇紋岩とそれに含まれるブロックが比定されている.近年,澤田ほか(2020)は,名栗断層南端の日の出町坂本蛇紋岩体中の高圧型変斑れい岩ブロックについて,東京都で最古となる490MaのジルコンU-Pb年代を報告し,坂ほか(1989)の推定が確実になった. 一方,坂本蛇紋岩体の周辺地質については,Hisada et al., (2002)によって,「水口層」が定義されている.Hisada et al., (2002)は,強くせん断された泥質岩を基質とし,蛇紋岩体や浅海三畳系をブロックとして含むテクトニック・メランジュが,ジュラ紀混在岩相中にとりこまれたとみなし,「水口層」全体が黒瀬川帯に属するという考えた.しかし,植木・酒井(2007)が指摘するように,このような黒瀬川帯の産状は,国内の他地域では知られていない.このため,蛇紋岩体と混在岩相との関係を調べることを目的に,水口ユニットと名栗断層を含む地域について詳細な地質調査を行った. 調査地域は,東京都西多摩郡日の出町の北大久野川から二子石峠までで,植木・酒井(2007)の水口ユニットが分布し,「水口層」模式地を含む地域である.地域の地質は,混在岩相を持つ砂岩・泥岩からなり,数100mから数cmに至る様々なサイズのチャート,凝灰岩細互層を含む石灰岩(青梅石),緑色岩ブロックを挟在している.石灰岩からは後期石炭紀カシモビアン期のフズリナMontiparus matsumotoi (Kanmera)が得られ,上部石炭系と考えられる(中澤ほか,2015).また,石灰岩に近接する泥岩からは中期ペルム紀を示す放散虫が報告されている(指田ほか,2012)が,砂岩泥岩やチャートからは微化石は得られていない.このため,混在岩相部分の堆積年代を決定するためには,砂岩中の堆積性ジルコンU-Pb年代を測定する必要があると考えられる.混在岩相部分については,石灰岩が他ユニットでは見られない岩相であること以外,植木・酒井(2007)の指摘通り,西側の秩父帯付加体ユニットである深沢ユニットおよび東側の雷電山ユニットと相違はない. 名栗断層は,地域北方の梅ケ谷から北大久野川近傍を通る,断層破砕帯はいくつかの場所で観察され,数mから数mmの様々なサイズの蛇紋岩体を伴う.高度変成岩や花こう岩類のブロックは,蛇紋岩体が大きいところに見られる.これらの蛇紋岩中のクロマイトは黒瀬川帯に特徴的な化学組成を示す.この蛇紋岩体の分布を丁寧に追うと,従来,地形リニアメントとして引かれていた北大久野川沿いではなく,やや東側を通る.地形リニアメントは脆弱な頁岩層の分布と一致しており,断層地形ではない.また,島村ほか(2003)は,この地域の名栗断層は平行して2本あることを指摘しているが,梅ケ谷南方では,断層群とそれに伴う蛇紋岩体の配列もさらに分岐している可能性がある.Hisada et al., (2002)の地質モデルは,このような地質状況を混在岩相中にとりこまれたテクトニックメランジュと解釈したものと考えられる. 調査地域南部および東部では,水口ユニットを高角不整合で覆って中新世五日市町層群幸神礫岩部層が,さらにその上位に鮮新世飯能礫層が不整合で覆っている.Yokoyama & Saito (1990)が指摘しているように,名栗断層の蛇紋岩体に由来するクロマイトは,不整合で覆う幸神礫岩部層中に多量に含まれ,中新統堆積時には名栗断層が地表露出して削剥される状況にあったことが示唆される.中新世秩父盆地層群も,黒瀬川帯に比定される山中地溝帯に接して形成されており,関東山地東縁の中新統の形成は,黒瀬川帯の分布と何らかの関係がある可能性がある.Hisada et al., (2002), Ann. Rep.,Insl. Geosci., Univ. Tsukuba, 28.35-39.中澤ほか, (2015). GSJ地質ニュース, 4, 283-284.坂ほか,(1989), 地質雑, 95, 339-342.指田ほか, (2012), 日本古生物学会121回例会予稿集, pp.32.澤田ほか, (2020), 地質雑, 126, 551-561.島村ほか, (2003), 地質雑, 109, 116-132.植木・酒井, (2007), 青梅地域の地質, 産総研地質調査総合センター,189 p.Yokoyama and Saito, (1990), Bull. Natn. Sci. Mus., Tokyo, Ser. C, 16, 41-54.

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  • Yusuke SAKAI, Teppei SONODA, Kazuo TERADA
    Session ID: T15-O-5
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    手取層群は,福井,石川,岐阜,富山,新潟県に分布する上部ジュラ系~下部白亜系である(Yamada and Sano,2018).白山から別山・三ノ峰周辺にかけての福井・石川・岐阜県境地域(以下,別山地域)に手取層群が分布していることは古くから知られている(例えば,前田,1957,1958).別山地域の手取層群に関する詳細な調査が進まない主な要因として,アクセスが困難な険しい山岳部であることが挙げられる.本研究では,別山地域内で手取層群がどのように分布しているのかを明らかにするため,白山国立公園内において詳細な現地踏査を行い,岩相層序および産出した植物化石について検討したので報告する. 本研究により,別山地域の手取層群は,下位より,砂岩泥岩互層を主体とする層,オーソコーツァイト礫を含む粗粒堆積物を主体とする層の順で塁重していることが明らかになり,それぞれは岐阜県白川村大白川地域の大白川最上流部を模式地とする二又谷層(前田,1958),岐阜県高山市荘川地域の尾上郷川上流の別山谷を模式地とする別山谷層(前田,1952)に対応するものと考えられる.別山地域の手取層群は,大局的に見ると南西に緩やかに傾斜した構造であり,北東に位置する大白川地域に下位の地層が広く露出し,南西に位置する福井県大野市打波川地域に向かい上位の地層が露出している.大白川地域の湯谷から別山谷にかけて二又谷層,別山谷層が連続的に露出し,石川県白山市市ノ瀬地域では湯の谷および別当谷において,打波川地域では観音谷において両層が連続的に露出している. 二又谷層の植物化石は,先行研究において,主に市ノ瀬地域の湯の谷,別当谷,大白川地域の曲がり谷付近より報告されている(例えば,Kimura and Sekido,1976,1978;松尾・東野,1979,岐阜県恐竜化石学術調査推進委員会,1993).本研究では,さらに市ノ瀬地域の湯の谷,丸岡谷,別当谷,赤谷,細谷川,大白川地域のオエトリ谷,コエトリ谷,曲がり谷,タロタキ谷,箱谷,別山谷,打波川地域の観音谷より植物化石を採取した.また,別当谷および箱谷で発見した直立樹幹化石試料の薄片を作成し,いずれもXenoxylon meisteriに同定された. 別山谷層の植物化石は,先行研究において,荘川地域の別山谷林道より報告されている(酒井ほか,2014).本研究では,さらに市ノ瀬地域の湯の谷,別山谷,井谷,中の俣谷川,打波川地域の桧谷,カサバノ谷より植物化石を採取した.また,別山谷層に由来する材化石試料7点の薄片を作成し,いずれもX. meisteriに同定された. 二又谷層の植物化石群は,温暖で湿潤な気候を好む手取型植物群(Kimura,1987)の指標分類群であるイチョウ類のGinkgoidium属,Ginkgoites属,ベネチテス類のDictyozamites属,球果類のPityophyllum属,Podozamites属,Xenoxylon属などが含まれる.一方,別山谷層の植物化石群は,上記の手取型植物群の指標分類群と,乾季を伴う気候を好む領石型植物群(Kimura,1987)の指標分類群であるソテツ類のNilssonia densinervisに類縁があると思われるもの,大きな葉をもつベネチテス類・ソテツ類のZamites sp.(またはPseudoctenis sp.),鱗片葉をもつ球果類のPagiophyllum sp.が含まれることが明らかになった.このことから,別山谷層の堆積時は温暖で湿潤でありながら乾季を伴う気候が広がっていた可能性が示唆される.参考文献岐阜県恐竜化石学術調査推進委員会, 1993, 恐竜化石学術調査報告書, 46p.Kimura, T., 1987, Bull. Tokyo Gakugei Univ., Sec. IV, 39, 87–115. Kimura, T. and Sekido, S., 1976, Trans. Proc. Palaeont. Soc. Japan. N. S., 103, 343–378.Kimura, T. and Sekido, S., 1978, Trans. Proc. Palaeont. Soc. Japan. N. S., 109, 259–279.前田四郎, 1952, 地質雑, 58, 145‒153.前田四郎, 1957, 地雑, 66, 231‒236.前田四郎, 1958, 地質雑, 64, 583‒594.松尾秀邦・東野外志男, 1979, 石川県白山自然保護センター研究報告, 5, 23–28.酒井佑輔ほか, 2014, 日本古生物学会2014年年会予稿集, 24. Yamada, T. and Sano, S., 2018, Mem. Fukui Pref. Dinosaur Mus., 17, 89‒94.

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  • Takuya Itaki, Ayumu Miyakawa, Keiko Matsumoto, Nobuo Geshi
    Session ID: T15-O-6
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    __地層中の「砂つぶ」には微化石や火山灰等の層序対比マーカーが含まれ、地質の調査研究に重要な役割を果たしている。しかし、そのデータ取得にいたっては、知識と経験を有した専門家が顕微鏡下で数百〜数千という数の鑑定(分類)作業を行い、それらを拾い出しするのに膨大な時間と労力を要する。また最近では、このような作業に専念できる専門家が減少し、信頼性の高いデータ取得に際して懸念が広がりつつある。一方で、近年はコンピュータの計算能力が飛躍的に向上したことによって人工知能(AI)の学習法のひとつであるディープラーニング(深層学習)が普及し、微小粒子鑑定の作業工程でも省力化と人材減少の懸念を解決する技術として期待されている。しかし、鑑定精度を高めるための大規模な教師データの整備や大量のデータ解析を可能とする設備(自動顕微鏡等)の普及の遅れから、実際に研究現場に展開されているケースはまだ稀である。本講演では、産総研が進めている「砂つぶ」自動鑑定技術の実用化に向けた取り組みについて紹介したい。__産総研は、AIによる地質試料中の微粒子自動鑑定に関する技術開発を2016年に着手し、2018年には微化石を自動鑑定・摘出する世界初のシステム(miCRAD system)としてプロトタイプを発表した(産総研プレスリリース, 2018/12; Itaki et al., 2020a. PEPS 7:19; Itaki et al., 2020b. Scientific Reports 10:21136; 特許第7132553号)。システムは、コンピュータ制御のデジタルマイクロスコープにより複数の焦点で取得した画像を合成し、画像処理により個々の微粒子画像を自動で切り出す機能を有している。これにより、数千枚の微粒子画像を5分程度で取得することも可能となり、教師データ整備の高速化が実現した。また、運用においてはディープラーニングで構築した予測モデルでの鑑定結果をもとに任意に指定した種類の粒子をマイクロマニピュレータで連続的に拾い出す機能も有しており、これまで手動で行っていた約3倍のスピードで作業を完了することができるようになった。放散虫化石を対象とした自動鑑定の実験では、約44,000粒子の画像を32クラスに区分した教師データを整備した。検証用データを鑑定した結果の各カテゴリーの評価指数平均は、適合率78%、再現率78%、F値77である。各カテゴリーの結果を見ると、学習データの画像数が少ないといずれの数値も低くなるが、300画像を超えると概ね良い結果が得られており、少ない種類については今後の学習データの増幅が精度向上の鍵になると考えられる。__更に最近では、世界最速のデータ解析を目指してバーチャル・スライドスキャナの運用実験を進めている。バーチャル・スライドスキャナ(以降、スライドスキャナ)は、スライドガラス標本の光学顕微鏡画像をデジタルデータ(バーチャルスライド)として取得・管理する、特に医療分野で広がりつつある技術である。産総研では、スライドスキャナの地質試料への応用技術を検討するため、2022年に浜松ホトニクス社製スライドスキャナNanoZoomer-SQ、2023年には同じくNanoZoomer-S360を導入した。前者(SQ)は、調査船等に持ち込んで運用することを想定し、約20kgで可搬性の高い小型機種として選定したが装填できるスライドは1枚のみで、スキャン速度は15×15 mmの範囲を約150秒(対物レンズ20倍)である。一方、後者の機種(S360)は、一度に最大360枚のスライドが装填可能で、スキャン時間がSQの5分の1という極めて高いスループットを実現している。我々は、これらのスライドスキャナに画像処理・AI自動鑑定機能を実装しており、運用試験の結果では画像取得開始から全粒子の鑑定までの時間は1スライド当たり約30分程度である(対物レンズ20倍、観察面積15x15mm、焦点スライス5層の場合、但し撮像される粒子数により変動)。年間フル稼働すれば、約1万スライドの解析が可能と見積もられるが、その場合はスライドスキャナの解析速度よりもスライドを作成するスピードが時間的な律速になるため、今後の技術開発が望まれるところである。__これらの最新の機器を使い、これまでに放散虫、珪藻、有孔虫などの微化石をはじめ、火山灰、鉱物粒子、マイクロプラスチック、飛散花粉なども対象として実用化試験を進めている。しかし、これらのシステムは何れも高価なため、技術の普及に障壁となっている。そこで我々は、外部ユーザーが各自のコンピュータを使って誰でも「砂つぶ」自動鑑定ができるように、システムで取得した膨大な画像データやAI分類モデルをデータベースとして公開することが重要と考えている。

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  • Motoki MOURI, Noritaka MATSUBARA, Masanobu HARADA
    Session ID: T15-O-7
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    はじめに 西南日本内帯には,白亜紀〜古第三紀の火成岩類が広く分布する.近畿地方西部に位置する兵庫県中〜西部地域では近年,産総研による5万分の1地質図幅作成に伴う研究の進展で白亜紀火山岩類が当時のカルデラ(コールドロン)を埋積し分布することが明らかにされてきた.当地域の白亜紀火山岩類は堆積盆の認定を基礎とした層序学的研究によって,各地で累層に区分されている(例えば,山元ほか,2000;山元ほか,2002;Yamamoto,2003;吉川ほか,2005;佐藤ほか,2016など). 表題地域はYamamoto(2003)が存在を指摘した径14×7kmの大型カルデラ内に位置し,カルデラ埋積火山岩が分布するが,その記載的特徴や成因は山元ほか(2002)による火山岩類の地質構造を重視した層序学的研究のほかに詳細な報告はない.また山崎図幅地域に分布するカルデラ埋積火山岩(七種山層(なぐさやまそう);山元ほか,2002)は隣接する龍野図幅地域(山元ほか,2000)や生野図幅地域(吉川ほか,2005)にまたがって分布し,その層序学的位置は,兵庫県中〜西部地域における白亜紀火成活動の対比や時空変遷を議論するうえで重要である.そこで本報告では当地域に分布する七種山層(山元ほか,2002)に産する,火山砕屑岩からなる母岩中に流紋岩質火山岩片が混在する岩相に対し,産状および岩石記載を行い,姫路市夢前町莇野付近における白亜紀ペペライトの産状学的特徴を報告する. 地質概要 本地域に分布する白亜紀火山岩類は七種山層(山元ほか,2000,2002)から構成される.七種山層は径14×7kmの大型カルデラを埋めた地層で厚さ約550mの部分が地表に露出する(図:山元ほか,2002をもとに作成).結果 記載と解釈 岩相:流紋岩質凝灰岩および凝灰質砂岩泥岩互層と流紋岩質火山岩片との混在相.産状記載:母岩の流紋岩質凝灰岩および凝灰質砂岩泥岩互層中に数㎝〜数10㎝の白色流紋岩石質岩片が混在する岩相である.流紋岩石質岩片の形状は楕円形〜レンズ状,不定形〜亜角礫状,ブロック状などさまざまである.流紋岩石質岩片には岩片の周縁に急冷縁が発達する場合や岩片内に岩片の伸長方向とは垂直な冷却節理が発達する場合がある.まれに先白亜系基盤岩類由来と思われる灰黒色泥質岩の小岩片を含む場合がある.この混在相の母岩は淡緑灰色基質中に径5㎜程度の灰白色流紋岩火山礫が散在する流紋岩質凝灰岩と数㎜〜数㎝単位でリズミカルに繰り返し,平行葉理の発達する凝灰質砂岩泥岩互層である.岩石記載:流紋岩質凝灰岩.産地:兵庫県姫路市夢前町莇野,菅生川支流の河床.産状:厚い流紋岩質火砕岩. 結晶片:石英(径<1㎜),斜長石(長径<1.5㎜). 岩片:軽石片(長径<2.5㎜),流紋岩(径<8㎜),泥質岩(径<2㎜). 基質:ガラス片,細粒火砕物質,微細な結晶片. 岩片および微晶サイズの結晶片にやや富む.結晶片の石英は,粒状で半自形を呈する.斜長石は長柱状で半自形〜自形を呈する.岩片の灰白色流紋岩と灰黒色軽石の一部は扁平化し,弧状組織を示す場合がある.流紋岩片は斑晶に乏しく、含有率は10〜25%の割合で含む.基質は淘汰良好で極細粒砂〜シルトの粒度からなり,変質および脱ガラス化している.解釈:母岩である火山砕屑岩中に流紋岩の石質岩片が不規則に散在していることから.この岩相はペペライト(松原・天野,2010など)と解釈される.ペペライトは,岩片の形状から流体状〜球状のペペライトとブロック状のペペライトが共存しているとみられる.このペペライトは七種山層の流紋岩火山礫凝灰岩〜凝灰角礫岩中に産したもので,当地域に存在する白亜紀の大型カルデラ(径14×7km)ではカルデラ形成期に,母岩物質(流紋岩質凝灰岩や凝灰質砂岩泥岩互層などの火山砕屑岩層)の堆積と流紋岩質マグマの貫入・定置が同時に起こったことを示唆する.引用文献 松原典孝・天野一男(2010)地質学雑誌,116,3,134-150. 佐藤大介・山元孝広・高木哲一(2016) 地域地質研究報告5万分の1地質図幅[播州赤穂],岡山,69,地質調査総合センター,11-31. 山元孝広・栗本史雄・吉岡敏和(2000)地域地質研究報告 5万分の 1 地質図幅[龍野],岡山,58,地質調査所,24-43. 山元孝広・栗本史雄・吉岡敏和(2002)地域地質研究報告 5万分の1地質図幅[山崎],岡山,46,地質調査総合 センター,20-30. Yamamoto,T.(2003)The Island Arc,12,Issue3,294-309. 吉川敏之・栗本史雄・青木正博(2005)地域地質研究報告 5万分の1 地質図幅[生野],岡山,47,地質調査総合センター,14-27.

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  • Taiyo Nakagawa, Kiichiro Kawamura
    Session ID: T15-O-8
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    【はじめに】 紀伊半島南部には,四万十帯を傾斜不整合で覆う下部中新統の田辺層群が分布する.田辺層群は,下位より基底礫岩と泥岩からなる朝来累層(A1~A3部層)と砂岩泥岩互層からなる白浜累層(S1~S5部層)に区分される(田辺団体研究グループ,1984).白浜累層中には泥岩岩脈や多数の泥ダイアピルが報告されており,これらは朝来累層から上昇した泥水によるもので,おおよそS4部層まで活動していたとされている(清水,1985;宮田ほか,2009).また,中屋ほか(2009)は活動期において,これらの泥ダイアピルの一部が海底面まで上昇し,泥火山が形成されていたことを報告している. 本研究では田辺層群S4部層の上部層が露出する和歌山県白浜町袋崎において,泥火山の噴出物や泥ダイアピルと地層との関係性,変形構造の詳細な露頭観察を行った.その結果から当該地域の泥火山や泥ダイアピルの活動時期について考察した. 【地質概説】 袋崎の露頭は南北約30m,東西約80mの波食棚であり,地層が連続して露出する.地層は走向が北西–南東および南–北方向で,西に約30°傾斜する.岩相は下位より砂岩層fs-1,礫岩層fc-1,砂岩泥岩互層fms-1,砂岩層fs-2および礫岩層fc-2に区分される. 礫岩層fc-1から砂岩泥岩互層fms-1にはシート状に泥岩が貫入しており,著しい変形構造が観察される.本研究では,泥ダイアピルであるシート状の泥岩と周辺の変形したfc-1とfms-1を合わせて変形ユニットと呼ぶ.変形ユニットの上下では地層の走向が変化しており,fs-1およびfc-1が南東–北西方向の走向,fms-1より上位の層が南–北方向の走向を持つ.地層の堆積構造を切断する砂岩角礫を含む泥岩岩脈(幅数mm~数cm)が南東–北西の方位で変形ユニットを含むすべての地層においてみられる.砂岩角礫は中屋ほか(2009)が報告した泥火山噴出物と酷似する. 【変形ユニットの詳細観察結果】 シート状に貫入した泥岩(以下,泥岩と呼ぶ)の岩質は,これに接する礫岩層fc-1と砂岩泥岩互層fms-1の各層の岩質,岩相と異なる.泥岩と各層との境界は不明瞭かつ不規則である.泥岩中にはブロック状に破砕されたfc-1とfms-1,および砂岩角礫が含まれる.変形ユニットには,半固結状態での変形を示す構造として,2つの特徴的な構造がみられる.一つ目は,fc-1と泥岩との境界付近で,fc-1の地層が泥岩側に非脆性的に折れ曲がった構造を示す.二つ目は,泥岩中のfms-1のブロックが明瞭な層理面を持ちながら非脆性的に曲がっている構造を有する.また,泥岩中の砂岩角礫の起源は不明であるが,すべての地層においてみられた泥岩岩脈に含まれる砂岩角礫と酷似する. 以上のことから,変形ユニットの泥岩対象地域のfs-1~fc-2層の外部から供給された物質で,泥岩中のブロックは主にfc-1とfms-1の地層からなることが明らかとなった. 【考察】 変形ユニットに貫入した泥岩は,泥ダイアピルとして外部から供給された可能性が高いといえる.すべての地層を切断する泥岩岩脈の存在から,fc-1とfms-1に泥ダイアピルが一度シート状に貫入したのち,さらに泥岩岩脈として上位層のfs-2およびfc-2へ貫入するという複数のプロセスを経ていると考えられる.白浜累層S4部層上部にあたる袋崎の泥ダイアピル中のブロックや母岩の地層に半固結状態の変形構造が観察されたことから,泥火山や泥ダイアピルの活動がS5部層の堆積時に及んでいたことが示唆され,本地域での泥火山や泥ダイアピルの活動が,従来想定されていたよりも長期間に渡って続いていたと判断される. 【引用文献】 田辺団体研究グループ(1984)地球科学,38,4,249–263. 清水(1985)地質雑,91,10,691–697 宮田ほか(2009)地質雑,115,9,470–482 中屋ほか(2009)地学雑,118,3,472–491

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  • Takafumi SONEHARA
    Session ID: T15-O-9
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    はじめに 日本最大のカルスト台地である秋吉台(東西15 km,南北8 km)には,多数の溶食ドリーネが分布している.秋吉台のドリーネについては,室 (1975)による10個のドリーネに対するCvijić式形状分類やMatsushi et al. (2010)による5個の地形断面が報告されているが,ドリーネは一般的地形図で示される縮尺よりも小規模なものが多いため,定量的調査は少ない状況にある.しかし,近年の技術進歩により,UAV写真測量等で詳細な地形情報が容易に得られるようになった.この発表では,秋吉台の地形地質に係る現況調査(美祢市教育委員会)において得られた数値地形モデルデータを用いて,曽根原 (2022)および曽根原 (2023, 投稿中)が検討したドリーネの形状的特徴について報告する.対象 対象地は秋吉台南部の若竹山(標高253.4 m)を含む北東-南西約1.0 km,北西-南東約0.8 kmの範囲である.標高は230–270 m程度であり,地形面区分では若竹面に該当する. 数値地形モデルデータは,2020年3月5日(山焼きの11日後)に撮影されたUAV連続写真(813枚,OL率約80%,SL率約70%,解像度約3.5 cm/px)から作成されたDTMデータ(約0.16 mメッシュの標高データ)と,それらを用いて作成したドリーネ形状のShapeファイルからなり,美祢市教育委員会より借用した.解析対象としたドリーネは全238個である.方法 GISソフトQGISを用いた解析(寸法の計測: Fig. 1)および画像解析ソフトImageJを用いた解析(寸法・形状記述子の計測)の2つを実施した.結果:深さと形状の関係 溶食が進むにつれドリーネが深くなることを想定し,ドリーネの深さと各諸元の散布図を作成して検討したところ,以下の傾向が認められた. a. ドリーネ底面の平面形状は,浅いと円形度(circularity),真円度(roundness)および面積包絡度(solidity)のバリエーションが大きいが,深くなるにつれ,円形度は0.65~0.85,真円度は0.5~0.8(=アスペクト比1.25~2),面積包絡度は0.88~0.95程度の値に収束する. b. ドリーネの断面形状は,深くなるにつれ,「皿型」(ドリーネ底面の平均半径/深さ:10前後)から「すり鉢型」(同:1未満)を呈するようになる. 考察:ドリーネの形状変化モデル(案) ドリーネの深さが溶食程度を反映すると仮定した場合,深さと断面形状(寸法の比)の関係は,ドリーネの成長過程の検討材料になると期待される.深さ(Dp)と底面平均半径/深さ(Rf/Dp)の形状モデル(回帰曲線Rf/Dp = 5.2694Dp-0.722, 決定係数R² = 0.6434, データ数N = 238を外挿)および深さ(Dp)と外縁平均半径/深さの比(Rr/Dp)の形状モデル(Rr/Dp = 8.8984Dp-0.457, R² = 0.6599, N = 90を外挿)をFig. 2に示す.深さを溶食程度の指標(敢えて縦軸表示)として捉えた場合,溶食が進むにつれて外縁(集水域)が大きく広がるのに対し,底面(表流水の収束域)の拡大は顕著ではない.このことから,秋吉台の溶食ドリーネの形成過程として,一度形成された表流水の収束域(地下への排水口)に周囲から表流水が流れ込むことで,周囲が次第に溶食され集水域が拡大するとともに,収束域が深くなる(標高が低下する)という過程が示唆される.この形状は,Péntek et al. (2007)による4つのタイプ分類のうち縁辺部拡大型(doline widening at rim)に相当するものと考えられる.文献Matsushi, Y. et al., 2010, Evolution of solution dolines inferred from cosmogenic 36Cl in calcite. Geology, 38, 1039‒1042.室 良雄, 1975, 秋吉台のドリーネ形態. 地理科学, 23, 45‒49.Péntek, K. et al., 2007, A morphometric classification of solution dolines. Zeitschrift für Geomorphologie N.F., 51, 19‒30.曽根原崇文, 2022, 秋吉台若竹山周辺におけるドリーネの形状的特徴の予察研究. 地質技術, no. 12, 19‒31.曽根原崇文, 2023, 秋吉台若竹山周辺におけるドリーネの深さ,底面寸法および形状記述子. 地質技術, no. 13, 投稿中.

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  • REISHI TAKASHIMA, Bradley S. Singer, David Selby, Mark D. Schmitz, Bra ...
    Session ID: T15-O-10
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    後期白亜紀の年代モデルは,主に北米Western Interior Seawayの地層において,各種化石・同位体比・サイクル層序と凝灰岩の放射年代を組み合わせることにより構築されてきた.一方,前期白亜紀のタイムスケールについては,層序学的研究が盛んにおこなわれてきたヨーロッパ地域の地層に凝灰岩がほとんど挟まらないため放射年代が得られず,各ステージ境界の年代値については不確定要素が高い(Gale et al., 2020).とりわけ,Aptian階の基底の年代については,Malinverno et al. (2012)の年代モデルとGradstein et al. (2012)の年代モデルの間に500万年近くの差が生じている(Erba et al., 2015).  北海道中軸部に露出する白亜系蝦夷層群は,全層厚が10,000mにも達する前弧海盆堆積物で,保存良好な化石が多産するとともに,多くの層準で流紋岩質凝灰岩を挟む.近年,各種化石層序と炭素同位体比・オスミウム同位体比層序を統合することにより,欧米にある白亜系各ステージのGSSPと蝦夷層群の間での高精度の層序対比が可能となった(e.g., Du Vivier et al., 2015; Takashima et al., 2019).このことから,蝦夷層群における凝灰岩の年代測定は,白亜紀のタイムスケールの精度向上に大きな貢献ができる可能性が高い. 本研究はJSPS国際共同研究BおよびNSF-NERSの支援を受けた共同プロジェクトとして,蝦夷層群最下部の地層を用いて,Aptian/Barremian境界およびOAE1a層準の年代モデルの構築を目指した.北海道芦別地域中天狗沢の蝦夷層群最下部には,層厚約800mの泥岩ないし珪質泥岩からなる地層中に211枚もの珪長質凝灰岩層が挟まる.この区間の地層からおよそ層厚25㎝~50cm間隔で合計2000試料の泥岩・珪質泥岩試料,150試料の凝灰岩試料を採取し,炭素同位体比,オスミウム同位体比,ジルコンのCA-ID-TIMSによるU-Pb年代測定を実施した.その結果,蝦夷層群において,バレミアン/アプチアン境界およびOAE1a層の区間が明瞭に特定することができ,バレミアン/アプチアン境界に挟まる凝灰岩からは121.20±0.23 Ma,OAE1a層準の基底に挟まる凝灰岩からは119.63±0.14 Ma,OAE1a最上部の層準の凝灰岩からは118.84±0.13 Maの年代を得ることができた.これらの結果は,Geologic Time Scale 2020で示された年代よりも2~30万年ほど若く,最近提案された天文年代較正に基づくアプチアンのタイムスケール(Leandro et al., 2022)より2,30万年古い年代を示すことが明らかとなった.引用文献Erba et al., 2015. The Geological Society of America Special Paper 511, 271-303. Gradstein et al., 2012. The Geologic Time Scale 2012, 793-854. Malinverno et al., 2012. Geophys. Res., 117, B06104, DOI:10.1029/2012JB009260. Du Vivier et al., 2015. EPSL, 428, DOI:10.1016/j.epsl.2015.07.020. Takashima et al., 2019. Newsletters on Stratigraphy, DOI:10.1127/nos/2019/0472.Gale et al., 2020. Geologic Time Scale 2020, 1023-1086. Leandro et al., 2022. Nature Com. https://doi.org/10.1038/s41467-022-30075-3

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  • Takeshi Nakajima, Hideki Iwano, Tohru Danhara, Takafumi Hirata, Kenta ...
    Session ID: T15-O-11
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    秋田県矢島地域に分布する中新統女川層は、日本海の古海洋環境を復元する上でも,秋田油田の根源岩ポテンシャル評価を行う上でも代表的ルートの一つとされ,多くの研究が行われてきた(辻ほか,1991;山本ほか,1999;Yoshioka et al., 2021; Asahina et al., 2022).一方,珪藻化石による年代決定が可能な堆積盆縁辺の佐渡中山層(柳沢・渡辺,2007)や笹森丘陵女川層(加藤・柳沢,2021)と比べ,本研究地域の女川層は,続成作用による珪藻殻の溶解のため,高精度の年代データがこれまでに得られておらず,堆積盆中心における古海洋環境復元には問題が残されていた. 本研究では,矢島地域の子吉川において,女川層の下部より1層準,上部より3層準で採取した凝灰岩層に対しジルコンのLA-ICP-MSによるU–PbおよびFT年代測定を行った.その結果,女川層下部から①U–Pb年代11.55 ± 0.22 Ma (2σ) 及びFT年代12.3 ± 1.4 Ma (2σ),女川層上部から、②U–Pb年代10.44 ± 0.43 Ma (2σ), ③U–Pb年代9.62 ± 0.30 Ma (2σ) 及びFT年代10.2 ± 1.2 Ma (2σ),④U–Pb年代 9.59 ± 0.16 Ma (2σ)の信頼できる年代値を得た(U–Pb年代はConcordia age).本研究による年代値は,女川層上部の年代値を補完するもので,既存の微化石年代・放射年代(辻ほか,1991;Yoshioka et al., 2021)を加えて,女川層の年代モデルを作成し,以下のような日本海古海洋環境変遷史を導いた.○矢島地域の女川層最下部は13.8 Ma以前の年代に及び,岩相も石灰質泥岩を含むなど女川階とは明瞭に異なり,西黒沢階に属する. ○西黒沢階の堆積速度が小さいのに対して,女川階基底で堆積速度が急増し,女川階下部は上位に向け堆積速度が増加する.その後10.9–9.4 Maに堆積速度が一時的に急減する層準があり,その上位で堆積速度が再び漸増する.このような堆積速度の変化は,佐渡中山層のそれと酷似しており,堆積盆規模で同時に生じた古海洋環境変化を反映した可能性が高い.○本研究の年代モデルによれば,山本ほか(1999) の古海洋環境変動モデルは1 Ma程度古く見直され,その結果,日本海古海洋環境が有機物の保存に適した還元環境に変化したタイミングが奥羽山脈隆起開始とほぼ同時期であったことが確かめられた(中嶋,2018; Asahina et al., 2022).また9 Ma頃に出現する化学合成生物群集(辻ほか,1991;山本ほか,1999)は,同時期に生じた由利原油ガス田の熱水活動イベント(Yagi, 1993)に関連した可能性がある. 本研究では,珪藻化石の産出しない堆積盆中心の女川層でも,高精度の放射年代測定によって珪藻化石層序に匹敵する精度の年代モデルを構築可能であることを示した.その結果,古海洋環境変遷のタイミングの堆積盆規模での対比が可能となった.さらに,本地域の西黒沢階層序改訂の必要性や,女川期の古海洋環境変遷がテクトニクスや火山活動と密接に関係していたことを示している.[引用文献]Asahina et al. (2022) Geochem. J. 56, 1–15. 加藤・柳沢(2021)地質雑、127, 105–120. 中嶋(2018)地質雑, 124, 693–722. 辻ほか(1991)石油資源開発技術研究所研究報告、7, 45–99. 山本ほか(1999)地調月報,50, 361-376. 柳沢・渡辺(2017)地調研報、68, 287–339. Yagi (1993) Island Arc, 2, 240–261. Yoshioka et al. (2021) Geochem. J. 55,185–191.

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  • Tomonori Naya, Takehiko Suzuki
    Session ID: T15-O-12
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    Lancineis rectilatusは関東平野中央部の地下に分布する沿岸浅海成の更新統から記載された化石珪藻である(Naya, 2010).関東平野中央部における本種の産出は,前〜中部更新世の約1.45~0.7 Maに限られることから,本種は沿岸浅海成層の層序指標としても重要である(Naya, 2019).関東平野における本種の初産出層準は,埼玉県春日部市の春日部コアにおいて,Kd12 Typeテフラ(納谷ほか,2017)の下位に挟まるKK-M15海成層(納谷ほか,2017)の中に認められた(Naya, 2019).しかし,Kd12 Typeテフラの対比候補となるテフラが房総半島や多摩丘陵の上総層群に複数存在するため(納谷ほか,2017),Kd12 Typeテフラとの層位関係から推定されるL. rectilatusの初産出層準の層位と年代は正確には分かっていない. 多摩丘陵の上総層群においてKd12 Typeテフラと特徴が類似し対比候補となるテフラは,連光寺層の田中(TN)テフラ,稲城層の黒川(KK)テフラ,読売(YM)テフラ,飯室層の西久保(NK)テフラである(納谷ほか,2017).本研究では,多摩丘陵の上総層群におけるテフラ(鈴木・村田,2011)とL. rectilatusの産出層準の層位関係を明らかにすることを目的として,多摩川河床と支流および横浜市本牧の多摩丘陵に露出する,小山田層から飯室層に産出する珪藻化石群集を検討した結果を報告する. 多摩川河床および多摩川支流では,小山田層,連光寺層,稲城層下部,飯室層から珪藻化石が産出した.小山田層と連光寺層層では,内湾性の海〜汽水生浮遊性珪藻を主体とし,稲城層下部では海〜汽水生付着性珪藻を主体とする珪藻化石群集が得られた.飯室層の珪藻化石産出状況は悪く,海〜汽水生浮遊性および付着性珪藻がわずかに産出する程度だったが,その中にL. rectilatusが含まれることが明らかになった.現在多摩川河床においてNKテフラは観察できないが,かつては今回観察した露頭よりも下位にNKテフラが露出していた(小泉,1995).横浜市本牧の露頭では,王禅寺層と飯室層相当層から珪藻化石が産出した.この露頭から産出する珪藻化石は内湾〜外洋性の海生浮遊性珪藻が優占し,低緯度珪藻化石帯(NTD)の指標種である,Nitzschia reinoholdiiなども含まれる.飯室層相当層のNKテフラ直上の層準から,ごく少量であるがL. rectilatusが産出した. 以上の結果から,多摩丘陵の上総層群では少なくとも飯室層のNKテフラの上位からはL. rectilatusが産出することが分かった.小山田層,連光寺層,稲城層からはL. rectilatusは産出しないことから,TN,KK,YMテフラがKd 12 Typeテフラに対比される可能性は低く,L. rectilatus 産出層準であるNKテフラがKd 12 Typeに対比される可能性が高い.この対比が正しければ,L. rectilatusの初産出年代は,NKテフラの年代(1.392 Ma: 鈴木・村田,2011)よりも少し古い年代に制約される.ただし,今回はNKテフラより下位の層準からはL. rectilatusの産出が確認されなかった.これは,露頭の連続性が悪く稲城層,王禅寺層,飯室層の全区間を連続的に検討できていないからかもしれない.今後,ボーリングコア試料の検討なども含め,連続した層序区間での検討が望まれる.文献:小泉(1995)川崎市青少年科学館紀要,(6),41–47.納谷ほか(2017)地質学雑誌,123,637–652.Naya, T. (2010) Diatom Research, 25, 111–124. Naya, T. (2019) Quaternary International, 519, 131–143. 鈴木・村田(2011)地質学雑誌,117,379–397.

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  • Koretaka NAKATANI, Kiyohide MIZUNO
    Session ID: T15-O-13
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    静岡県掛川地域に分布する掛川層群は,鮮新統~下部更新統の連続して堆積している海成層であり,この層序区間の日本における模式層序を構築する上で重要な地層となっている.そのため,これまでに微化石層序,シーケンス層序,テフラ層序等多くの層序学的研究が行われている.テフラ層序については,100層以上のテフラ層が報告されている(水野ほか,1987:里口ほか,1996:柴ほか,2000,2010など).しかし,それらの一部は他の地域のテフラと対比されているが,必ずしも火山ガラスの化学組成に基づき網羅的に検討されているわけではない.筆者らはそれらを系統的に記載し,個々のテフラの特徴を明らかにすることで,鮮新~更新統のテフラ層序を構築することを目的にしている. 今回は掛川層群の中部であり,鮮新~下部更新統に相当する白岩テフラから有ケ谷Ⅳテフラ(水野ほか,1987)の区間を調査した.白岩は房総半島のOkr12と対比され,降灰年代は約2.35Maと推定されている(Tamura et al., 2016).有ケ谷Ⅳは広域テフラのUN-MD2(Tamura et al., 2008)に対比される房総半島のOkr4(Tamura et al., 2016)に対比され,年代は約2.79 Maと推定されている.本発表ではこの区間において約10層のテフラを検討した結果,塩買坂Ⅳ,もしくは塩買坂Ⅴテフラ(柴ほか,2010)(筆者らが観察したテフラがどちらに相当するかわからないため,ここでは塩買坂Ⅳ‐Ⅴと呼ぶ)と下組テフラ(水野ほか,1987)が,それぞれ淡路島の大阪層群に挟在する倭文テフラ,研城ヶ丘1テフラ(水野,1993)に対比でき,広域テフラである可能性が明らかになったので報告する. テフラ試料は岩石学的記載のために,超音波洗浄と篩分けを行い63-250 μmの粒子を取り出した後,火山ガラスの形状,鉱物組成を観察した.屈折率測定には温度変化型測定装置MAIOTを使用した.火山ガラスの主要化学成分はEDX,微量化学成分はLA-ICP-MSを用いた分析を古澤地質(株)に依頼した. 下組テフラと研城ヶ丘1テフラは共に火山ガラスを主体とし,火山ガラスの形態はバブルウォール型,平行型,スモールバブル型を主体とする.火山ガラスの屈折率は下組が1.497-1.499,研城ヶ丘1が1.496-1.499であった.重鉱物は,下組は角閃石が主体であり,研城ヶ丘1はほとんど観察されなかった.火山ガラスの化学組成は,下組テフラはFeOが0.83%,CaOが0.62%,Na2Oが2.91%,K2Oが4.53%であり,研城ヶ丘1テフラはFeOが0.84%,CaOが0.64%,Na2O が3.58%,K2Oが5.01%であり,Na2Oと K2Oは若干違いがあるものの,よく似ている.微量元素も共にBaが250ppm前後,Srが35ppm前後でよく似ていて,対比できる可能性が高い. 塩買坂Ⅳ,Ⅴテフラと倭文テフラは火山ガラスを主体とし,火山ガラスの形態はバブルウォール型,平行型,スモールバブル型からなる.火山ガラスの屈折率は共に1.503-1.505であった.重鉱物は主に角閃石と直方輝石が含まれる.化学組成は,塩買坂Ⅳ,ⅣテフラはTiO2が0.30 %,CaOが1.33 %,Na2Oが3.61 %,K2Oが3.93 %で,倭文テフラはTiO2が0.28 %,CaOが1.28 %,Na2Oが3.64 %,K2Oが3.68 %となっている.微量元素はBaが550ppm前後,Srが120-150ppmとなっており,対比できる可能性が高い.  本研究では,掛川地域の塩買坂Ⅳ‐Ⅴテフラと下組テフラが,淡路島の倭文テフラと研城ヶ丘1テフラに対比されることが明らかになった.研城ヶ丘1テフラはこれまで近畿地方においてしか分布が確認されていなかった(水野ほか,1999)が,掛川地域にも分布が確認できた.倭文テフラは,朝代‐友田2テフラとして関東まで広域に分布することが知られている(高橋ほか,1992:Tamura et al., 2008)が,今回初めて掛川地域でも分布することが明らかとなった. 文献:里口ほか(1996)地球科学,50,483-500. 柴ほか(2000)東海大博研報,2,53-108. 柴ほか(2010)東海大博研報,10,17-50. 高橋ほか(1992)洲本地域の地質,107p. Tamura et al (2008) Qurternary International, 178, 85-99. Tamura et al (2016) Geogr. rep. Tokyo Metrop. Univ, 51, 41-52. 水野(1993)淡路島.市原 実編「大阪層群」,127-141. 水野ほか(1987)地調月報,38,785-808. 水野ほか(1999)地質雑,105,235-238.

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  • Akihiro TANIMOTO, Makoto OKADA, Shohei SHIBATA
    Session ID: T15-O-14
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    鮮新世の気候は現在よりも温暖であったと言われている.特に約3.3 Ma~3.0 Maの温暖期は中期鮮新世温暖期と呼ばれ,その気候条件が現代と近いことから,現代の気候アナログ時代として古気候・古環境学的な研究が盛んに行われている.さらに,この時代は古地磁気学的にはガウス正磁極期 (3.596 Ma~2.610 Ma)に相当するが,マンモス逆磁極亜期(3.330 Ma~3.207 Ma),カエナ逆磁極亜期(3.116 Ma~3.032 Ma)を含み,複数の地磁気逆転イベントを経験した時代としても特徴付けられる.したがって,地磁気逆転が地球環境に与えた影響を検証するために適した時代であると言える.しかし,当該時期を含む上部鮮新統にまで到達する良質な古地磁気・古海洋記録をもつ深海底コアは限られており,さらに時間分解能が低いという課題がある.また,陸上に露出する鮮新統間において広域テフラによる同時間面の認定や, 地磁気逆転層位の対比が十分に進んでいないため,2つの地磁気逆転イベントに関する理解は進んでいない.したがって,異なる地層間において層位学的な対応関係を解明し,得られた古地磁気記録を対比することは極めて重要である.本発表では,千葉県南房総市の林道千倉線付近に露出する千倉層群布良層におけるカエナ逆磁極亜帯上部境界付近の層位における古地磁気測定結果と,カエナ逆磁極亜帯中で発見した特徴的な凝灰岩層 (MRT02)の岩相記載とガラス組成の測定結果,鉱物組み合わせの観察結果などを報告する.古地磁気測定では,段階熱消磁および段階交流消磁を実施し,明瞭な地磁気逆転を捉えることができた.しかし,正極性方位と逆極性方位は対称的ではなく,逆転テストに合格しない.これは,地層傾動後に獲得された正極性の二次磁化の影響によるものであると考えられる.この結果は岡田ほか(2012)と整合的である.MRT02は,下位から結晶質・岩片質層,細礫〜中礫サイズの軽石層,淡い小豆色の中粒火山灰,白色の細粒火山灰が連続的に堆積した特徴的な岩相を示し,中粒火山灰層中には下位の軽石が散在している.軽石の石基ガラスの化学組成は,SiO2量が77.5 wt.%前後の流紋岩であり,TiO2量,K2O量はそれぞれ,0.35 wt.%,2.2 wt.%前後である.軽石の斑晶鉱物は直方輝石,単斜輝石,斜長石で,石英や角閃石もわずかに含まれる.  Utsunomiya et al. (2017) では,三浦層群池子層のカエナ逆磁極亜期相当層から薄紫色の火山灰を含むIkT30などの特徴的な鍵層記載が報告されており,そのいずれかと対比できる可能性がある. 本研究で得られた結果は,テフラ層によって異なる地層間で同時間面を認定し,古地磁気記録や古気候・古環境の精密対比に資する可能性がある.今後,三浦層群池子層に挟在するテフラ層のガラス組成や鉱物組み合わせと比較することでテフラの対比を試みる予定である. 謝辞 本研究は,東京地学協会調査・研究助成(研究課題:房総半島南端地域に分布する海成堆積層を用いた後期鮮新世の連続古地磁気変動復元)の一部を使用して行われた.引用文献 岡田 誠・所 佳実・内田 剛行・荒井 裕司・斉藤 敬二,2012,地質学雑誌,118:2, 97-108. Utsunomiya, M., Kusu, C., Majima, R., Tanaka, Y., Okada, M., 2017, Quaternary International, 456, 125-137.

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  • Makoto Okada, Ryoka Yuhara, Daiki Nagatomo, Yusuke Suganuma
    Session ID: T15-O-15
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    第四系基底境界は,シチリア島のモンテサンニコラセクションに置かれたジェラシアン階のGSSP(国際境界模式層断面とポイント)によって定義され,その層位は歳差周期に対応付けられている腐泥−マール互層の関係よりMIS(海洋同位体ステージ)103に対比されている.ところがジェラシアンGSSP周辺からはMISを直接示す酸素同位体記録は得られていない.一方,ICS(国際層序委員会)による第四系基底の層位学的目安は,地磁気極性逆転境界であるガウス−松山(G-M)境界とされている.近年ジェラシアンGSSP周辺地層において古地磁気の再調査が進められてきた (Capraro et al., 2022).しかし露頭表面の厚い風化層に阻まれ, G-M境界層位の精度よい確定は進んでいない. 本研究では,第四系基底境界の目安となっているG-M境界の詳細な古地磁気記録を得るために,2021年5月〜6月にかけて千倉層群の第四系基底部付近において定方位ボーリングを実施した.その結果,51mにわたるほぼ欠落のない砂岩−シルト岩互層からなるコアを採取することができた.高知大学海洋コア国際研究所においてコアの切断や非破壊計測を行った後,層厚間隔約1mで有孔虫抽出用試料を採取し,古地磁気測定用として1辺2cmの立方体試料の連続サンプリングを試みた.さらに,二次磁化を完全に取り除くことでG-M境界における詳細な磁場変動の復元を行うため,Konishi and Okada (2020)によって千倉層群で有効性が確認された熱消磁と段階交流消磁の組合せによるハイブリッド消磁を,同研究所設置のパススルー型超伝導磁力計および熱消磁用電気炉を用いて実施した.今回,ハイブリッド消磁における熱消磁の最適温度を求めるため, 250℃,300℃および325℃の3パターンで予備実験を行った.その結果,325℃のハイブリッド消磁において最も二次磁化が除去されることが確認された.そしてGM-1コアにおいて連続サンプリングされた立方体試料の一部に対して325℃のハイブリッド消磁による古地磁気測定を行い,磁化方位および相対古地磁気強度(RPI)を求めた. これまで得られた予察的な古地磁気測定によると,深度10m付近の層準でG-M境界を示すVGP(見かけの磁極)の赤道付近の通過とRPIの極小が確認された.また同時に行った10Beの測定より,宇宙線強度の極大を示す10Be/9Beのピーク位置がRPI極小付近で確認された.底生有孔虫の酸素同位体測定(長友ほか,本大会)により,本コアはMIS102-G3をカバーすることと,G-M境界はMIS 103に位置することが確認された.今後,G-M境界付近における連続的な古地磁気記録の復元および,酸素同位体などの環境指標の測定をさらに進めることで,第四系基底境界付近における国際的な年代層序確立に寄与することが期待される.References Capraro et al.(2022):doi.org/10.1016/j.quascirev.2021.107367Konishi and Okada (2020): doi.org/10.1186/s40645-020-00352-0

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  • Yuki Haneda, Susumu Tanabe, Hirokuni Oda
    Session ID: T15-O-16
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    平野沿岸域地下に分布する河川成礫層は、地層の側方対比や堆積盆の形成史、構造運動史を理解する上で重要な鍵層である。しかし、礫層は年代制約に有用な炭質物や微化石を含まないことが多く、直接的にその堆積年代を求めることは困難である。そのため、河川成礫層の堆積年代や時空間分布は不明であることが多い。粘性残留磁化年代法は、堆積後に地層中の細粒な磁鉄鉱が獲得する粘性残留磁化と呼ばれる二次磁化に基づく手法であり、津波や氷河性モレーンに由来する巨礫に用いることで、地質災害の発生年代が求められてきた(Pullaiah et al., 1975など)。近年では、より粗粒な磁鉄鉱の影響を補正する拡張指数関数法(Sato et al., 2016)が提案され、本手法が適用可能な試料の幅が大きく広がった。本研究では、粘性残留磁化年代法を用いて、東京低地地下に分布する沖積層の基底を構成する河川成礫層の堆積年代決定を試みた。東京都葛飾区で掘削されたGS-KNJ-1コア(Tanabe et al., 2015)の沖積基底礫層から数cm径の中礫を採取した。礫はおおよそ1 cm x 1 cm x 5 mmに整形し、残留磁化分析用試片とした。試片に対して2〜50˚C刻みで段階熱消磁を行い、粘性残留磁化の抽出を試みた。また、試片に含まれる磁性鉱物の種類、磁性鉱物の磁区構造を推定するために、熱磁気実験、FORC分析、等温残留磁化の段階着磁実験を行った。さらに、拡張指数関数パラメータを決定するために熱緩和実験を行った。熱緩和実験では、試片に100mTの等温残留磁化を着磁した後、230˚Cで加熱しながら磁化測定を行った。深度61.5 mから採取した1つの火成岩礫から、230˚Cで消磁される磁化成分を検出した。各種岩石磁気実験から、対象試料には単磁区および多磁区サイズのチタンに乏しいチタン磁鉄鉱が含まれることが推定された。得られた消磁温度、拡張指数関数パラメータおよび深度50 mの観測温度から、最終氷期最大期b(LGM-b; Yokoyama et al., 2018)に相当する年代値を得た。これは、堆積モデルから推定されている沖積基底礫層の堆積年代と矛盾しない。今後は、沖積基底礫層の年代データを拡充するとともに、より古い河川成礫層で本手法の有用性を検討する。 Pullaiah et al., 1975, EPSL, 28, 133–143; Sato et al., 2016, JGR: Solid Earth, 121, 7707–7715; Tanabe et al., 2015, Sedimentology, 62, 1837–1872; Yokoyama et al., 2018, Nature, 559, 603–607

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  • Makoto Saito
    Session ID: T15-O-17
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    発表者は,これまで,5万分の1地質図幅の作成(末吉,椎葉村,横山,砥用,豊田),20万分の1地質図幅の作成(宮崎,開聞岳及び黒島の一部,屋久島,中之島及び宝島,徳之島,八代及び野母崎の一部,横須賀,大分)に携わり,その後20万分の1日本シームレス地質図の運営,同V2版の作成に携わっている.そのため作成された地質図の活用事例に強い関心を持ってきた. 地質と人間との関わりは,資源開発,防災,土木建設,廃棄物の地層処分,地下水管理などのように地質が直接的に人間社会に影響を与える場合のほか,地形に影響を与え,地形は気候(気象)に影響を与え,また地質は土壌の原料になることによって,気象とともに植生に影響を与え,我々動物はその上に生きていることが認識できる(図).こういった地質図の活用されていく場面で,大きく欠けている場面があると考えている.その主要例が農業分野と金融分野である.【農業分野】 農業分野ではヨーロッパにワインを中心にテロワールの概念があるが,日本ではまだ普及していない.植生の分野では地質の重要性はこれまでも認識され,林地の樹木の育ちやすさを表す地位級では,地質も判定要素に入っている.また,有機農法では地質図を活用しているという話は聞くことがあった.しかし,農業分野(特に生産分野)とは歴史的経緯もあって,これまで地質情報が積極的に使われてきたとは言い難い. 地質調査所が1882年に農商務省に設立された当時の業務は,地質,土性(土壌のこと),分析,地形であった.その後1905年になると,1893年にできた農事試験場(現在の農研機構の前身)に土性は移管され,1925年に商工省と農林省が分離されることによって,地質と土壌は省庁の縦割りの中で,別の歴史をたどることになり,地質は直接農産物と関わる機会を失ったと言える. しかし近年になってデジタル化が進み,地質では20万分の1日本シームレス地質図が整備・配信され,また土壌図は農研機構の土壌インベントリーや森林総研の森林土壌デジタルマップとして配信され,20万分の1日本シームレス地質図は,これをベースとする地質図Naviを介して土壌インベントリー,森林土壌デジタルマップは相互乗り入れができるようになった.さらに農研機構と産総研との包括連携協定の中で地質と土壌の関係が認識され,地質,土壌,気候などのその土地の地力とも言うべきテロワールを推進する環境が整ってきた.また,ワイン業界ではテロワールの認識が国内で深まりつつある. このような状況の中で,ワインだけでなく土壌より下まで根を張る果樹一般と地質との関連性が日本の農業では重要であると考えられる.テロワールに関しては科学的に未開拓な分野であり,革新的な研究を推進するための予算を確保して,地質・土壌等がどう生育に関係するかといったテロワールを科学的に解明する端緒を開き,農産物に地質の価値を加えたいと考えている.これによって日本の農産物の価値向上,地域振興に貢献したいと考えている.【金融分野】 20万分の1日本シームレス地質が完成して以来,銀行のイベントでの床貼り展示や,地震の際の銀行業務復旧への助言を行い,また銀行業界,不動産業界,損保業界の方々と地質情報の利活用の点から議論する機会があった.その結果,投資家から資金を集めてオフィスビルや商業施設,マンションなど複数の不動産などを購入し,その賃貸収入や売買益を投資家に分配する投資信託であるJ-REIT(日本版不動産投資信託)で,地質情報が使われる例や,火山に特化した富士山デリバティブで火山履歴が使われる例は認識できたが,損保業界では地質情報の活用による保険料率の設定には後ろ向きで,地質情報の活用が進んでいるとは言い難い.銀行業界では地質情報による担保価値の変動に対する拒否感が強く,地質情報は活用されていない. こういった事情で日本では,「土地の金銭的価値」の評価に地質があまり加味されていない(住宅の土地評価はあるが).一方,土地に対する地質情報の付加は海外からの投資判断には重要視されると言われており,今後,投資に悪影響を心配する声も聞く.東京の都市域の地質地盤図をはじめ20万分の1シームレス地質図,5万分の1地質図幅等,全国の地質図のデジタル化が進んでおり,これらを活用して,地質情報が加味された新たな土地評価システムが構築され,それに基づく新たな金融商品等が創出される事を期待したい.これにより国内外の投資家の判断基準がより的確なものとなり,不動産投資につながり,最終的に銀行の担保価値の計算に地質の要素が組み込まれるという社会活動の大きな変換を期待したい.こういった観点からの新たな仕組みの開発を予算面で応援したいと考えている.

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  • Takayuki Uchino, Taku Komatsubara
    Session ID: T15-P-1
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    地質調査総合センターでは,現在5万分の1地質図幅「外山」を作成している.本図幅区画は岩手県盛岡市東部に位置し,岩泉町南西端・宮古市北西端を含む.本講演では今年度末に出版を予定している外山図幅地域の地質を紹介する.  本図幅区画では北部北上帯に属するジュラ紀付加体の門馬ユニット(内野、2019,2021などの中津川コンプレックス)が大半を占め,南西部に根田茂帯に属する前期石炭紀付加体の綱取ユニットと前期三畳紀付加体の滝ノ沢ユニット(Uchino, 2021)が僅かに分布する.そして,それらを前期白亜紀の岩脈や花崗岩類が貫いている.また,これら先古第三系の上を河岸段丘堆積物や緩斜面堆積物が広く覆う.  根田茂帯の南西半部に分布する綱取ユニットの岩相は珪長質凝灰岩泥岩互層や玄武岩の卓越と層状チャート・石灰岩・石英長石質砂岩の鮮少で特徴付けられ,一方,同帯北東半部の滝ノ沢ユニットは綱取ユニットに似るが石英長石質砂岩・層状チャートの割合が増えてくる.根田茂帯中には北西―南東系の断層が発達し,それに沿ってオルドビス紀の石英閃緑岩(内野,2022),角閃石斑れい岩,超苦鉄質岩がレンズ状の岩体・岩塊として産する.また,両ユニットの境界部,および滝ノ沢ユニットと北部北上帯ジュラ紀付加体の境界部には,古生代後半の変成年代を示す高圧型変成岩の岩塊が産する(Kawamura et al., 2007;内野・坂野,2022).そしてジュラ紀付加体の門馬ユニット内にも,前期ペルム紀の流紋岩の岩体が狭長に産している(内野,2023).これらの付加体より古い時代の岩体・岩塊は,前期白亜紀に起きた大規模構造運動によって,初生的には根田茂帯の構造的上位に位置していた古生代の高圧変成帯(母体‐松ヶ平帯)や南部北上帯基盤の島弧オフィオライト帯から移動・定置させられたものと考えられる.  北部北上帯の門馬ユニットは全体としては三畳紀末~中期ジュラ紀の付加体で,剪断変形を被っているがmmオーダーで細互層する葉理泥岩が特徴的である.層状チャートは多いが,玄武岩・石灰岩は少ない.構造的上位(南西)から下位(北東)にかけて傾斜が緩くなり,また砕屑性ジルコンの年代も三畳紀末~中期ジュラ紀へと若くなる(内野,2017;内野,2019).  前期白亜紀の貫入岩は,岩脈と岩株状花崗岩類(北上花崗岩類)がある.岩脈は幅数mのものが多く,その岩種は苦鉄質~珪質,粗粒~細粒まで多様である.花崗岩類は,図幅北西端で姫神山(1,124 m)を構成する姫神岩体が,図幅南端で2つの小岩体が分布する.姫神岩体の南部では石英モンゾニ岩~石英モンゾ閃緑岩が,北部では花崗岩~花崗閃緑岩が産し,南端に産する小岩体はいずれもトーナル岩からなる.  先白亜紀の付加体群は大局的には南西傾斜を示し,現在は高角断層によって互いに接しているが,初生的にはスラストを介し南西側(構造的上位)に,より古いものがスタッキングしていたと考えられる.また,本図幅区画の付加体を含む先古第三系には,多くの北東―南西系の胴切断層が発達している.  第四系は谷底面を埋積する”白椛層”(カラブリアン階)・葉水層(チバニアン階),河岸段丘堆積物群(上部更新統),緩斜面を被覆する斜面堆積物群(中部~上部更新統)と地すべり堆積物,谷底低地に分布する湿地堆積物と谷底堆積物(完新統)及びテフラを含む風成堆積物(上部更新統~完新統)に大別される.特に周氷河作用によって形成された小起伏の外山高原では,山頂から麓にわたり各種緩斜面堆積物が広く分布する.葉水層からは約240 kaの「薮川テフラ」(内野ほか,2022)が,またその上位の下位段丘堆積物中には36–30 kaの「十和田–大不動テフラ」(工藤・内野,2021)が確認されている.  このように外山図幅は,様々な時代や種類の岩石が産することから北上山地の基盤の地史を明らかにする上で重要であるとともに,表層を覆う堆積物は周氷河作用など第四紀の古環境変遷・地史を理解する上でも重要である.[引用文献]Kawamura et al., 2007, 地質雑,113,492–499.工藤・内野,2021,地調研報,72,129–138.内野,2017,地質雑,123,977–982. 内野,2019,地調研報,70,357–372. 内野,2021,地調研報,72,99–107.Uchino, 2021,Isl. Arc, 30, e12397. 内野,2022,地質雑,128,191–197. 内野,2023,地調研報,74,77–85. 内野・坂野,2022, 地質雑,128,1–6.内野ほか,2022, 地調研報,73,67–85.

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  • Shun Muto MUTO
    Session ID: T15-P-2
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    北上山地北部には主にジュラ紀に形成された付加体からなる北部北上帯が分布する.この付加体の形成年代は後期三畳紀から白亜紀初期までの幅を持ち1,北部北上帯内の構造区分は長期的なプレート収束帯における付加体形成の歴史を記録していると言える.北部北上帯内の構造区分は,地向斜造山論の時代からの研究史があるが,現在では岩泉構造線を境に西側,すなわち陸側に古生代の海洋性岩石を含む葛巻-釜石亜帯があり,東側,すなわち海側に古生代の海洋性岩石を含まない安家-田野畑亜帯があるとする,大上・永広(1988)2により提唱された区分が主流である.また,その下位のオーダーでは岩相的特徴から認識される付加体のユニットが,構造的下位により若い付加年代を持つように累重するとされる3, 4.一方で,前記の亜帯区分の境界がユニット区分の境界に対してどのような理由から上位階層の境界と言えるのかは明確でない.本研究では,5万分の1地質図幅「門」作成の一環として岩泉構造線および多くのユニット境界を横断する岩泉町安家地域から葛巻町江刈地域にかけての地質調査を行った.また,付加年代に関する情報を充実させるために,泥質岩中に整合的に挟在する凝灰岩中のジルコンおよび砂岩中の砕屑性ジルコンについてウラン-鉛年代測定を行った.調査地域では,構造的下位より安家ユニット,高屋敷ユニット,関ユニット,大鳥ユニット,葛巻ユニットが分布するとされる3, 4(ただしここでは中江ほか, 20214のコンプレックスはユニットに換えて引用している).なお,中江ほか(2021)4では安家ユニットを高屋敷ユニットに含め,関ユニットを構造的下位の関ユニットと合戦場ユニットに分けているが,本研究では上記区分を用いる.本研究において安家,高屋敷,関,大鳥ユニットについては構造層序的区分の大きな変更はないが,新たに高屋敷ユニットの泥岩の下位の凝灰岩から156 Ma,関ユニットの珪質泥岩中の凝灰岩から167 Ma,大鳥ユニットの泥岩中に挟在する凝灰岩から167 Maの年代を得た.ぞれぞれのユニットの砂岩中の砕屑性ジルコンの最若クラスター年代は,154 Ma,171 Ma,172 Maであり,高屋敷ユニットを除き泥質岩より古いため,堆積年代を示していない可能性が高い.先行研究も踏まえると,各ユニットの付加年代は,大鳥ユニットがバトニアン期,関ユニットがバトニアン期からキンメリッジアン期,高屋敷ユニットがキンメリッジアン期となり,構造的下位に向けて若くなる.葛巻ユニットの分布域とされた江刈地域では大幅な改訂が必要である.本地域では,葛巻ユニットは葛巻断層の西側にNW–SE走向SW傾斜をもって分布し,葛巻ユニットの由来となった葛巻層が提唱された北西の地域へ連続するとされていたが,実際にはNNW–SSE走向を持ち南東にプランジした背斜構造が支配的である.この背斜をなす地層中の珪質泥岩に挟在する凝灰岩からは153 Maの年代を得たが,これは北西に離れた一戸地域で得られている葛巻ユニットの泥岩から得られた放散虫の年代(中期ジュラ紀)より大幅に若い.以上から,江刈地域の葛巻ユニットとされていた地層にはこの名称は用いるべきではなく,ここでは江刈ユニットと仮称する.江刈ユニットの凝灰岩の年代は大鳥ユニットや関ユニットの凝灰岩の年代よりも若く,高屋敷ユニットの凝灰岩の年代に近い.したがって,江刈地域の背斜軸を中心として,構造的下位の高屋敷ユニットあるいはそのさらに構造的下位に相当する地層が分布していると判断できる.岩相の特徴においては,江刈ユニットは主に砂層を含む泥岩や砂泥互層の破断相からなる点で高屋敷ユニットに類似するが,後者に特徴的に見られる礫岩や玄武岩類は前者ではほぼ見られない.従来,高屋敷ユニットから構造的下位のユニットは岩泉構造線より東にしか分布しないとされていた.本研究により岩泉構造線より遥か西方に高屋敷ユニットないしさらに構造的下位のユニットが存在する可能性が示されたことで,岩泉構造線は付加体のユニット境界と同階層のものに過ぎない可能性が提示された.さらに,かつて葛巻構造線とされた葛巻断層も,少なくとも本地域においては構造的下位の江刈ユニットを相対的に上昇させた断層であり,付加体の形成時に構造を規制した類のものではない.文献 1 Uchino, T. & Suzuki, N. Bulletin of the Geological Survey of Japan 71, 313–330 (2020)2 大上和良・永広昌之 地球科学, 42, 187–201 (1988)3 高橋聡ほか 地質学雑誌, 122, 1–22 (2016)4 中江訓ほか 地域地質研究報告, 陸中関地域の地質 (2021)

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  • Atsushi Noda, Kazuya Morimoto, Koji U. Takahashi, Tohru Danhara, Hidek ...
    Session ID: T15-P-3
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    大陸縁辺前弧域の堆積物は,堆積時における地殻変動・火山活動・気候を知る手掛りとなる重要な地質情報を含む.白亜紀から古第三紀にかけてのユーラシア大陸縁辺(東北日本の太平洋側)では陸成〜浅海成の地層が堆積する前弧堆積盆が発達しており,この陸側縁辺に相当する陸成層(上部白亜系横道層と古第三系小川層群)が北部北上山地の岩手県岩泉町門地域に分布する.横道層はいわゆる「赤盤」と呼ばれる赤色化した溶結凝灰岩,小川層群は高品質の耐火粘土(カオリン粘土)や石炭を産することで知られる.従来,横道層は下位から基底礫岩層,砂岩シルト岩層,赤色岩層(溶結凝灰岩層)の3部層に,小川層群は下位より小松層,名目入層,大久保層,雷峠層の4部層に細分されていた(棚井ほか,1978).横道層は,砂岩シルト岩層から産出する花粉胞子群からコニアシアン期〜カンパニアン期(棚井ほか,1978)とされ,また赤色岩層中の砂岩に含まれる砕屑性ジルコンのフィッション・トラック年代から71.2±4.4 Ma(マーストリヒチアン期)の年代が報告されている(加藤ほか,1986).一方,小川層群は,小松層の植物化石群集から漸新世前期(村井, 1977)または始新世後期〜漸新世初期(棚井ほか,1978)の堆積年代とされている.今回,5万分の1地質図幅「門」の作成にともない,これらの地層の層序関係と堆積学的特徴を明らかにするため,詳細な野外調査・U–Pb年代測定・XRD 分析・ビトリナイト反射率測定を実施した. 凝灰岩中のジルコンU–Pb年代測定の結果,横道層中部の凝灰岩から86.4±0.3 Ma(後期白亜紀コニアシアン期〜サントニアン期),赤色岩層から56.1±0.3 Ma(暁新世サネティアン期〜始新世ヤプレシアン期),名目入層の凝灰岩から52.6±0.2 Ma(ヤプレシアン期)のU–Pb年代を得た.XRD分析による粘土鉱物組成は,赤色岩層・小松層・名目入層はカオリンに富み,横道層下部〜中部・大久保層・雷峠層はイライト・スメクタイト・オパールなどに富むことが分かった.横道層と小川層群は,石炭のレンズや薄層を挟み,海棲動物化石を欠くことから,その堆積環境は河川〜湖沼域と推定された.石炭の平均ランダムビトリナイト反射率 (VRr) は,横道層から小川層群にかけて上位へわずかに小さくなるが,全体では0.37%〜0.53%(褐炭〜亜瀝青炭)の範囲に収まる. 以上の結果から,横道層は後期白亜紀コニアシアン期頃から河川〜湖沼成の堆積物として堆積したが,従来,横道層の最上位とされた赤色岩層は,暁新統〜始新統であることから,同じくカオリン粘土に富む小松層の下部に組み入れるのが適当と判断される.この赤色岩層の堆積時は,暁新世〜始新世の温暖化極大期に相当するため,カオリン粘土の起源は当時の温暖湿潤な気候下において生じた凝灰岩の風化生成物である可能性がある.また,横道層と小川層群との間では,ビトリナイト反射率に大きな違いはないことから,小松層の堆積以前における横道層の削剥量は大きくなく,仮に後期白亜紀以降の地温勾配が 30 K/km以上であった場合,横道層の最大埋没深度は2,200 m以下,現在までの平均削剥速度は50 m/My以上と推定される.今回,内陸域に堆積した陸成層の堆積年代を制約したことで,太平洋側の久慈層群や種市層,野田層群との対比が可能になり,当時の広域的なテクトニクスや地殻表層の沈降・隆起・削剥履歴の解明が進むことが期待される.参考文献村井 貞允, 1977, 岩手県岩泉町小川岩手粘土鉱山産化石植物群. 藤岡一男教授退官記念論文集, 315–324.棚井敏雅・飯島 東・吾妻高志, 1978, 北上北部岩手粘土鉱山付近の上部白亜–古第三系. 地質学雑誌, 84, 459–473.加藤 誠・藤原嘉樹・箕浦名知男・輿水達司・斉藤真人, 1986, 上部白亜系横道層ジルコンのフィッション・トラック年代. 地質学雑誌, 92, 821–822.

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  • Taiga TOMARU, Reishi TAKASHIMA, Yuji ORIHASHI, Toshiro YAMANAKA, Hisao ...
    Session ID: T15-P-4
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    ーはじめにー東北日本の下部白亜系は太平洋沿岸地域に比較的連続した層序が得られる地層があり,その一つに,福島県南相馬市に分布する相馬中村層群があげられる. 相馬中村層群は,阿武隈山地東縁部にて双葉断層に沿って南北方向に分布する上部ジュラ系~下部白亜系である.陸成層と海成層が交互に重なり,海成層からはアンモナイトや二枚貝化石など海生動物化石が多数産出することから,多くの化石層序学的研究が行われてきた.小山田層は相馬中村層群最上部を構成し,アンモナイト化石や放散虫化石から,Berriasian-Valanginian下部に対比されている. 一方で,相馬中村層群が作る背斜の西翼に露出する小山田層は,模式地の小山田周辺に露出する最上部の層準とそれより上位の層準で構成されると指摘されていたが(久保ほか,1990),これまで,その年代や堆積相などの詳細な研究が行われてこなかった.本研究では小山田層を対象に,各セクションの小山田層の岩相・堆積相層序対比を行い,炭素同位体比層序及び凝灰岩のジルコンU-Pb放射年代を加えて,小山田層全体の層序の再検討を行った.そして,小山田層とヨーロッパ模式階との間で国際層序対比を行い,その結果を踏まえた小山田層堆積年代の再検討も行った. ー層序概説ー小山田層は相馬中村層群最上部を構成する下部白亜系海成層である.小山田層下部は細粒~中粒砂岩を主体とし,中部は全層厚7~50mのデイサイト質凝灰岩からなる.上部は暗灰〜灰黒色シルト岩を主体とし,層厚10~30cmの珪長質細粒凝灰岩を複数枚挟む(安藤ほか,2023).また,背斜西翼の小山田層には,下半部の海成シルト岩に重なる細粒砂岩を不整合で挟んで上位に,河川成の細粒~中粒砂岩に炭質泥岩を伴うユニットが少なくとも10数mの厚さで重なることが判明した.同時期に堆積したと推定される宮城県気仙沼大島の鹿折層群長崎層や宮城県石巻市の牡鹿層群鮎川層には類似した陸成層は確認されていない. ー炭素同位体比層序・U-Pb放射年代ー炭素同位体比分析の結果,放散虫化石からValanginianに対比される小山田層中部において,炭素同位体比が上位に向かって緩やかに減少したのち,小山田層上部において約2‰正にシフトする変動がみられた.また,小山田層下部に挟まる凝灰岩のジルコンU-Pb放射年代は135.59±0.77 Maを示し,Geologic Time Scale 2020におけるValanginian前期に相当する.さらに,正のピークの上位に相当する小山田層上部の凝灰岩からは,133.9±1.2 Maと133.22±0.60 MaのジルコンU-Pb年代が得られ,Geologic Time Scale 2020におけるValanginian後期に対応する.これらをもとに, Hauterivian階のGSSPがあるフランス南東部Vocontian basinの炭素同位体比層序と国際対比を行った結果,炭素同位体比曲線のピーク同士を詳細に対比することができた.今回小山田層上部にて見出した炭素同位体比の顕著な正のピークは,Valanginian後期からHautervianにかけて当時の汎世界的な炭素循環に大きな影響を与えた環境イベントのWeissert Eventを記録している可能性が高い. ー海水準変動との比較ー炭素同位体比層序及びU-Pb放射年代から,小山田層は少なくともBerriasianからValanginian後期まで及んでいたことが判明した.Haq (2014) の海水準変動曲線ではValanginianから汎世界的に海水準が上昇しており,小山田層下部から中部にかけ堆積相変化と連動していると推定される.最上部の陸成層は年代不詳であるが,汎世界的な海水準変動と堆積相変化が連動していたと仮定すると,汎世界的に海水準が低下に転ずるBarremian以降に堆積した可能性がある. ー引用文献ー安藤ほか, 2023, 福島県博紀要, 37, 1-18.Haq, 2014, Global and Planetary change, 113, 44-58.久保ほか, 1990, 地域地質研究報告(5万分の1地質図福),原町及び大甕,155P.

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  • Michio TAGIRI, Tatsuo OJI, Hisao ANDO, Katsutoshi HANAWA, Akira OIKAWA ...
    Session ID: T15-P-5
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    阿武隈山地の南端に分布する日立変成岩類は、カンブリア系火山深成複合岩体、石炭系大雄院層、ペルム系鮎川層で構成されている。各地層の地質時代は、カンブリア系はU―Pb放射年代により、石炭系とペルム系は示準化石によって決定されている。これらの地層群は約1億年前の変成作用を受け、カンブリア系は角閃岩相、石炭系は緑色片岩相の岩石に変化している(田切ほか、2016)。カンブリア系火山深成複合岩体の火山岩類を主とする赤沢層からは、海綿化石を想定させる化石様組織が見出されている(田切ほか、2021)。日立市助川町金山付近に分布する金山石灰岩は、上下をカンブリア系赤沢層に挟まれて、層厚約20m、延長約700mの規模で赤沢層の走向と調和的に分布する。石灰岩は緑色片岩相と角閃岩相の中間の変成作用を受け、粗粒な大理石となっているが、斜交葉理、コンボリュート構造、漣痕などの堆積構造が残っており、多様な化石様組織(田切ほか、2022)と、形態的な比較からアメリカの石炭紀前期から知られているCyclocion属に類似するウミユリ茎板化石(Oji et al, 2022)(図1)が認められる。しかし、示準化石が未発見なため、金山石灰岩の地質年代は不明であった。 今回、金山石灰岩2試料からジルコンを分離し、LA-ICP-MSを用いてU-Pb放射年代を得た。ジルコン分離と年代測定は(株)京都フィッショントラックに依頼し、東大地殻化学実験室の機器を用いて行われた。 金山石灰岩第一尾根の試料は、白雲母と緑泥石の多いラミナが紙片状に発達した石灰岩で、60粒のジルコンを分離し、35粒子38スポットについて、核部と縁部に区分して分析した。金山石灰岩第一尾根東の試料は、白雲母と緑泥石の多いラミナが斜交葉理を形成する石灰岩で、30粒子を分離し、核部縁部の区別をしないで30スポットを分析した。 金山石灰岩第一尾根試料の成長累帯の明瞭なジルコン1粒では、核部が518Ma、縁部が338Maとなった(図2)。同第一尾根東試料のジルコン1粒子では、分析位置が核部か縁部か不明であるが、366Maが得られた。この結果、金山石灰岩の地質時代は石炭紀と判断できる。分析した金山石灰岩中ジルコンの年代頻度分布を図3に示した。石炭系大雄院層の砂質片岩中のジルコン砕屑粒の年代頻度分布(金光ほか、2011)と比較すると、大雄院層では6〜15億年前の砕屑粒が含まれるのに対し、金山石灰岩では6億年前より古い砕屑粒は含まれない。両者に大きな違いがあり、それぞれの後背地が異なることが推定される。 金山石灰岩が赤沢層に挟まれるように産する地質構造の解明は、調査研究中である。金光ほか、2011、地学雑誌、120.田切ほか、2016、地質学雑誌、122、6.田切ほか、2021、茨城県自然博物館研究報告、24.田切ほか、2022、日本古生物学会講演要旨、P23.Oji et al., 2022, IPC 6, Thailand, abstract.

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  • Yoshihito Kamata, Waraphorn Phrosuwan, Katsumi Ueno, Thasinee Charoent ...
    Session ID: T15-P-6
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    タイ国の地体構造区分はタイ国北部で明瞭な一方,タイ中央部では十分に理解されていない.タイ国中央のチャオプラヤ平野は広く第四紀堆積物で覆われており,中・古生界の露出は散在的である.よって層序や地質年代のデータが不十分で,地体構造区分や地質学的起源について十分な議論がなされていない.本発表では,タイ中央部チャオプラヤ平野に散在的に露出する層状チャートの地質学的帰属について検討した結果を報告する. 調査地域は平野北部のThung Saliam(以下TS)地域と平野中央部のNakhorn Sawan~Uthai Thani(以下NS-UT)地域である. 両地域で約 20のチャートの露頭で調査を行った.ほとんどのチャートは結晶質で接触変成作用と思われる変成作用を受けている.TS のチャートは層状・赤色で,層序関係は不明であるが,周囲に凝灰岩や石灰岩が露出する.NS-UTのチャートは多様な色調(赤・黒・灰色・乳白色)を呈し, へき開の発達した頁岩と砂岩を伴って露出する.これらのチャートは,非常に細かい粘土鉱物と微晶質石英からなる基質に放散虫殻や海綿骨針を含み,粗粒の陸源物質を含まないことから,典型的な遠洋性チャートに分類される. Sashida and Nakornsuri (1999) はTS チャートから Pseudoalbaillella simplexRuzencevispongus sp. などを報告し,その年代を Wolfcampian とした.一方Saesaengseerung et al. (2007) はNS-UT チャートからParafollicucullinoides loemntarius Assemblage (Artinskian)と Follicucullus scholasticus Assemblage (Capitanian-Wuchiapingian)の放散虫を報告している. 放散虫によって年代が特定された 3 つのセクションについて全岩化学分析を行った.コンドライトで規格化されたREEパターンにおいて,TS チャートは Ce の負異常を示し,NS-UT チャートはLREE が右下がりのパターンを示す.これらの地質年代とREEパターンは,タイ南東部Sa Keo地域のものと類似する. TS および NS-UT 地域のペルム系チャートは,弱い変成作用を受けて劈開面の発達する細粒砕屑岩と凝灰岩の薄層が伴うことが多い.チャート自体の厚さも各露頭で数mから10~20mと比較的薄く,基本的に南北走向を呈する.Ueno et al. (2012) によって指摘されているように両地域の岩相や産状は類似しており,地質学的に対比が可能と考えられる. Ueno et al., (2012) はタイ国中央部を西から東に,Sibumasu地塊・Sukhothai帯・Indochina地塊の 3 つの地質単位に区分している.タイ国に分布する中・古生界チャートについては,デボン紀から三畳紀の年代が報告されている古海洋テチス起源のチャートがよく知られている.しかしタイ国中央部チャオプラヤ平野でペルム紀以外のチャートはこれまでに報告されていない.一方でタイ国北東部や南東部ではペルム系チャートを含む地質単位として,Sa Kaeo-Chanthaburi (S-C) 縫合線やNan-Uttaradit(N-U) 縫合線が知られている.これらの縫合線はIndochina地塊とSukhothai島弧の間に広がっていた背弧海盆の閉塞域とされている.中央部のペルム系チャートがUeno et al. (2012)のSukhothai帯の東部とIndochina地塊の縁辺近くに分布することは,これらのペルム系チャートがS-C縫合線のペルム系チャートに対比可能なことを示唆する.これらの地質学的証拠に加えて中央部ペルム系チャートのREE パターンなどの地球化学的特徴は,Sa Kaeo地域のものに類似している.これらの観察事実はタイ国中央部に分布するペルム系チャートが背弧盆地の閉塞域であるS-C縫合線やN-U縫合線のペルム系チャートを起源としていることを示唆する. 文献 Sashida K. and Nakornsuri N. (1999) Proceedings of the International Conference on Stratigraphy and Tectonic Evolution of SE Asia and the South Pacific. DMR, Bangkok, 101–108; Saesaengseerung D. et al. (2007) Proceedings of the International Conference on Geology of Thailand, DMR, Bangkok, 72; Ueno et al. (2012) Journal of AES, 61, 33–50.

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  • Takashi KANO
    Session ID: T15-P-7
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    本地質図は,5万分の1地形図18枚を基図として作成した地質図*1を,取扱いの便宜のため,10万分の1に縮小したもので,能登半島や石川県・福井県に点在する岩体を除く,飛騨帯主要部のほぼ全域を示している.本地質図の特徴は,以下の点にある. 1.飛騨帯の全体像を俯瞰的に見ることができる.   飛騨帯構成岩石は濃く,その他の岩石は薄く塗色している.2.飛騨帯全体の岩石の分類体系と岩相分布を,統一的な観点で図示している.  飛騨帯の岩石は岩相変化が著しく,地域により,研究者により,分類・命名の基準が異なるため,地域間の対比や全体像の把握が難しかった.本地質図では,各地点の個別的な岩石の分類・記載を,飛騨帯全体における位置づけを考慮しながら一定の視点で行うことにより,全体像の把握を目指した.しかし,そこには現時点における作者の観点で,という制約があり,統一しきれていない点や未解決の問題があり,事実に即して改訂されねばならない. 3.地質図の凡例に相当する代表的な岩石を標本として保存し,実物に即して検証できるようにしている.  今後の検証・改訂を容易にするため,飛騨帯のように複雑な地質体では,結局「誰それのいう〇〇岩はこれだ」という実物を保存しておく必要がある.飛騨帯全域の各河川沿いの標本約5000点が「富山市科学博物館」に,代表標本約700点が「山口大学理学部地球科学標本室」に,台帳とともに保管されている. cf.飛騨帯の地質と岩石.富山市科学文化センター収蔵資料目録,第18号 (2005).   山口大学学術資産継承事業,地質標本データベース   https://knowledge.lib.yamaguchi-u.ac.jp/geological/4.1990年代以降,飛騨帯には変成作用を受けた花崗岩や深成岩を原岩とする片麻岩が広く存在することが分かってきた.本地質図では,深成岩起源の可能性の高い岩石には「閃緑岩質片麻岩」のように深成岩の名称を付けて明示し,凡例の上で変成岩と花崗岩に区分することはせず,飛騨帯構成岩として一体のものとしてとらえている.しかし“中途半端に変成した深成岩”の取扱いについては試行錯誤の段階にある. 5.本地質図の説明書には,「〇〇川の△△橋の××岩はこのような岩石であり,飛騨帯の中でこのような位置にある」と云うように,各地域の地質記載とともに代表露頭または岩石の写真をできるだけ網羅的に載せ,「飛騨帯の岩石図鑑」を兼ねるようにする*2(現在執筆中,地質図を添えて配布予定). *1:「5万分の1飛騨帯地質全図と神岡地域の地質.2013年資源地質学会講演会」を基に修正を加えた. *2:山口地学会による「山口県地質図,2012」と「山口県の岩石図鑑,第一学習社,1991」は,地質図と直結した標本保存の貴重な先行例である.

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  • Shun TAKAYAMA, Hideo TAKAGI
    Session ID: T15-P-8
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    【はじめに】 御荷鉾ユニットは緑色岩(御荷鉾緑色岩)の広域分布を特徴とし,西南日本外帯の三波川帯と秩父帯北帯の間に断続的に分布する.御荷鉾ユニットは,ジュラ紀後期の火成活動によってできた巨大な海台を起源とし,白亜紀前期に付加したとされている (Sakakibara et al., 1993 など).本発表では,関東山地において御荷鉾緑色岩と,その上に乗るチャートや酸性凝灰岩などの珪質岩が,漸移関係になっている接触境界露頭の記載結果を報告する.両者の漸移性が認められた露頭は, (1) 越生地域・石清水観音堂裏, (2) 堂平山東・沢沿い, (3) 堂平山南東・七重 であり,一部は,川島・高木 (2017) によって報告されている.いずれも,後述のように御荷鉾ユニットと柏木ユニットの断層境界と考えられている露頭である (納谷ほか, 2023; 牧本・竹内, 1992 など).ただし,川島・高木 (2017) によって漸移性が記述された越生・和田川沿いの露頭については,納谷ほか (2023) により御荷鉾帯内部のチャートと位置付けられていることから,本報告では除外する.【観察結果】(1) 越生地域・石清水観音堂裏の露頭 (川島・高木, 2017)  下位の緑色岩と上位の層状チャートが接している様子が確認できる.上位の層状チャートは納谷ほか (2023) などは,黒山ユニット (秩父帯北帯柏木ユニット相当) に対比している.境界部ではチャートの中に最大で厚さ40 cmほどの緑色岩の単層が挟まれる.境界部付近では,P-R1複合面構造より上盤北西の剪断センスが認められるが,明確な破砕帯は伴わないことから,境界面を利用して二次的に僅かに滑った程度のものと考えられる.チャートには,境界部付近にのみアルカリ角閃石が存在し,境界から離れるにつれ減少する様子が確認できる.(2) 堂平山東・沢沿いの露頭 下位の緑色岩と,上位の珪質岩 (石英+褐色繊維状鉱物) が接している様子が確認できる.珪質岩は,境界部,境界から5 cm,15 cmの3つの位置で薄片を作ると,境界部の薄片だけに石英と褐色繊維状鉱物の他に,角閃石類や曹長石の存在が認められた.両者の境界部付近に,断層による不連続は認められない.(3) 堂平山南東・七重の露頭 下位の緑色岩と,上位の酸性凝灰岩が接している様子が確認できる.酸性凝灰岩は層状でアクチノ閃石が配列して片理を作っている.両者の境界部付近に断層による不連続は認められない.接触部では,緑色岩のアクチノ閃石密集部と,酸性凝灰岩の石英集合体の間に,幅約100 µmのアクチノ閃石と石英が共存する部分が認められる.(2) と (3) の露頭は,牧本・竹内(1992) によるチャート・珪質岩ユニット (柏木ユニット相当) と,御荷鉾ユニットの境界とされた付近に位置する.【漸移性について】 (2) および (3) の露頭では,御荷鉾緑色岩とその上位の珪質岩の間には,断層による明確な不連続は認められなかった.また,どの露頭にも共通して,露頭スケール・薄片スケールで,互層もしくはレンズ状に両者が繰り返していることが確認できる.このような緑色岩と珪質岩の漸移関係の成因は,堆積時の初生的な混合であると考えられる.ジュラ紀末の御荷鉾海台の火成活動の終息期に,玄武岩質溶岩・玄武岩質火砕岩が未固結な状態で,その上に放散虫軟泥や酸性凝灰岩が降り積もり,両者の漸移関係がつくられた可能性がある.以上より,柏木ユニットは初生的には御荷鉾ユニットと連続関係であり,柏木ユニットは御荷鉾ユニットに含められるべきものと考えられる.柏木ユニットにおける放散虫年代の報告は,ジュラ紀後期から白亜紀前期であり (松岡, 2013 など),そのことと矛盾しない.引用文献 川島庸亮・高木秀雄, 2017, 日本地質学会第124年学術大会演旨, 391.; 牧本 博・竹内圭史,1992,寄居地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).地質調査所,136p.; 松岡喜久次, 2013, 地球科学, 67, 101–112.; 納谷友規・原 英俊・小松原純子, 2023, 川越地域の地質, 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅), 産総研地質調査総合センター, 121p.; Sakakibara, M., Hori, R.S., Murakami, T., 1993, J. Geol. Soc. Japan. 99, 831–833.

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  • Kiyoshi Kato
    Session ID: T15-P-9
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    [はじめに]四国や紀伊半島の秩父累帯は,一般に,岩相・地質構造の相違に基づいて,北から北帯,中帯(黒瀬川帯),南帯に区分される.しかし,関東山地東部の秩父累帯の帯区分については,研究者により見解が異なっている(例えば,大藤ほか,2003;Hisada and Hara, 1996;松岡ほか,1998;指田,1992).その主な理由は, 関東山地では,黒瀬川帯を特徴づける岩石(例えば,小澤・小林,1985;島村ほか,2003)が,山中地溝帯南縁と関東山地南東縁の名栗断層帯に報告されているにすぎないためである.筆者は,これまで,埼玉県秩父市浦山地域〜飯能市名栗地域の秩父累帯中軸付近に,黒瀬川帯を特徴づけると考えられるメタガブロや変成岩類を多数みいだし,黒瀬川帯の存在する可能性を指摘してきた(例えば,加藤,2016,2017a).また,加藤(2017b,2019)は,飯能市北部〜横瀬町東部の秩父累帯北帯と中帯の境界付近に,黒瀬川を特徴づける岩石と考えられるメタガブロの露頭や転石を数地点で見いだし,黒瀬川帯の南北幅が広がる可能性を指摘した.本稿では,埼玉県横瀬町芦ヶ久保地域の秩父累帯北帯と中帯の境界付近の地質について記載し,新たに見いだされたメタガブロの転石が,秩父累帯北帯と中帯の境界沿い付近にあることを報告し,その意義を考察する. [地質概略]埼玉県横瀬町芦ヶ久保地域の秩父累帯には,北から南に向かって.秩父累帯北帯の刈場坂ユニット,中帯の花桐ユニットが分布する.本稿では,紀伊半島東側における秩父累帯と同様の岩相・変成相・地質構造の相違に基づく帯区分を行っているため(例えば,加藤, 1995),両ユニットの記載は指田(1992)のものとは多少異なる.両ユニットの境界関係は露頭欠如のため不明であるが.縦走断層であると考えられる.新たに見いだされたメタガブロの転石は,芦ヶ久保駅(西武秩父線)の西方約300 m付近の横瀬川の南側の支流でいくつかみいだされた. [刈場坂ユニット]主に泥質岩基質中にチャート・砂岩・緑色岩の岩塊を含む弱変成メランジュ(千枚岩〜粘板岩程度)からなる.指田(1992)によると,チャートからはペルム紀~三畳紀の,基質からは中期ジュラ紀の放散虫化石が産する.片状構造が発達する. [花桐ユニット]主に泥質岩基質中に緑色岩,石灰岩,チャート,砂岩の岩塊を含む非変成メランジュからなる。緑色岩と石灰岩の大きい岩塊が認められることがある.指田(1992)によると,基質から前期ジュラ紀の放散虫化石が産する. [メタガブロ]見出されたメタガブロの転石の内,最大のものは長径約25 cmの角礫である.メタガブロ中の苦鉄質鉱物として,角閃石(最大約8 mm)や輝石(最大約3 mm)が認められる.これらの転石の位置は秩父累帯北帯と中帯の境界付近にあたり,その境界の北側(下流側)には秩父累帯北帯刈場坂ユニットの弱変成メランジュが,南側(上流)には中帯花桐ユニットのチャートや砂岩が分布する.両ユニットの境界は露頭不良ため不明であるが,これまでの研究を総合すると,メタガブロは北帯の刈場坂ユニットと中帯の花桐ユニットの境界断層沿いに構造的に挟まれたブロックであった可能性がある. [考察]横瀬町芦ヶ久保地域の秩父累帯は,紀伊半島東側の秩父累帯と同様に,岩相・変成相・地質構造の相違に基づいて,北帯と中帯に区分されることが判明した.また,新たに見いだされたメタガブロの転石は,黒瀬川帯を特徴づける岩石である可能性がある.これらのことから,横瀬町芦ヶ久保地域の秩父累帯にも黒瀬川帯が存在し,横瀬町の黒瀬川帯の南北幅が,紀伊半島東部と同様に,秩父累帯北帯(主部の弱変成岩が分布する地帯)の南側まで広がる可能性がある.これらのことは,黒瀬川トランスフォーム断層帯説(Kato and Saka,2006)を補強する. [文献]Hisada and Hara, 1996, Prof. H. Igo Commem., 55-62. Kato and Saka,2006,Geosci Jour.,10,275-289.加藤,1995,211-227.地質雑,加藤,2016,駒澤地理,52,81-93.加藤,2017a, 駒澤地理,53, 73-85.加藤,2017b,日本地質学会第124年会演旨,203.加藤,2019,日本地質学会第126年会演旨,411.松岡ほか,1998,地質雑,104,634-65.大藤ほか,2003,日本地質学会第110年会演旨,134.小澤・小林,1985,兵庫教育大紀要,6,103-141.指田,1992,地学雑,101,573-593.島村ほか,2003,地質雑,109,116-132.

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  • Tomohiro Tsuji
    Session ID: T15-P-10
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    西南日本外帯に分布する秩父帯はペルム紀・ジュラ紀付加体によって構成され,北側に三波川変成岩類と接していることから,三波川変成岩類の上昇に伴う前弧域の変形が記録されていると期待される.特に,四国西部の北部秩父帯には大規模逆転構造が記載されており(辻・榊原,2009),その地質構造およびその背景となる造構作用を理解することは,この時期の造山運動のプロセスを理解すことに繋がる.四国西部の北部秩父帯の大局的な地質構造については,辻(2019)によって,南フェルゲンツの転倒褶曲・スラスト群をなすと報告された.しかしながら,スラストおよびその周辺の地質構造について十分な検討がなされていなかった.そこで,本研究では,大規模に逆転した付加体とその構造的上位に累重する水なし山ユニットの関係を明らかにする目的で,愛媛県久万高原町茗荷谷川流域において地質学的研究を実施した. 【地質概説・ユニット区分】 本地域は北部秩父帯の北半部に位置する弱変成したジュラ紀付加体であり,準片岩類および泥質メランジュによって構成される.本地域には大規模に逆転し南上位を向く2つのユニットが分布し,それらは北から,小田深山ユニット,中久保ユニットに区分される.それらを覆うように水なし山ユニットが上位にナップとして分布する. 小田深山ユニット:黒川上流の小田深山地域に分布する,主に多色チャート,石灰岩などの遠洋性堆積岩類および塩基性岩類を起源とする準片岩類によって構成され,陸源性砕屑岩に乏しい.小田深山ユニットの北部ほど延性変形が顕著である. 中久保ユニット:黒川流域の管行,中久保周辺に分布する,砂岩,チャート,緑色岩,泥質メランジュを主体とする.本ユニット中の岩石は準片岩化していない. 水なし山ユニット:水なし山周辺に分布する,砕屑岩,凝灰岩,チャート,塩基性岩類を起源とする準片岩によって構成される.砕屑岩にはチャート角礫岩が挟在する.チャート角礫岩中に発達する級化構造に基づくと,上下正常である. 【地質構造】 小田深山ユニットの準片岩類は高角度で北に傾斜し,遠洋性堆積岩類の堆積構造に基づくと,逆転した南上位が卓越する.南側の中久保ユニットとは東西走向北傾斜の平川断層で接する.中久保ユニットは,陸源性砕屑岩類の堆積構造等に基づくと逆転しており南ないし北上位を向くが,全体的には南上位が卓越する(辻・榊原,2009).これらの逆転した地層を覆うように,水なし山ユニットがナップとして上位に分布する.水なし山の東斜面には,水なし山ユニットの下位から,小田深山ユニットのチャートおよび石灰岩類が地窓状に露出している.小田深山ユニットは高角度であり,上位の水なし山ユニットは低角度であること,両ユニットの岩相が異なることから,ユニット境界を明瞭に認識できる.このユニット境界は水なし山の西斜面および東から南斜面に露出する.水なし山の南東斜面に,このユニット境界の断層破砕帯が露出する.本断層破砕帯は低角度であり,下位に小田深山ユニットの灰色チャート,上位に水なし山ユニットの砂岩泥岩の露頭が存在する.断層破砕帯は幅50 cm程度であり,断層角礫および断層ガウジによって構成され,Y-P複合面構造が発達する.Y面は北東-南西もしくは南北走向,21~27°北西ないし西傾斜である.Y面とP面との関係から,top-to-the-southの剪断センスが認められる. 水なし山ユニットは茗荷谷川上流の茗荷上地域にて低角度東傾斜が卓越するが,南側の茗荷下地域にて中角度南傾斜となる.この劈開面の構造および岩相分布から,茗荷谷地域に概ね東西に軸面を持つ背斜褶曲が推定される.水なし山ユニットと中久保ユニットとの関係に関しては不明な点が多い. 【考察】 本地域の水なし山ユニットのナップ基底断層は,本地域より東側に分布する名野川衝上断層(村田・前川,2007)に対比される可能性がある.本断層は北部秩父帯を二分する大断層である.本地域の最上位に上下正常の水なし山ユニットがナップとして分布し,その下位に逆転南上位を示す地層の境界には,転倒背斜褶曲が推定される.その転倒背斜褶曲はナップ基底断層によって切断されているため,現在は観察できないと考えられる.この構造を形成するプロセスとして南フェルゲンツの構造運動が想定される.その原因として北部からの三波川結晶片岩類の上昇が考えられる. 【引用文献】 辻 智大・榊原正幸(2009)地質学雑誌,115,1-16. 辻 智大(2019)四国西部,北部秩父帯の大規模転倒褶曲-弱変成付加体の構造を支配する造構作用-.日本地質学会第126回大会講演要旨. 村田・前川(2007)徳島大学総合科学部自然科学研究,21,65-75.

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  • Satoshi NAKAE
    Session ID: T15-P-11
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    はじめに 超丹波帯付加複合体は氷上C(C=コンプレックス),大飯C,上月Cに区分され,それらの最終堆積時期(≒付加時期)は前二者がローピンジアン世,後者がグアダルピアン世とされている(Ishiga, 1986;Caridroit et al., 1985;竹村ほか, 1993).問題点と目的 大飯Cの付加時期はF. bipartitus–F. charveti群集でのF. scholasticus, F. charveti, F. bipartitus, A. triangularisの共産に基づいて決定され,ローピンジアン世前半(Wuchiapingian期)とされてきた(Ishiga, 1986).しかしA. triangularisは他の種と共存せず,その産出はN. optima帯に限られ,時代はローピンジアン世末(Changhsingian期後半)である(Kuwahara et al., 1998).また綾部地域では,十倉層(大飯C下部に相当)から砕屑性ジルコンの最若U–Pb年代として260〜230 Maが報告された(坂田ほか, 2017).つまり大飯Cの付加時期に関する年代論には,更なる検討を要する.本論では,近畿地方北部における従来の層序区分や放散虫化石に基づく付加時期を再検討し,大飯Cで新たに測定した砕屑性ジルコンU–Pb年代と合わせて,超丹波帯の標準層序単元の定義と堆積時期を見直す.層序区分の修正 検討したのは,南条・赤礁埼・大飯(福井県),綾部・福知山(京都府),但馬竹田・播磨・篠山・川西(兵庫県),高槻(大阪府)の10地域である.後述の層序的特徴に基づくと,ほぼ全地域で従来の層序区分を修正する必要がある.例えば,大飯〜綾部地域では大飯Cに属す大飯層(Ishiga, 1986)と淵垣層(木村, 1988)はそれぞれの最上部を上月Cに含め,但馬竹田地域の大飯層(Ishiga, 1986)は氷上Cと大飯Cに分割し,播磨地域で氷上Cに含められた山﨑層(Ishiga, 1986;栗本, 2000)は氷上Cと大飯Cに分割すべきである.基本層序 層序区分修正の根拠として,個々に固有の特徴を持つ基本層序を示す. 砂岩卓越型は,粘板岩を僅かに挟有する塊状砂岩から構成される層厚500 m以上の層序で,単調な岩相が特徴である.上滝層(篠山地域)と島本層(高槻地域)で見られる. 泥岩砂岩型は,泥質千枚岩から砂岩に移化する厚層粗粒化の層序で構成され,両者の量比は等量か砂岩に富む.層厚は300〜500 m程度で,層序単元内ではこの層序が構造的に複数回繰返すのが特徴である.東俣C(南条地域),口上林層(綾部地域),高槻層(高槻地域)などで見られる. チャート砕屑岩型は,下位よりチャート,泥質千枚岩,砂岩が累重する粗粒化の層序からなる.泥質千枚岩が優勢でチャートと砂岩は非常に薄い.層厚は200〜400m程度.層序単元内ではこの層序が構造的に複数回繰返すのが特徴である.堅海層(赤礁埼地域),淵垣層(綾部地域),青垣層(但馬竹田地域),柏原層(篠山地域)などを構成する. 互層型は,砂岩泥岩互層から葉理質泥岩に向けて上方細粒化する層序であり,層厚は約860 mに達する.層序の繰返しは認められない.十倉層(綾部地域)のみに見られる. 混在型は,チャートを伴う玄武岩と泥質千枚岩・砂岩からなる層序で,泥質混在岩を含む.石場層(福知山地域),上月層・土万層(播磨地域)のほか国崎C(川西地域)などで確認される.堆積時期 上記の基本層序における付加時期を既存の化石資料から検討した結果,それぞれが特定の時代を示すことが明確になった.砂岩卓越型はAnisian期中頃,泥岩砂岩型はChanghsingian期,混在型はCapitanian期末〜Wuchiapingian期前半に限定できる.チャート砕屑岩型は問題点として指摘したように,既存資料からは堆積時期を明確にできなかった.また互層型からは産出化石の報告が無いが,既述の通りペルム紀中頃〜三畳紀中頃のジルコンU–Pb年代が報告された.今回,綾部地域の大飯Cから砕屑性ジルコンを測定したところ256.1 Maを得た.これはWuchiapingian期内に収まる値である.Caridroit et al. (1985) Earth Sci., Ishiga (1986) Jour.Geosci.Osaka City Univ., 木村 (1988)地質雑, 栗本 (2000) 1/5万龍野図幅, Kuwahara et al. (1998) Jour.Geosci.Osaka City Univ., 坂田ほか (2017) 地質学会講演要旨, 竹村ほか(1993) 地質雑.

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  • Daisuke SATO
    Session ID: T15-P-12
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    産総研地質調査総合センターが出版する20万分の1地質図幅のうち,「京都及大阪」地域は1986年に初版が刊行された.初版刊行時は,「京都及大阪」地域内で整備済の5万分の1地質図幅は2区画だったが,その後2013年までに全16区画が整備された.現在産総研では,新しい知見を基に20万分の1地質図幅「京都及大阪」地域の改訂作業を進めている.本発表では,現時点での再検討した白亜系の地質図を示し,その内容を報告する. 地質概略 「京都及大阪」地域内の白亜系は,篠山層群,山陽帯の深成岩類・火山岩類,領家帯の変成岩類・深成岩類,岩脈類からなる. 篠山層群は,兵庫県東部の篠山盆地及びその西方に分布する陸成層である.下部の大山下層と上部の沢田層に区分され(林ほか,2017),両者は整合関係である.地質図は吉川(1993)を基に大山下層と沢田層に分けて表現した.ジルコンU–Pb年代(Kusuhashi et al., 2013; 久保見ほか,2019)から本層群の堆積は前期アルビアン期には開始し,セノマニアン期初頭まで続いていたと考えられ,化石年代(林ほか,2010)とも調和的である. 山陽帯の深成岩類は,高橋ほか(2006)を参考に編纂した.高橋ほか(2006)は,近畿中京地域に分布する山陽帯の深成岩類を貫入関係・岩相・放射年代などから6つ(山陽深成岩類I〜VI)に区分した.山陽深成岩類I〜IVは白亜紀,山陽深成岩類V〜VIは古第三紀である.本地域内の山陽帯の深成岩類は,既存の放射年代値がいずれも白亜紀を示すことから山陽深成岩類I〜IVとしてまとめた. 山陽深成岩類I:前期白亜紀の石英閃緑岩〜花崗閃緑岩.岩石学的にはアダカイトの特徴を有する.放射年代は107〜102 Maで,篠山層群沢田層と同時期である. 山陽深成岩類II:前期〜後期白亜紀の花崗岩〜花崗閃緑岩.放射年代は102〜95 Maで,本地域の後期白亜紀火山岩類より早期である. 山陽深成岩類III:後期白亜紀の花崗岩〜石英斑れい岩などからなる岩株状岩体.複合岩体を形成することもある.放射年代は82〜70 Maである. 山陽深成岩類IV:後期白亜紀の花崗岩からなる底盤状ないし餅板状の岩体.放射年代は83〜71 Maで,山陽深成岩類IIIと同時期である. 後期白亜紀火山岩類は,本地域西部にまとまって分布する.岩相・層序関係(松浦ほか,1995)及びジルコンU–Pb年代に基づき編纂した.本地域の火山岩類は,82〜80 Ma頃と80 Ma以降に形成した地層に区分され,前者は主に本地域南西部に,後者は本地域西端に分布する.これらは流紋岩火砕岩を主体とし,安山岩火砕岩・溶岩・岩脈,流紋岩溶岩・岩脈,砕屑岩も認められる.放射年代は82〜74 Ma頃で,カンパニアン期に当たる. 領家深成岩類は,本地域南部に分布し,後期白亜紀の高温低圧型変成作用により生じた変成岩類の構造と調和及び非調和に貫入する.高橋ほか(2006)を参考に編纂した.高橋ほか(2006)は,近畿中京地域の領家深成岩類を鉱物の配列による面構造の程度・貫入(捕獲)関係・産状などから4つ(領家深成岩類I〜IV)に区分した.貫入関係から領家深成岩類Iが下位,IVが上位となるが,放射年代値に明瞭な差は認められない.領家深成岩類I:顕著な面構造を有し,領家変成岩類の構造に調和的に貫入する.トーナル岩・花崗閃緑岩・花崗岩からなる. 領家深成岩類II:一般に弱い面構造を有し,領家変成岩類の構造に非調和に貫入する.本図幅ではさらに,斑状を呈する花崗岩〜花崗閃緑岩体,主に花崗閃緑岩〜花崗岩からなる岩体,主に花崗岩からなる岩体に細区分した. 領家深成岩類III:一般に塊状で,一部弱い面構造を有する花崗閃緑岩〜トーナル岩からなり,岩株状に産する. 領家深成岩類IV:一般に塊状で,一部弱い面構造を有する花崗岩からなる. 岩脈類は,上述の山陽帯・領家帯の火成岩類に含められていない小規模なものを他の火成岩類との地質学的な関係や放射年代を参考に岩脈I(前期白亜紀の苦鉄質岩脈)・岩脈II(後期白亜紀中頃の苦鉄質岩脈)・岩脈III(それ以外の後期白亜紀後半の苦鉄質岩脈と珪長質岩脈)に区分した.ただし,本地域の岩脈類は一般に脈幅10 m未満のため地質図では大部分が省略される. 引用文献  林ほか(2010)地質雑,116,283–286. 林ほか(2017)地質雑,123,747–764. 久保見ほか(2019)地質学会第126年学術大会要旨,R5-P-8.Kusuhashi et al. (2013) Proc. R. Soc. B, 280, 20130142. 松浦ほか(1995)5万分の1地質図幅「広根」,110p. 高橋ほか(2006)地調研究資料集,no. 439,7p. 吉川(1993)地質雑,99,29–38.

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  • Motoki MOURI, Noritaka MATSUBARA, Yousuke NOUMI
    Session ID: T15-P-13
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    はじめに:アジア大陸東縁での白亜紀大規模火成活動の産物である火山岩類と深成岩類は西南日本内帯に広く分布する.兵庫県南部に分布する白亜紀火山岩類は広域にわたる岩相の類似性で対比した包括的な層序区分に基づき相生層群・有馬層群など層群単位で一括された(岸田・弘原海,1967など).近年産総研による5万分の1地質図幅の研究進展に伴い,白亜紀火山岩類の多くは独立した堆積盆(陥没カルデラ)を埋積したカルデラ埋積層であることが明らかにされ,その認定と内部層序の解明が進んだ(Yamamoto,2003;吉川ほか,2005;佐藤ほか,2016など). 本地域の周辺に分布する白亜紀火山岩類は後藤・井上(1998)や尾崎・原山(2003)によって層序区分が行われ,Yamamoto(2003)が大型カルデラ(径20×12㎞)の存在を指摘したものの,カルデラ構造や陥没様式は明確でない.本報告ではYamamoto(2003)が指摘した大型カルデラ南西部の縁辺にあたる地域で調査を行い,地質構造や陥没カルデラ境界,陥没様式を考察する.地質構造:四郷層の層序的下位に分布する先白亜系(丹波帯堆積岩)の層理面の構造は当地域西部の市川以西,市域中央平野部の姫山・男山・景福寺山・手柄山では北東-南西走向で概略25〜85°北東あるいは南西傾斜,的形町福泊~妻鹿の海岸の岩体とくに木場側の露頭では70~80°北東あるいは西傾斜,花田町高木付近では70〜80°南西傾斜を示す.四郷層は木場~的形の海岸で概略10~20°北-北西傾斜,播磨小富士山・仁寿山・南山で5~30°場所により40°北傾斜を示す.四郷層全体の構造は北西ー南東走向で北東ー北西に5〜30°傾斜する.以上のように四郷層の構造は明らかに先白亜系の構造とは非調和であると言える.四郷層は北に緩傾斜した単斜構造(後藤・井上,1998)でカルデラ底(堆積時の地形面)の構造を反映している可能性が大きい.陥没カルデラ境界:市川東岸において先白亜系との境界付近に分布する流紋岩体は地質図(後藤・井上,1998の付図)上で直線に近い軌跡をもち地層境界面が高角度に傾斜しているものと推定される.四郷町山脇や上鈴では流紋岩体の貫入の姿勢が北西-南東方向で,西に50~70°傾斜する構造が観察された(写真).つまり四郷層と先白亜系との境界が高角度で接するのは,市川東岸である.加えて市川東岸では流紋岩溶岩の配列が四郷層の分布を規制する,以上より陥没カルデラ境界の西縁は市川東岸の山地,市川河口から北東方向に推定される. また南縁は,丹波帯堆積岩と強溶結凝灰岩との不整合面が観察される市域南東部(妻鹿~的形町)の海岸線,市川河口以東の方向に推定される.市川東岸近傍(妻鹿御旅山南麓)では不淘汰角礫岩がみられ,四郷層と先白亜系との境界付近にカルデラ壁のような急崖が存在したことを暗示する.後藤・井上(2001)は小赤壁の直線的な海岸線の方向は海岸線以南に断層の存在が予想され,強溶結凝灰岩に被覆されて露出する丹波帯堆積岩の位置は当時の地形的な高所であったとされる.後藤・井上(2001)の目算を参考にすると四郷層分布域の西端と南端は境界断層で先白亜系と接することとなり,一つあるいは複数の断層系による多角形状の陥没縁を描ける可能性がある.陥没様式:四郷層の成層灰岩と火山礫凝灰岩〜凝灰角礫岩には陸域と水域が2〜8回ほど交互に繰り返す岩相変化がみられることから,本カルデラの西縁部で小規模な陥没が漸進的に進行する様式(例えば小室ほか,2014;今岡ほか,2019)で陥没し,水域が存続した. 引用文献:後藤博弥・井上剛一(1998)姫路市史第7巻上[自然],姫路市史編集専門委員会,39,64-69,86-91.後藤博弥・井上剛一(2001)姫路市史 第1巻上自然本編,姫路市史編集専門委員会,80-87.今岡照喜・井川寿之・岸司・木村元・大中翔平・ 西川裕輔・小室裕明(2019)地質学雑誌,125,7, 529-553. 岸田孝蔵・弘原海清(1967)柴田秀賢教授退官記 念論文集,241-255.尾崎正紀・原山 智(2003)地域地質 研究報告 5 万 分の 1 地質図幅[高砂],岡山,71,地質調査所, 14-20.小室裕明・亀井淳志・大平寛人・三好未希子・田結庄良昭・引原団体研究グループ(2014)地球科学,68,81-88.佐藤大介・山元孝広・高木哲一(2016) 地域地質研究報告5万分の1地質図幅[播州赤穂],岡山,69,地質調査総合センター,11-31.Yamamoto,T.(2003)The Island Arc,12,Issue3,294-309. 吉川敏之・栗本史雄・青木正博(2005)地域地質研究報告 5万分の1 地質図幅[生野],岡山,47, 地質調査総合センター,14-27.

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  • Hayato Ueda, Yoshihiro Kase, Keiichi Hayashi, Mahito Watanabe, Wataru ...
    Session ID: T15-P-14
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    【はじめに】著者らは北海道東部の女満別地域において,2019年度から5万分の1地質図幅のための地質調査を行っている.当図幅地域の大部分は新生界の分布域であるが,地域北西部における常呂山周辺の南北7 km×東西5 kmの範囲では,基盤の中生界である常呂帯仁頃層群が連続的または被覆層の下位に窓状に分布する.本発表では,これまでの調査や分析に基づいて作成した地質図案を提示しながら,仁頃層群および不整合直上の新生界被覆層の基底付近の岩相層序区分,およびこれらの地層がとる地質構造を紹介する予定である. 【仁頃層群の層序と構造】仁頃層群はおもに緑色岩とチャートを主体とする付加体である.部分的に残る層序関係と年代に基づき,今回以下の3つに層序区分した(層序ユニット名はいずれも仮称).最下部のポン幌内川層は玄武岩,ドレライト,およびトラカイトと同質貫入岩(閃長岩)を主体とする.閃長岩からは後期ジュラ紀のジルコンU-Pb年代が得られた.上位の知来層は赤色チャートを主体とし,ジュラ紀末から前期白亜紀の放散虫化石が報告されている.最上位の常呂山層はおもに赤色の泥岩~珪質泥岩,暗緑色または暗紫灰色の火山砕屑性砂岩,および赤色泥岩を基質とする含礫泥岩で構成される.砂岩からは後期白亜紀早期の最若ピーク年代が得られた.含礫泥岩には,玄武岩のほか,チャート,安山岩~デイサイト,花崗質岩,角閃岩などの岩塊や砕屑粒子も含まれる.以上の3層は海洋地殻の火成基盤(ポン幌内川層)から遠洋性深海堆積物(知来層)を経て海溝堆積物(常呂山層)に至る一種の海洋プレート層序を構成すると捉えられる.そしてこれらの岩相・層序がある程度の側方連続性を維持しながら複雑に繰り返すことから,全体として覆瓦構造を構成していると考えれられる.調査地域の北半(福山構造ユニット)では変形と原層序の分断が進行し,繰り返し構造の境界部には頻繁に混在相が出現する.混在相は赤色と緑色の苦鉄質カタクレーサイト,赤色泥岩,レンズ状のチャートなど基本的に上記3層の構成岩類で構成され,強い剪断劈開を有する.当構造ユニットの層理面は東西走向北傾斜を基本構造とするが,南北方向に軸を持つ正立褶曲によりアコーディオン状に折りたたまれている.南半部(日吉構造ユニット)では変形が弱い緑色岩の整然相が連続する傾向があり,混在相は出現頻度も層厚も小さい.層理面は大局的に北または南に比較的低角で傾斜した基本構造が南北軸の褶曲で座屈している.【新生界被覆層の基底部の層序】被覆層は大局的には礫岩から砂岩を経て泥岩に至る上方細粒化を示し,それぞれ北隣の網走図幅地域における常呂層のトコロ幌内川礫岩部層,豊浜砂岩部層~ニタテヨコツナイ川泥質砂岩部層,および能取シルト岩部層に対比される.網走図幅地域の豊浜砂岩部層と能取シルト岩部層中の凝灰岩からは前期中新世の約21~20 MaのジルコンU-Pb/FT年代が報告されている.トコロ幌内川礫岩部層の主部は円礫岩で構成され部分的に海棲貝化石を含むが,基底部に陸成層とみられる不淘汰角礫岩や亜炭を伴う泥岩層を伴う部分がある.今回,豊浜砂岩部層の基底部に海緑石砂岩の層準が見いだされ,この海緑石砂岩の試料からは前期漸新世およびこれより古い砕屑性ジルコンのみを産した.また,トコロ幌内川礫岩部層の基底部に近い不淘汰角礫岩層に挟在する砂岩から得られた砕屑性ジルコンのU-Pb年代が,約37 Maの最若ピークを示した.これらのことから,トコロ幌内川礫岩部層と豊浜砂岩部層の間に10 m.y.以上の無堆積期間がある可能性があり,前者が古第三系であることが示唆される.【新生界の構造】 当地域の仁頃層群中で支配的な南北軸を持つ座屈褶曲は新生界には全く及んでおらず,トコロ幌内川礫岩部層の堆積より古い構造であろう.古地磁気から根室帯西縁部と常呂帯は後期始新世までに基盤が時計回りに回転したことが知られているが,南北系の褶曲はこの回転運動に伴う東西短縮で形成されたのかもしれない.新生界のうち,比較的よく追跡できる豊浜砂岩部層の基底面の高度は,北東-南西系の軸をもつ褶曲と,これに高角で交わる北西-南東系の胴切り断層や撓曲によって変化する.この褶曲構造は円筒状よりは箱型に近く,露頭スケールの側方短縮変形を伴わないことから,座屈褶曲よりはブロック化した基盤の昇降に伴う曲げ褶曲の可能性が高いと思われる.当褶曲構造の形成時期の上限は不明だが,そのトレンドから千島海盆の形成に関連するかもしれない.

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  • Hajime Naruse, Harisma Buburanda, Takafumi Hirata, Sota Niki
    Session ID: T15-P-15
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    The origin of the Paleo-Kuril Arc (PKA) is the key to understanding the tectonic history of the Northwest (NW) Pacific Region since the Cretaceous. The PKA has been considered an intra-oceanic arc system developed between the Izanagi-Pacific Plates. In contrast, several studies estimated that the mid-oceanic ridge existed between these two plates and subducted in the Paleogene. In the latter hypothesis, the PKA is regarded as the continental magmatic arc system along the southern end of the Okhotsk Block. A lack of geochronological data in the sedimentary rocks in the PKA made it challenging to resolve this problem. Here, we measured the U-Pb ages of the detrital zircons that occurred in the Cretaceous–Paleogene Tokoro and Nemuro Belts of the PKA to identify the origin of the arc system. As a result of Bayesian Population Correlation (BPC) analysis, two clusters of age distributions were identified. Sandstone exhibiting Type 1 age distribution occurred in the Cretaceous to Paleocene strata in the PKA and contained abundant Precambrian zircon grains provided by the continental cratons. This suggests that the PKA was developed as the continental magmatic arc system.In contrast, sandstones exhibiting Type 2 age distribution contain only the detrital zircons of syn-depositional ages. The synchronous transition of the zircon age distributions implies the provenance transition from the diverse sources to the single in-situ volcanic source in the early Eocene. This isolation from the continental provenance could correlate to the significant tectonic event in the NW Pacific Region in the Paleogene.

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  • Akira CHIBA, Shogo AOKI, Yoshiaki KON, Masamichi IKEDA, Aoi HIRATA, Ei ...
    Session ID: T15-P-16
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    東北日本新生界の模式地とされる男鹿半島西部には,後期白亜紀から新第三紀の火山岩類が分布する.これらの火山岩類に関する年代学的研究は多く(大口ほか,1995;鹿野ほか,2012など),鹿野ほか(2011)はこれを踏まえて層序の大幅な見直しを行った. 男鹿半島北西部の赤島からごんご崎に至る海岸には,後期白亜紀赤島層と後期始新世門前層が分布する.両者は断層で接すると考えられており,その間には約40 Maの時間間隔があると考えられている.我々は,この推定断層の南に近接する門前層竜ヶ島デイサイト部層の露頭において,不整合であると考えられる地層境界を発見した.この露頭の岩石の年代値はこれまで報告が無い.この地層境界周辺に分布する岩石の年代を明らかにすることは,後期白亜紀から古第三紀の層序,ひいてはこの時代における東北日本の地質構造発達史を考える上で重要である.したがって,本研究ではこの地層境界周辺の岩石に対して地質調査を行い,ジルコンU-Pb年代を測定した.また,この時代の火成活動の特徴と変化を解明するため,全岩化学組成分析を行った. 採取岩石(粗面安山岩質―流紋岩質火山岩・火砕岩)のうち,7試料に対して全岩化学組成分析を行い,地層境界上下の試料である流紋岩火山礫凝灰岩1試料と角閃石粗面岩溶岩3試料に対してジルコンのU-Pb年代を測定した.全岩化学組成分析には秋田大学国際資源学部に設置の蛍光X線分析装置を,ジルコンU-Pb年代には産業技術総合研究所地質調査総合センター地圏資源環境研究部門に設置のレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置を使用した. 北から南に向かって,溶結凝灰岩(Awt),シルト岩(Usl),普通角閃石粗面岩溶岩(Rt1),細粒凝灰岩―火山礫凝灰岩および流紋岩火山礫凝灰岩(Rpr)の岩相を認定した. Awt―Uslとの関係は観察出来なかった.UslとRt1は断層で接しており,その他の岩相は南ほど新しい.不整合様の境界直下の岩相はRt1で,直上はRprである.Rt1は,変質により紫褐色~黒褐色を呈す斑状の岩石で,斑晶鉱物として普通角閃石,斜長石,融食形を呈す石英を含む.Rprは,変質により淡緑色~淡褐色を呈する淘汰の悪い岩石で,斑晶鉱物として斜長石と石英を含む.また,ジルコンU-Pb年代の加重平均値(2σ)は,Rt1で29.7±3.3 Ma,29.6±3.9 Ma,31.6±3.2 Ma,Rprでは31.1±2.0 Maであった. 鹿野ほか(2011)によれば,Awtは後期白亜紀赤島層に,Uslは中期中新世西黒沢層に,Rt1とRprは後期始新世門前層に対応する.本調査地域より北東に位置する畠では赤島層と門前層が断層で接しており,大口ほか(1979)はこの断層を本地域赤島まで延長している.しかし,この地域ではAwt―Usl間の直接的な関係が観察できない.また,Awt―Usl間で走向と傾斜に変化が少ないことから両者は整合関係の可能性がある.むしろUsl―Rt1間が断層であるため,その間に大きな時代間隙が存在する可能性もある.そのため,本発表ではUslは時代未詳とする.Uslは生物源堆積物を多く含むが稀に異質な鉱物(~100 µmの斜長石および直方輝石)を含むため,半遠洋性堆積物が固結した岩石であると考えられる.大口ほか(1979)はUslにおいて海生生物化石を報告しているが,その詳細は不明である.堆積環境を決定することも今後の課題である. 大口ほか(1995)は竜ヶ島デイサイト部層の年代値として27.1±0.6 Ma(全岩K-Ar年代)を報告したが,この結果を若返りによるものとし,噴出年代を34 Ma以前であると論じた.本研究のジルコンU-Pb年代測定結果は,古第三紀後期始新世から前期漸新世の年代を示し,34Maから大幅に古い噴出年代とはいえない.この時代の当地域は陸弧に位置し,局所的な海進を伴うリフティングと火山活動,それに伴う地殻変動が起こった時期である.赤島~ごんご崎における火山岩類は,この火山活動の産物であると考えられる.謝辞:本研究は令和4年度秋田県ジオパーク研究助成事業の支援を受けました.記して感謝申し上げます.参考文献大口ほか(1979),岩鉱,74,207-216p.大口ほか(1995),地質学論集,44, 39-54p.鹿野ほか(2011),地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),127p.鹿野ほか(2012),地質学雑誌,118(6),351-364p.

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  • Taqumi Tuzino TUZINO, Takeshi NAKAJIMA, Kenta ASAHINA, Yuichiro SUZUKU ...
    Session ID: T15-P-17
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    はじめに 東北弧前弧海域には第三系が広く発達しており,複数の不整合が知られている1.これらは太平洋プレートや日本海拡大のテクトニクスなどを反映しているのだろうが,地質学的意義を理解する上での基本情報は不整合の年代である.そのためには試料採取の容易な陸上での不整合の認定と年代決定が重要である.この目的で下部中新統以下の地層がよく露出している北海道夕張地域の調査を行い,岩見沢市に分布する幌向層の軽石火山礫凝灰岩のジルコンU-Pb年代測定と化学分析を行ったので報告する.地質概説 幌向層は幌向川流域に小規模に分布する砂岩主体の地層2で一部にHCS構造が発達し,貝化石を多産し,下部には層厚30mを越える凝灰岩を挟有する.幌向層は下位の幌内層(始新統)を不整合に覆っているが上位の滝の上層とは不整合と整合の見解がある.不整合とする見解は,幌向層上限の海緑石と凝灰岩のFT年代(22.9±1.3 Ma),渦鞭毛藻・花粉化石年代による時間間隙を根拠としている3.整合とする見解は貝化石(朝日動物群)が本州の明世−椚平群集(18 Maころ)に対比可能と考え,滝の上層の下限年代(19 Ma頃4)と年代重複していることから推測されている.年代測定 試料は栗田5の採石場跡から堆積構造や異質岩片が認められないものを採取した.薄片で大量のバブル状のガラスが確認され,本質的で新鮮である.測定は(株)京都フィッション・トラックに依頼した.ジルコンは淡赤褐色の見かけ均質な自形結晶で,104 個/0.2kgと豊富に産した. 30個を年代測定に供し,29個がコンコーダントで年代値は22.0 ±0.1 Ma(2σ),なお30個でも同じ年代値となる.主成分・微量元素分析 主成分はXRF法で,微量分析はActlabsに依頼した.主成分はSiO2=78.16%, K2O=1.00%, Na2O=6.00%, Fe2O3*=0.43%,MgO=0.18%の流紋岩組成を示す. Masuda-Coryellプロットでは軽希土側は急傾斜(コンドライト比でLaが95),重希土側はフラット (11-13)で,Eu負異常がある.このパターンは沿海州の始新世火山岩類6,北海道地域の中新世火成岩7,8と共通する.不適合元素のスパイダー図ではNb・Taのトラフ,Pbの強い正異常,SrとEuの欠乏を特徴とする,島弧でよく見られるパターンを示し,特に敏音知火山岩類(17.1 Ma)と類似8する(Rb, Ba, Zr, Hfは若干低い).なお,両者とも基盤岩は日高帯である.地質学的位置付け U-Pb年代は既存のFT年代と誤差の範囲で一致し,幌向層凝灰岩の年代としては22 Maが妥当であり,栗田5の通り馬追・勇払地域の南長沼層(24-27 Ma)とは分布も年代も異なる別の地質単元である.上位の滝の上層とは1 my以上の堆積間隙が想定され,海緑石層を介した別の地質単元であろう.ここで「朝日動物群」の層位が問題となる.本州では微化石年代や酸素同位体カーブで18 Maに対比されるが,北海道では礼文島召国層(18 Ma以前)・三毛別層(約22 Ma)から産しており,幌向層もこれらの年代と整合である.「朝日動物群」の出現層位は本州と北海道とで異なる可能性がある.  次に,広域との対比を試みる.22Ma前後の珪長質火山活動は千島弧側の北海道には例がないが,東北弧側では渡島半島の福山層,定山渓層群の小柳沢層,積丹半島の茅沼層,男鹿半島の野村川デイサイトI,門ノ沢地域の仁左平層など点々とし北陸地域の鷲走ヶ岳月長石流紋岩に続く.海域には海溝会合部から西100kmの八戸海丘下に八戸沖火山岩類がある.この時期の東北日本弧は現在よりもかなり東に火山前線があり,広い範囲で点々と珪長質火山活動があったらしい.  最後に広域層序の観点から不整合を整理する.幌向層は露出も限られ広域での分布は不明だが,浅海生「朝日動物群」やHCS砂岩を含む浅海成層が発達することから沖合相が日高沖にかけて拡がっている可能性がある.南長沼層はプルアパート堆積盆埋積層3と考えられているので,海域に分布する幌内層相当層と滝の上層相当層の間の地層はむしろ幌向層相当層である可能性が高い.少なくとも八戸沖火山岩類は幌向層相当と言える.文献 1 大澤ほか2002石油技.2大原1966千葉大理紀,3栗田・横井2000石油技.4岡村ほか2010地質雑.5栗田2001石油資源開発技研報.6 Grebennikov and Popov, 2014, J.PacifcGeol. 7 Jahn et al. 2014, Am.J.Sci. 8古堅ほか2010地質雑.

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  • Aren KANAZAWA, Kohki YOSHIDA
    Session ID: T15-P-18
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    はじめに 砕屑性蛇紋岩の堆積年代は蛇紋岩体の地表への露出年代を表すとされ[1],蛇紋岩の活動時期を議論する上で重要な証拠となる.これまで北海道中軸部の蛇紋岩分布域に沿って白亜紀〜新第三紀の砕屑性蛇紋岩が報告されている[2〜5など].このうち中新統からの砕屑性蛇紋岩の報告は日高地域に限られており[4,5],他地域では添牛内図幅の築別層中の砂岩が “蛇紋岩質砂岩からなる”と記載されているのみである[6].これらの砕屑性蛇紋岩は中新世における蛇紋岩の活動の証拠として捉えられるが,北海道中央部以北に分布する蛇紋岩の活動時期は不明瞭であった. 今回,北海道幌加内町北部の添牛内地域の早雲内川中流域での地質調査中に蛇紋岩礫に非常に富む粗粒砕屑岩を再発見した.本研究はこの砕屑性蛇紋岩について記載し,蛇紋岩の活動に関連した当時の古環境やテクトニクスについて考察する.地質概説 北海道幌加内町北部の添牛内地域には白亜系蝦夷層群や蛇紋岩が基盤岩として分布し,これらを新第三系・第四系が不整合に覆う.このうち中部中新統は築別層と古丹別層に区分される.築別層は蝦夷層群や蛇紋岩を不整合に覆うか,断層でそれらと接し,古丹別層に整合に覆われる.築別層はさらに礫岩・砂岩・泥質岩中に石炭層を挟在する朱鞠内夾炭層,蛇紋岩質の砂岩・礫岩からなる三十線沢含化石砂岩部層,泥岩からなる天狗の花泥岩部層に区分される[6].蛇紋岩質砕屑物を含む築別層 早雲内川中流域に分布する築別層には級化・逆級化・塊状を呈する不淘汰な礫岩と,不明瞭な層状を呈する砂岩が含まれる.これらは,層厚48mで,下部から,含礫砂岩,礫岩と重なり,最上部では礫質砂岩や礫岩からなる一連の層序を示す.礫岩や砂岩は単層厚が10cmから3mであり,Bauma sequence Taからなる級化構造を示す.礫岩は単層全体に逆級化構造を持つものや下底面での浸食構造を持つものがある.塊状を呈する礫岩では,内部堆積構造は認められないものの,巨礫が中礫中に不規則に散在・浮遊する.これらの特徴は砕屑岩が混濁流やデブリフロウなどの高密度な重力流から堆積したことを示す.これらの地層は規則的な累重パターンを示さず,ランダムに出現する.礫岩中の礫は蛇紋岩が多いが,微閃緑岩を含むことがあるが,一様に良く円磨されている.それ以外の礫種は含まれない.礫岩・砂岩の基質中あるいは礫表面の付着物としてゴカイ・コケムシ・二枚貝などの化石を多産する. 鏡下観察によれば,砂岩の砕屑粒子のほとんどが蛇紋岩片からなり,クロマイトや緑泥石化した岩片を含むことがある.ゴカイ・コケムシ片を多量に含む.基質は粘土サイズの炭酸塩鉱物からなるが,セメント物質との区別は判然としない.蛇紋岩礫は主に蛇紋石,クロマイトからなり,かんらん石や方解石,緑泥石を含むことがある.輝石を蛇紋石が置換したバスタイト構造が見られることがある.微閃緑岩礫は主に斜長石,単斜輝石,黒雲母からなり,輝石は褐色の角閃石の反応縁を持つ.この角閃石の一部はさらに緑泥石に置換されている.副成分鉱物として金属鉱物やアパタイトなどを含む.蛇紋石や滑石の脈に貫かれることがあるのが特徴的である.考察 砕屑岩はデブリフロウ等の高密度な重力流堆積物の不規則な累重からなる.これはこれらの砕屑岩がチャネルやローブとして堆積したものではなく,斜面上で不規則に生じた小規模な重力流堆積物の集積であることを示唆している.そのため,海底斜面上に生じたスロープエプロン系による供給が考えられ,堆積場の後背地に断層崖などの急斜面を背景にしたことが推測される.全層準を通して蛇紋岩以外の砕屑粒子に非常に乏しいことは,起源となった地質体が蛇紋岩体のみから構成されていたことを示す.微閃緑岩が蛇紋石脈に貫かれることから,微閃緑岩は超苦鉄質岩中に取り込まれていた可能性を示す.以上から砕屑岩は上昇・露出した蛇紋岩(+微閃緑岩)体が作る断層崖の前面にて形成されたと考えられる.南方の日高地域では築別層の堆積と同時期の蛇紋岩の活動が知られており(紅葉山蛇紋岩海山列;[7]),中新世前期〜中期の蛇紋岩の上昇・露出イベントは北海道南部から少なくとも中央部までは連続したと考えられる.文献[1]荒井ほか,1983.地質雑,89,287-297.[2]永田ほか,1987.地球科学,57-60.[3]吉田ほか,2003.地質雑,109,336-344.[4]Okada H., 1964. Mem. Fac. Kyushu Univ. Ser. D, Geology, 15: 23-38.[5]新井田・福井,1987.穂別町立博物館研究報告,4,33-48.[6]橋本ほか,1965.5万分の1地質図幅「添牛内」及び説明書.[7]加藤・合地,2008.日本地質学会第 115 年学術大会要旨,229.

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  • Raiki Yamada, Toshiro Takahashi, Mitsuhiro Nagata, Hayato Ueda
    Session ID: T15-P-19
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    1. はじめに1.0 Gaに始まったと考えられる現在のプレートテクトニクスの中でも,背弧拡大に伴う火成活動はその原因や役割に関して多くの未解明な点がある.本研究では背弧拡大の典型例とされている日本海拡大に注目し,背弧拡大中の沈み込み帯火山活動の時間変遷を明らかにするため,富山堆積盆に分布する日本海拡大期火山岩類の地質学的および岩石学的研究を行った.本発表では,地質調査結果,ジルコンU–Pb年代,鉱物・全岩化学組成を報告し,富山堆積盆での日本海拡大期火成活動の時間変遷を議論する.2. 富山堆積盆の地質と年代富山堆積盆の漸新統~中部中新統は下位より,南砺層群(仮称;城端層,楡原層など)と八尾層群(岩稲層,医王山層など)から構成される.南砺層群は火砕岩を含む主に陸成層からなる.八尾層群は下部が火山岩を主体とする陸成層から,中部が一部火山岩を含む暴風時波浪限界水深(SWB)以浅の海成層から,上部がほとんど火山岩を含まないSWB以深の海成層から主になる.また,城端層から22.8 ± 0.2 Ma(2σ;以下同様),楡原層から23.6 ± 0.3 Ma,岩稲層から17.1 ± 0.4 Ma,医王山層から16.8 ± 0.2 Maのジルコン238U–206Pb加重平均年代が得られた.各層の岩相と年代値,先行研究の年代論(生層序,古地磁気層序を含む)[1, 2]から,富山堆積盆は約23 Maに流紋岩質火砕流を伴って陸域で形成が開始され,18–16 Maに起きた主に陸域での安山岩~流紋岩質火山活動を経て,15 Ma頃までに堆積環境がSWB以浅からSWB以深へと変化したと考えられる.3. 火山岩の特徴富山県南砺市に分布する城端層と岩稲層,医王山層の火山岩類を採取し,化学分析をおこなった.城端層は流紋岩質溶結凝灰岩(Afs + Qz ± Bt;タイプ1)から,岩稲層はカンラン石複輝石安山岩(タイプ2),複輝石角閃石安山岩(タイプ3)および複輝石安山岩(タイプ4)の3つの安山岩類から,医王山層は複輝石角閃石デイサイト~流紋岩(タイプ5)から,それぞれ構成される.タイプ1はアルカリ系列の流紋岩からなるのに対して,タイプ5は非アルカリ系列の流紋岩類からなる.タイプ2は高いMgO量(最大7.81 wt.%)などで特徴づけられる高マグネシア安山岩(HMA)である.タイプ3は非常に高いSr量(>2000 ppm)で特徴づけられる高Sr安山岩である.タイプ4は分化の進んだ(Mg# = 41–49)ソレアイト系列安山岩である.4. 火山岩の成因と火成活動の時間変遷富山堆積盆の日本海拡大期火成活動はタイプ1の噴出から開始した.タイプ1は非常に肥沃的な全岩Sr–Nd同位体組成(例えばSrI = ~0.7085)やジルコンHf同位体組成(176Hf/177Hf = 0.282469–0.282815)を示すことなどから,熱源となった玄武岩質マグマ(能登半島に分布する同時代の神和住層や馬緤層)が大陸地殻物質を高い比率で同化して出来た流紋岩であると考えられる.5 Myrほどの火成活動休止期の後の18–17 Maには,下位からタイプ2~4の安山岩溶岩が噴出して岩稲層を形成した.全岩主要・微量元素組成変化図や,全岩Sr–Nd同位体組成を用いたシミュレーション計算の結果等から,安山岩類の成因は以下のように考察される.タイプ2はマントルと平衡なMg#(>64)を持つがやや肥沃的な全岩Sr同位体組成(SrI = 0.7048)を示すことから,スラブ流体で飽和したマントルが溶融することで出来た.タイプ3はLSA[3]様の化学組成を示すこととスラブメルトに影響を受けた全岩Sr–Nd同位体組成を示すことから,スラブメルトに汚染されたマントルが部分溶融することで出来た.タイプ4は分化した全岩主要・微量元素組成や非常に肥沃的な全岩Sr–Nd同位体組成(例えばSrI = ~0.7074)を示すことから,玄武岩質マグマが大陸地殻を同化することで出来た.タイプ5はこの安山岩質火成活動の直後に形成されたので,それを熱源にして生み出された流紋岩類だと考えられる.タイプ5も肥沃的な全岩Sr–Nd同位体組成(例えばSrI = ~0.7083)やジルコンHf同位体組成(176Hf/177Hf = 0.282524–0.282693)を示すことから,安山岩マグマが地殻溶融メルトと混合することで出来たと考えられるが,大陸地殻物質の影響はタイプ1よりは少なかったと推定される.富山堆積盆の日本海拡大期火成活動は医王山層の形成終了をもって約16 Maに減退した[1].引用文献 [1] 山田・高橋(2021)地質雑,127,507–525. [2] 中嶋ほか(2019)地質雑,125,483–516.[3] Martin et al. (2005) Lithos, 79, 1–24.

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  • Toshiaki IRIZUKI, Satomi KUROKAWA, Hiroki HAYASHI, Akira TSUJIMOTO, Ko ...
    Session ID: T15-P-20
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    本研究対象の槇野層は三重県伊賀市東部に分布する阿波層群の最上部層である.阿波層群は前期~中期中新世に瀬戸内区に堆積した“第一瀬戸内累層群”を構成する地層の一つである.槇野層は主に含礫泥岩層と黒色泥岩層から構成され,産出する浮遊性有孔虫化石からBlow (1969)のN8帯に対比され(吉田,1987;吉田ほか,1994;藤原ほか,2005),中期中新世最温暖期に形成された.下位の阿波層群平松層とは整合(吉田ほか,1994)と不整合(藤原ほか,2005)の見解があり,分布域の東側では阿波断層により基盤の花崗岩類と接する. 本発表では槇野層に見られる特異的な岩相を報告し,岩石試料の微化石分析(貝形虫化石と有孔虫化石)とCNS元素分析に基づき槇野層の堆積環境を復元する.  本研究では下阿波地域の槙野川沿いで地層の記載と岩石試料の採取を行った.槙野川中流域では下位の平松層の中粒砂岩層を侵食し,基盤を構成する片麻岩や花崗岩の角礫主体の含礫泥岩層が重なる.この周辺では全体的に逆級化した角礫岩層や含礫泥岩層が卓越し礫岩砂岩互層も挟在する.含礫泥岩の礫種は片麻岩,花崗岩類,頁岩,チャートが優勢で径1 mの片麻岩の巨礫も多数みられる.さらに,藤原ほか(2005)が指摘したように頻繁に下位の平松層由来と推定される砂岩礫が含まれ,径1 m以上で貝化石を含み層理のある砂岩岩塊も認められた.一方,槙野川上流域の槇野層主部では,黒色泥岩層が卓越し層厚数mの含礫泥岩層を挟在する.この含礫泥岩層にも下位の平松層由来と推定される砂岩礫や礫岩礫が含まれる. 微化石分析の結果,貝形虫化石に関しては砂岩岩塊からPseudoaurila spp.や Celtia subreticulataなどの瑞浪層群明世層から多産する浅海性種(Irizuki et al., 2004)が多産した.一方,黒色泥岩からわずかにBradleya sendaiensis, Krithe sp., Cytherella sp.のような深海泥底種が産出し,含礫泥岩から浅海〜深海までの種が混在して産出した.今回初めて底生有孔虫化石が産出し,産出傾向は貝形虫化石と同様で砂岩岩塊から岩礁沿岸の藻場種であるGlabratella cf. millettiや内部浅海帯種のCibicides cf. refulgensHanzawaia nipponicaなどが多産し,黒色泥岩あるいは含礫泥岩から下部浅海帯〜上部漸深海帯を示唆するGlobocassidulina subglobosaHoeglundina elegansとともに浅海性種が混在して産出した.浮遊性有孔虫化石は砂岩岩塊からほとんど産出せず,黒色泥岩や含礫泥岩から従来報告されているように(吉田,1987;藤原ほか,2005),Globigerina angustiumbilicata, Globigerina praebulloides, Globoturborotalia woodiなどが多産した.示準種としてN8帯の基底を決定するPraeorbulina sicanaのほか,初めてPraeorbulina curvaが産出した. CNS元素分析に関しては全有機炭素が0.21〜0.72 wt%, 全窒素が0.01〜0.06 wt%, 全イオウが0.09〜2.04 wt%であった.これらの値が高い一部の層準では,黄鉄鉱を伴う有孔虫化石が多数確認された.  以上をまとめると,槇野層は従来通りN8帯に相当するが,P. curvaの産出によりN8帯の基底より約10万年新しい層準(Ogg et al., 2016)が確認された.当時の古水深は下部浅海帯〜上部漸深海帯で一時期還元的な深海泥底が広がっていたと推定される.また,下位の平松層由来と推定される地層が岩塊として含まれ,再堆積微化石群集を多く含んでいること,逆級化を示す堆積構造があることなどから槇野層は基盤や下位の地層を侵食し,それらを岩塊として取り込んだ大規模海底土石流堆積物であると推定され,日本海拡大に伴う当時の構造運動を反映している可能性がある. 引用文献:Blow (1969) Proc. 1st Intern. Conf. Planktonic Microfossils, 199–422.藤原ほか(2005)地質雑,111, 779–791.Irizuki et al. (2004) Micropaleontology, 50, 105–147. Ogg et al. (2016) A Concise Geologic Time Scale: 2016, Elsevier, 240p. 吉田(1987)地調月報,38,473–483.吉田ほか(1994)津西部地域の地質 5万分の1地質図幅,136p.

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  • Akihide Kikukawa, Yoshiaki Aita, Noboru Furukawa, Nobuhiro Kotake
    Session ID: T15-P-21
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    【はじめに】 激しく変形した地質体の層序や地質構造の解明には,浮遊性微化石層序に基づく地層の対比や堆積年代が有効な手がかりとなる.しかし堆積物の削剥作用や埋没後の続成作用によって,微化石が地層中に保存されない場合や保存状態が悪化する事が知られている.そのため,種レベルでの同定が困難となり,地層の対比や年代決定の精度が低下し,ひいては層序や地質構造の議論が十分に行えないケースがある.筆者らは,続成作用が進行して微化石の保存状態が悪い堆積物から,保存良好な微化石を効率良く多量に抽出する試料として炭酸塩コンクリーション化した生痕化石に着目してきた.そして,鹿児島県種子島の漸新統から産出した生痕化石Tasselia ordamensis(以下Tasselia)から抽出した放散虫化石群集を,その好例として報告した(Kikukawa et al.,2022).本研究では,房総半島の三浦層群天津層に産するTasseliaから抽出した放散虫化石群集を対象とし,その保存状態と層序学的重要性について検討した.【地質概説】 本研究で対象とする三浦層群は,外縁隆起帯である嶺岡帯北側に形成された前弧海盆を埋積した中部中新統〜下部鮮新統である(柴田ほか,2021).このうち,天津層は本層群下〜中部の層準を占める泥岩を主体とする中〜上部中新統で,凝灰岩層を頻繁に挟在し,それらのうちAm1~Am101までの凝灰岩鍵層が知られている(中嶋・渡辺,2005).【試料及び処理方法】 本研究では天津層下部の凝灰岩鍵層Am29の下位約3.5 mの層準から採取した泥岩と生痕化石Tasseliaに含まれる放散虫化石を検討した.まずTasseliaの断面スラブを作成した.それをフッ化水素酸および塩酸で酸処理した後,その表面をSEMで観察した.さらに残渣から目安100個体の放散虫化石を拾い上げSEMで撮影し種レベルで同定した.泥岩試料についても同様の酸処理を行い,残渣から拾い上げた放散虫化石を種レベルで同定した.さらに,Tasseliaの内部充填物の鉱物組成をXRD分析で求めた.【結果】 TasseliaからはCyrtocapsella japonicaDiartus petterssoniLithopera baccaL. thornburgiなど28属36種で構成される放散虫化石群集が確認された.一方,泥岩試料からはEucyrtidium yatsuoenseE. calvertenseDidymocyrtis cf. laticonusなど8属11種から構成される放散虫化石群集が確認された.Tasseliaから産出した放散虫化石は,spineやapical horn,feetといった微細な構造が欠損することなく保存されていた.一方,泥岩から産出した放散虫化石のほとんどは破損しており保存状態は悪かった. XRDによる分析の結果,ドロマイト,カルサイト,石英,斜長石がTasselia内部の充填鉱物であると判明した.この中でも特にドロマイトが優勢であることが示唆された.【考察】 天津層の複合年代層序を詳細に検討した澤田ほか(2009)は, D. petterssoniの初出現が凝灰岩鍵層Am29よりも上位(Am29-Am31間)のSP-3層準と考えた.D. petterssoniは,その初出現が低緯度放散虫化石帯RN6帯の基底を定義することから,生層序学的に重要な種とされている.一方,本研究でAm29の下位側約3.5 mの層準から採取したTasseliaには, D. petterssoniが保存されていた.この事実は,天津層における本種の初出現層準が,従来の見解よりも下位に位置することを示唆する. 澤田ほか(2009)は,泥岩に比べ石灰質ノジュールから保存良好な放散虫化石が多産するとしているが,Am29より20 m下位までは泥岩試料を用いて検討している.本研究でTasseliaと泥岩とで放散虫化石の保存状態を比較した結果,泥岩試料から産出した放散虫化石のほとんどは保存が悪かった.一方,ドロマイトといった炭酸塩鉱物で充填されたTasseliaからは保存良好な放散虫化石が多産し,D. petterssoniをはじめとする生層序学的に重要な種も産出した.この様に,炭酸塩コンクリーション化した生痕化石内に保存された微化石が,母岩中のそれよりも質の高い生層序学的情報を提供することは注目に価する.【文献】Kikukawa et al.,2022,InterRad(XVI) in Ljubljana,Abstr. 51-52.中嶋・渡辺,2005,5万分の1地質図幅「富津」.澤田ほか,2009,地質雑,115,206-222.柴田ほか,2021,神奈川博調査研報(自然),16,69-106.

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  • Takumi MIMURA, Tatsuki HOJO, Shun CHIYONOBU
    Session ID: T15-P-22
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    【はじめに】日本列島の太平洋側では,海洋プレートの沈み込みに伴う付加体が広く形成され,それを基盤とする前弧海盆が分布している。本研究対象地域の静岡県掛川地域は,典型的な前弧海盆とされ,新第三系が厚く堆積している。本地域の相良-掛川堆積盆は,三倉層群・瀬戸川層群を付加体として,倉真層群・西郷層群がそれらを被覆している(三村・千代延, 2022)。前弧海盆では,海洋底が酸化的になりやすいために堆積物中の有機物が分解されやすく,また,地殻熱流量が低いプレート沈み込み帯に位置するため,一般的に石油システムの成立は難しいとされている。しかし,本堆積盆には相良油田が胚胎しており,その石油根源岩層準は付加体である三倉層群や被覆層である倉真層群松葉層であると指摘されている(上田ほか, 2007)。さらに,最近の探査では,前弧海盆の付加体に由来する油・ガスの存在が示されている。石油システムを検討するには,基盤岩とそれを被覆する堆積物の層序を明らかにし,堆積盆の発達過程を理解することが極めて重要である。埋積最初期とされる倉真・西郷両層群の生層序は,斎藤(1960)や茨木(1986),柴ほか(2020)の浮遊性有孔虫化石の研究があり,下部中新統とされてきた。しかし,倉真・西郷両層群および基盤岩である三倉・瀬戸川両層群において,地域間層序対比に有効な石灰質ナンノ化石層序の報告はない。そこで,本講演では,各層群の石灰質ナンノ化石層序の結果について紹介し,本堆積盆における基盤岩と被覆層の構造について議論する。【研究地域および手法】静岡県掛川市北部~島田市南西部において,83ルートで地表踏査を行い,823試料を採取した。石灰質ナンノ化石層序の検討のため,泥岩とシルト岩はスミアスライド法で,砂岩は沈降法で処理し,1,500倍の透過型生物顕微鏡を用いて検鏡した。鑑定においては,無作為に200個体を抽出し,石灰質ナンノ化石の鑑定を行った。また,時代決定に有効な種については,加えて検鏡を行った。また,熱履歴の検討を行うためにRock-Eval分析を行った。【結果および考察】全層準を通して石灰質ナンノ化石の産出は少なく,保存状態は悪い。産出した石灰質ナンノ化石は13属18種であった。最も多産したのは,Reticulofenestra属,続いて,Discoaster属,Sphenolithus abiesとなった。本堆積盆の基盤をなす三倉層群神尾層上部,瀬戸川層群童子沢層上部において,それぞれ5属5種が散逸的に産出した。本堆積盆を埋積する倉真層群では,8属14種のうち,ほとんどの種において,下部で散逸的に産出し,中部で産出せず,上部で散逸的に産出した。また,西郷層群では,7属12種が下部~中部でほとんど産出せず,上部で比較的連続的に産出した。時代決定に有効な種に注目すると,Cyclicargolithus floridanusが瀬戸川層群上部および倉真・西郷両層群で産出し,Sphenolithus heteromorphusが倉真・西郷両層群で産出した。Martini(1971)および三田・高橋(1998)より,瀬戸川層群はC. floridanusの少なくとも産出範囲内に,倉真・西郷両層群はNN5帯(中期中新世)に対比される。Chiyonobu et al.(2017)は,房総堆積盆の最初期の被覆層である三浦層群木の根層は,NN5帯から埋積を開始したと指摘している。すなわち,本地域は房総半島と同じ構造発達史を持つ可能性が示唆される。 また,Rock-Eval分析によって得られたTmaxは,三倉層群,瀬戸川層群,倉真・西郷両層群で,それぞれ平均464℃,449℃,435℃であった。 以上より,基盤である付加体の年代においては幅があるものの,三倉・瀬戸川両層群と倉真・西郷両層群では,温度構造に大きな差があるため,地質構造的に大きなギャップがあると指摘できる。基盤岩と被覆層の年代ギャップは,今後検討を進めていく。 〈引用文献〉・Chiyonobu et al., 2017, Tectonophysics, 710-711・茨木, 1986, 地学雑, 92(2)・Martini, 1971, Proceedings of the 2nd Planktonic Conference・三村・千代延, 2022, JAPT2022講演要旨集・三田・高橋, 1998, 地学雑, 104(12)・斎藤, 1960, 東北大学理地質学古生物学教室研究邦文報告, 51・柴ほか, 2020, 地球科学, 74・上田ほか, 2007, 石技誌, 72(4)

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  • Ryota TANE, Toshifumi KOMATSU, Julien LEGRAND, Toshihiro YAMADA, Doan ...
    Session ID: T15-P-23
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    北部ベトナムのランソン省東部には,古第三系~新第三系のナーズン層と新第三系のリンチュア層が分布しており,ナーズン炭鉱の炭鉱北東部で両者は良く露出している.ナーズン層は,泥岩を主体とし,厚さ数10㎝の極細粒砂岩を伴う.ナーズン層には9層の厚く連続性の良い炭層が挟まれ,現在ではCoal Bed No. 4とCoal Bed No. 9を中心に露天掘りで石炭の採掘が行われている.Coal Bed No. 4は, 層厚が約30 mの石炭層で,この石炭層とその上位や下位の層準から, カメやワニ, 淡水生の魚類などの脊椎動物化石や直径が50~100㎝ほどの巨大な珪化木などの植物化石が多産し,哺乳類の歯や顎などの化石も報告されている(Bohme et al., 2011, 2013).Coal Bed No. 9はナーズン層の最上部の石炭層で層厚約2 m. この石炭層はリンチュア層によって整合に覆われている.リンチュア層は,泥岩を主体とし,材化石や炭層は伴わないものの,植物の葉や二枚貝,巻貝などの化石を多産し,球状あるいは層状の菱鉄鉱ノジュールを含む.両層の詳細な地質年代については,主に花粉化石や哺乳類などの大型化石に基づいて議論されてきた. Trung (2000)は, 模式地のナーズン炭鉱から産出した花粉化石群集の研究から, 地質年代の指標となる Gothanipollis bassensis, Liquidambarpollenites minutus, シダ植物のLycopodiumsporites sp.などの花粉化石を確認し, ナーズン層の地質年代を漸新統あるいは中新統などとしている. また, リンチュア層は模式地のリンチュア村から産出した花粉化石群集の予察的な研究から, 年代のインデックスとなるGothanipollisなどの花粉化石を確認し, 鮮新統か中新統~下部鮮新統としている(Colani, 1920; Tran and Trinh, 1975).しかし,これらの研究では,花粉化石が得られた層準が報告されていないことや地質年代の指標とされた種が適当かどうかなどの問題があった.また,哺乳類化石からは,ナーズン層のCoal Bed No. 4付近の層準が始新統とされており(Bohme et al., 2011, 2013),ナーズン層とリンチュア層の地質年代については詳しいことが分かっていない.本研究では, ナーズン炭鉱内のナーズン層最上部~リンチュア層下部の柱状図を作成し,約5 m間隔で花粉化石の分析・同定を行い地質年代について再検討し, さらに花粉化石の群集構成から古環境や古気候の変遷を明らかにすることを研究の目的とする.現時点では予察的な報告にすぎないが,ナーズン層とリンチュア層ともに多くの胞子・花粉を確認することができ, 木生シダ植物のCyathidites sp.や被子植物の三溝粒, 三溝孔型花粉などを中心として18属13種の胞子や花粉化石が同定できた. また, リンチュア層で確認できたTricolpites reticulatusは, 被子植物のグンネラ科の花粉で, 現在, この植物は, 北半球には分布しておらず,南太平洋周辺の南半球に分布していることが知られている.引用文献Böhme et al., 2011,The Cenozoic on-shore basins of northern Vietnam: Biostratigraphy, vertebrate and invertebrate faunas, Journal of Asian Earth Sciences, 40(2), 672-687.Böhme et al., 2013,Na Duong (northern Vietnam) – an exceptional window into Eocene ecosystems from Southeast Asia, Zitteliana A, 53, 120-167.Colani, 1920, Étude sur les florès tertiaires de quelques gisements de lignite de l'Indochine et du Yunnan, 674p. (in French)Tran and Trinh, 1975, New results of study on biostratigraphy of Neogene sediments of the NE Vietnam. Collection of stratigraphical works on NE Vietnam. Research and Survey Works. House of Science and Technology, Hanoi, 244–283. (in Vietnamese)Trung P.Q., 2000, New documents about BTPH in HT Na Duong (1), TẠP CHÍ DẤU KHÍ SỐ 7-2000, 18-27. (in Vietnamese)

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  • Noritaka Matsubara, Suzuka Kooriyama, Kyohei Sano, Toshiki Haji, Tohru ...
    Session ID: T15-P-24
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    兵庫県北部を中心に分布する北但層群は日本海拡大期を記録した一連の地層からなり,当時のマグマティズムとテクトニクスを解明するうえで重要な地層群である.しかし従来,北但層群に関する地質学的研究は,一部を除いて層序学的なものに限られ(弘原海ほか,1966など),堆積環境や火山活動の詳細は未だ明らかにされていない.そこで本研究では但馬御火浦周辺に分布する北但層群を対象に岩相解析を行い,古環境を復元するとともに層序学的な位置づけを行うためにU-Pb年代測定を実施した. <但馬御火浦-浜坂エリアに分布する北但層群の堆積相>  岩相解析の結果,火山岩類は主に溶岩・岩脈として産することが明らかとなった.溶岩は陸上噴出のものと水中噴出のものに分けられ側方及び上方で火山砕屑岩類へ遷移する. 火山砕屑岩類は陸上自破砕溶岩やハイアロクラスタイト,水中軽石流堆積物等の初生的なものと,一度定置した溶岩類や火山砕屑岩類が再堆積したタービダイト,重力流堆積物など二次堆積性のものに分けられる.ハイアロクラスタイトは,ジグソーフィット構造が発達するものと,ジグソーフィット構造が発達せず成層するタイプに分けられる.前者は溶岩類から遷移する場合があり,後者は偽枕状溶岩を含むことがある.以上の岩相の特徴から,前者は原地性のハイアロクラスタイトと,後者は前者が水中土石流等で再堆積した再堆積のハイアロクラスタイトと解釈した. 砕屑岩類は主に河川堆積物,三角州堆積物,海成堆積物に分けられる.河川堆積物は,トラフ型斜交層理の発達する礫岩で,上方で細粒化し,一部でトラフ型斜交層理の発達する砂岩へ遷移する.三角州堆積物は,平行葉理やフォーセット葉理,ウェーブリップルなどの堆積構造が認められる砂岩泥岩互層で,弱成層した礫岩へと遷移する.海成堆積物は炭質物を含み級化構造やコンボリュート層理が認められる砂岩泥岩互層である. <層序と堆積相>  調査地域に分布する北但層群は,下位から基盤を不整合で覆う八鹿層,八鹿層を不整合に覆う豊岡層に分けられる(兵庫県,1996).後述するように従来豊岡層とされていた層準における年代測定値が豊岡層上位の網野層の年代値と一致したため,それらの層準の堆積相については網野層相当層として記載する. 調査地域のうち,八鹿層分布域の西部は,安山岩質のハイアロクラスタイトおよび溶岩類からなり,水中火山を形成していたものと考えられる.八鹿層の東部は主に安山岩質の溶岩やラハール堆積物を主体とする.これらは著しく赤色酸化しており,陸上での火山活動が示唆される.北東部ほど上位という地質構造から水中から陸上へと堆積環境の変化があったと考えられる.豊岡層は河川堆積物を主体とする.網野層相当層は分布域の北西部で三角州堆積物や偽枕状溶岩を含む珪長質水中軽石流堆積物,分布域北東部で偽枕状溶岩を含む安山岩質ハイアロクラスタイトと溶岩類,海成堆積物,泥岩の偽礫を含み二重級化構造の見られる珪長質水中軽石流堆積物からなる.分布域南部は浅海成堆積物を主体とする.網野層相当層の南部と北部の岩相は同時異相であると考えられ,北部に水中火山が存在していたと考えられる.<U-Pb年代>  兵庫県香美町余部および新温泉町三尾に分布する従来豊岡層とされる軽石流堆積物からジルコンを抽出し,U-Pb年代測定を行った結果,15.43±0.12Maと15.4±0.2Maを得た.羽地・山路(2019)は本地域の約30km南方の地域の示準化石およびジルコン年代に基づき,豊岡層が17.0~16.5Maに,その上位の村岡層を16.5Ma以降に堆積したと推定した.村岡層は、丹後半島の火山砕屑岩類及び砂岩泥岩互層を主とする網野層に対比される.網野層からは16~14 Ma の放射年代値が報告されており(山元・星住,1988; 辻野, 2019),今回年代測定を行った層準は放射年代値と岩相から網野層に対比する必要がある. <まとめ> 兵庫県北部但馬御火浦周辺に分布する北但層群の砕屑岩類等を対象に堆積相解析を行った結果,八鹿層堆積時に水中および陸上の火山が,豊岡層と網野層相当層の堆積時に水中の火山が活動していたことが分かった.U-Pb年代測定を行った結果従来豊岡層とされていたものが網野層と比較される可能性が示唆された.羽地 俊樹, 山路 敦,2019.地質雑,125, 9, 685-698.兵庫県, 1996. 兵庫県まちづくり技術センター, 236p. 辻野 匠,2019. 地質学会第126年学術大会講演要旨. 弘原海清ほか,1966,松下進教授記念論文集,105-116. 山元 孝広, 星住 英夫, 1988.地質雑, 94, 10, 769-781.

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  • Yui Kanazashi, Yuji Orihashi, Souta Niki, Hideki Iwano, Takahumi Hirat ...
    Session ID: T15-P-25
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    津軽西海岸には“グリーンタフ” と呼ばれる中新世の火砕岩・火山岩が広範囲に分布している (例えば, 鹿野, 2018). 同西岸域に位置する深浦地域の中新統は, 先第三紀の花崗岩類を基盤とし, 下位から藤倉川層, 大戸瀬層, 田野沢層, 大童子層, 赤石層からなり, 本研究対象である十二湖凝灰岩は大童子層と指交関係にあるとされている (盛谷, 1968). 根本・吉田 (2007)は十二湖凝灰岩を構成する軽石凝灰岩と流紋岩のK–Ar年代測定を行い, 笹内川の軽石凝灰岩から10.1 ± 0.6 Ma (2σ)および10.9 ± 0.8 Ma (2σ), 小峰川の流紋岩から11.2 ± 1.2 Ma (2σ) を得た. さらに, 微化石に基づく赤石層と大童子層の境界年代が11.5 – 7.9 Ma (例えば, 根本・鎌田, 2005) であることから, 十二湖凝灰岩は赤石層下部と同時異相の関係にあると論じた. 一方, 笹内川の軽石凝灰岩から得らえたK-Ar 年代結果は同一試料の結果であるにも関わらず年代幅が大きいことから根本・吉田 (2007)が分析した試料の一部は変質作用によりAr損失もしくは過剰Arの影響を受けている可能性が示唆される. そこで本研究では変質作用の影響をほとんど受けないジルコンのU–Pb 年代法を用いて十二湖凝灰岩の形成年代について再検討を行った. 試料は十二湖凝灰岩上部の笹内川下流域の軽石凝灰岩 (PT01) と十二湖凝灰岩中部の流紋岩質角礫岩 (RB02) である. 併せて, 汐ヶ島付近の海岸域からNW–SE方向に発達し, 十二湖凝灰岩に貫入する流紋岩質岩脈 (RD03) についても採取し, U-Pb 年代測定を行った. 測定には東京大学大学院理学系研究科地殻化学研究施設設置のフェムト秒レーザーアブレーション多重検出器型ICP質量分析装置を用いた. 今回得られた結果のうち, 十二湖凝灰岩中部から採取したRB02の238U–206Pb年代の加重平均は12.05 ± 0.04 Ma (2σ)であり, これに貫入するRD03の加重平均は12.03 ± 0.08 Ma (2σ) であった. 両者の形成年代はほぼ同時であることから, 同貫入岩は十二湖凝灰岩主要部のフィーダーダイクと考えられる. 十二湖凝灰岩上部から採取した238U–206Pb年代値は12 Maと109 Maにピークを持つバイモーダルな年代分布を示した. また, 12 Maの主要ピークは13 – 10 Maの年代幅を持ち, 非混合アルゴリズムに基づく解析から10.55 ± 0.24 Ma (2σ)と12.24 ± 0.08 Ma (2σ)の年代値を得た. このことから, PT01の噴出年代は10.5 Maと近似でき, 根本・吉田 (2007)より報告された笹内川流域の軽石凝灰岩のK–Ar年代値と誤差範囲で一致した.  PT01中の12 Maと109 Maの年代を示すジルコンは10.5 Maの噴火活動の際に取り込まれた外来ジルコンであり, 前者は十二湖凝灰岩主要部, 後者は基盤岩の白神山地花崗岩類起源 (早坂ほか, 2015) と考えられる.  以上のことから, 十二湖凝灰岩の火成活動は少なくとも2回あり, 主要部をなす流紋岩質溶岩・角礫岩は12.2 – 12.0 Maに形成され, 約2 m.y. の休止期を挟んで10.5 Maに軽石凝灰岩が形成されたことが明らかになった. 今回分析したPT01中には12 Maを示す外来ジルコンが大量に混在することから, その噴出源は十二湖凝灰岩主要部と重複すると考えられる. 今回の結果をふまえて十二湖凝灰岩と大童子層, 赤石層との層序関係を検討すると, 十二湖凝灰岩主要部の流紋岩質溶岩・角礫岩は大童子層上部と指交関係にあり, 十二湖凝灰岩の軽石凝灰岩は赤石層下部に狭在することが示唆される. これは十二湖凝灰岩が大童子層上部と同時異相の関係にあるとする盛谷 (1968)と, 赤石層下部と同時異相の関係にあるとする箕浦ほか (1998)や根本・吉田 (2007)の主張とも矛盾しない結果である.  なお, PT01については, 年代測定を行った95%のジルコンが外来起源と考えられることから, 同一ジルコンを用いたFT年代測定を行うことにより, 外来ジルコンが10.5 Maに完全リセットされているか, あるいは部分的再加熱なのかを確認する予定である.引用文献:鹿野 (2018) 地質学雑誌, 124, 781 – 803. 根本・鎌田 (2005) 日本の地質増補版. 根本・吉田 (2007) 白神研究, 4, 11 – 14.  早坂ほか (2015) 日本地質学会学術大会講演要旨. 箕浦ほか (1998) 青森県の地質. 盛谷 (1968) 5万分の1地質図幅説明書「深浦」

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  • Hiroki Hayashi, Tohma Nohmi, Mahito Watanabe
    Session ID: T15-P-26
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    隠岐島後には中新統が広く分布し,日本海形成とそれに引き続く地史を復元するうえで重要である.このうち,海成層は中部中新統の久見層と,上部中新統の都万層である.これらの地層は化石を豊富に産出するが,上部中新統の流紋岩・粗面岩類に貫入あるいは被覆されて分布が著しく断片化しているため,詳細な層序対比に課題が残されていた.隠岐島後の南西部,都万地域は都万層の模式地である.下位の久見層泥岩は数10 m以下の小露頭として断片的に分布し,一部は都万層に不整合で覆われる.本地域の都万層は,下位より,主に石灰質砂岩からなる釜谷砂岩部層と,凝灰質砂岩からなる中里砂岩部層とに区分される.都万層に含まれる貝化石群集は,塩原耶麻動物群の要素と大桑万願寺動物群の要素が混在するという特徴を有し,後期中新世に対比された(角館,1988など).一方で,多井・加藤(1980)は,釜谷砂岩部層から浮遊性有孔虫Globigerina praebulloides pseudociperoensisおよびGlobigerina cf. druryiを報告し,これら2種の共存から浮遊性有孔虫化石帯N.10~N.12帯に対比した.角館(1988)は,釜屋海岸における釜谷砂岩部層の化石産地のうち,多井・加藤(1980)の産地と同一とみられるLoc. 1を久見層に相当するものとし,都万層に相当するLoc. 2との間に断層を推定した.この解釈は西郷図幅(山内ほか,2009)でも踏襲された.しかし,多井・加藤(1980)で報告された2種の年代指標種のうち,前者は実際には前期中新世~後期中新世にわたる広い層準から産出しており,また,後者は典型的な個体でない(cf.)ことから,年代決定の妥当性について再検討の余地がある.本研究では,都万地域で詳細な地質調査を実施し,微化石分析試料を採取した.あわせて,島根大学総合博物館に保管されている角館(1988)のLoc. 1およびLoc.2の岩石試料(須永ほか,2021で貝形虫化石が検討されている)を用いて,有孔虫化石を検討した.その結果,Loc. 1および2の浮遊性有孔虫・底生有孔虫群集に大きな差異が無いこと,およびLoc. 1の試料から後期中新世の浮遊性有孔虫種Globorotalia praemargaritaeを認めたことから,釜屋海岸の貝化石産地は両方とも都万層に対比された.底生有孔虫群集はCibicides lobatulusなど浅海性の種が多産するものの,Trifarina kokozuraensisなど上部漸深海帯以深の種も有意な産出頻度を示すことから,長谷川ほか(1989)の上限深度帯の概念を適用するならば,上部漸深海帯以上の古水深が推定された.上位の中里砂岩部層からはTeichichnusRosseliaなど沖浜環境を示唆する生痕化石の密集部が認められており,釜谷砂岩部層から中里砂岩部層にかけて浅海化が進んだものと考えられる.中里砂岩部層の凝灰質シルト岩からは,NPD4A, 4B, 5A, 5B帯に相当する珪藻化石が混在して産出した.平松ほか(2015)が指摘しているように,この珪藻化石は周辺に分布する久見層珪藻質泥岩からの再堆積群集である可能性が高い.引用文献:長谷川ほか(1989)地質学論集,no.32, 241-253;平松ほか(2015)石技誌,82, 131-142;角館(1988)島根大地質研報,no.7, 99-112;須永ほか(2021)日本古生物学会2021年年会予稿集,23;多井・加藤(1980)日本地質学会87年学術大会講演要旨,79;山内ほか(2009)地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),121p.

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  • Ryoma YANO, Hokuto IWATANI
    Session ID: T15-P-27
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    【はじめに】 宮崎層群は、中新世後期から更新世初期にかけて堆積した本邦太平洋側に分布する代表的な海成層である(首藤,1952)。宮崎層群は側方に岩相変化が著しいことから、北部の固結度の低く淘汰の悪い泥岩層からなる妻相、南部の良く固結した砂岩泥岩互層からなる青島相、中部の妻相と青島相の中間的な岩相を示す宮崎相の3つに区分されている。宮崎層群では古くから多くの古生物学的研究が行われてきたが、重要な示相化石の一分類群である貝形虫化石を対象とした研究は少なく、その対象も宮崎層群最上部にあたる高鍋層(例えば、岩谷・入月,2008)や佐土原層(Iwatani et al., 2011)、最下部にあたる田野層(倉本・岩谷,2021)に限られる。特に宮崎相を対象とした研究は(倉本・岩谷,2021)のみであり、その貝形虫組成の実態すら十分に明らかにされていない。そこで本研究では、これまで貝形虫化石の検討が行われていない宮崎相中部層準にあたる生目(いきめ)層からの貝形虫化石の初産出を目指した。さらに、得られた貝形虫化石の古生物学的情報と地質学的情報とを用いて、宮崎層群生目層の古環境を復元することを目的として研究を行った。 【結果・考察】 宮崎県宮崎市清武川流域に分布する生目層の連続露頭を対象に調査を行った。調査層準は全体として砂岩優勢の砂岩泥岩互層だが、その特徴により、下部・中部・上部の3つの岩相ユニットに区分された。下部ではとくに砂岩層の層厚が大きく、中部では全体として薄層化し、薄い砂岩層が多数挟在した。上部では再び砂岩優勢となり、厚層化した砂岩層が認められた。また調査層準を通して、砂岩層中には急激な級化構造が確認できた。 調査層準(層厚約37 m)から、計30試料の貝形虫化石分析用の岩石試料を採取した。結果として17試料から53個体、13属13種の貝形虫化石が産出した。これは、生目層では初めての貝形虫化石の報告となる。貝形虫化石のほとんどが泥岩・シルト岩層中から産出し、砂岩層中からはほとんど認められなかった。認められた貝形虫種は、Legitimocythere hanaiiなどの現在の西南日本太平洋側の暖流影響下の相対的深海域に生息する種(Iwatani et al., 2011)が多く、一方で数は少ないながらも、Pontocythere subjaponicaなどの浅海域に生息する種(Zhou,1995)も産出した。浅海種は、保存状態の悪い個体が多く、異地性の化石であると考えられる。堆積相と貝形虫化石から、調査層準は、暖流影響下で堆積したタービダイトであると考えられる。 中部ユニットの砂岩泥岩互層が薄層化し、細かく岩相が変化する層準では、貝形虫化石がほとんど認められなかった。本層準では、乱泥流の発生回数が多かったため、貝形虫などの生物相が回復するための十分な時間がなかったためだと考えられる。さらに、産出する貝形虫化石相の生息深度は調査層準を通して、やや深海化する傾向を示す。これは、宮崎層群は時代とともに深海化したとされる先行研究(高清水,2009) とも調和的な結果である。 【引用文献】岩谷北斗・入月俊明,2008.宮崎平野北部の鮮新統宮崎層群の地質と貝形虫化石群集,化石,84,61-73Iwatani.H., Irizuki.T., Goto.T.,2011. Temporal changes of Plio–Pleistocene Ostracoda from theTakanabe Formation, Miyazaki Group, Southwest Japan. Paleontological Research, vol. 15, no. 4, p.269-289. 倉本大雅・岩谷北斗,2021.中新統宮崎層群田野層の貝形虫化石群集.日本古生物学会2021年年会講演予稿集. 首藤次男,1952.宮崎層群の地史學的研究,九州大学理学部研究報告 地質学之部,4,1-40.  高清水康博,2009. 前弧海盆に発達した化石海底谷システム:中新-鮮新統宮崎層群“宮崎相”の堆積学的解析,地質学雑誌 第115巻,第11号,559-577 Zhou, B., 1995. Recent ostracoda fauna in the Pacific off Southwest Japan. Memoirs of the Faculity of Science, Kyoto University, Series of Geology and Mineralogy, vol. 57,p. 21-98.

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  • Yuga MITO, Reishi TAKASHIMA, Yuji ORIHASHI, Azumi KUROYANAGI, Yoshihir ...
    Session ID: T15-P-28
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    はじめに 荒砥沢地域は2008年に発生した岩手・宮城内陸地震によって,大規模地すべりが発生した地域として知られている.本地域の地質は,下部が火砕流起源の軽石質凝灰岩や湖成の堆積岩類など軟質な岩石から構成され,その上に重くて緻密な厚い溶結凝灰岩(北川凝灰岩)が重なるキャップロック構造となっている.このような構造が大規模な地滑りを引き起こす大きな要因と考えられ,同地域の地すべりの発生メカニズムに関する研究がこれまで盛んにおこなわれてきた((社)地盤工学会 2008 年岩手・宮城内陸地震災害調査委員会,2010).しかし,本地域に分布する火砕流堆積物は,中新世後期と推定されている小野松沢層から,第四紀の北川凝灰岩まで様々な年代を示しており,これらの地層の層序学的検討はあまり行われてこなかったことから,各火砕流堆積物の給源・対比に不明な点が多く残されている.本研究では,荒砥沢地域において野外調査を実施し,本地域の基盤となる小野松沢層とその上位の軽石凝灰岩,湖成堆積物,溶結凝灰岩の岩相層序,放射年代,アパタイト微量元素組成について検討した.層序概説 小野松沢層:本層は主に軽石凝灰岩,細粒凝灰岩,土石流堆積物からなり,本層分布域には安山岩質の貫入岩類が多数伴われる. 軽石凝灰岩・湖成層:小野松沢層と北川凝灰岩に挟まるこれらの地層は,まだ地層名が命名されていない.小野松沢層とは断層を介して接している.岩相は塊状の軽石凝灰岩,葉理の発達する軽石凝灰岩からなり,植物化石を含むシルト岩と砂岩の互層を伴う. 北川凝灰岩:本層は主に溶結凝灰岩からなり,下位の軽石凝灰岩をほぼ水平に覆う.本地域と隣接する岩ケ崎地域では,下位より池月凝灰岩,下山里凝灰岩,荷坂凝灰岩,柳沢凝灰岩の4つの火砕流堆積物に区分される(土谷ほか,1997).このうち,荒砥沢地域に分布する北川凝灰岩は,池月凝灰岩に対比される(大場・林,2008).放射年代  本地域の北川凝灰岩の溶結凝灰岩と,その下位の軽石凝灰岩は,斜長石のK-Ar年代測定(蒜山地質年代研究所)結果によると,それぞれ1.31±0.04 Maと1.36±0.31 Maとなり,両者の間に大きな時間間隙は見られないことが分かった.この年代値は,岩ケ崎地域の池月凝灰岩の年代(0.25±0.08 Ma:土谷ほか,1997)と一致しない.一方,小野松沢層の細粒凝灰岩から得られたジルコンのU-Pb年代は,6.67±0.17 Maであった.この年代値は小野松沢層の植物化石を基に推定されてきた年代(6-8 Ma:北村(編),1986)と調和的である.アパタイト微量元素組成  本調査地域には数多くの凝灰岩が分布し,その一部は溶結や変質を被っているために,アパタイト微量元素組成を用いて,各凝灰岩の識別と対比を行った.その結果,小野松沢層と池月凝灰岩に対比されてきた溶結凝灰岩の間に挟まる軽石凝灰岩は,組成の異なる複数の凝灰岩からなることが明らかになった.また,この溶結凝灰岩のアパタイト微量元素組成は,北川凝灰岩を構成する4つの凝灰岩(池月,下山里,荷坂,柳沢凝灰岩)のいずれの組成とも明らかに異なることが分かった.この結果は,前述した本地域の溶結凝灰岩と池月凝灰岩の放射年代が一致しない結果と調和的であり,今後荒砥沢地域の溶結凝灰岩については,対比や給源に関して再検討が必要である.引用文献   (社)地盤工学会 2008年岩手・宮城内陸地震災害調査委員会,2010,平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震 災害調査報告書   北村 信(編)(Kitamura, N.),1986,新生代東北本州弧地質資料集第2巻,島弧横断ルート No.20(鬼首-細倉-花泉)(The Cenozoic Arc Terrace of Northeast Honshu, Japan, Vol.2, No.20, (Onikobe-Hosokura-Hanaizumi)),その8,8p.   大場 司・林 信太郎(Ohba, T. and Hayashi, S.),2008,宮城県栗原市荒砥沢ダム巨大地すべりの地質背景(Geologic Background of the Huge Landslide at Aratozawa, Kurihara, Miyagi Prefecture),秋田大学工学資源学部研究報告(Akita University),第29号   土谷信之・伊藤順一・関 陽児・巖谷敏光(Tsutiya, N., Itoh, J., Seki, Y. and Iwaya, T.),1997,岩ヶ崎地域の地質(Geology of Iwagasaki distinct),地域地質研究報告,5 万分の1地質図幅 (1:50,000),岩ヶ崎,秋田(6)第68号,地質調査所(Geol. Surv. Japan)

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  • Takumi KONISHI, Makoto OKADA, Masayuki UTSUNOMIYA, Itoko TAMURA, Daiki ...
    Session ID: T15-P-29
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    房総半島に分布する下部更新統の地層群 房総半島中央部には,古第三紀以前の岩石や地層からなる嶺岡帯が前弧外縁隆起帯として分布し,その北側には前弧海盆で形成された下部~中部更新統の上総層群が,南側には海溝陸側斜面で形成された上部鮮新統~下部更新統の千倉層群がそれぞれ分布する. 両層群の層序学的研究の進展  微化石・古地磁気による年代層序学的検討に基づき,千倉層群と上総層群下部~中部はほぼ同時代の地層であることが明らかにされている(新妻,1976;佐藤ほか,1988;小竹ほか,1995など).両層群はテフラ層を多数狭在し,それらの一部は広域テフラとして知られている.上総層群下部の広域テフラについては,田村ほか(2019)により大原層以下の上総層群を対象として広域テフラの層位,岩相,岩石学的特徴及び化学組成が報告されている.そして,宇都宮(2019)は房総半島東部に分布する上総層群下部(勝浦層上部~黄和田層)の岩相層序を詳細化するとともに,田村ほか(2019)などで示されたテフラ層の層位を明確にした.千倉層群では布良層及び畑層において岡田ほか(2012)及びKonishi and Okada (2020) によりおよそ3.2~1.9 Maの連続的な古地磁気層序が構築され,そのうち2.9~2.3 Maの層準に関しては広域テフラが複数確認された(Tamura et al., 2016). 両層群の対比  両層群は鮮新統~下部更新統の模式層序として重要な役割を果たしてきたが,両層群を直接対比するような研究は進んでいない.本研究では、両層群の時間面対比を目的として上総層群下部における古地磁気層序の構築及び千倉層群畑層でのテフラの記載・化学組成分析を行った.本発表では,主に小西ほか(印刷中)の内容をもとに,両層群の層序対比結果を報告する. 調査の結果、上総層群最下部の勝浦層から黄和田層にかけて、それぞれFeniとOlduvai正磁極亜帯に対応する正磁極帯を検出した.そして,古地磁気極性境界との層位関係と火山ガラスの主要・微量元素組成に基づき、上総層群と千倉層群との間で計8枚のテフラが対比できることが明らかになった.対比した上総層群と千倉層群のテフラの組み合わせは,それぞれ下位からKr31-Kmj3,KRm-Kmj10,KH2-Kmj18,IW2-Kmj29,OFN2-Kmj41,KB-Kmj53,HS C-Kmj68,HS A-Kmj71である. 本調査により,今後房総半島周辺の古環境やテクトニクス,あるいは他地域に分布する地層群との比較を精度よく行う上で重要な知見が得られた. 引用文献 Konishi and Okada (2020), Prog. Earth Planet. Sci., 7, 35. 小西ほか(印刷中),地質雑 小竹ほか (1995), 地質雑, 101, 515–53. 新妻 (1976), 地質雑, 82, 163–181. 岡田ほか (2012), 地質雑, 118,97–108. 佐藤ほか (1988), 石技誌, 53,475–491. Tamura et al. (2016) ,Geograp. Rep. of Tokyo Metrop. Univ., 51. 田村ほか (2019), 地質雑, 125, 23–29. 宇都宮(2019), 上総大原地域の地質 5万分の1地質図幅, 第3章, 11-33.

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  • Daiki KOTSUKA, Makoto OKADA, Takumi KONISHI, Yuta EBE
    Session ID: T15-P-30
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    本研究では, Konishi and Okada (2020)によって磁気層序が報告されている南房総市千倉町の檀特山小松寺の脇を流れる沢沿い(KJルート)に露出する海成層において,Feni正磁極亜帯およびOlduvai 正磁極亜帯下限境界を含む層厚約150mの区間の酸素同位体層序を構築することによって, 古地磁気-酸素同位体複合層序の構築を行った. 房総半島南端地域に分布する海成更新統は, 堆積物の供給源が伊豆・小笠原弧に極めて近いため, 火山砕屑物の割合が高く, それらが強く安定な古地磁気シグナルを供給しているということに加え, 保存良好な微化石を多産するため生層序学的研究や古海洋学的研究に適している. さらに平均堆積速度が速く,通常の深海底コア資料と比較して遥かに時間解像度の高い記録を得ることができるという利点をもち(岡田ほか, 2012), 本研究ではこれまで深海底コアを用いて議論されていた氷期-間氷期サイクルや地磁気逆転境界の年代のより詳細な復元を行うことで, グローバルな年代層序学に対して貢献する事が期待される.  酸素同位体層序の構築にあたり, KJルートから約1mの層厚間隔で泥岩試料を採取し, 硫酸ナトリウム処理を通して底生有孔虫化石(Bolivinita spp., Bulimina spp., Uvigerina spp.)を抽出した後, 酸素同位体分析を行った. 分析は国立科学博物館筑波実験施設のKiel Ⅳ自動炭酸塩前処理装置とMAT 253 質量分析計を用いて行った. 得られた酸素同位体曲線をLR04 標準酸素同位体曲線と対比させ, 年代モデルを作成した. その結果, 本研究層準は約2.2Ma~約1.9Maに相当し, 海洋酸素同位体ステージ(MIS)では84~73に相当することがわかった. また, 本研究層序におけるFeni正磁極亜帯の下限及び上限境界, Olduvai正磁極亜帯の下限境界の年代値は, それぞれ約2.14Ma, 約2.116Ma, 約1.924Maと算出され, それぞれに対応する海洋酸素同位体ステージ(MIS)は, それぞれ81, 79, 73となった. また、Konishi and Okada (2020)で報告されているFeni正磁極亜帯より下部にみられたエクスカーションの年代が約2.173Maと算出された。 この結果は, 現行の国際地質年代スケールであるGTS 2020 におけるGeomagnetic Polarity Time Scale(Ogg, 2020)によって報告された年代値(2.140 Ma, 2.116 Ma, 1.925 Ma)と極めてよく一致する結果となった.特にOlduvai下限境界の年代は様々なMISに対応されており, 統一された見解が得られていなかった(Channel et al., 2020). 本研究において得られたOlduvai下限境界の年代値及びMISはGTS2020で根拠としているIODP Site U1308(Channel et al., 2016)の結果と一致しており, Olduvai下限境界のより正確な年代の決定に寄与すると考えられる. 引用文献Konishi and Okada, 2020, A paleomagnetic record of the early Matuyama chron including the Réunion subchron and the onset Olduvai boundary: High-resolution magnetostratigraphy and insights from transitional geomagnetic fields, Progress in Earth and Planetary Science, 7:35 岡田ほか, 2012, 房総半島南端千倉層群における鮮新統―更新統境界層準の古地磁気-酸素同位体複合層序, 地質学雑誌, 第118巻, 第2号, 97-108ページ Ogg, 2020, Geomagnetic Polarity Time Scale, Geologic Time Scale 2020, Volume 1 Channel et al., 2016, Relative paleointensity (RPI) and oxygen isotope stratigraphy at IODP site U1308: North Atlantic RPI stack for 1.2-2.2 Ma (NARPI-2200) and age of the Olduvai subchron, Quaternary Science Reviews, Volume 131, Pages 1-19 Channel et al., 2020, Timing of Quaternary geomagnetic reversals and excursions in volcanic and sedimentary archives, Quaternary Science Reviews, Volume 228, 106114

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  • Yasufumi SATOGUCHI
    Session ID: T15-P-31
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    【はじめに】 滋賀県から三重県の近江盆地および伊賀盆地付近に分布する鮮新―更新統の古琵琶湖層群は,約440万年前から約35万年前の淡水域の堆積物で構成され(里口,2018),現在の琵琶湖へつながる過去のその地域における淡水環境の古環境情報を保持している.また,古琵琶湖層群は,現在の琵琶湖湖底堆積物へも時代的な連続性をもつことから,現在の琵琶湖やその周辺環境の形成史や地史を考える上でも重要といえる.その中で,現在の琵琶湖に生息する固有種の中には,遺伝子解析からみた分岐年代が,琵琶湖北湖が形成された40万年前よりも以前にあるものが複数知られており(Kakioka et al., 2013など),現在の琵琶湖における生物相の形成を考える上で,古琵琶湖層群から産出する化石以外にも,過去の環境変化が生物の進化や絶滅に影響を与えていることが推定されることから,その環境を詳細に明らかにすることが,現在の生物相の形成を考える上でも重要といえる.しかしながら,現世を研究対象としている生物学研究者が必要としている環境情報のうち,地層から得られる古環境情報は比較にならないほど限定的であり,ほとんどの場合は使い物にならない程度である.それは,地質学で得られる情報の少なさに由来するが,大局的にみてどんな環境だったのか?といったことを明示できない点にある.たとえば,湖環境でいえば,その湖の広さや深さといった情報であり,古琵琶湖層群からは,一部の時代の湖は岩礁帯を持っていたことや砂浜を持っていたことを示唆する研究もあるが(川辺,1994),それらも断片的である.地質学が生物学などの異分野の研究と議論し合えるようになるためには,自らの分野で得られた研究結果を,互いに必要とされる情報の提示をする必要がある 本研究では,古琵琶湖層群下部の上野層を対象に,古琵琶湖層群から理解される最初期の湖について,湖岸付近で形成されたと考えられる地層から当時の湖について検討した結果を報告する.【上野層】 古琵琶湖層群の層区分において,上野層は古琵琶湖層群最下部の層であり,約440万年前から約350万年前の堆積物からなり,三重県伊賀市付近に広く分布し,旧大山田村にあたる地域の服部川河床には安定した湖で堆積したと考えられる泥質層が分布している(里口,2015).その上部にあたる地層が伊賀市真泥に分布し,服部川II火山灰層の約380cm上位の極細粒砂層と有機質泥層の薄互層中にウェーブルリップル葉理がみられる.クレストが明瞭な葉理からは,波高が4〜8mm,波長が36〜44mmであり,それらを構成する砂は,滋賀県立大学のレーザ回折式粒度分析装置を用いて分析したところ,中央粒径42.9µm,モード粒径38.84µmであった.クレストの伸びる方向は,北北東-南南西であった.層相からは,その水深を検討することができず,葉理を形成した波の性質もわからないが,クレストの伸びる方向および,湖堆積物がその地点から東側に分布していることから,西北西方向に打ち寄せる波であったと考えられる.旧大山田村の地域には,塊状の泥層が分布しており,おおむねその分布範囲付近が当時の湖の分布範囲と考えられる.伊賀市中村付近で観察される喰代II火山灰層は,洪水流によって上流から流されてきた火砕物からなり(里口,2015),その層厚から考えると少なくとも3mの水深があったと考えられる.泥層の分布は,主に服部川河床で観察され,その年代から推定される湖の期間は,少なくとも約400万年前から約360万年前の40万年間は存在したことになる.現在知られている泥層の分布からは現在の琵琶湖よりもかなり小さいと考えられるが,前述のとおり波によるリップルを構成する程度の広さを持っていたことが推定される.【文献】Kakioka et al., 2013, Environmental Biology of Fishes 96, 631-644.;川辺孝幸,1994,琵琶湖自然史研究会編,琵琶湖の自然史,八坂書房,25-72.;里口保文,2015,地質学雑誌,121,125-139.;里口保文 , 2018,琵琶湖博物館ブックレット,7,サンライズ出版,p118.

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  • Chizuko NAKAGAWA, Masahiro MUROTA, Yuichi YOSHINAGA
    Session ID: T15-P-32
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    1.はじめに  1847年5月8日に発生した善光寺地震における地表地震断層に関する研究については,杉戸(2014)にまとめられているが,長野市中心市街地においては,トレンチ調査や物理探査手法を用いた調査は行われていない.既往研究成果(中川ほか,2019)では,1847年善光寺地震によって地表で床違い(段差)が生じた(杉戸,2014)とされる地点を横断する測線を含む1847年善光寺地震による推定変位地形周辺の複数測線でレイリー波探査を実施し,複数の撓曲構造の存在を示唆する速度層の変位が得られた.本論では,断層運動で生じたと推察される地層の変位等の地下構造を可視化すべく,準3次元地盤モデル(パネルダイヤグラム)を構築し,立体的な把握に努めた.2.複数地点でのレイリー波探査(表面波探査)結果の整理  中川ほか(2019)では,南北に延びると推察される地表地震断層による推定変位地形に対し,東西及び南北に複数の測線を設定し,レイリー波探査を実施し,複数の撓曲構造の存在を示唆する速度層の変位を得た. 本論では,その結果を用いて,準3次元地盤モデル(パネルダイヤグラム)を構築し,地下構造の立体的な把握(可視化)に努めた.3.解析結果  現地表付近にまで到達する西側隆起の複数の速度層の変位が確認されるような解析結果が南北方向に連続し,複数確認されることが明らかとなった.これは,断層運動に伴って形成されたと考えられる撓曲構造の存在を示唆するものであり,長野盆地西縁断層帯が西側隆起の逆断層帯である(赤羽,1982 ,Okada and Ikeda,2012など)ことと一致している.準3次元地盤モデル(パネルダイヤグラム)を構築することで,地下構造の可視化が容易となり,身近な地域の都市地盤に潜む災害の爪痕の理解への一助となるものと考える.謝辞 本論の現地調査にあたっては,長野県長野高等学校の生徒・教職員の皆さんにご協力いただきました.また,信州大学教育学部廣内大助教授,竹下欣宏准教授には,調査方針および調査結果の検討において貴重な助言をいただきました.本研究は,平成29・30・令和元年度長野県学校科学教育奨励基金および令和2年度長野県科学研究費助成金を利用しました.ここに記して感謝申し上げます.引用文献  中川ほか:レイリー波探査を用いた長野市街地における1847年善光寺地震の地表地震断層の把握への試み,日本地質学会第126年学術大会,pp.217,2019.  杉戸:1847年善光寺地震の地表地震断層に関する既存資料の整理,法政大学人間環境学会人間環境論集,pp.171-194,2014.  赤羽:長野盆地西縁部における地質構造と丘陵の形成過程.島弧変動,地団研専報,24:169-179, 1982.  Okada and Ikeda:JOURNAL OF GEOPHYSICAL RESEARCH, VOL. 117, B01404, doi:10.1029/2011JB008355,2012

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T16. Urban Geology: Interdisciplinary research on natural and social environments
  • Junko Komatsubara
    Session ID: T16-O-1
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    最終氷期以降の海面上昇に伴い,最終氷期に刻まれた谷を埋めるようにして形成された沖積層は,一般に非常に軟弱な地層であり,地震動を増幅するなどのリスク要因となることが知られている(海津,2019).関東地方南部では沖積層よりも1サイクル古い谷埋め堆積物である最終間氷期(MIS5e)の下総層群木下層が分布しており,台地を形成する更新統にもかかわらず軟弱な地層として注目されている(中澤ほか,2019).年代は異なるがいずれも軟弱層として認識されている沖積層と木下層について,埼玉県さいたま市の鴻沼低地において両者を連続的に採取したボーリングコア試料が得られたのでその特徴を比較した. 鴻沼低地は大宮台地を刻む小規模な低地である.下流は荒川沿いの荒川低地に合流し,荒川低地はさらに東京都東部の広い沖積低地である東京低地に合流し,東京湾に接続する.一方,この付近の大宮台地南西部には,大宮台地の伸長方向に斜交するようにMIS5eの下総層群木下層下部が分布している(中澤・遠藤,2002).木下層は泥層主体で谷埋め状に分布する木下層下部と,砂泥細互層を主体とし大宮台地に広く分布する木下層上部とに分けられる.木下層下部は谷埋め形状を呈すること,最下部に陸成層を伴い海成泥層を主体とすることなど沖積層と同様の特徴を持つ. 2023年1月に埼玉県さいたま市の鴻沼低地で45 mのボーリングコアGS-SSN-1を採取し,堆積相の記載,各種物性の測定を行った.またボーリング孔でPS検層,密度検層,温度検層を行った.予想される地層分布,堆積相,14C年代値に基づき,GS-SSN-1の最上部2.5 mは盛土,その下の深度20.18 mまでが沖積層,さらに下位の深度37.25 mまでが木下層下部(以下木下層)と推定された.木下層は基底から上位へ礫層(厚さ約5.7 m),上方細粒化する礫質砂層(2.2 m),貝化石に富む泥層(9.2 m)からなる.沖積層は基底の礫層〜礫質砂層(0.9 m),泥炭層(0.9 m),塊状泥層(12.9 m),泥炭〜腐植質砂層(3.0 m)からなる. 木下層と沖積層の主体をなす泥層について比較すると,いずれも塊状で4φより大きい粒子が1%以下と非常に泥質であり,水分含有量は45%前後であった.目視での観察では,木下層は小型の貝化石を含み色調は暗オリーブ灰,沖積層には貝化石は見られず全体に植物片が散在し,色調はオリーブ黒であった.色調は木下層のほうがやや緑がかっている.これらの泥層の密度は木下層が1.5〜2.0 g/cm3で下位ほど大きく,沖積層は1.5〜1.7 g/cm3でほぼ一定である.S波速度はそれぞれ130〜230 m/s,60〜130 m/sであった.木下層のS波速度は密度変化を反映して下位ほど高いが沖積層とほぼ変わらない値を示し,一部は東京低地の沖積層(小松原ほか,2020)よりも低い値を示す.沖積層のS波速度も非常に低く,東京低地の沖積層の半分以下の速度を示す層準もあった. 今回の調査地点を含む鴻沼低地は集水域が小さく、大宮台地内にとどまっている.荒川や利根川のように集水域の大きい河川が作った沖積低地では,最終氷期の下刻谷の底に厚い基底礫層を伴うが,鴻沼低地は集水域が台地内に限定されるため,台地を形成する更新統からのリワークに由来するごく薄い礫層を伴うのみである.厚い礫層を伴わず,軟弱な沖積層と木下層が直に接しているため,鴻沼低地の工学的基盤は沖積層の基底ではなく,その下位の木下層の基底まで下がっていると推定される.従って平均S波速度も非常に低いはずである. 鴻沼低地以外でも(1)集水域の小さい谷底低地が(2)最終間氷期の谷埋め堆積物分布域を横切っているという条件を満たす地域では,2つの時代の軟弱層が癒着して分布する可能性が高い.そのような地域では,鴻沼低地と同様に平均S波速度は沖積層の厚さから推定されるよりも非常に低くなり,また例えば圧密沈下などの地盤リスクも局地的に大きいことが予想される.文献:中澤・遠藤(2002)大宮地域の地質.産総研地質調査総合センター.中澤ほか(2019)地質学雑誌,125,367-385.小松原ほか(2020)堆積学研究,79,3-14.小松原(2022)日本地質学会第129年学術大会講演要旨,T13-O-3.海津(2019)沖積低地-土地条件と自然災害リスク-.古今書院.

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  • Tsutomu NAKAZAWA, Ikuo CHO, Junko KOMATSUBARA, Kentaro SAKATA, Susumu ...
    Session ID: T16-O-2
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    最近,首都圏の地下浅部の地質層序・堆積相の研究が進み,2021年に産総研の演者らのグループが公開した東京都区部の3次元地質地盤図(都市域の地質地盤図「東京都区部」)では,膨大な量のボーリングデータを使用して,東京低地の沖積層の層相分布や沖積層基底の形状を極めて詳細に明らかにしている.今回演者らは,この3次元地質地盤図で示された地質構成をもとに東京低地の地盤を類型化し,それぞれの地盤について常時微動観測を行うことで,地盤類型区分に対応した地盤震動特性の把握を試みたので報告する. 東京低地の沖積層は下位の七号地層と上位の有楽町層に区分されることが多い(東京都土木技術研究所,1969など).このうち七号地層は,主に河川成の礫層及び砂層・泥層からなり,層相の側方変化が著しい(小松原ほか,2022).一方,上位の有楽町層は主に内湾成の極めて軟らかい泥層を主体とする.また沖積層基底に相当する埋没地形は,幅の狭い溝状の谷底部(埋没谷底)と埋没平坦面1〜4(標高の高い順)に区分される(小松原ほか,2021). 本研究ではまず東京低地を東西に横断する上野–小岩測線にて常時微動観測を行った,この測線は,埋没谷底を軸とし,その右岸側の埋没平坦面2及び埋没平坦面1,左岸側の埋没平坦面1を横断する.常時微動観測を実施した結果,埋没谷底や埋没平坦面2に相当する地域ではいずれも1 Hz付近にピークをもつH/Vスペクトルが得られた(中澤ほか,2023).このうち沖積層がやや薄い(層厚約30 m)埋没平坦面2相当地域では,沖積層が厚い(層厚約60 m)埋没谷底に相当する地域よりも,1 Hzのピークがより明瞭に現れた.埋没平坦面2相当地域の1 Hzのピークは埋没段丘礫層と沖積層(有楽町層相当)の境界深度に由来するが,1 Hzのピークが明瞭なのは両者の地層の物性のコントラストが極めて大きいことが要因として考えられる.一方で,埋没谷底に相当する地域では,1 Hzのピークは埋没段丘礫層上面とほぼ同深度の七号地層と有楽町層の境界深度に由来するが,七号地層は砂泥互層からなるため,七号地層と有楽町層の両者の物性コントラストは埋没平坦面2相当地域のそれよりも小さく,ピークも幅の広いなだらかな山状になったものと考えられる.一般に木造家屋は1 Hz付近の揺れにより倒壊しやすいとされるが(境,2009),この測線では沖積層が厚い埋没谷底相当域よりも,むしろ沖積層が薄い埋没平坦面2相当域のほうが1 Hz付近の周波数帯域の揺れが大きく増幅される可能性があることが示された. 次に上野–小岩測線よりも上流側の足立測線で常時微動観測を実施した.この測線は,埋没谷底とその左岸に発達する埋没平坦面2を横断する.ただし埋没谷底部分を埋積する七号地層の層相が上野–小岩測線と異なり砂層優勢であることが特徴である.この測線では,上野–小岩測線と同様に埋没平坦面2に相当する地域では1 Hz付近に明瞭なピークが認められたとともに,埋没谷底に相当する区間でも1 Hz付近に比較的明瞭なピークが認められた.これは埋没谷底部分を埋積する七号地層が砂層優勢のため,上位の軟らかい有楽町層との物性コントラストが大きくなったためと考えられる.このように東京低地の地盤震動特性は埋没段丘礫層の分布,及び沖積層の層相,特に七号地層の層相変化の影響を受け,場所により大きく変化することが明らかになった. 実際に1923年関東地震の際には,必ずしも沖積層が最も厚い(約60 m)埋没谷の軸部付近で被害が大きかったとは限らず,むしろ埋没段丘礫層が分布する埋没平坦面2に相当する区間(沖積層厚約30 m)で大きな被害があったことが知られている(諸井・武村,2002;武村,2003).また埋没谷の軸部(埋没谷底)相当域をみると,七号地層が砂泥互層からなる上野–小岩測線付近では被害が比較的少ないのに対し,現在の足立区を含むその北側で被害が多い(諸井・武村,2002)のは,上述のように七号地層が砂層優勢に変化することが影響している可能性が考えられる.文献:小松原ほか(2021)都市域の地質地盤図「東京都区部」(説明書),産総研地質調査総合センター,47–61.小松原ほか(2022)地質学雑誌,128,29–42.諸井・武村(2002)日本地震工学会論文集,2 (3),35–71.中澤ほか(2023)地質学雑誌,129,263–270.武村(2003)日本地震工学会論文集,3 (1),1–36.東京都土木技術研究所(1969)東京都地盤地質図(23区内)—東京都地質図集2—.境(2009)日本地震工学会誌,9, 12–19.都市域の地質地盤図ウェブサイト https://gbank.gsj.jp/urbangeol/

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  • Keiya Yoneoka, Kentaro Sakata, Tsutomu Nakazawa, Hiroomi Nakazato
    Session ID: T16-O-3
    Published: 2023
    Released on J-STAGE: April 10, 2024
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    関東平野には更新統下総層群が広く分布しており,首都圏の浅部地盤を構成している.下総層群の各層は基本的に1回の海水準変動に対応した陸成層–海成層の堆積サイクルからなるが,側方への層相変化も著しく,例えばMIS 7cに堆積した清川層は下総台地北部で層相が海成砂層から陸成泥層主体へと大きく変化することが知られる[1].このような層相変化は.地質汚染リスクにも大きく影響を与えているとされる[2].都市化が著しく進んだ首都圏の地下浅部に分布する下総層群ついては,持続的な地下水利用や地震災害リスク評価の観点からも砂層・泥層の層相分布・層相変化様式を適切に把握することが極めて重要である. 発表者らは関東平野中央部における下総層群の層序構築および層相変化様式の検討のため,大宮台地北部の埼玉県北本市石戸で新規ボーリング調査(GS-KM-1)を行った.本発表では大宮地域の更新統下総層群の層序と層相変化の検討結果について報告する. GS-KM-1コアの下総層群相当層は大きく4つの層準に分けられる(下位からA層,B層,C層,D層).A層は下部の海成の砂層と上部の陸成の泥層からなり,上部泥層の基底には層厚7 cmのテフラ層(KM1-43.38テフラ)が挟在する.KM1-43.38テフラの重鉱物はカミングトン閃石を主体とし,その屈折率はn2 = 1.660–1.665 (モード値:1.663)であることから,KM1-43.38テフラはGS-UR-1コア(さいたま市浦和区)の薮層中部に挟在するNo. 8テフラ[3]に対比される.よってGS-KM-1コアのA層は薮層に相当すると考えられる.その上位のB層は下部の河川成の砂層と上部の陸成の泥層,またC層は下部の河川成の砂層と上部の陸成の泥層からなる.B層,C層にも特徴的なテフラが挟在するが対比は未検討である.最上位のD層は河川成の砂層を主体とし,ローム層に覆われることから大宮層と考えられる. ここで重要なのは,浦和GS-UR-1コアでは薮層の海成層の下半部(薮層中部;MIS 9)に挟在するとされるNo.8テフラが,北本GS-KM-1コアでは海成層とその上位の陸成層の境界付近に挟在することである.これは内陸側である北本GS-KM-1地点が浦和GS-UR-1地点よりも早い時点で海域から陸域に移行したことを意味している.つまり層相と時間面が大きく斜交することが示された. このように首都圏の下総層群は,広域にみると同じ地層でも側方に層相が大きく変化する.1回のサイクルの海水準変動においても,内陸側では相対的に陸域環境に置かれる時間が長くなることで,結果として大宮台地では北部へ海成砂層の減少と陸成泥層の増加が認められた.砂層・泥層を側方に対比・追跡する際には,層相と時間面が大きく斜交することを念頭に置き,テフラ・花粉化石を用いて対比を慎重に検討することが必要である. [1] 米岡ほか(2022)日本地質学会第129年学術大会講演要旨,T13-O-8;[2] 高嶋ほか(2017)第27回環境地質学シンポジウム論文集,31–34;[3] 中澤・中里(2005)地質学雑誌,111,87–93

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