日本健康開発雑誌
Online ISSN : 2434-8481
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早期公開論文
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  • 松橋 圭子, 高橋 風葉, 田中 稲子, 大西 達也
    論文ID: 202546G01
    発行日: 2024/07/30
    [早期公開] 公開日: 2024/07/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    背景・目的 保育者のバーンアウト(燃え尽き症候群)について関心が高まっている。保育者のストレス要因として対人関係や待遇等の課題が挙がる一方、働く場として保育施設の物理的環境とストレスとの関連に着目した研究は僅かである。本研究では、保育者を取り巻く音環境とストレスの実態と関係性を明らかにすることを目的とした。

    方法 横浜市の保育施設を対象に、施設管理者と保育者向けの2種類のアンケートを実施した。施設管理者84名より施設の特徴や音環境に対する配慮について、保育者591名からは保育者個人の音に対する意識、日頃のストレスや勤務中の休憩状況に関する回答を得た。

    結果 保育者の仕事に対する満足度を目的変数とし、20のストレッサーに対する各度合いを説明変数として重回帰分析を行った結果、最も影響を与える要因は「職場の上司との関係」で、次いで「勤務中の休憩の質」であり、「響きやうるささなどの音環境」は、「給与」と同程度の3番目の影響度が認められた。音環境に関する施設の工夫の有無と、保育者の音漏れに対する心配の有無に関してカイ二乗検定を行った結果、「室内の子どもの声」について有意差が認められた。

    結論 既往研究では保育者のストレス要因として対人関係や待遇面が取り上げられてきたが、音環境の整備や休憩場所の確保など、保育者のストレスを緩和するために、施設の物理的環境からもアプローチの可能性があることが、本研究によって示された。

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