九州歯科学会総会抄録プログラム
第64回九州歯科学会総会
選択された号の論文の51件中1~50を表示しています
  • 小島 幸美, 林 寿恵子, 牧 憲司, 木村 光孝
    セッションID: O-1
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    今回、成長発育期に相当するラットに亜鉛濃度を変動させた食餌を与えることで,各種組織における亜鉛酵素(特にALPビOD)と亜鉛酵素以外の酵素活性を測定した。その結果、血清中のALP活性は対照群と比較して、低亜鉛、亜鉛欠乏食群において低活性は認められなかったが、顎下腺,舌下腺においては、対照群と比較して高亜鉛食,低亜鉛食群においてALPの低活性が認められた。さらに血清中のSOD活性は対照群と比較して、低亜鉛、亜鉛欠乏食群において低活性は認められなかったが、舌下腺、耳下腺においては対照群と比較して低亜鉛、亜鉛欠乏食群はCu,-Zn,SODの低活性が認められた。したがって今回の結果から、食餌中の亜鉛欠乏が必ずしも血清中の亜鉛酵素活性の低下を惹起しないが、唾液腺においては亜鉛酵素の活性が変動することが示唆された。
  • 片岡 真司, 豊野 孝, 瀬田 祐司, 豊島 邦昭
    セッションID: O-2
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    細胞外ATPは、細胞膜のATP受容体に結合し、神経伝達物質として機能することが知られている。味覚情報伝達においてもイオンチャネル型ATP受容体であるP2X受容体が味蕾内に分布する神経線維に発現している。Gタンパク共役型ATP受容体であるP2Y受容体も生理学的な研究により味蕾において重要な役割を担うことが示唆されている。以前、我々はP2Y1受容体のラット味蕾における発現を報告している。今回の実験では、ラット味蕾におけるP2Y4受容体の発現様式について調べた。免疫組織化学的手法により、P2Y4受容体は、茸状乳頭、葉状乳頭および有郭乳頭の味蕾の一部の細胞に発現が認められた。これらの結果は、複数のATP受容体が味蕾において細胞―神経間の情報伝達になんらかの役割を持つことを示唆するものである。
  • 河岸 重則, 吉野 賢一, 村田 貴俊, 天野 仁一朗
    セッションID: O-3
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    九州歯科大学の5年次生32名を対象に舌の立体認知能を調査した。被験者に、咬合面まで被った口蓋床を装着した状態あるいは装着していない状態で、口腔内に入れたボールのサイズ(直径4~9.5mmの5種類)やNIDRで開発された20種類のオブジェクトの形を判断してもらった。サイズ認識では正解率は50%弱であった。直径の小さいものは実物より小さく、大きいものはより大きく判断する傾向が認められた。形の認識では、正解率は約85%であったが、4種のオブジェクトについての正解率が他のものに比べて低かった。口蓋床の装着の有無でこれらの結果に差は認められなかった。またサイズと形の正解率間に相関は見出されなかった。
  • 槙原 絵理, 尾座本 まゆみ, 有田 正博, 鱒見 進一
    セッションID: O-4
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    日常臨床における補綴関連検査のうち,ゴシックアーチ描記法は水平的顎位の決定法として,またチェックバイト採得は半調節咬合器の顆路傾斜角測定を目的として行われている.従来より当講座における全部床義歯の臨床ステップでは,ゴシックアーチは垂直的顎位決定後に咬合器に作業模型を付着した後に行い,チェックバイト採得は上下顎の義歯完成後に行っている.今回,口内法ゴシックアーチトレーサーを利用して,ゴシックアーチ描記後に中心位および前方・左右側方の偏心位における咬合採得を行い,両者の同時記録を試みた.本手技は,容易でかつチェアータイムや来院回数の短縮につながることから,患者ならびに術者にとって臨床上有用であると思われた.
  • 2年間の調査報告
    尾座本 まゆみ, 槙原 絵理, 鱒見 進一, 有田 正博, 松木 貴彦, 中村 恵子
    セッションID: O-5
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    近年,高齢化社会への関心が高くなっている.そこで我々は高齢患者の受診が多い第1義歯科の新患を対象に調査を行っている. 2002年4月から2003年3月までの受診患者については,第63回九州歯科学会総会で発表した.今回も同様に,2003年4月から2004年3月までに当科を新患として受診した患者を対象に,追調査を行った.対象患者数は389名で,そのうち65歳以上の高齢患者は146名で,全体数の37.8%であった.2002年度(36.1%)と比較すると,高齢患者の占める率がわずかに増加していた.これらの患者について,各々の地域,全身疾患の有無や種類,紹介元,当科での処置内容などについて詳細に調査を行った.
  • 呉 文元, 鱒見 進一, 三宅 茂樹
    セッションID: O-6
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    我々は1987年よりconical telescopeを利用した可撤性補綴物の臨床を開始し,数多くの症例に応用してきた.症例を重ねていくうちに,オーバーデンチャーやパーシャルデンチャーのみならず,本来固定性補綴物の適用であるブリッジやクラウンに対してもその可能性を試みてきた.これらの長期予後について検討した結果,固定性補綴物よりも優れた点が多く認められたため,我々はconical telescopeをベースとしたこれら一連の補綴物に対し,Preventive Removable Prosthesis (PRP) システムという名称を付け,さらにこれらの分類を試みた.今回は,PRPシステムの分類を紹介するとともに,代表的な症例について報告する.
  • 岩永 賢二郎, 富永 和宏, 山本 晃三, 助台 美帆, 辻澤 利行, 西原 達次, 福田 仁一
    セッションID: O-7
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    近年、癌治療のために癌抑制遺伝子や抗癌剤を非ウィルスベクター法で導入する方法が検討されている。現在、我々の研究グループは超音波を用いた新たな遺伝子導入法を開発している。今回、マーカー遺伝子を培養癌細胞へ導入し、最も導入効率の良い条件を決定したので報告する。実験に供した細胞はヒト由来の歯肉扁平上皮癌細胞(Ca9-22 cell)で、マーカー遺伝子としてβ-galactosidase発現プラスミドを使用した。超音波発振装置は、ソニトロン2000(Richmar, Inc)を使用した。また、遺伝子の導入効率を上げるため、超音波造影剤であるマイクロバブルを併用した。細胞懸濁液にDNAとマイクロバブルの混合液を加え、超音波照射を行い24時間後、β-Gal染色により導入効率を比較検討した。超音波の強度および至適細胞数を調べたところ、細胞数1×106個に対し、周波数1 MHz, 強度2.0 W/cm2, Duty比 10%, マイクロバブルの濃度は2.5%で最大の効果が得られた。今後は導入効率をさらに向上させ、in vivoの系で腫瘍抑制あるいは顎関節疾患治療へ応用する予定である。
  • 一宮 久之, 有吉 渉, 又吉 誉章, 高野 裕史, 西原 達次, 高橋 哲
    セッションID: O-8
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    顎関節内障においてはその病態形成にブラキシズムなどによる機械的ストレスが関与しているといわれている。本研究において、われわれは関節滑膜細胞における機械的ストレスに対する応答をin vitroで解析するため、2種類の機械的ストレスを培養滑膜細胞に加え、各種サイトカインの発現について検索を行った。方法は培養滑膜細胞(HIG 82 cell)に対して圧縮ストレスもしくは伸展ストレスをそれぞれ加え、サイトカインのmRNA発現をRT-PCR法にて調べた。その結果、圧縮刺激はTNF-αの発現を誘導しcox-2の発現を増強させた。また伸展刺激はTNF-αの発現誘導を起こさずにcox-2の発現を増強させた。以上より顎関節に対する機械的ストレスは滑膜の生化学的変化を誘導し病態形成に関与する可能性が示唆された。
  • 芳賀 恵, 菅野 貴浩, 西原 達次, 高橋 哲
    セッションID: O-9
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    仮骨延長法は、口腔顎顔面外科領域において広く応用がなされているが,延長による骨再生メカニズムについては不明な点も多い。今回、機械的伸張刺激の骨芽細胞様細胞に対する影響について検索を行った.実験にはラット顎骨骨膜由来細胞を用いた。伸展刺激にはSTRETCHR (SCHOLAR-TEC corp)を用い、伸展によるALP産生能及び,転写因子であるRunx2/Cbfa1,骨基質タンパク質osteocalcinの発現に関して検索を行った.伸展刺激によりALP産生能,Runx2/Cbfa1,osteocalcinの発現においてコントロール群と比較し有意な増加を示した。仮骨延長時による機械的伸展刺激は骨膜由来細胞に対してその分化を高め、骨形成・再生を促す可能性が示唆された。
  • 第11報 易感染性疾患患者の歯性上顎洞炎について
    上橋 陸海, 小林 繁
    セッションID: O-10
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    糖尿病、ステロイド剤内服患者、白血病等の易感染性の疾患は病態によっては重症感染症を合併する。今回は歯性上顎洞炎を合併したこれらの疾患の病態と洞底部形態、歯根との位置的関係をオルソパントモグラムにより検討した。資料は成人男女糖尿病12例、ステロイド剤長期内服患者14例、白血病患者12例と健常者成人男女42例の歯性上顎洞炎である。結果として、DMではFBS220mg/dl以上、食後2時間血糖値380mg/dl以上、HbA1c10.8%以上、ステロイド長期内服患者ではPSL(プレドニゾロン)で1日量5-10mg、投与期間3年2ヶ月以上、白血病では病態や病期あるいは化学療法等により易感染性の時期に、健常者ではほとんど見られない関係の洞底部が根尖から遊離しているFree typeにも歯性上顎洞炎が見られた。
  • Amit Khanal, 土生 学, 三森 康弘, 富永 和宏, 福田 仁一
    セッションID: O-11
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
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    顎関節突起骨折において、顎関節にかかる咬合力に対する各組織内固定法の強度について生物力学的に比較検討したので報告した。骨折のモデルとして関節突起基部に下顎枝に対して直角な骨折である横骨折モデルと下顎枝に対して斜めに折れた斜骨折モデルを作製し、固定法にはマティス社製adaptation plate1枚, 同2枚, 同社製mini dynamic compression plate (DC plate), マーティン社製Eckelt lag screw, それにグンゼ社製PLLA plate 2枚を用いた。また、横骨折モデルにのみライビンガー社製Wurzburg lag screw plateを用いた。生物力学的評価には、Ziccardiらの方法に従い、各モデルを圧縮曲げ試験装置に設置し、圧縮曲げ試験における荷重・変位曲線から最大荷重とステッフネスを算出し評価した。結果は、どのような骨折様態においても十分な強度が発揮できるのはadaptation plate 2枚による固定であると考えらた。 Eckelt lag screwは横骨折においては十分な強度を発揮していたが、斜骨折ではその強度の低下が認められた。DC plateおよびadaptation plate 1枚の単純な固定では、強い咬合荷重が生じる前方での咬みしめなどを行わないような患者指導も必要であると考えられた。PLLA plateも2枚使用できれば、前述の注意を払うことで関節突起部に使用できる可能性があることが示唆された。
  • 第3報 印象用トレーの消毒
    永松 有紀, 陳 克恭, 田島 清司, 柿川 宏, 小園 凱夫
    セッションID: O-12
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    高い殺菌効果を瞬時に示す電解酸性水は、歯科臨床で広く用いられるようになり、この数年の間には酸による金属腐食、塩素臭等を改善した電解中性水も開発された。本研究では、唾液等により汚染される印象用トレーについて、電解中性水による消毒効果と処理後の腐食挙動を調べて、強および弱電解酸性水と比較した。いずれの電解水もわずか1分間の浸漬処理によりトレーに残存する菌は検出されなかった。7日間の浸漬試験において、強電解酸性水中では浸漬1日目から錫合金、アルミニウムおよびステンレストレーで著しい変色・腐食がみられ、弱電解酸性水でも浸漬日数が長くなるに従い、ステンレストレーの腐食がみられるようになった。電解中性水では水道水に浸漬した場合とほとんど同程度であり、金属腐食への影響が最小の電解水であることが示唆された。
  • 槙原 正人, 槙原 絵理, 陳 克恭, 小園 凱夫
    セッションID: O-13
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    レーザー治療は、出血が少ないこと、疼痛が軽減されること、早期治癒が期待されることなどの特長から、患者の負担を著しく軽減するとともに、画期的な治療効果をもたらしている。根尖部に生じた中程度(栂指大)のX線透過像病巣に対しては、根管処置による従来の治療が行われることが多かったが、治療に長時間を要し、完全な治癒を望むことは困難であった。そのため、根尖切除掻爬術を行うことがすすめられている。しかし、メスを用いて行う場合、術野の出血が多く、病巣を取り残す症例も多く、特に長期間にわたって骨の再生が見られないという問題が指摘されている。今回、CO2レーザーを用いて実施した根尖切除掻爬術の症例について術後7ヵ月で検討したところ、良好な結果が得られたので報告する。レーザーの特徴である止血効果により手術野を明示できるため、確実に病巣を除去でき、しかも創部の治癒促進効果が得られるばかりでなく、短期間に根尖病巣周囲の骨再生が促進されることを認めた結果が得られた。CO2レーザー術式の簡便さで、日常の臨床に十分応用できると考えられる。
  • 吉野 賢一, 河岸 重則, 村田 貴俊, 天野 仁一朗
    セッションID: O-14
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    歯科学的な知識や経験が歯牙位置の感覚認識に影響するか否かを調べるため、九州歯科大学付属歯科衛生学院95名を被験者として、一本の歯牙に機械的刺激を与え、刺激を受けたと認識した歯牙位置を返答させた。刺激は第三大臼歯を除く全ての上顎歯に施した。刺激した歯牙位置と返答した歯牙位置を修業年限別に比較した結果、修業年限が長い被験者ほど刺激した歯牙位置を正しく返答した。また正しい刺激歯牙を返答できなかった場合、修業年限が長い被験者の多くは刺激歯牙と隣接した歯牙を返答するが、修業年限が短くなるほど刺激歯牙から離れた歯牙を返答する傾向が認められた。以上のことから歯科学的な知識や経験の有無や程度が歯牙位置感覚の認識に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
  • 第1報 歯根表面に発生する亀裂・剥離の観察
    野間 則徳, 柿川 宏, 陳 克恭, 寺下 正道, 小園 凱夫, 横田 誠
    セッションID: O-15
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    咬合力による応力は、CEJ付近に発生しやすい。その際歯頸部付近のセメント質・象牙質に破壊や剥離が生じ、線維性結合組織の破壊、骨の吸収、歯肉退縮、歯周ポケットの形成が起こるという仮説を設定した。そこで今回、繰返し荷重負荷試験機を用い、上顎第一・二小臼歯のヒト抜去歯に対して荷重を加え、実体顕微鏡を用いて歯根表面の亀裂・剥離の様子を経時的に観察した。そ結果、歯冠側から歯根側方向への亀裂の走行および歯根表面歯質の剥離を確認した。以上のことから、歯肉縁上から縁下にかけての歯周疾患の進行経路の形成が示唆された。
  • 園木 一男, 内藤 徹, 高田 豊, 福原 正代, 藤澤 聖, 脇坂 正則, 横田 誠
    セッションID: O-16
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    脳卒中と歯周病と関係を前向き介入試験で明らかにするため、平成15年度に歯周病患者13名に対し、治療前の歯周病評価、頚動脈エコー、頭部MRI、空腹時採血を行った。13名の平均年齢は53.8歳、平均残存歯数18.5本、PDが6mm以上の部位数の平均9.5カ所、平均BOPは42%。 頭部MRIで大脳白質の変化を有する群(4名)と有しない群(8名)で歯周病評価項目に有意差はなかった。歯周病評価項目は、頚動脈エコーの内膜中膜厚(IMT)と相関しなかったが、PDが6mm以上の部位数やBOPは、白血球数と正の相関、HDLと負の相関があった。 歯周病治療を行いながら、平成16年度と17年度で同様の評価を行う。
  • 堀 直子, 田中 勇, 鶴岡 祥子, 植田 佳子, 斎藤 友佳, 土井 康範, 藤本 幸子, 古賀 裕紀子, 大住 伴子, 東 泉, 黒木 ...
    セッションID: O-17
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    Freund's complete adjuvant(FCA)は、感作性試験において弱い感作性物質に対しても免疫反応を誘発し、検出感度を上げるために使用されてきた。しかしFCAの望ましくない副作用を考慮すると、代替アジュバント(AA)の使用が推奨される。この研究では、FCAとAAの有効性を遅発性過敏性反応において比較した。まず、モルモットを用いてadjuvant and patch testを行った。FCAを用いたモルモットでは紅斑と浮腫が誘発されたが、AAでは皮膚反応が微弱であった。次に、マウスを用いてear swelling testを行った。AAはFCAと同等の耳介腫脹反応を惹起した。これらの結果から、感作性試験におけるAAの有効性は、動物種や実験方法により異なることが示唆された。
  • 天野 裕治, 立石 晃
    セッションID: O-18
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    田川市立病院歯科口腔外科で平成11年1月から平成15年12月までの5年間に加療した知的障害者初診症例について検討を行った。症例は26例であった。性別は、男性11例、女性15例であった。年齢別では、10歳代から60歳代に広く分布し、40歳代が9例と多かった。疾患別では、歯周疾患6例、顎骨周囲炎5例、歯根嚢胞3例、歯根膜炎3例などであった。処置別では、消炎処置7例、歯周病治療6例、抜歯3例、嚢胞摘出術3例などで、口腔外科処置が17例であった。入院治療は、7症例、8回で、全身麻酔症例は、4例であった。他医院からの紹介は、13例であった。当科における知的障害者症例は、比較的高齢者の症例が多く、口腔外科疾患症例が多かった。
  • 立石 晃
    セッションID: O-19
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    終末期口腔癌患者のQOL低下は明かではあるが,障害の具体的内容の報告は少ない.今回,UWQOLVer.4を用いて終末期口腔癌患者のQOL評価を行ったので報告した.田川市立病院歯科口腔外科にて終末期医療を行った口腔癌患者7名を対象とした.性別は男性4名,女性3名,年齢は62~87歳で,内訳は進展腫瘍で局所非制御2名,頚部非制御4名,局所・頚部再発1名,全例扁平上皮癌であった.調査は死亡2~5か月前に承諾を得た後に行った.咀嚼,味覚が最も障害が大きく,続いて娯楽,活動の順に障害を認めた.会話,肩の障害は比較的少なかった.気持ち,不安は様々であり,患者の背景因子である家族構成が大きく影響していた.今回のQOL調査によって患者自身の問題点を医療スタッフが理解し,共有することが可能となった.終末期緩和医療を行う上で大変価値があった.
  • 概要と問題抽出
    有田 正博, 西田 郁子, 吉野 賢一, 小城 辰郎, 中村 恵子, 木尾 哲郎, 大住 伴子, 安細 敏弘, 一田 利通, 北村 知昭, ...
    セッションID: P-1
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    九州歯科大学においては,5年次生を対象に、第1回OSCEトライアル(86名)を2003年3月15日に,第2回OSCEトライアル(94名)を2003年12月6日に実施した。第1回目は5課題(医療面接,ブラッシング指導,ラバーダム防湿,概形印象採得,単純抜歯),第2回目は7課題(医療面接,フィルムマウント,レジン充填,根管治療,支台歯形成,矯正装置の説明,バイタルサイン)であった.平均点は,79.4点および80.4点で概ね良好であった.面接・説明系課題と比較して技能系課題の平均得点率は低かった。また技能系課題においては受験会場および受験時間の違いによる平均点の差が認められた。
  • 坂本 英治, 庄野 庸雄, 吉野 賢一, 木尾 哲郎, 有田 正博, 黒川 英雄, 大住 伴子, 北村 知昭, 芳賀 健輔, 中村 恵子, ...
    セッションID: P-2
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    Objective Structured Clinical Examination(OSCE)では評価の信頼性、公平性が問題となってくる。本格実施を前に第1回九州歯科大学OSCEトライアルが行われた。この結果から評価者間の公平性、信頼性について検討を行った。OSCEトライアルに参加した評価者50名の受験生に対する評価、概略評価を各評価者間で比較した。ばらつき具合を示す偏差平方和は技術系課題(抜歯5.19、ラバーダム7.59、ブラッシング指導5.43、印象採得6.40)に対し、説明系課題(医療面接10.8)では高く、評価者間のばらつきが大きかった。技術系に対し説明系課題は点数評価がしにくいことが考えられる。OSCEではより確立した評価システムの構築が必要である。
  • 中村 恵子, 北村 知昭, 木尾 哲郎, 有田 正博, 庄野 庸雄, 黒川 英雄, 大住 伴子, 坂本 英治, 西田 郁子, 芳賀 健輔, ...
    セッションID: P-3
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    客観的臨床能力試験(OSCE)の学生への影響を検討するため,今回,九州歯科大学にて開催された第1回OSCEトライアル終了直後に受験生対象に無記名式アンケートを実施した. OSCEの意義については半数以上の受験生が有意義であると解答した.試験方法については未経験の手法であり緊張・戸惑いを訴える受験生が多かった.ステーション別アンケートにおいてもステーション間でばらつきはあるものの,概ね今後の臨床実習に役立つという結果が得られた.今回の受験生アンケート結果から,OSCEは実施法や課題設定の改善の必要性はあるが,臨床実習直前の学生の動機付けとしても良い影響を与えると言える.
  • 木尾 哲郎, 大住 伴子, 黒川 英雄, 有田 正博, 庄野 庸雄, 北村 知昭, 芳賀 健輔, 粟野 秀慈, 篠原 雄二, 園木 一男, ...
    セッションID: P-4
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    OSCEにおける模擬患者(SP)による評価の客観性を高める目的で,本学で学内養成したSPによる評価を分析し,検討を行った.平成14年度第1回OSCEトライアルに参加したSP18名とし,採点した点数を評価者の点数と比較検討した.SPの評価の平均点は20点満点で9.6~17.4点と開きがあった.SPと評価者の相関関係は,医療面接部門ではやや強い相関が,説明部門ではやや弱い相関が認められた.SPと評価者の評価傾向は4タイプに分類することができ,それぞれのタイプに応じたSP教育の必要性が示唆された.さらに今後SPの養成を行う上で,到達度と評価基準を明確にし,評価に客観性をもたせる必要があると考えられた.
  • 柿川 宏, 陳 克恭, 槙原 正人, 永松 有紀, 田島 清司, 小園 凱夫
    セッションID: P-5
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    近年、歯科においても各種レーザーの利用が拡大し、歯周病に対するCO2レーザーの治療効果も臨床的に認められている。しかし、歯周治療の際に歯に対して不用意にレーザーが照射された場合の、歯への影響に関しては注意が払われていない。そこで本研究では、歯に不可避的にレーザーが照射された場合の照射条件の影響を検討することを目的に、まずアクリルレジンを用いてレーザーの照射条件とレジンの損傷との系統的な関係を測定した。その結果、照射距離を一定にしてレーザー出力を0.6Wから10Wまであげていくと、生じた溝は有意に深くなった。一方、照射距離を離していくにつれ溝の深さは浅くなり、溝の幅が大きくなった。しかし、1Wでは5cm離すと、損傷は見られなくなった。歯においても損傷が認められ、HLLTのみならずLLLTで歯周組織に照射する場合にも、可能な限り歯への照射を避ける必要があることがわかった。
  • 村田 貴俊, 天野 仁一朗, 河岸 重則, 吉野 賢一
    セッションID: P-6
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    大脳基底核の顎運動制御について調べるために、ラット視床下核へ微小電気刺激とカイニン酸注入による微小化学刺激をおこない、顎二腹筋前腹、咬筋、オトガイ舌筋、上唇挙筋に誘発される筋電図について調べた。その結果、顎二腹筋前腹とオトガイ舌筋の筋電図活動が誘発され、咬筋と上唇挙筋では誘発されなかった。またGABAまたはビククリン注入による微小化学刺激では、すべての筋で筋電図活動が誘発されなかった。しかしながら本来、視床下核の神経活動の促進は、抑制性出力核である脚内核/黒質網様部に対して促進的に働く。つまり運動発現の抑制強化に働くはずである。この筋電図の誘発機序に関しては、さらなる検討が必要である。
  • 東 泉, 河原 博, 大住 伴子, 古賀 裕紀子, 黒木 賀代子
    セッションID: P-7
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    シンナーと呼称されるトルエンをはじめとする有機溶剤は,乱用によって幻覚や依存などを生じ,時に大きな社会問題を引き起こす.しかし,これら有機溶剤の作用機序に関する研究は少ない.今回,シンナーの主成分であるトルエンの吸入がラットの脳内ノルアドレナリン(NA),ドーパミン(DA)神経系に及ぼす作用を検討した.実験には,Wistar系雄性ラットを用い,無麻酔・無拘束状態における大脳皮質内側前頭前野(mPFC)の細胞外NAおよびDA量のトルエン吸入による変動をHPLC-ECDで測定した. 7,000ppmのトルエン吸入により有意に増加したmPFCにおける細胞外NA,DA量は,Ca依存性であり,Naイオンチャネル阻害薬であるテトロドトキシン10-6Mにより抑制された.
  • 一般臨床歯科医師が九州歯科大学附属病院に求めるもの
    中村 修一, 河野 博之, 松延 彰友, 久保田 浩三, 富永 和宏, 床野 庸雄, 牧 憲司, 椎葉 俊司, 小野 堅太郎, 岡部 幸子, ...
    セッションID: P-8
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    近隣施設の医療従事者が本大学附属病院に抱く希望や問題点、更に本学附属病院に対するニーズを把握すること。近隣の開業歯科医(本学同窓生)322人を対象にアンケート調査を行った。回収されたアンケート用紙は128枚であった。対象者の89%は1年間に1度は学術講演会に出席されていた。一方、本学教官が講師を務めたものはその半数であった。対象者の95%は1年間に対応困難な難症例に遭遇していた。その疾患の多数は口腔外科関連疾患であった。難症例を紹介する病院として本学附属病院が67%と多く、その理由は技術の信頼と先生と懇意関係であるが多数を示した。基幹病院としての意義を明確化するには、口腔外科を中心とした各診療科の充実と学術貢献を通したパーソナルコミュニケーションの確立が重要である。
  • 牧野 正敬, 田代 芳之, 久保田 浩三, 横田 誠
    セッションID: P-9
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    今回の研究の目的は、歯肉退縮における結合組織移植術が審美性の回復にどれほど有用性があるか、また歯肉退縮の評価法の問題点などを検討することである。過去九州歯科大学附属病院歯周病科を受診し歯肉退縮と診断され結合組織移植術を行なった11症例についてMillerによる分類別に、術前と術後のアタッチメントレベルの変化をもとに歯肉退縮の回復について検討した。その結果Millerの分類Class I がClass II より歯肉退縮の改善率が悪く、その理由として露出根面の幅,曲率、隣接歯肉や歯槽骨の頬舌的厚さなどの条件が悪かったことが考えられた。ひいては垂直的因子を重視したMillerの分類では、術後の結果を表しきれないことが示唆された。
  • 第2報 平成12年度との比較
    曽我部 浩一, 庄野 庸雄, 永松 浩, 角田 聡子, 西野 宇信, 村岡 宏祐, 亀田 めぐみ, 小野 恵子, 宗 洋一郎, 竹原 直道
    セッションID: P-10
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    臨床研修歯科医制度の法制化に伴って、本学総合歯科において多数の臨床研修歯科医を受け入れるようになる。そこで臨床研修歯科医のための新患の受け入れ態勢を把握するため、初診患者の動向について調査した。平成15年度に九州歯科大学附属病院を受診した初診患者を対象として傾向を比較検討した。男女比は2:3で女が多かった。年齢別では0才代が最も多く、次いで60才代、50才代であった。患者数は口腔外科が最も多く総合歯科、補綴科、保存科の順であった。総合歯科の初診患者数は4月から10月まで多くその後、年度末へかけて減少傾向であった。平成15年度から総合歯科の人員配置増加および予診業務の担当に伴い初診患者数は増加しており、再診患者数も月別において安定した数である。したがって総合歯科での臨床研修歯科医の研修は特に問題なく受け入れ可能と判断した。しかし研修期間が1年と短いため、効率的な研修を行うには研修内容等の具体的な検討が必要であると思われた。
  • 椎葉 俊司, 吉岡 泉, 曽我部 浩一, 田代 芳之, 滝口 玲子, 仲西 修, 林田 裕
    セッションID: P-11
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    重大な事故が発生するまでには、被害は及ぼさないが事故になりかねない状況が存在すと言われている。今回、われわれは当院の過去に提出された全てのヒアリハット報告書につい検討した。対象は平成13年6月から平成16年3月までの2年10か月間に提出されたヒアリハット報告書とした。当院におけるヒアリハット報告書は2年10か月間で61件であった。また、提出者は看護部(29件)、歯科医師(26件)、薬剤部(5件)、検査部(1人)の順であった。報告内容では歯科治療(24件)、投薬(21件)、処方せん(7件)、看護(3件)、手術(2件)、検査(2件)、その他(2件)であった。早急な対策が必要と考えられる重大な報告は15件存在した。ヒアリハット報告の分析・対策を行なうことが重大な事故を予防することよりより多くのヒアリハット報告書の提出が望まれる。
  • 法師山 拡行, 嶋村 知記, 前田 博信, 永尾 史徳, 児玉 正明, 平嶋 惣一, 富永 和宏, 福田 仁一
    セッションID: P-12
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    九州歯科大学附属病院第1口腔外科では 2次医療機関としての地域的な役割、患者の動向、疾患内容の実態を把握する目的で、1996年から2001年の臨床統計を行ってきた。今回、われわれは2002年1月1日から2003年12月31日までの2年間に当科を受診した新来患者4147名のデータを追加し、過去の結果と比較検討した。観察項目としては年別新患総数、月別新患総数、患者紹介率、患者居住地域ならびに疾患分類別割合ごとに分析した。結果は(1) 1999年を最高に新患患者は漸次減少傾向にあった。(2) 2000年以前はみられた夏期の患者増がみられなくなった。(3) 8年間の患者紹介率は60%から70%を推移していた。(4) 小倉南区や八幡東区では漸次減少傾向にあった。(5) 疾患別分類では、歯牙関連疾患が減少傾向にあったが、他の疾患の比率には大きな変動はなかった。
  • 王丸 寛美, 松木 貴彦, 大丸 仁, 津田 緩子, 槙原 絵理, 有田 正博, 鱒見 進一
    セッションID: P-13
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    九州歯科大学附属病院顎関節症科における顎関節症治療の現状の把握と結果の評価,ならびに今後の改善点について検討するため,2003年4月1日から2004年3月31日までに当科で診断,治療を行った新患顎関節症患者159例を対象として,臨床統計的調査を行った.男女比は1:3.4であり,男性は10-20歳代と50歳代,女性は20歳代と50歳代が多かった.症型分類別に主訴,治療方法,治療期間を検討したところ,いずれの症型も主訴と病態は一致していた.治療法はスプリント療法,薬物療法, Cr&Br製作,義歯製作が多かった.顎関節症の特性を考慮すると,今後は積極的に理学療法を取り入れ,他の治療法と併用していく必要があると思われた.
  • 矢野 淳也, 北村 知昭, 諸富 孝彦, 寺下 正道
    セッションID: P-14
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    近年,歯科医療の質を高めるためにクリティカル・パスの重要性が認識されっっある.歯内治療用パスによる治療結果より作成したパスの妥当性にっいて検討した.保存治療科の歯内治療用パスで歯内治療をした213名を対象とし,治療回数および治療法を分析した.治療回数は,Pu1では85%程度,Perでも78%程度が4回目までに根管充填されていた.また,Pu1の97%,Perの89%が水酸化カルシウム貼薬のみで症状が改善した.Perの10%では水酸化カルシウム以外に抗生剤を貼薬したり外科的処置を併用していた.今回,歯内治療を要する全症例の約8割は治療回数4回以内で改善し,水酸化カルシウムを用いた治療で9割が改善していることから,私達の作成した歯内治療用パスが適切であることが示された.
  • 椎葉 俊司, 松本 吉洋, 吉成 正典, 坂本 英治, 吉田 充広, 原野 望, 甲斐 絢, 河原 博, 仲西 修
    セッションID: P-15
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    脳血管障害後患者の問題の一つに誤嚥性肺炎がある。今回、健常成人ではあるが義歯使用の摂食・嚥下機能に与える影響をVideoFluorographyによって検討した。対象は義歯新製および調整を希望する健常成人合計10名とした。食物はバリウム溶液、バリウムに浸したゼリーとバリウム溶液+ゼリーの3種類とした。解析は誤嚥と関連性を有する嚥下開始時点の食物先端の位置、咀嚼・嚥下の各位相の食物通過に要する時間および咀嚼終了時より嚥下開始までの時間の3項目とした。嚥下時食物先端位置は混合物で咽頭・喉頭部に達する傾向や通過時間が長い傾向が認められ、これらは義歯使用によって軽減されることが解った。また、混合物では咀嚼終了前に嚥下が開始される傾向が認められた。食物形態の工夫や義歯使用が誤嚥性肺炎を抑制する可能性がある。
  • 安細 敏弘, 新屋敷 真実, 吉田 明弘, 富永 和宏, 高橋 哲, 西原 達次, 竹原 直道
    セッションID: P-16
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    近年、口腔乾燥を主訴として来院する患者が増加しており、ドライマウス患者に対する診療システムの構築が急務である。 本研究では、ドライマウス検査を受診した患者118名のデータを基に検査結果と病態との関連を統計学的に解析した。判別分析の結果、口腔乾燥の臨床所見と有意に関連がみられた因子は、粘膜湿潤度と安静時唾液流出量であった。一方、口腔乾燥の自覚症状と有意な関連がみられた因子は、服薬の有無、「乾いた食品が食べにくい」、「舌がピリピリする」、「目が乾きやすい」であった。これらの結果から、口腔乾燥症の評価方法としては、自覚症状の問診、服薬調査に加えて、粘膜湿潤度検査と安静時唾液流出量検査が有用であることが示唆された。
  • 園木 一男, 高田 豊, 安細 敏弘, 福原 正代, 秋房 住郎, 藤澤 聖, 濱崎 朋子, 脇坂 正則, 竹原 直道
    セッションID: P-17
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    平成15年の福岡県85歳高齢者住民の追跡調査の対象者207名で、残存歯数が酸化ストレスや動脈硬化に関係があるのか検討した。残存歯数と過酸化脂質には相関があり、残存歯数が多いほど過酸化脂質は低下した。残存歯数20本以上の群は、20本未満の群より過酸化脂質が有意に低かった。残存歯数と抗MDA-LDL抗体、PWVには相関がなかった。過去5年間に新たに脳梗塞あるいは虚血性心疾患を発症した群と発症しなかった群の残存歯数、過酸化脂質、抗MDA-LDL抗体、PWVに差はなかった。残存歯数と過酸化脂質には相関がみられ、今後の動脈硬化の発症に関係してくる可能性が示唆された。
  • 高田 豊, 安細 敏弘, 福原 正代, 秋房 住郎, 園木 一男, 吉田 明弘, 脇坂 正則, 濱崎 朋子, 藤澤 聖, 竹原 直道
    セッションID: P-18
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    高齢者における口腔と全身状態の関連を明らかにするため、80歳住民を対象にした歯科検診と全身検査とアンケートを行った。心電図虚血性変化のST低下・T波異常が20本以上現在歯数のある群では少なく、義歯装着者でも心電図異常所見の合併頻度が減少した。咀嚼能力が良いと介護の必要性が減少し、運動能力も向上した。4年間の追跡期間中に140名が死亡した。肺炎を含む呼吸器疾患43名、悪性新生物36名、脳血管障害を含む心血管疾患34名が主な死因であった。平成15年検診受診者207名を対象にした疾患の発症調査では、心臓病34名、脳血管障害11名、肺炎12名などがあった。以上から、80歳者では20本以上歯を保つ事や・義歯を装着する事で咀嚼能力を高める事が全身状態をも改善する可能性が示唆された。
  • 福原 正代, 安細 敏弘, 高田 豊, 秋房 住郎, 園木 一男, 濱崎 朋子, 脇坂 正則, 藤澤 聖, 竹原 直道
    セッションID: P-19
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    福岡県85歳一般住民で口腔と全身の健診をおこなった。Mini-Menta1 State Examination (MMSE) を用い痴呆を調査した。現在歯数・咀嚼状態と,痴呆の関係を検討した。205名(男88名、女117名)でMMSEを施行した。咀嚼能力は15食品の咀嚼可能食品数で表現した。MMSE得点は23.8±O.5点(30点満点,平均±SE)で、62.4%がMMSE24点以上を達成していた。現在歯数は7.3±0.6本、咀嚼食品数は10.7±0.3、MMSE得点と現在歯数の間に有意な相関はなかった。一方、MMSE得点と咀嚼食品数の間に正の相関の傾向があった(相関係数0.12,p=0.08)。咀嚼食品数を0-4、5-9、10-14、15の4群にわけると、それぞれの群のMSE得点は、22.7±1-3点、23・6±0.7、23.9±0.5、24.4±0.5であった。口腔衛生状況を改善し咀嚼能力を保つことで、痴呆が少なくなる可能性が示唆された。
  • 山口 和憲, 今村 富貴, 梶田 隆資, 坂東 智子, 内田 美和子, 福留 由貴, 一田 利道
    セッションID: P-20
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    上顎切歯の唇側傾斜、大きなoverjet,下顎骨の後退などの前後的な不調和と,開咬,過大な顔面高,下顎骨の時計回転など垂直的な不調和などが口唇の閉鎖機能に及ぼす影響を模擬的に検討した.前後的変化では上顎切歯唇面に置いたdummyによってoverjetを増加し、垂直的変化ではocclusal splintを用いて咬合挙上を行いその時の口唇の筋活動を計測した.その結果、歯列咬合の前後的、垂直的変化に対して下唇が口唇閉鎖に重要な役割を果たし、overjetおよび咬合高径の増加との間に有意な正の相関関係が認められた.また、competent lip群においてはoverjetが6 mmを越えるとlip incompetence(無力性口唇)を示した.これにより、骨格性開咬の治療方針として大臼歯の圧下あるいは外科矯正治療による下顎の反時計回転の意義が示された.
  • 歯科医師コホート研究福岡県ベースライン調査から
    横田 誠, 内藤 徹
    セッションID: P-21
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    歯周病のリスク因子として、精神的な素因の関与が報告されているが、寄与の程度は明確ではない。このことから、歯周疾患への精神的な因子の関与を探索することを目的として今回の研究を行った。調査対象者は福岡県歯科医師会の会員2,894名で、郵送法にて自記式問診票の配布、回収をおこなった。回答者は1,513名(回答率52.0%)であった。調査項目は、喪失歯数、CPI、ブラッシングや歯間ブラシの使用頻度などの口腔の健康関連行動や、年齢、身体状況、各種生活習慣、精神的健康度などとした。精神的健康度には12項目版General Health Questionnaire(GHQ)を使用し、抑うつのスクリーニングに用いられる4点以上区分点とした。CPI≥2を示すものをケースとしたロジスティック回帰分析では、統計的に有意な因子として、年齢、喫煙、ブラッシングの頻度に加えて、GHQ≥4で区分される抑うつが挙げられた(調整オッズ比1.49、95%信頼区間1.14-1.95、p=0.004)。以上より、精神的健康度は、口腔清掃や他の生活習慣とは独立した歯周病のリスク因子である可能性が示唆された。
  • 小野 堅太郎, 中村 太志, 佐藤 奈緒, 井上 弘子, 増田 渉, 田中 達朗, 森本 泰宏, 本田 栄子, 横田 誠, 稲永 清敏
    セッションID: P-22
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではラットおよびヒトを対象として、口渇と唾液分泌の関連について検討を行った。ラットを用いた実験にて催唾剤の腹腔内と脳室内投与により飲水量は増加した。ピロカルピンについての検討では唾液分泌も促進した。口渇中枢の脳弓下器官ニューロンはムスカリン刺激によりM3受容体を介して興奮した。脳室内ニコチン刺激では口渇感は誘発されなかったが、脳弓下器官にc-fosが発現し主にα4β2サブタイプ受容体を介していた。ヒトを対象に行った実験では喫煙後の蛋白分泌とアミラーゼ活性は擬似喫煙の時より優位に増加していた。よって、催唾剤により脳弓下器官を介して口渇感と唾液分泌が誘発され、中枢性ニコチン刺激では口渇感は誘発されないが、喫煙により血中に取り込まれたニコチンによって唾液蛋白分泌が増加する事が示唆された。
  • 河原 博, 吉田 充広, 松本 吉洋, 坂本 英治, 椎葉 俊司, 仲西 修
    セッションID: P-23
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    選択的セロトニン再取り込み阻害薬として開発されたシタロプラムは,慢性投与によって抗不安作用を発現することが明らかとなっている.本研究は,その抗不安作用発現機構をマイクロダイアリシスによって扁桃体(以下,BLA)ノルアドレナリン神経系から検討した.その結果,シタロプラムの慢性投与によって,BLAノルアドレナリン神経活動の抑制が起こり,ハンドリングストレス負荷によるBLAノルアドレナリン新駅活動の亢進が抑制されることを観察した.これらのことから,シタロプラム慢性投与によってBLAノルアドレナリン神経活動の抑制状態が形成され,この抑制状態が抗不安作用の発現に関与していることが示唆された.
  • 北村 知昭, 西原 達次, 上野 喜子, 永吉 雅人, 寺下 正道
    セッションID: P-24
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    歯内治療の再発率の高さと根尖病巣由来病巣感染への懸念から,歯髄・根尖歯周組織の創傷治癒・再生について臨床,in vitro両面の研究が期待されている.今回はヒートストレスによる培養歯髄細胞アポトーシス誘導とアポトーシス細胞貪食能について検討した.ヒートストレス後の歯髄細胞から回収したDNAを電気泳動よりDNAラダーが検出された.核染色ではストレス後の歯髄細胞では核の凝縮がみられTUNELアッセイにおいても陽性細胞が認められた.また歯髄細胞は貪食能を有し,この貪食能はヒートストレスに影響された.以上の結果は歯髄創傷治癒・再生においてアポトーシスと歯髄細胞自身によるアポトーシス細胞の処理が重要な役割を果たしていることを示唆している.
  • 木村 光孝, 牧 憲司, 小嶋 一人, イワン トファニ
    セッションID: P-25
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    虚弱下顎骨に対するブドウ種子エキス(GSPE)と高カルシウムの影響を骨密度、骨塩量、幾何学的指標、骨強度、4元素(Ca、P、Mg、Zn)を解析することにより明らかにした。5週齢Wistar系雄ラットに低カルシウム食を与え骨虚弱状態を惹起させた後、標準食とGSPEを用いて食餌療法を行うことで下顎骨に及ぼす影響をpQCT(peripheral Quantitative Computed Tomography)と高周波プラズマ発光装置を用いて解析した。海綿骨骨密度、海綿骨骨塩量、皮質骨骨密度、皮質骨断面積、皮質骨骨塩量、骨強度指標(X、Y)、3元素(Ca、P、Zn)に関してGSPEの影響を認めた。カルシウムとGSPEの併用療法により、骨代謝回転は促進され、骨質の改善が明らかになった。
  • 後藤 哲哉, 又吉 誉章, 福原 栄司, 高橋 哲, 小林 繁
    セッションID: P-26
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    今回、我々は知覚神経終末から放出されるsubstance P (SP)の関節滑膜線維芽細胞(SF cell)を介した破骨細胞の形成に対する影響を検索した。ラットSF cellの増殖に対する影響はMTT assayで、neurokini 1 receptor (NK1-R: SP receptor)、RANKLの発現についてはRT-PCRもしくは免疫染色にて調べた。その結果、SF cellにNK1-Rが存在し、10-6~10-10 molのSPの添加はSF cellの増殖を増加させた。RT-PCRと免疫染色によりSP添加後にSF におけるRANKLの発現の上昇が認められたが、SPの添加がない場合RANKLの発現はなかった。これらの結果はSPがFS cellの増殖を促進し、RANKLの発現を増加させることが明らかとなった。これにより慢性関節炎の時に分泌されるSPは滑膜の肥厚とRANKL発現を上昇させ破骨細胞形成を増加させていることが示唆された。
  • 高橋 哲, 有吉 渉, 菅野 貴浩, 一宮 久之, 新名主 耕平, 高野 裕史, 西原 達次
    セッションID: P-27
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    RAW 264.7細胞をRANKL刺激下に、種々の分子量のHAを添加して培養し、破骨細胞への分化および、骨吸収活性や細胞内タンパク発現について検索した。低分子量HAの添加により、RAW 264.7細胞のRANKLによるTRAP陽性多核細胞形成、TRAP活性値や骨吸収活性、c-Srcタンパクの発現の増加とともに、MAPK family分子であるp38とERK1/2リン酸化が著明に増強された。一方、高分子量HAの添加では有意な変化を認めなかった。さらに、低分子量HAは、単独でRAW 264.7細胞のRANK発現を増強した。このことから、低分子量HAが破骨細胞前駆細胞の細胞膜上のRANK発現をup-regulateし、RANKL-RANK のシグナル伝達を増強することで、p38 MAP kinaseを介する破骨細胞の分化および骨吸収を活性化することが示された、この研究により、顎関節症患者の関節滑液中のHA分子量の低下が、顎関節部の骨軟骨のリモデリングに関与する可能性が強く示唆された。
  • 高浜 有明夫
    セッションID: P-28
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    唾液と胃液が混合すると,次の反応が進行する:(1)亜硝酸と過酸化水素との反応による活性窒素生成,(2)アスコルビン酸による亜硝酸の一酸化窒素への還元,それに(3)二価の鉄イオンと過酸化水素との反応による水酸ラジカルを生成.唾液に含まれているチオシアン酸イオンは,反応(1)にともなうフェノール性化合物のニトロ化を抑制し,また,反応(3)に伴うフェノール性化合物のヒドロキシル化を抑制した.反応(2)はチオシアン酸イオンによって促進された.チオシアン酸イオンによるニトロ化とヒドロキシル化の抑制から,唾液に含まれているチオシアン酸イオンの胃での役割として,活性酸素・活性窒素による障害防止の可能が考えられる.また,チオシアン酸イオンによる一酸化窒素生成促進は,亜硝酸の一酸化窒素ガスとしての排出促進と関係があるように思われる.
  • 豊島 邦昭, 瀬田 祐司, 豊野 孝, 片岡 真司
    セッションID: P-29
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    味覚情報伝達に関わるシグナル物質の一つとして、ATP(Adenosine triphosphate)に注目して研究した結果、味神経にP2X3 イオンチャンネル型ATP受容体が発現すること、味細胞にP2Y1G蛋白質共役型ATP受容体が発現することが明らかとなった。うま味受容体の候補である代謝型グルタミン酸受容体(mGluRs)が味蕾の味毛に発現することを、免疫組織化学的ならびに免疫電顕的に初めて明らかとなった。味蕾の発生・分化にはNotchシグナル系遺伝子群の発現が重要であることを初めて明らかにした。また、Mash 1 を強制発現させた培養舌上皮細胞が、味蕾細胞のマーカー分子を発現する細胞へと分化誘導される可能性を示唆する結果を得た。アクチン結合蛋白質として知られる Villin が、カエル味蕾の味細胞の有力なマーカーとなりうることを初めて明らかにした。8020運動の85歳追跡調査で味覚についてのアンケートをおこなった結果、残存歯牙・服用薬剤が高齢者の味覚変化に関与している可能性あること示唆する結果を得た。
  • 細川 隆司
    セッションID: P-30
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    これまで我々は、インプラントの骨結合度の飛躍的上昇を図るための遺伝子治療の可能性探究に的を絞り、チタン表面に接着する骨芽細胞の細胞間接着の主役であるカドヘリンの発現と機能の解明、および患者自己の血小板を濃縮したPRPが、インプラントー骨結合に対して示す効果について検討を行ってきた。今回は、これらの研究により得られた成果を示すと共に、インプラントの予後に密接に関連すると考えられる歯周病などの特定の疾患に対するリスクファクターの診断において、患者が示す遺伝子多形(SNPs)に注目し、制限酵素断片長(RFLP)や繰り返し配列の長さ(ミニサテライト,マイクロサテライト)の違いなどによるSNPsの探索を軸にしたインプラント治療のリスクに関する遺伝子診断の可能性についても合わせて提示した。
  • 槙原 絵理, 鱒見 進一, 柿川 宏, 小園 凱夫
    セッションID: P-31
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/06/25
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は,正常有歯顎者における口蓋部の嚥下時舌圧を測定することにある.36個の感圧ラバーセンサーを有する舌圧測定システムを構築し,本システムを用いて正常有歯顎者 3名に対し,唾液嚥下時における口蓋部舌圧測定を行い,その結果,本システムは口蓋部舌圧測定のために有用であると考えられたが,センサーの配置やソフトの改良の必要があると思われた.また,嚥下時の最大舌圧は,嚥下初期が85.0 g/cm2,嚥下中期が43.0 g/cm2,嚥下後期が53.0 g/cm2,平均60.3 g/cm2であった.舌は嚥下時において,嚥下初期は口蓋前方部に,嚥下中期には口蓋中央部に,そして嚥下後期には口蓋中央部に連動して口蓋後方部にも圧を加えていることがわかった.
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