小児理学療法学
Online ISSN : 2758-6456
1 巻, 1 号
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寄稿
原著
  • 楠本 泰士, 樋室 伸顕, 西部 寿人, 木元 稔, 宮本 清隆, 高木 健志, 髙橋 恵里, 阿部 広和
    原稿種別: 原著
    2023 年 1 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    【目的】共同意思決定(Shared decision making;SDM)の知識と実践状況の乖離,患者の年齢帯や療法士の経験年数による目標設定の違いを明らかにすることを目的とした。

    【方法】小児疾患に関わる療法士115名を対象とし,ウェブアンケートにて目標設定の負担や実践の程度,目標設定に関するSDMの実践状況や内容を調査した。経験年数による2群で比較し,自由記述の内容は質的記述的分析を行った。

    【結果】目標設定に負担を感じている対象者が全体の2/3以上いた。2群間でSDMの実践状況に差はなく,対象児の年齢に応じて目標設定内容に違いがあった。SDMの実践状況と質的記述的分析の抽出内容に乖離があった。

    【結論】小児分野の療法士は,SDMの知識とSDMの実践状況に乖離があり,経験年数の違いにより目標設定内容に違いがあることが示唆された。SDMの正しい理解や経験年数,目標設定の思考過程を参照して,卒前卒後教育に活かしていく必要がある。

短報
  • 楠本 泰士, 木村 優希, 高木 健志, 髙橋 恵里, 松田 雅弘, 新田 收
    原稿種別: 短報
    2023 年 1 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    【目的】痙直型脳性麻痺患者に対する座位バランスの評価として,座位Index of Postural Stability(IPS)の検者間信頼性と構成概念妥当性を検証することを目的とした。

    【方法】横断研究として実施し,対象者は痙直型脳性麻痺患者29名(GMFCSレベルⅠ4名,Ⅱ4名,Ⅲ10名,Ⅳ11名)とした。測定項目は座位IPSとTrunk Impairment Scale(TIS),Pediatric Evaluation of Disability Inventory(PEDI)の移動とセルフケア領域とした。

    【結果】座位IPS の検者間信頼性はICC(2.1)=0.92(95%信頼区間:0.75〜0.98),最小可検変化量は0.46だった。TISとの相関係数は,動的座位バランス,協調動作,合計点に有意な相関関係があり,順に0.62,0.57,0.57だった。PEDIとの相関係数は機能的尺度,介助者による援助の順に移動では0.55,0.46,セルフケアでは0.54,0.51と,有意な相関関係があった。

    【結論】痙直型脳性麻痺患者おける重心動揺計を用いた座位バランスの評価として,座位IPSは良好な検者間信頼性があり,構成概念妥当性が支持された。

  • 神谷 猛, 杉浦 崇浩, 村松 幹司, 小山 典久
    原稿種別: 短報
    2023 年 1 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    【目的】超低出生体重児の予定日付近のDubowitz神経学的評価と修正1歳6か月時点の新版K式発達検査の関係を,超低出生体重児を除く極低出生体重児と比較検討し,超低出生体重児のDubowitz神経学的評価の有用性を検討することとした。

    【方法】2群間のDubowitz神経学的評価および新版K式発達検査の各カテゴリーの比較,Dubowitz神経学的評価合計スコアと新版K式発達検査全領域DQをスピアマンの相関係数,各群の定性テストとしての有用性(感度,特異度,受信者動作特性検査(ROC)曲線)を検討した。

    【結果】超低出生体重児は,Dubowtiz神経学的評価の姿勢と筋緊張,動きのカテゴリーと合計において低値を示した。超低出生体重児は,Dubowitz神経学的評価のtotal項目と新版K式発達検査の全領域の相関において有意な相関関係を認め,ROC曲線下面積(AUC)の結果からよい予測能を示した。

    【結論】超低出生体重児におけるDubowitz神経学的評価スコアが修正1歳6か月の発達状況に関連していることから,予測ツールとしての有効性が示唆された。

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