【目的】北海道の市町村が策定する第8期介護保険事業計画について地域ケア会議等地域課題につながる記載内容の実態を明らかにし地域包括ケアシステム構築のための計画策定の在り方の基礎資料とする。【方法】自治体が web 上で公表している介護保険事業計画を読み地域課題につながる記載項目を検討しそれらを量的・質的に分析した。【結果】134 自治体の計画を分析対象とした。記載項目では、「高齢者人口数」「高齢化率」の記載はほぼ 100%だったが、「独居高齢者数」「高齢夫婦世帯数」は約 6割、「平均寿命」「健康寿命」「要介護の原因疾患」「要介護認定者の有病状況」は1割以下であった。地域ケア会議は9割記載されていたが、そのうち目的 ・ 内容、参加職種、開催回数を網羅しているのは3 割であった。会議の目的・内容の質的分析から、≪地域包括ケアシステムの実現と地域づくり≫≪事例検討を積み重ねることによる地域課題の把握≫≪自立支援の質の向上≫≪ケアマネジメント力向上と研鑽の場 ≫≪医療と介護の連携の強化≫≪ネットワークの構築≫≪課題の種類に応じた部会による検討≫ ≪政策として反映させる≫の8カテゴリが抽出された。地域ケア会議の評価から地域課題を記述しているのは1市町村であった。【考察】計画には高齢者の健康状態を示す情報と地域ケア会議から導かれた地域課題はほとんど記載されておらず健康課題を取り込んだ計画になっていなかった。自治体内の事務職と保健師などの医療職および社会福祉専門職との連携が手薄である可能性から自治体職員の課題分析 と計画への明記の認識がしづらい状況にあることが示唆された。
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