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広島県立総合技術研究所保健環境センター研究報告
Online ISSN : 2759-0690
Print ISSN : 1882-4250
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31 巻 (2023)
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学生寮で発生した腸管出血性大腸菌O26集団感染事例の分子疫学解析
東久保 唯, 平塚 貴大, 秋田 裕子
2023 年 31 巻 p. 1-6
発行日: 2023/12/01
公開日: 2024/03/28
DOI
https://doi.org/10.60360/hitrihec.31.0_1
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2022年に県内の学生寮で発生した腸管出血性大腸菌O26集団感染事例から分離された16株について,血清型別検査に加えて分子疫学解析手法であるMLVA法,PFGE法及びSNPs解析を実施した.分離された菌株は,血清型別検査では1株のみH抗原の表現型が異なったが,遺伝子型はすべての株で一致した.MLVA法による解析では16株中15株が同一集団事例関連株と判断可能な2遺伝子座以内の相違であったが,1株の結果が3遺伝子座の相違となり,判断の基準を超えた.この理由として,伝播の過程でプラスミドを獲得したことが考えられた.一方,PFGE法では,すべての株でバンドパターンの差異が1バンド以内であった.SNPs解析では,すべての株間の変異差は1塩基以内であった.今回比較した分子疫学解析では,3つの解析結果にわずかな差が確認されたものの,いずれの手法も同一集団事案の判断に有用な手法であることが示された.
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(500K)
2013年から2022年までに広島県で検出されたノロウイルスGII.2及びGII.4 Sydneyの遺伝子解析
末井 真菜, 伊藤 彩乃, 重本 直樹
2023 年 31 巻 p. 7-12
発行日: 2023/12/01
公開日: 2024/03/28
DOI
https://doi.org/10.60360/hitrihec.31.0_7
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ノロウイルスの遺伝子型別法は,Capsid領域の配列によって行われていたが,本ウイルスは以前からORF1とORF2の間のジャンクション領域で遺伝子の組み換えが頻発することが知られており,ORF1のRdRp領域とORF2のCapsid領域の両方を用いて遺伝子型別を行うDual Typing法が推奨されている.今回,2013年から2022年までに当センターで検査を実施した急性胃腸炎患者のノロウイルス陽性検体のうち,検出数の多かったノロウイルスGII.2とGII.4 SydneyについてDual Typing法で遺伝子型別を行い,系統樹解析を行った.その結果,当該期間においては,GII.2はGII.2[P16]のみ,GII.4 SydneyはGII.4 Sydney[P16]とGII.4 Sydney[P31]の2つの遺伝子型が存在していたことが判明した.
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(486K)
まつげ美容液中の医薬品成分等迅速分析法の確立
菅田 和子, 伊達 英代
2023 年 31 巻 p. 13-18
発行日: 2023/12/01
公開日: 2024/03/28
DOI
https://doi.org/10.60360/hitrihec.31.0_13
研究報告書・技術報告書
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近年,市場の拡大に伴い,まつげ美容液は広島県内でも相談件数が増加していることから,それらに含まれるProstaglandinF2α(PGF2α)誘導体5成分及び発毛剤1成分の計6成分をHPLCにより定量する方法を検討した.さらにこれらの成分の他,育毛剤1成分,防腐剤及び化粧品に配合可能な医薬品成分11成分を加えた計18成分をHPLC及びLC-QTOF/MSにより確認する方法を検討し,分析法を確立した.HPLCによる成分の確認については,Carpronium Chloride及びPanthenolを除く16成分を分離し,確認可能な分析条件を見出した.LC-QTOF/MSによる成分の確認については,SWATH法を用いることで,迅速に18成分すべてを確認することができた.また,PGF2α誘導体5成分及び発毛剤1成分の添加回収試験を行ったところ,回収率は良好であった. 今回確立した分析法を用いて,令和4年度に広島県健康福祉局薬務課が実施した「無承認無許可医薬品実態調査」において買い上げたまつげ美容液3検体の検査を実施したところ,PGF2α誘導体,発毛剤及び育毛剤成分は検出されなかった.
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(540K)
LC-MS/MSを用いた農産物を主原料とした加工食品中の残留農薬の一斉分析法
井原 紗弥香, 渡部 緑, 中島 安基江
2023 年 31 巻 p. 19-26
発行日: 2023/12/01
公開日: 2024/03/28
DOI
https://doi.org/10.60360/hitrihec.31.0_19
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農産物を主原料とした加工食品中に残留する可能性のある農薬について,厚生労働省通知の「LC/MSによる農薬等の一斉試験法Ⅰ(農産物)」を参考に,LC-MS/MSを用いた迅速一斉分析法を検討した.検討した分析法を用いて,りんごジュース,白菜漬け,いちごジャム及びレーズンを対象に添加回収試験を行ったところ,70成分のうち8割の成分で回収率70~120%及びCV値25%未満を達成し,良好な結果を得た.また,本法は厚生労働省通知の一斉分析法と比べ,使用溶媒量を約3分の1に,試験溶液の調製時間を約3分の2に削減することができた.
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(509K)
広島県における微小粒子状物質(PM2.5)の10年間の推移
竹本 光義, 久保田 光
2023 年 31 巻 p. 27-32
発行日: 2023/12/01
公開日: 2024/03/28
DOI
https://doi.org/10.60360/hitrihec.31.0_27
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広島県では大気汚染防止法第22条に基づき,PM2.5質量濃度の監視を2011年度から実施し,成分分析についても2013年度から実施している.PM2.5質量濃度の減少傾向やPb/Zn比の解析結果等から,大陸からの越境汚染の影響が減少したことが示唆された.また,成分としては二次生成粒子(主に硫酸イオン)が減少していることが分かった.2020年度以降では,重油燃焼の寄与が減少しており,2020年1月に発効された船舶燃料油中の硫黄分規制強化の影響を受けたと考えられた.一方,同時期にCOVID-19の流行による人流活動・経済活動の抑制による大気質への影響も報告されており,複合的な要因によりPM2.5質量濃度が減少したと考えられた.
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(831K)
京橋川の河岸干潟における泥分・有機物集積域の形成要因
後田 俊直
2023 年 31 巻 p. 33-41
発行日: 2023/12/01
公開日: 2024/03/28
DOI
https://doi.org/10.60360/hitrihec.31.0_33
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京橋川の中~下流域に泥分・有機物集積域が形成される要因について,塩分遡上・高濁度水塊の現地観測と干潟底質の横断分布調査の結果から考察した.京橋川は緩混合型の塩分分布を示し,塩水遡上に伴う塩淡混合により凝集が起こり,フロック化した粒子が河道内の広範囲に堆積しているものと推察された.潮位差の大きい大潮や河川流量が増加した場合の干潮時に中~下流域で高濁度水塊が観測された.掃流力の増加により上流で再懸濁した堆積物が移送され中~下流域で堆積し,泥分・有機物集積域が形成されるものと推察された.一方,泥分・有機物の集積は上流域の護岸沿いにおいてもみられた.上流域の護岸沿いは,掃流力の大きくなる低水時に干出するため堆積物は残留し,泥化すると推察された.
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