循環器理学療法学
Online ISSN : 2758-0350
1 巻, 1 号
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巻頭言
研究論文(原著)
  • 野中 裕樹, 藤井 廉, 木本 祐太, 安丸 直希, 前田 聡一郎, 田中 慎一郎, 田平 一行
    2022 年1 巻1 号 p. 5-18
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】左室駆出率が保持された心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)患者の身体機能の違いによる臨床特性および身体機能に関連する因子を明らかにすることである.【方法】2017年11月から2021年10月までに急性増悪で入院した心不全患者310名を対象に,年齢,性別,Body Mass Index(BMI),在院日数,リハビリテーション開始日,New York Heart Association(NYHA)心機能分類,併存疾患,介護保険取得状況,服薬状況,心・腎機能,ヘモグロビン値(Hb),栄養状態,膝伸展筋力,握力,Short Physical Performance Battery(SPPB),Functional Independence Measure(FIM)を調査し,身体機能との関連性を調査した.【結果】包含基準を満たしたHFpEF患者78 名が本研究に参加し,退院時のSPPBスコアに基づいて高身体機能群(10〜12 点:n=25),低身体機能(0〜9 点:n=53)の2群に分類した.ロジスティック回帰分析の結果,独立因子として年齢およびGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)が抽出された.【結論】身体機能が低いHFpEF患者の特性として,高齢で低栄養を呈していることが明らかとなった.

総説
短報
  • 加藤 倫卓, 櫻田 弘治, 高橋 哲也
    2022 年1 巻1 号 p. 24-30
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

    高齢の心不全(HF)患者の多くは,心機能障害以外に並存疾患,フレイル,あるいは認知機能障害などを重複して保有しており,急性入院後の活動制限や栄養状態の悪化などにより,身体機能や日常生活動作(ADL)の急速な低下を生じることがある.近年,急性入院後のADLの低下は,hospital acquired disabilityあるいはhospital-associated disability(HAD)として認知されてきており,HADは予後を予測する指標であることが報告されている.急性入院後の理学療法はHADの予防に対して有効であると考えられるが,高齢HF患者において効果的なHADの予防対策は十分には明らかとなっていない.高齢HF患者のHAD対策としての循環器理学療法について,現在までのエビデンスとともに述べる.

Mini-review
症例報告
  • 近藤 和夫, 皆川 七穂
    2022 年1 巻1 号 p. 35-37
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

    <目的>外科的治療の適応なしと判断されたが,理学療法中の心雑音聴取を契機に外科的治療に方針転換され,その後運動耐容能の向上を認めた一症例について報告する.

    <症例>60歳代女性.理学療法実施中,時々,安静時には聴取されない心雑音を伴う呼吸困難を認めた.心肺運動負荷試験前後で心エコー検査を実施,嫌気性代謝閾値を超えた日常生活レベルの強度で,著しい左室流出路の狭窄を認め,外科的治療となった.術後リハビリテーションと自宅での身体活動により術後5 ヶ月には運動耐容能の向上もみられた.

    <考察>理学療法実施時には安静時の病態評価だけでなく,運動時のモニタリングが重要であり,患者個々の日常身体活動に応じた評価も必要である.

    <結語>理学療法は診療の一助にもなり,より良い結果に繋がると考える.

実践報告
  • 角谷 尚哉
    2022 年1 巻1 号 p. 39-40
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

    「デジタル医療」「医療のDX化」と聞いて,自身の業務とは関係のない他人事のように思う理学療法士も少なくないであろう.一方,動作分析や運動指導に関するアプリを臨床現場で活用したり,ウェアラブル端末で記録した生体情報をもとに患者指導を行うことにはイメージが湧くかもしれない.循環器理学療法領域は様々な生体・健康情報をもとに臨床推論を行うことが多く,ウェアラブル端末と連携したアプリ開発と親和性が高い.本稿では,循環器理学療法にアプリを活用するという視点ではなく,循環器理学療法をアプリに活用するという視点で,筆者の経験をふまえて解説する.

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