鈍的最上肋間動脈損傷による出血性ショックの症例に対し, damage control surgery (DCS) とdamage control interventional radiology (DC-IR) の併用で止血を得た症例を経験した. 64歳女性. 肺裂傷からの出血性ショックに対して肺部分切除術と根治的閉胸術を施行後2時間で再度出血性ショックを呈した. 造影CT検査で新たに右最上肋間動脈損傷と胸腔穿破による大量血胸, それに伴う凝固障害の進行を認め, 迅速に再開胸と圧迫止血を行いながらDC-IRで右肋頚動脈を塞栓した. 塞栓後は肋間動脈からのバックフローに対しガーゼパッキングと一時的閉胸を施行. その後planned reoperationで閉胸した. 本症例より, 凝固障害を伴う鈍的最上肋間動脈損傷においてIVRとガーゼパッキングを併用することは, 迅速で確実な止血を達成するうえで有益である可能性が示唆された.
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