国は2023年1月から電子処方箋の運用開始を目指している.電子処方箋の受け入れは一定のコストがかかるが,受け入れ準備の遅れは他の薬局に既存患者を奪われかねない.本研究の目的は,調剤薬局における電子処方箋の受け入れに影響を及ぼす重要な要因について検討を行うことである.公表データを基に,電子処方箋の運用に必要なコスト,電子処方箋を受け入れない場合の逸失収益を数値化した結果,各コストよりも逸失収益が重要な要因であることが明らかになった.これは,処方元の医療機関の電子処方箋の発行予定等を注視し,早期に電子処方箋の受け入れを行う必要があることを示唆するものである.
今後,電子処方箋の運用は確実であることから,薬局の立地状況や顧客特性も踏まえ,早急に電子処方箋の受け入れを可能にしておくことが,今後の医療DXの変化の波に飲み込まれず,安定な収益を得る調剤薬局であるために重要である.
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