日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
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早期公開論文
早期公開論文の2件中1~2を表示しています
  • 恩田 禎子, 下条 芳秀, 川口 留以, 藏本 俊輔, 室野井 智博, 岡 和幸, 木谷 昭彦, 吉田 理佳, 比良 英司, 渡部 広明
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 39.3_01
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/20
    ジャーナル フリー 早期公開
     鈍的最上肋間動脈損傷による出血性ショックの症例に対し, damage control surgery (DCS) とdamage control interventional radiology (DC-IR) の併用で止血を得た症例を経験した. 64歳女性. 肺裂傷からの出血性ショックに対して肺部分切除術と根治的閉胸術を施行後2時間で再度出血性ショックを呈した. 造影CT検査で新たに右最上肋間動脈損傷と胸腔穿破による大量血胸, それに伴う凝固障害の進行を認め, 迅速に再開胸と圧迫止血を行いながらDC-IRで右肋頚動脈を塞栓した. 塞栓後は肋間動脈からのバックフローに対しガーゼパッキングと一時的閉胸を施行. その後planned reoperationで閉胸した. 本症例より, 凝固障害を伴う鈍的最上肋間動脈損傷においてIVRとガーゼパッキングを併用することは, 迅速で確実な止血を達成するうえで有益である可能性が示唆された.
  • 山吉 隆友, 金野 剛, 室屋 大輔, 沖本 隆司, 又吉 信貴, 上原 智仁, 野口 純也, 井上 征雄, 木戸川 秀生, 中山 敏幸, ...
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 39.3_02
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/12
    ジャーナル フリー 早期公開
     腹部打撲後に穿孔し4日後遅発性に症状が発現した外傷性直腸穿孔の1例を経験した. 症例は70歳台男性. 転倒にて下腹部を打撲するも直後は疼痛のみで軽快した. 受傷4日後突然下腹部痛を自覚し当院搬送, CTにて腹腔内遊離ガスを認め緊急手術を施行した. 直腸S状部に穿孔を認め高位前方切除を行った. 打撲により生じた全層性穿孔が周囲小腸の癒着により被覆され直後は症状を示さず遅発性に発症したと考えられた. 鈍的外傷による消化管穿孔では受傷から遅れて症状を発現する場合があり, 時間をかけて穿孔形成する遅発性穿孔の報告が散見される. 本症例は機序が異なり受傷後に完成していた穿孔が遅発性に発症した, 今まで報告のないまれな病態と考えられた.
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