産業カウンセリング研究
Online ISSN : 2435-4554
Print ISSN : 1880-9669
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原著
  • 中丸 世紀, 原 恵子, 大塚 泰正
    2021 年 22 巻 2 号 p. 39-54
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,外資系企業の人員削減状況下において,現職維持を選択した日本人従業員の心理プロセスを検討することを目的とする。リサーチクエスチョンは,1)人員削減直後に生じるサバイバーの心理的反応はどのようなものがあるのか,2)それらの感情や心理的反応が日本人レイオフ・サバイバーのその後の決断や行動にどのようにつながるのか,の2点である。検討を進める中で,これまでのレイオフ・サバイバー研究とは異なる視点での示唆を得ることを射程におく。人員削減施策後も外資系企業に勤務する日本人従業員10名を対象に半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)分析により7カテゴリグループ,32カテゴリ,72概念による結果図を作成した。主な結果として,日本人サバイバーは人員削減施策導入初期から混乱期を経て,意思決定期へのプロセスを進み,サバイバー・シンドロームへの緩衝要因として,会社と心理的な距離を取ること,信頼できる人間に援助要請をすることが示唆された。また,現職維持か離職かを迷った末,建設的な生き残りを選択した従業員は他の従業員を積極的に手伝うなどの組織市民行動が観察されたが,非建設的な生き残りを選択した従業員は他の従業員を貶めるような組織機能阻害行動を起こすことも明らかになった。

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