日本健康開発雑誌
Online ISSN : 2434-8481
Print ISSN : 2432-602X
ISSN-L : 2432-602X
早期公開論文
早期公開論文の6件中1~6を表示しています
  • 龍 由季乃, 田中 晶子, 内山 秀彦, 永澤 巧
    論文ID: 202445G01
    発行日: 2023/09/08
    [早期公開] 公開日: 2023/06/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    背景・目的 認知症高齢患者へのケアにおいて、看護師は様々な精神的・身体的ストレスを抱えている。本研究はケアで多く取り入れられているシャワー浴に着目し、患者にシャワー浴を実施した際の、患者と看護師のシャワー浴前後の気分の変化を調査し、双方に与える効果を明らかにする。

    方法 F病院に入院する認知症高齢患者と看護師を対象とし、認知症患者へ行うシャワー浴時に調査した。シャワー浴実施時、その前後にVisual Analog Scale(VAS)の測定と唾液からオキシトシン値とコルチゾール値を測定した。

    結果 対象者はそれぞれ10名。患者・看護師ともにシャワー浴前後のVAS平均値でシャワー後に有意に気分の上昇が認められた(p=0.01,p=0.02)。患者の生理活性物質はシャワー浴の前後で有意な変化は認められなかった。看護師についてはオキシトシン値では有意な変化を認めなかったものの、コルチゾール値がシャワー浴後に有意に減少した(p=0.02)。

    考察 VASの変化から患者・看護師ともにシャワー浴によって気分が向上したと考えられる。またシャワー浴後に看護師のコルチゾール値が減少したことは、VASの変化と併せて、患者へのシャワー浴の実施が看護師に気分向上とストレスの軽減をもたらす可能性がある。本研究の結果より、ストレスが多いとされる認知症ケアにおいて、シャワー浴は、看護師の精神的負担を軽減し、気分を変化させるより良い看護ケアである可能性が示された。

  • 上岡 洋晴, 朴 相俊, 和田 安代, 島田 美樹子
    論文ID: 202445G05
    発行日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    背景・目的 健康食品の摂取に伴う高齢者の健康被害や消費トラブルが増加している。そこで、本研究は、高齢者の科学的思考を歪ませるような広報戦略における行動心理学的効果の特徴を明らかにすることを目的とした。

    方法 インターネットの検索エンジン「YAHOO!Japan(https://www.yahoo.co.jp/)を用いて2023年11月23日~12月10日の期間にキーワード検索を実施した。キーワードは「アンチエイジング」、「サプリ」、「ランキング」とし、ヒットしたインターネット広告の上位5件のサイトを採用した。対象となったサイトのランキングに入っている企業の商品の高齢者に関するキャッチ・フレーズ(CF)を抽出した。計量テキスト分析を用いて文章を短い言葉(語)に分解した。テキストデータからの語への分解については形態素解析を行い、意味のある最小単位に分解し品詞を判別した。次いで共起ネットワーク分析を行い、同時出現(共起)関係から語のまとまりをサブグラフ検出(媒介)によりグループ化・グラフ化した。さらに消費者の購入意欲を高めさせる行動心理学的効果を期待していると考えられるCFを特定した。

    結果 高齢者を対象としたアンチエイジングのサプリにおいては、「健康で、より若々しく、美しくなれる」というメッセージを基盤として、購入を促進させる権威者への服従心理、スノップ効果、バンドワゴン効果、シャルパンティエ効果などの行動心理学的広報戦略としてのCFが取り入れられていることが明らかになった。

    考察 消費者が賢く購入の意思決定するために、商品の機能性と安全性に関する教育啓発に加えて、CFによって科学的思考を歪ませないための情報提供もアカデミア研究者や消費者庁などは併せて行っていく必要であると考える。また、いわゆる健康食品に関するリスクコミュニケーションの普及が強く望まれる。

  • 菊池 綾, 野田 龍也, 今村 知明
    論文ID: 202445G06
    発行日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    抄録背景・目的 患者の特性という点で一般科病院と異なる精神科病院においても、COVID-19のクラスター事案の発生が観測されている。本研究では、精神科病院のCOVID-19感染制御のための対策の手がかりを示すことを目的とした。

    方法 奈良県内の精神科病院の同一病棟内(急性期症状に対応する閉鎖精神病棟)で2020年12月と2023年9月にCOVID-19感染者が発生した事例を検討した。COVID-19感染者発生時、当該病棟入院患者および勤務職員を対象とした一斉PCR検査を実施し、病棟内の感染状況を確認した。

    結果 2020年発生時は当該病棟勤務職員1名の陽性判明後、5回の一斉PCR検査を実施したところ、当該病棟入院患者5名のCOVID-19陽性者を確認した。入院患者の感染者累計数が4名となってから、行政の指導に基づきゾーニングを行った。2023年発生時は、当該病棟入院患者3名の陽性判明後、3回の一斉PCR検査を実施したところ、入院患者33名および職員1名のCOVID-19陽性者を確認した。初発の陽性者を確認してからすぐに濃厚接触者に該当する可能性のある患者を調査し、ゾーニングも行った。

    考察 2020年発生時の初動の対応は手探りであり、濃厚接触者に該当する可能性がある患者への対応が後手に回ってしまったことは否めなかった。2023年発生時は、病院の構造に合わせた感染制御対策が2020年発生時の反省により確立されており、感染制御の対策を早々に講じることができた。

  • 柴田 陽介, 栗田 泰成, 森下 佳穂, 尾島 俊之
    論文ID: 202445G04
    発行日: 2024/02/27
    [早期公開] 公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    背景・目的 本研究の目的は高校教員におけるパラリンピックの視聴状況と視聴経験者の特徴を明らかにすることである。

    方法 本邦すべての高校のすべての教員を対象にした横断研究である。全国5007校の高校に調査依頼文を郵送し、それを教員に配布してもらい、教員からオンラインで回答を得た。調査項目は、パラリンピックの視聴経験の有無、ある場合は競技種目別の視聴経験の状況とした。回答者の特性は、教員免許、現在担当の部、運動部の顧問歴、運動などとした。解析は記述統計と視聴経験ありに対する特性のオッズ比を算出した。

    結果 回答者は7,892人、男性は75.5%、平均年齢は40.6歳だった。パラリンピックの視聴経験のある者は69.0%、競技種目別には、身体障がい者の競技は93.4%、視覚障がい者の競技は76.2%、聴覚障がい者の競技は54.5%、知的障がい者の競技は50.0%だった。視聴経験ありに対する特性のオッズ比は、教員免許が保健体育(基準:保健体育以外)で1.34(95%信頼区間:1.31-1.38)、現在担当の部が運動部(文化部)で1.14(1.10-1.19)、運動部の顧問歴があると1.26(1.17-1.36)、運動をしていると1.12(1.09-1.16)だった。

    考察 パラリンピックの視聴経験がある高校教員は69.0%であった。視聴経験のある者は、運動に関連する要因を持っている者が多かった。

  • 関口 陽一, 早坂 信哉
    論文ID: 202445G03
    発行日: 2023/09/21
    [早期公開] 公開日: 2023/09/21
    ジャーナル フリー 早期公開

    背景・目的 ウェルネスツーリズム及び環境省が提案する「新・湯治」は、ともに地域資源を活用した体験を通じた人々の健康増進を目指している。本研究は、アンケート調査データをもとに、人々が温泉地で実施した活動に伴う主観的な健康状態の変化を分析したうえで、温泉地における地域資源を活用した取り組みへの示唆を得ることを目的としている。

    方法 環境省が実施している「全国『新・湯治』効果測定調査プロジェクト」により2018年度から2022年度までに得られた18,620件のアンケート調査データのうち、一部設問に無回答だったデータを除く12,315件を対象にカイ二乗検定を用いて入浴以外の活動の有無による主観的な健康状態の変化について群間比較を行い、p<0.05の場合に有意と判断した。

    結果 入浴のみをした人が6,227人で、入浴以外の活動も行った6,088人よりやや多かった。主観的な健康状態は、滞在中に入浴以外の活動も行った人の方が改善傾向にあり、「むくみ」以外の改善者割合は非参加者よりも有意に高かった。「運動」参加者は「食欲」(p=0.036)、「周遊観光・買い物等」参加者は「食欲」(p=0.008)、「学ぶ活動・セミナー」参加者は「食欲」(p=0.047)、「冷え」(p=0.021)、「コリや痛み」(p=0.040)、「むくみ」(p=0.044)の改善者割合が非参加者よりも有意に高かった。

    結論 温泉地で入浴以外の活動も行うことの主観的な健康増進効果が示唆され、ウェルネスツーリズム及び「新・湯治」の目指す方向性を支持する結果となった。

  • 石澤 太市, 伊藤 要子, 中西 信之, 松本 圭史, 綱川 光男
    論文ID: 202445G02
    発行日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的 本研究の目的は、一定条件下での入浴において湯温度、水位、年齢、性別が体温変化に及ぼす影響について検討することである。

    方法 入浴時の湯温度および水位の検討として、健常者男女13名を対象に試験を行った。室温25.0℃、湿度50.0%RH 環境下で馴化した後、浴室温度25.0℃の環境下で湯温度が40℃と42℃のさら湯に、水位が腋窩までと肩が隠れるまでの2種類の条件で15分間の入浴を行った。湯温度と水位の4条件の組み合わせで入浴中の体温を測定した。また、対象者の年代および性別の検討として、20~69歳までの健常者男女58名を対象に試験を行った。室温25.0℃、湿度50.0%RH 環境下で馴化した後、浴室温度25.0℃の環境下で湯温度が40℃のさら湯に肩が隠れるまでの水位で15分間の入浴を行い、入浴中の体温を測定した。

    結果・考察 全ての試験において、入浴時の体温は入浴時間に比例して上昇した。また、入浴時の湯温度、水位、年代、性別は、何れも体温変化に影響を及ぼす因子であった。そこで、一定条件で入浴した際の体温変化を予測する推定式を作製した。推定式の妥当性については、健常者35名を対象とした入浴時の体温測定結果を用いて検証し、実測値と高い相関を示すことを確認した。体温変化の推定式は、入浴実験等の体温予測や入浴時の体温測定ができない場合に活用することができる。なお、入浴時の体温上昇は、被験者の体調および体質や身体組成、季節による温度および湿度等の外部環境や浴室環境、湯の含有成分等の水質により異なるため、これらの影響については今後検討が必要である。

feedback
Top