日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
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早期公開論文
早期公開論文の12件中1~12を表示しています
  • 大橋 聡, 福間 博, 中尾 彰太
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 38.3_12
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/05/24
    ジャーナル フリー 早期公開

     症例は2ヵ月の女児. 自宅にて当時2歳の同胞が誤って患児の頭上に尻餅をついて受傷した. 全身状態は安定していたが, 右側頭部に3cm大の陥没を認めた. 頭部CTで同部位にping-pong骨折を認め緊急で頭蓋骨形成術を施行し, 第8病日に自宅退院となった. 小児では, 骨の弾力性の高さから, ping-pong骨折と呼ばれる頭蓋骨陥没骨折をきたすことがある. 乳児期以降では, 交通外傷など外傷初期診療ガイドラインで高リスク受傷機転と規定されるものでの受傷が多いが, 自然整復も期待され, 手術適応を都度吟味する必要がある. 本症例は高リスク受傷機転には当たらない稀な受傷機転で発生し, 早期手術加療で良好な経過が得られた.

  • 宮里 実幸, 紺野 晴矢, 堀内 朱音, 渡邉 紀博, 新田 正和
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 38.3_11
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/05/16
    ジャーナル フリー 早期公開

     79歳, 女性. 歩行中に乗用車と衝突した. 救急隊接触時, 右前胸部の変形と呼吸不全を認めた. ドクターヘリでのトラウマバイパスも考慮されたが, 2次病院ではあるが直近の当院に陸路搬送となった. 来院時, 重度のショックであり, フレイルチェスト, 腹壁損傷, 不安定型骨盤骨折を合併していた. 両側胸腔ドレーン留置, 気管挿管, 骨盤創外固定, 後腹膜ガーゼパッキングを行い, 昇圧や人工呼吸管理などの初期集学的治療を行った後に速やかにドクターヘリで3次病院へ転院となった. 本症例はドクターヘリと比して人員, ワーキングスペース, 医療資機材に優れている病院での初療を選択し, その後ドクターヘリと連携したことで救命しえた.

  • 陳 美仁子, 高岡 諒
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 38.3_09
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/05/01
    ジャーナル フリー 早期公開

     軽微な外傷機転により, びまん性特発性骨増殖症にともなう食道穿孔から, 脊椎感染症を併発した一例を報告する. 症例は80歳台男性. 自宅内のふすまで顔面を打撲した. 初診時に頸胸椎の骨棘に接した咽頭後間隙血腫を認め, 数日後に遅発性の縦隔気腫と敗血症性ショックを呈した. 骨棘による食道穿孔・縦隔炎と診断し, 抗菌療法と食道内腔へのドレナージにより軽快したが, 約1ヵ月後に同部位の脊椎感染症を併発し, 対麻痺を後遺した. びまん性特発性骨増殖症では, 頸胸椎の骨棘による食道損傷と脊椎への感染波及に注意すべきであり, MRIが早期診断と病態の把握に有用である.

  • 山路 文範, 田邉 文, 登坂 裕也, 河内 順, 岡田 英志, Kaylin Naidoo, Riaan Pretorius, Devor ...
    原稿種別: その他
    論文ID: 38.3_10
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/23
    ジャーナル フリー 早期公開

     日本において銃創の経験を含めた外傷外科医の育成の必要性は認識されているが, 国内のみでその経験を十分に得ることは難しい. 南アフリカ, ヨハネスブルグのソウェト地区にあるChris Hani Baragwanath Academic Hospitalは戦場の異名をもち, 銃創や刺創を含めた外傷が非常に多い. 指導医を中心に教育体制も確立しており, 各国から研修生が絶えず訪れている. 筆者はその病院で外科医として4週間のObservership, 11週間の外傷外科研修を行った. 11週間の研修期間中に, Trauma部門全体で刺創516名, 銃創236名を含む合計1,187名の患者を重症初療室で対応し, 手術件数は緊急開腹手術 168件, 開胸手術 21件を含む321件であった. 重症初療室での初期対応や, 手術から病棟での術後管理など, チームの一員となり充実した研修が可能である. 外傷外科のスキルアップの場として南アフリカ共和国は非常に優れており, 今後も定期的な提携が望まれる.

  • 橋場 奈月, 本村 友一, 杉井 将崇, 西本 哲也, 井上 潤一, 原 義明
    原稿種別: 原著
    論文ID: 38.3_05
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/17
    ジャーナル フリー 早期公開

    【背景】自動車安全技術や救急医療の進歩により, 交通事故死傷者数は減少してきている. シートベルト (以下SB) は大変重要な安全装置の一つであるが, 臨床上SBによる損傷がしばしば経験される.

    【方法】日本医科大学千葉北総病院救命救急センターでは, 日本大学工学部と共同で交通事故実態調査を行ってきた. 2009年11月から2022年5月に調査された前方衝突事故の乗用車乗員を対象とし, SB着用群と非着用群の腹部実質および管腔臓器損傷受傷率の比較を後ろ向きに行った.

    【結果】期間中4,086例の交通外傷患者が搬送され, そのうち491例が対象となった. 年齢49.5±21.9歳, バリア換算衝突速度36.9±14 km/h, ISS (Injury Severity Score) 中央値9, 重症外傷 (ISS 16+) は33%, SB着用率は81%であった. 腹部実質臓器損傷はSB非着用群で有意に高率で (非着用群30%, 着用群11%, p<0.01), 管腔臓器損傷は着用群で有意に高率であった (着用群21%, 非着用群4%, p=0.01).

    【結論】SBは重要な安全装置だが, 改善の必要性がある.

  • 箕輪 啓太, 今 明秀, 今野 慎吾, 野田頭 達也, 十倉 知久, 吉村 有矢
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 38.3_06
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/17
    ジャーナル フリー 早期公開

     抗血栓薬内服している50歳代の男性. 駐車場で滑って転倒し頭部を強打し, 後頭部痛を主訴に来院した. CTで急性硬膜下血腫, 脳挫傷を認め, 保存加療目的に入院した. 意識障害が出現し, 失語と麻痺も出現し, CTで血腫増大を認めたので第3病日に開頭手術を施行した. 術後出血性合併症のリスクが低くなった段階で抗血栓薬投与を予定していたなかで, 第15病日のリハビリ中に急性肺血栓塞栓症を発症した. 一時心停止に至ったが蘇生処置を行って心拍再開した. 同日から抗凝固療法を開始した. 第37病日のCTで血栓は消失し, 第61病日に転院した. 抗凝固薬内服中の頭部外傷では出血性合併症のリスクが低いと判断した段階で抗凝固療法を検討すべきである.

  • 岡本 啓志, 片山 祐介, 蛯原 健, 石村 友里恵, 松本 寿健, 島崎 淳也, 入澤 太郎, 織田 順
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 38.3_07
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/17
    ジャーナル フリー 早期公開

     症例は41歳男性. 交通事故により受傷し, 当院に搬送された. Trauma pan-scanで右気胸, 心嚢気腫, 腸間膜損傷による腹腔内出血と診断した. Computed tomography (CT) 撮像後にショックに至ったため, 出血性ショックと判断し, 緊急開腹止血術を施行し, open abdomen management (OAM) とした. 心嚢気腫, 右気胸に関しては心嚢と右胸腔が交通していると判断し, 右胸腔ドレナージのみを施行した. 集中治療室入室後に緊張性心嚢気腫による閉塞性ショックに至った. OAM中のため, 心嚢と腹腔内が交通する可能性があったため, 剣状突起下アプローチではなく胸骨左縁アプローチで心嚢ドレナージを施行した. ドレナージ後はショックを離脱し, 第52病日に自宅退院した.

  • 安藤 彰俊, 室野井 智博, 藏本 俊輔, 岡 和幸, 下条 芳秀, 木谷 昭彦, 比良 英司, 渡部 広明
    原稿種別: その他
    論文ID: 38.3_08
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/17
    ジャーナル フリー 早期公開

     近年, 交通事故の減少, 非手術的治療 (NOM) の進歩による外傷外科手術症例や若手外傷外科医の外傷手技経験数の減少が顕著となり, 外傷外科教育体制の整備が必要とされている. 動物や献体を用いたsimulation trainingが行われているが, 開催数, 参加人数が限られ, accessibilityが良いとは言い難い. また外科領域では, 手術動画ライブラリなどによる学習が一般的で有用性が数多く報告されているが, 外傷領域においてこれらは整備されていない. このような背景から「外傷の手術・手術動画の集約化」を学会に提案したい. 重症外傷症例の手術動画を学会ライブラリに集約化, 救急医, 外傷外科医にとって必要な手技, 重症外傷症例への治療戦略を会員であればオンライン上で共有できるようにすることで, 若手医師のスキルアップが目指せると考える. 患者プライバシーへの配慮, 動画編集による業務量増加など課題はあるが, 手術動画による外傷外科教育は外傷分野でも有用な試みだと考える.

  • 谷﨑 眞輔, 狩野 謙一, 前田 重信
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 38.3_03
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー 早期公開

     85歳男性. 畑でトラクターの下敷になり下半身がロータリーに挟まれ受傷した. 左側腹部の腸管脱出を伴う開放創, 左大腿部および右下腿部にも開放創を認めた. 横行結腸中央部, 下行結腸遠位部の断裂および左側腹部腹壁の高度の挫滅を認め, 左半結腸切除, 人工肛門造設, 創部デブリードマンを施行した. Negative pressure wound therapyを併用しながら創部管理を行ったが, 再建用軟部組織の合併損傷が高度であったため, 左側腹部腹壁破裂創部に対する左側胸部からの皮弁形成術にて閉腹した.

  • 大谷 義孝, 宮田 修平, 加地 正人
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 38.3_04
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー 早期公開

     多発銃創患者に対し, 来院当日に開腹手術, 血管塞栓術を行った後, 脊髄損傷に対する手術を行った症例を経験した. 50歳代男性が, 自宅前で銃撃され当院へ救急搬送された. 左右頸部, 背部, 両下肢に銃創がみられ, 頸部から下肢の造影CTの結果, 肝損傷, 右血胸, 脊髄損傷と診断した. 肝損傷に対し緊急開腹止血術および血管塞栓術を施行した後, ICUで全身状態が安定していることを確認し同日脊椎手術を施行した. 術後リハビリテーションを行い, 独歩可能となり自宅退院した. 銃創診療の戦略は確実な止血のもとでの呼吸, 循環の安定化であり, そのうえで機能障害を最小限にするための治療を早期に行うことが必要である.

  • 徳丸 哲平, 倉田 秀明, 岡村 祥子, 冨岡 譲二
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 38.3_02
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー 早期公開

     生命を脅かす肝損傷に対する治療戦略は依然として議論と課題がある. 50歳代の男性, 大酒家で, 乗用車単独事故で胸腹部鈍的外傷を来した. 後区域の複雑深在性肝損傷で後区域枝をtranscatheter arterial embolizationした. 8時間後に再出血をみてperihepatic packingを行った. 6時間後に腹部コンパートメントでopen abdomen managementを行った. 40時間後に計画的再手術として肝損傷に対するresectional debridementと経胆嚢管的ドレナージを行った. 術後の肝梗塞と感染に対してドレーン管理を行い軽快退院した. 重症肝損傷に対して継続的かつ詳細な評価と修正を行い, 適切な加療を随時行うダメージコントロール戦略が良好な予後をもたらしうる.

  • 奥田 龍一郎, 山川 泰明, 小松原 将, 松本 俊之
    原稿種別: 臨床検討
    論文ID: 38.3_01
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的

     高知県の三次救急病院の一つである当院において, 病院前ターニケット使用の実情について調査し, 有効性や問題点を検討する.

    方法

     単施設後方視的研究. 対象は2019年から2022年までの間に, 当院へ救急搬送されたISS (Injury Severity Score) が9以上の外傷患者である.

    結果

     調査期間中の対象外傷患者は全853例であり, うち上肢外傷が194例, 下肢外傷が459例であった. 病院前ターニケット使用例は5例であり, 年齢は中央値57歳 (範囲43~83歳), 全例男性, 上肢2例, 下肢3例であった. 5例中1例のみ動脈損傷 (腓骨動脈損傷) を認めた. ターニケット装着時間は中央値50分 (範囲35~267分) であった. ターニケットによる合併症として, 大腿静脈内血栓が1例, 圧不足による静脈性出血の助長が1例あった.

    結語

     ターニケットが有効であった症例がある一方で, 使用法の間違いや長時間の使用による合併症もみられた. ターニケット継続時間が2時間を超える症例もみられ, 今後改善すべき課題と考えられる.

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