九州歯科学会総会抄録プログラム
第66回九州歯科学会総会
選択された号の論文の51件中1~50を表示しています
  • 服薬について
    古賀 裕紀子, 大住 伴子, 東 泉, 安細 敏弘, 邵 仁浩, 園木 一男, 藤澤 聖, 高田 豊, 片岡 真司, 豊島 邦昭, 竹原 直 ...
    セッションID: O-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    口腔や全身の健康、生活習慣、健康の意識に関する県民アンケート調査を行った。アンケートは福岡県内の5市町に在住の満60歳、65歳を対象に、郵送法(自記式)で行われた。アンケートの回答率は、65.1%(回答数1.685)であった。今回は服薬についての報告である。 回答者の54.1%は、現在医療機関から処方された薬を飲んでいた。ふだん自分を健康でないと思う人では、睡眠のために薬を使用する割合が高かった。回答者の9.2%は口や歯のための健康食品を使用しており、28.3%はそれらを以前に使用したことがあった。口腔内のための市販の薬を使うことと、歯ぐきの自覚症状の有無との間には関連がみられた。
  • 口腔衛生・口腔ケアとH. pylori
    藤澤 聖, 高田 豊, 安細 敏弘, 園木 一男, 邵 仁浩, 吉田 明弘, 秋房 住郎, 粟野 秀慈, 濱嵜 朋子, 大住 伴子, 東 泉 ...
    セッションID: O-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    口腔はHPのreservoirとしてHP感染に関与すると考えられているが、口腔衛生状態・口腔ケアとHP感染の関連性を検討した報告は少ない。福岡県北九州市に在住し、市内2ヶ所の市立年長者研修大学校に在籍する高齢者231名(男性116名、女性115名)を対象にアンケート、口腔診査、内科検診を行った。なおHP除菌・胃切除の既往を有する者、無歯顎者は除外した。HP感染の有無は血清抗HP IgG抗体価(EIA法)を用いた。検診に参加した231名のうち、206名(男性101名、女性105名)で検討した。HP感染における各要因を単変量にて解析すると性、アタッチメントロスの最大値、1日当りのbrushingの回数に若干の関連を認めた。ロジスティック回帰分析による多変量解析では1日当たり3回以上brushingする群は1回以下の群と比較しオッズ比0.40 (95%confidence interval; 0.15-0.98)と有意にHP感染のリスクが軽減した。北九州在住の高齢者においてbrushingの回数が多いほどHP感染のリスクが軽減した。
  • 大澤 良, 吉田 明弘, 永島 志織, 安細 敏弘, 竹原 直道
    セッションID: O-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    近年新しい遺伝子増幅法としてLoop-mediated Isothermal Amplification(LAMP)法が(株)栄研化学より開発された。本法はPCR法と比較して、増幅効率及び特異性が非常に高いという特徴を有する。本研究ではLAMP法を用いて、侵襲性歯周炎の原因菌として注目されているActinobacillus actinomycetemcomitans(A. a)の迅速検出法を開発した。まず、A. aの標的遺伝子の塩基配列を基に、A. aに特異的なプライマーを設計し、特異性および検出感度の評価を行った。さらに、歯肉縁下プラーク等の口腔内試料からA. aの検出を行った。鋳型DNAは恒温で反応後、アガロースゲル電気泳動法およびSYBR Green?の添加による目視により解析した。A. aの特異プライマーは、A. a(血清型a, b, c, d,およびe)の目的遺伝子を特異的に増幅した。また、4種類のプライマーに加え、ループプライマーを用いることで検出時間が大幅に短縮された。さらに、歯肉縁下プラークなどの口腔内試料からも迅速検出が可能であった。更にリアルタイム濁度測定を行うことにより定量解析も可能であった。以上の結果から、LAMP法がA. aによる侵襲性歯周炎の迅速診断法として有用であることが示唆された。
  • 河岸 重則, 神 房次, 吉野 賢一, 鱒見 進一, 天野 仁一朗
    セッションID: O-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    北九州市小倉北区の軽費老人ホーム居住の高齢者40名と九州歯科大学学生175名を対象に口腔の立体認知能を調査した.調査では被験者に口腔に含んだ20種類マテリアルの形状を判断させた.学生群の平均正答数は16.6種,高齢者群の平均正答数は10.5種であった.20種のマテリアル各々に対する高齢者群の平均正答率は,全てのマテリアルで学生群の正答率より低かった.また,80歳代の高齢者4人を対象にして,トレーニングで正答数が上がるかどうかを検討した.3日おきに,基本的な形状の6種のマテリアルと正答率の低い8種のマテリアルについて,その形状を口腔内で判断するトレーニングを計10日間の行ったところ,3名に正答数の上昇の傾向がみられた.
  • 柿木 保明, 服部 信一, 尾崎 由衛
    セッションID: O-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    要介護高齢者の口腔乾燥度改善に関する検討として、音波歯ブラシSONICAREの使用による唾液曳糸性の変化について検討した。対象は、佐賀県内の老人保健施設に入所中の65歳~99歳の要介護高齢者36名とした。対象者に対して、歯科衛生士が、週3回で計4週間、音波歯ブラシの植毛部の裏側を用いて、両側の頬粘膜と舌の左右辺縁部後方部の4カ所を、1箇所につき10秒ずつ、計40秒間マッサージを行い、有歯顎者には、引き続き歯磨きを行った。口腔乾燥度の評価は、柿木が報告した臨床診断基準を用いて評価し、唾液曳糸性は、井上鉄工所製の曳糸性測定器ネバメーターにより、安静時唾液をWet Modeで測定した。これらの評価は、原則として午前10時から11時の間とし、30分以上、水分や食事を摂取していないことを確認して行った。その結果、臨床診断基準では、4週後、6週後になるにしたがって、乾燥度の低下を示す者が有意に(p<0.01)に増加した。唾液曳糸性は、36名中16名が測定可能で、20名は採取量が少なく、測定不能であった。3回とも測定可能であった16名では、開始前4.23±2.0mmだった値が4週間後には、2.51±0.8mmと有意(p<0.02)に低下したが、使用終了後2週目では、3.44±2.1mmと4週後よりも高く、開始前と比較して有意差はみられなかった。音波歯ブラシによる振動刺激により唾液曳糸性が改善することが認められ、口腔環境改善に有益であることが示唆された。以上から、音波歯ブラシは、今後、要介護高齢者の口腔乾燥改善にとって、有効なツールの一つであると思われた。
  • 菊池 直樹, 諸冨 孝彦, 北村 知昭, 寺下 正道
    セッションID: O-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    歯髄再生療法の確立を目的として、FGF-2を徐放するドラッグデリバリーシステムとしてのゼラチンハイドロゲル粒子(ゼラチン粒子)の象牙質・歯髄複合体への応用を検討した。ラット上顎第一臼歯に生活歯髄切断を行い、FGF-2含浸ゼラチン粒子(投与群)または非含浸ゼラチン粒子(非投与群)をコラーゲンスポンジにそれぞれ混合したものとゼラチン粒子を含まずFGF-2とコラーゲンスポンジを混合したもの(非含浸群)を窩洞に充填し二重仮封を行い、術後1、3、7、14、21日目で固定後、組織学的に検討した。術後1日では3群の間に大きな差異は認められなかった。3日目では投与群窩底部において血管新生を認めたが、非投与群と非含浸群では認めなかった。7日目には投与群では血管に加え密な結合組織の構造が認められるようになった。非投与群と非含浸群では窩底部に血管新生を認めたものの、結合組織の形成は疎であった。14日目には投与群で石灰化粒様構造物を認めた。21日目には投与群では多くの石灰化粒様構造物が観察された。非投与群では歯髄組織増殖を認めたが、石灰化粒状構造物は認めなかった。FGF-2含浸ゼラチン粒子から徐放されたFGF-2は歯髄創傷治癒過程初期において歯髄組織の増殖、血管新生を誘導し、その後石灰化組織形成を誘導することが示唆された。さらにゼラチン粒子からの徐放が無ければ、FGF-2は急激に放出されてしまい、組織再生を誘導しにくいことも示唆された。
  • 笠井 宏記, 堤 武士, 中村 陽, 井上 弘子, 牧野 正敬, 佐藤 奈緒, 原田 依美, 野間 則徳, 横田 誠
    セッションID: O-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    我々は平成10年より学童を対象とした歯周疾患と口呼吸に関する調査を行ってきた。その結果、最近の学童において口唇閉鎖不全が多く認められることや、口唇閉鎖不全の学童には前歯部唇面のプラークの付着や歯肉の炎症が強く、口呼吸兆候が多く認められることがわかった。またその口唇閉鎖不全には鼻閉塞の関与が少ないことなども確認された。最近の若年者に多く見られ、歯周疾患のリスクファクターである口呼吸の兆候と考えられる口唇閉鎖不全には口唇閉鎖力の低下も関与しているといわれているが、それらの関連性についての報告は少ない。そこで今回、我々は学童を対象とした調査において、歯周病学的パラメーターと口唇閉鎖力との関係について調べ、結果について検討を行ったので報告する。
  • 原野 望, 吉田 充広, 小島 幸美, 牧 憲司, 仲西 修
    セッションID: O-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    自閉症患者は新しい環境への適応が困難で、言語によるコミュニケーション障害を伴う。従って歯科治療への受容が著しく困難で、対応に苦慮することもある。当科では、自閉症患者に対して独自の診療プログラムを作成しており、有効な結果を得たため報告する。当科を受診した7歳の自閉症患者に対して、診療内容を撮影した写真に、矢印や説明を加えてカードを作製し、次回の来院日までに保護者と予習するよう指導した。本方法により、歯牙染色によるTBIが可能になり、PMTCに対しても断続的であるが、受容可能となった。この方法はすべての自閉症患者に適応させることはできないが、有用な手段の一つであると考えられた。
  • 岡部 幸子, 森本 泰宏, 田中 達朗, 安細 敏弘, 高田 豊, 竹原 直道, 大庭 健
    セッションID: O-9
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    高齢者のパノラマX線写真上で検出された茎状突起の長さ及び形状の臨床的意義を検討する。8020データバンク構築の疫学調査で集められた659名の80歳のパノラマX線写真を対象に茎状突起の長さの計測及び形状のパターン分類を行った。被検者の全身状態に関する各種データ(骨密度、血圧、心電図の異常の存在、心拍数、血清カルシウム値及び身体的スタミナ)に関して、茎状突起の長さとの間で関連性の有無を検討した。80歳における茎状突起の長さはパノラマX線写真上0.0 mm から153.0 mmで左右には有意差はなく、男女間では有意差を示した。形状のパターンは、MacDonald-Jankowskiの分類中、パターンEに属するものが、次いでパターンDに属するものが多く認められたが、男女間に有意差はなかった。茎状突起の長さと各種データに関する関連性は、血清カルシウム値と骨密度に関連性を示し、他には明らかな関連性はなかった。高齢者のパノラマX線写真を読影する上で我々歯科医は茎突舌骨靱帯の骨化に伴う茎状突起の変化について把握しておく必要がある。同時に、顕著な骨化を来している症例は血清カルシウム値の上昇を意味する可能性があることを考慮しておくべきである。
  • 槙原 絵理, 鱒見 進一, 廣渡 洋平, 帆鷲 秀一郎, 有田 正博, 八木 まゆみ
    セッションID: O-10
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    磁性アタッチメントは,パーシャルデンチャーの維持装置として広く応用されているが,根面アタッチメントとしてオーバーデンチャーの維持装置に使用されることが多い.今回,クラスプの審美障害および前歯部舌側義歯床の舌感不良を主訴に受診した下顎両側遊離端症例に対し,歯冠内,歯冠外磁性アタッチメントおよびリンガルプレートを用いてパーシャルデンチャーを作製したところ,良好な結果を得たので報告する.両側遊離端欠損症例に対し,左側犬歯の支台歯は生活歯であったため,遠心部に歯冠外アタッチメントを付与したクラウンを作製した.また右側第1小臼歯の支台歯は失活歯であったため,キーパー付き根面板を作製後,歯冠内アタッチメントを応用した二重冠構造とした.さらに,舌感不良に対しては鋳造リンガルプレートを用いてパーシャルデンチャーを作製した.今回,歯冠内および歯冠外磁性アタッチメントを応用した下顎義歯を作製したところ,主訴としていた審美性不良や舌感不良が改善され,術者,患者ともに満足いく結果が得られた.
  • 第1報 スクワラン溶出の経時的変化
    廣渡 洋平, 槙原 絵理, 鱒見 進一
    セッションID: O-11
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    スクワランは無色透明・無味無臭な液体であり,特徴として殺菌作用や鎮痛作用を有する.一方,義歯装着により義歯床下粘膜に萎縮や潰瘍が生じた場合,粘膜組織調整材を使用する.本研究の目的は,粘膜組織調整材にスクワランを添加し,従来よりも効果的に損傷部の治癒促進が生じるかについて検討することにある.3種類の試料から溶出するスクワランの量を計測し,粘膜組織調整材中に残存するスクワランの量を算出した.その結果,粘膜組織調整材にスクワランを添加することは可能であることがわかった.
  • 第一報 有限要素モデル構築までの流れ
    高橋 伸介, 田島 清司, 陳 克恭, 永松 有紀, 柿川 宏, 小園 凱夫
    セッションID: O-12
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    近年、デンタルバイオメカニクスにおいて、三次元有限要素法を用いた応力解析が用いられるようになってきた。この有限要素法による応力解析では、対象三次元モデルの形状を三次元的に数値化し、さらに三次元有限要素モデルでは解析メッシュを作成することが求められる。しかし、歯を対象とした場合、複雑な形態と構造を有するために、エナメル質、象牙質および歯髄腔までの各層の形状の三次元計測、さらに有限要素モデルの構築も容易でないのが現状である。そこで今回、X線マイクロフォーカスCTにより得られたヒト抜去小臼歯のデジタルイメージデータを用いて一般の市販ソフトウェアを介して有限要素モデル化する手法を検討した.その結果、歯のイメージデータのCAD化、さらに有限要素モデルまでの構築方法を確認した。課題として、エナメル部および象牙質の適切な抽出法、さらにこれらのアセンブラなどを更に検討することが必要である。今後、歯根膜、歯槽骨のモデル化を追加し、噛み合わせと歯硬組織に関するさまざまな性状との相関を力学的な面から検討を加える予定である。
  • 味覚異常と胃粘膜萎縮
    藤澤 聖, 高田 豊, 安細 敏弘, 園木 一男, 邵 仁浩, 吉田 明弘, 秋房 住郎, 粟野 秀慈, 濱嵜 朋子, 大住 伴子, 東 泉 ...
    セッションID: O-13
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    近年Helicobacter pylori(HP)感染に関連した胃外病変が注目されているが、味覚異常とHP感染との関連性に関する報告は見られない。今回我々は味覚とHP感染およびそれに続発する胃粘膜萎縮との関連について検討した。福岡県北九州市に在住し、市内2ヶ所の市立年長者研修大学校に在籍する高齢者231名(男性116名、女性115名)を対象にアンケート、味覚検査、血液検査を行った。味覚は濾紙ディスクを用いて全口腔法により味覚閾値を評価し、甘味、塩味、酸味、苦味のうち1味質以上の味覚が低下したものを味覚異常と定義した。HP感染の有無は血清抗HP IgG抗体価(EIA法)を、胃粘膜萎縮の有無はペプシノーゲン法を用いた。単変量解析では味覚異常は胃粘膜萎縮、H2受容体拮抗薬と関連を認めた。ロジスティック回帰分析による多変量解析では胃粘膜萎縮を有する者のオッズ比は1.87 (95%confidence interval; 1.03-3.40)と有意に味覚異常のリスクが増加した。一方で味覚異常とHP感染には関連は見られなかった。考察:高齢者の味覚異常の一因としてHP感染に続発する胃粘膜萎縮の存在が示唆された。
  • 片岡 真司, 豊野 孝, 瀬田 祐司, 豊島 邦昭
    セッションID: O-14
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    ATPは、「エネルギーの通貨」として細胞内で様々な生理機能に関与するとともに、細胞外においても「情報伝達物質」としての役割をもつことが明らかにされている。我々は、細胞外ATPが味蕾において情報伝達物質として機能していると推測している。現在、RT-PCR、免疫組織化学、in situ hybridizationなどの手法を用いて、味蕾におけるATP受容体の発現について検索をおこなっている。P2X4受容体は一部の味蕾細胞に発現していること、そしてP2X7受容体が味蕾内の神経線維に発現していることがわかった。このように複数のATP受容体サブタイプが味蕾内で神経・細胞の両者に発現することは、細胞外ATPが味覚情報伝達において重要な情報伝達物質としての役割をもつことを強く示唆するものと考えられた。
  • 郡司掛 香織, 後藤 哲哉, 中尾 加代子, 木尾 哲朗, 小林 繁, 山口 和憲
    セッションID: O-15
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    最近、神経ペプチドSubstance P(SP)が骨代謝を調節していることが示された。この研究では、抜歯窩治癒過程の骨代謝におけるSPの関与を調べるため、ラットの臼歯を抜歯し、三叉神経節と抜歯窩におけるSP、BDNF、NK1-R、TrkBの経時的発現を観察した。抜歯後、三叉神経節のSP、NK1-R、BDNF、TrkB陽性ニューロンの割合は、初めは減少し、その後増加して3日後に最多となったが、21日後にはコントロールと同様であった。抜歯窩では、7日後に新生骨とSP陽性神経線維が初めて観察され、14日後まで増加した。21日後には骨で満たされていた。これらの所見から、三叉神経節における神経ペプチドの発現と、抜歯窩治癒過程におけるSP陽性神経線維の再神経支配と骨修復の関連が示唆された。
  • 沖永 敏則, 西原 達次
    セッションID: O-16
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    我々はこれまで、歯周病細菌Actinobacillus actinomycetemcomitansがマクロファージに感染すると、G1期における細胞周期の停止やアポトーシスが誘導されることを見出した。アポトーシスのプロセスでは、ミトコンドリアからのシトクロムCの放出とcaspase-3,-9に至る経路が解明された。そこで本研究では、A.actinomycetemcomitans感染マクロファージにおいて、caspaseの関わりを中心に細胞内情報伝達系の解析を行った。マウスまくりファージ細胞株J774.1に、A. actinomycetemcomitansのY4株を感染させ、アポトーシスに関わる細胞内シグナルタンパクの発現をWestern blottingにて解析した。また、caspase阻害剤を使用し、フローサイトメーターにて細胞周期とアポトーシスの発現を調べ、細胞内シグナルタンパクの発現をWestern blottingにて解析した。A. actinomycetemcomitans感染後、caspase-6,-7の活性が上昇し、核膜構成タンパクのLamin AとDNA修復に関与するPARPのcleavageが検出された。また、caspase-3,-6,-7阻害剤を作用させるとG1期の細胞周期は確認されたがアポトーシスは抑制され、Lamin AとPARPのcleavageは確認されなかった。以上により、感染マクロファージのアポトーシス誘導においてcaspase-6,-7が活性化し、Lamin AとPARPのcleavageが関与していることが明らかとなった。
  • 自見 英治郎, 増田 渉, 林 寿恵子
    セッションID: O-17
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    転写因子NF-κBのp50、p52サブユニットの二重欠損マウスは破骨細胞の存在しない大理石骨病を呈するが、NF-κBがどのような機序で破骨細胞形成を調節しているか不明な点が多い。本研究では破骨細胞分化における、NF-κBの役割をジェネティックアプローチから検討した。p52の前駆体p100のプロセシングの起きないalyマウスとp50欠損マウスを交配し、野生型、aly、p50-/-、およびaly/p50-/-マウスを作出した。各々のマウスの・軟X線撮影、骨密度測定および組織学的検討を行なった。・胸腺および脾細胞のT,B細胞の分化をFACSで解析した。・脾細胞をRANKLで刺激し、破骨細胞を誘導した。aly/p50-/-マウスは、他のマウスと比較して、・著しい成長障害と骨硬化症を呈したが、骨組織に破骨細胞は存在した。・歯は萌出したが、エナメル質形成不全が認められた。・B細胞の分化が抑制された。・RANKL刺激による破骨細胞形成は完全に抑制された。破骨細胞分化にはp52の前駆体p100のプロセシングではなく、p100が存在することが重要である可能性が示唆された。
  • 新名主 耕平, 有吉 渉, 一宮 久之, 菅崎 紳, 辻澤 利行, 高橋 哲, 西原 達次
    セッションID: O-18
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    破骨細胞誘導系において、コンドロイチン硫酸の影響についてin vitroの系で検討しコンドロイチン硫酸の骨代謝への影響について調べた。マウス骨髄細胞培養系を用い、破骨細胞分化誘導因子存在下でコンドロイチン硫酸の破骨細胞誘導に対する影響の検討した、併せて、RAW264.7細胞を用いて破骨細胞形成に及ぼす影響を調べた。さらに、RANKLとコンドロイチン硫酸の親和性についても検討した。コンドロイチン硫酸B・Eを添加することで骨髄細胞における破骨細胞の分化誘導を抑制した。コンドロイチン硫酸B添加により、RAW264.細胞においてRANKL刺激によるRANKの発現が抑制され、さらに親和性について調べたところ、コンドロイチン硫酸BとRANKLが結合するという結果が得られた。コンドロイチン硫酸B・Eは、破骨細胞分化誘導を著しく抑制し、その作用は、RANKLに結合することによって前破骨細胞様細胞に対するRANKLのシグナル伝達が抑制されることによるものと考えられた。
  • 兒玉 正明, 山本 晃三, 冨永 和宏, 田中 達朗, 森本 泰宏, 福田 仁一
    セッションID: O-19
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    舌癌の切除マージンは硬結部より安全域を設けて設定されるが、現在のところ術者の手指感覚によって決定されることが多く、術者の経験や主観によるばらつきが生じる可能性がある。特にT1やT2症例において適切な切除マージンを設定することは、確実な切除と機能温存とを両立させるために重要である。今回われわれは、術中に超音波断層画像(US画像)を観察しながら舌癌の深部マージンをマーキングする方法を考案し、その有用性を検討したので報告する。方法はUS画像で舌癌の浸潤範囲を観察しながらUSガイド下に腫瘍の発育先端より10mm深部にマーカーを留置し、US画像でマーカーの位置を再確認後、それを指標として腫瘍の切除を行った。切除した標本を直ちにゼラチンに包埋し、US画像で観察した。その後病理切片を作成し、切除マージン設定の正確さを検証した。結果としてゼラチン包埋による切除標本のUS検査により病理標本とほぼ同じ形態のUS画像が得られ、より正確な比較が可能となった。症例によりややばらつきはあるが、比較的正確に腫瘍の浸潤範囲を描出していた。
  • 藤田 弥千, 村木 祐孝
    セッションID: O-20
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    当科で診断し、血液内科と協力して治療を行った悪性リンパ腫(ML)の3症例について報告した。症例はそれぞれ顎下部の無痛性腫瘤、下顎歯肉の腫脹として発症し、当科にて腫瘤摘出術および生検を施行した。全症例がDiffuse large B-cell lymphomaと病理診断された。確定診断後、血液内科にて化学療法(1例は放射線療法併用)が施行され、症状は緩解した。今回の経験をふまえて血液内科医とMLのプロトコールを作成した。通常の病理診断に予後判定に必要な検査(FCM、染色体診断)を加えて、治療方法の選択の判断材料とした。顎口腔領域に発症したMLでは診断から治療が円滑に行える病院歯科・口腔外科の役割は重要である。
  • 上橋 陸海, 小林 繁
    セッションID: O-21
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    上顎洞嚢胞は上顎洞の腺組織からの分泌液貯留による嚢胞の総称で内容液の性状によって、上顎洞漿液[水様]嚢胞、粘液嚢胞、膿嚢胞に分類されるが、実際には漿液[水様]嚢胞を意味することが多い。臨床では歯科治療の際、オルソパントモグラムにおいて明瞭なドーム状のX 線不透過像として散見され、その病的意義は歯の違和感や疼痛等の臨床症状によって対応は異なり、無症状の場合は経過観察となることが大半である。上顎洞には洞底部が歯根と遊離した Free type や洞底部が類円形や平坦な形態を呈し、歯根と近接するcontact type、洞底部に凹凸が見られ、洞底部の下方突出が歯根との間に存在する convexity type がある。今回は臨床症状を伴う上顎洞嚢胞と上顎洞底部形態について観察した。資料は鹿児島市立病院において臨床的に得られた上顎洞嚢胞 24 例のオルソパントモグラムである。撮影に用いた装置はアサヒレントゲン工業製 AZ3000CMである。方法は上顎洞に発症した嚢胞と洞底部形態についてオルソパントモグラムを比較し、検討した。Free typeの上顎洞嚢胞7例、Contact type上顎洞嚢胞8例、Convexity type上顎洞嚢胞9例であった。Free type上顎洞嚢胞の疼痛等の症状は3~4週間で消失したが、 Contact type上顎洞嚢胞2例、Convexity type上顎洞嚢胞7例は嚢胞が巨大なため症状消失は見られなかった。そこでContact type上顎洞嚢胞2例、Convexity type上顎洞嚢胞7例に嚢胞摘出術を実施した。Convexity type上顎洞嚢胞7例は歯根と歯根の間の上顎洞底下方突出部から発症していた。これが嚢胞摘出術を要した上顎洞嚢胞がcontact typeよりconvexity typeの洞底部形態に多くみられた理由であると思われる。
  • 邵 仁浩, 安細 敏弘, 高田 豊, 吉田 仁浩, 園木 一男, 粟野 秀慈, 藤澤 聖, 濱嵜 朋子, 大住 伴子, 東 泉, 古賀 裕紀 ...
    セッションID: P-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    前期高齢者の主観的健康観と関連する因子を明らかにすることを目的として、福岡県の5市町に在住する60歳および65歳の2,589人を対象に郵送法(自記式)による質問紙調査を実施した。各因子ごとに主観的健康観の分布を観察し、次いでロジスティック回帰モデルを用いて各因子ごとの非健康群に対する健康群のオッズ比とその95%信頼区間を求めた。対象者2,589人中、1,685人(65.1%)から回答を得た。主観的健康観について「健康と思う」または「まあまあ健康と思う」が82.1%、「あまり健康でないと思う」または「健康でないと思う」が17.9%であった。多変量解析の結果から、無職、睡眠不足、Body Mass Index(BMI)<18.5あるいは25.3≤BMI、処方薬の服用、自己申告による現在歯数9本以下が、主観的健康観の低下に関連していた。本研究から、20本以上の歯を残すことが前期高齢者の主観的健康観を向上させる可能性が示唆された。
  • 第4報 平成16年度との比較
    西野 宇信, 曽我部 浩一, 永松 浩, 佐伯 桂, 農蘇 千絵, 寺下 正道
    セッションID: P-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    本年度より多くの臨床研修歯科医が,九州歯科大学附属病院総合歯科で研修を行っている.研修歯科医は研修のため多くの患者を必要としており、この研究は初診患者の動向を評価することを目的として行われた。2005年の初診患者数は,2004年とほぼ同じ数および構成比であった。また、一年を通して患者の数に大きな減少・変動はみられなかったため、今後の研修には大きな問題はないと考えられる。
  • 17年間のあゆみ
    西野 宇信, Kahnal Amit, 深井 穫博, 安部 一紀, 中村 修一
    セッションID: P-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    途上国では貧困が原因で、社会的問題が発生している。この問題に対して我々が行ってきた活動を人的資源と効果について着目し検討した。(1)診療患者数は平均すると毎回約800人であった。(2)保健活動対象数は1999年以降著しく伸び始め、数千人から一万人を対象としている。(3)隊員は女性隊員の比率が伸びている。現地で最もニーズがあるのは歯科診療であり、これを反映して診療患者数は活動初期から数百人規模で行っており、大きな変化は見られない。それに対し保健活動対象数が大きく伸びているのは、活動の方向性が予防のための保健活動中心へ転換したためである。今後は、途上国の自立の援助を推進したいと考えている。
  • 吉野 賢一, 河岸 重則, 天野 仁一朗
    セッションID: P-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    機械的刺激に基づく歯牙位置の認知過程に関して,歯科学的な記憶情報がどのような影響を与えるか調べた.本学付属歯科衛生学院学生を被験者とし、上顎歯一本を無作為に抽出して歯軸方向の機械的刺激を加えた後,刺激を受けた歯牙位置を回答させた.修業年限が長い被験者では、刺激した歯牙位置をより正しく、また正しく回答できなかった場合は隣接した歯牙を回答する傾向が認められた.これらの正解回答率と歯科衛生士主要科目成績との間に相関関係は認められなかった。以上のことから歯科学的記憶情報、とくに非陳述的記憶情報を豊富にもつ者は歯牙位置認知機能に優れていること,またその情報量の増加により歯牙位置認知機能が向上することが示唆された.
  • 豊野 孝, 片岡 真司, 瀬田 祐司, 豊島 邦昭
    セッションID: P-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    T1R3は味蕾においてヘテロ受容体(T1R1/T1R3, T1R2/T1R3)として、それぞれうま味および甘味受容に関与している。T1R3は味蕾以外の肝臓の胆管上皮においても発現しており、生体内において一種の化学受容体として機能していると推測される。本受容体は甘味およびうま味受容に関与する重要な受容体であるが、その転写調節機構に関しては殆ど明らかになっていない。そこで本研究ではヒト胆管由来細胞株HuCCT1をT1R3発現細胞のモデルとしてプロモーター領域の解析を行った。ヒトT1R3遺伝子を含むBACクローンよりヒトT1R3の開始コドン上流1.5, 1.0, 0.5kbの領域をPCRにて増幅後、pGL4.10に連結させ、HuCCT1に導入後、シフェラーゼアッセイを行った。その結果、0.5kbの領域にプロモーター領域が含まれることが明らかになった。次に開始コドン上流567bp, 370bp, 220bpの領域に関して同様な手法により調べた。その結果、370bp, 220bpの領域においてルシフェラーゼ活性の増加および減少が認められ、0.5kbの領域中には転写の増減に関与する領域が存在することが推測された。
  • 尾崎 由衛, 柿木 保明
    セッションID: P-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    間葉系幹細胞は,生体内に移植するとさまざまな部位へ拡散してしまう一方,損傷部位へ集積する性質をもつことが報告されている.そこで間葉系幹細胞の遊走・集積に関与する因子の探索を96穴ケモタキシスチャンバーを用い行った.26種類の生体由来物質を試験物質として検討したところ9種類の試験物質に遊走促進効果が認められた.また,これら9種類の試験物質は増殖にも促進的に作用することが示された.遊走促進効果の認められた因子を細胞移植部位局所に徐放的に用いることで,細胞移植治療の効率が上がることが示唆された.
  • 有田 正博, 陳 克恭, 芳賀 健輔, 小城 辰郎, 北村 知昭, 安藤 浩伸, 松木 貴彦, 中村 恵子, 波多野 圭紀, 村岡 宏祐, ...
    セッションID: P-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    2004年から九州歯科大学において新しい臨床実習を開始した。このプログラムは、歯学生に一般的な歯科治療の知識、技能、および態度を身につけさせるために作られた。保存科教官および補綴科教官の12名がこの計画に参加した。2005年は、89名の6年次生に対して統合型臨床実習を行った。臨床実習の終了した直後にアンケート調査を実施し、1名を除くすべての学生がアンケートを提出した。多選択型アンケートの集計から、約7割の学生がこの臨床実習の方略および内容に対して高い評価を示した。ほとんどの学生と教員はこのシステムの利点を認めていた。しかしながら、たとえば、経験した最低ケース数などの到達度評価についてはいくつかの問題点が指摘された。僅かな問題点はあるものの、卒前歯科教育において、本システムが効果的でオリジナリティある教育方略であることは間違いない。本年度の調査に基づいて、本学の学生がより高いレベルの知識、技能、態度を獲得できるような臨床実習方略を確立するためのさらなる改革が必要である。
  • 有田 正博, 津田 緩子, 中村 恵子, 槙原 絵理, 安藤 良子, 麻生 千織, 帆鷲 秀一郎, 河野 稔広, 八木 まゆみ, 松木 貴彦 ...
    セッションID: P-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    我々の担当する欠損補綴II(部分床義歯学,3年次生,後期)においては,到達目標,学習方略,評価方法を毎年見直し,学生のニーズに応える教育を目指している.2005年からは,講義担当教員の評価とは別に,実習内容および実習指導教員およびティーチングアシスタントである大学院生の学生評価を実施した.講義はコースディレクター1名が行い、実習は3名の教員と6名の大学院生が、10-11名の小グループの学生を担当して行った。実習終了後にアンケート調査を実施し、すべての学生からアンケートを回収した。学生アンケートを実施したことから、我々の担当した授業の良い点や悪い点がより鮮明になった。学生による各々のインストラクター評価は、彼らのコーティングのスキル向上にとって有益であった。SGLを適切にかつ効果的に行うためには、ファシリテータのトレーニングがとても重要である。歯科教育方略の改革を行うためには、学生評価が有益である。
  • 正清 義朗, 吉田 明弘, 永島 志織, 安細 敏弘, 竹原 直道
    セッションID: P-9
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    Prevotella intermediaPrevotella nigrescensは、歯周炎の原因菌の一つとして注目されている。今回、我々は栄研化学の開発した新規遺伝子増幅法であるLoop-mediated Isothermal Amplification (LAMP)法を用いてこれらの細菌の迅速検出系を開発した。これらの細菌は類縁菌種であるため、以前の研究でsubtractive hybridization法を用いて各染色体DNA上のP. nigrescensの特異領域を決定した。その、P. nigrescensのPn18遺伝子とNCBIのデータベースから特異領域を確認したP. intermediaの遺伝情報を基にPrimer Explorer Ver.3.0 (富士通システムソリューションズ、東京)を用いてプライマーを設計し、プライマー、Bst DNAポリメラーゼと染色体DNAを含む反応混合物をP. intermediaは65℃、P. nigrescensは68℃の等温で増幅し、これらの検出系の特異性と感度を評価した。また、LAMP法による遺伝子増幅の副産物である、ピロリン酸マグネシウムの白濁をリアルタイム濁度測定装置LA-200(テラメックス株式会社、京都) を用いて測定することにより定量的解析も可能であった。さらに、九州歯科大学の予防歯科を受診した患者の歯肉縁下プラークを用いて菌数を解析した。今回の研究で定性的検出においては非常に敏感に検出できることが明らかになった。また、定量的検出においては検出限界の範囲が小さく、臨床応用するためにはさらなる研究が必要であるが、歯周病菌の検出及び診断に非常に有用であることが示唆された。
  • 田島 清司, 永松 有紀, 柿川 宏, 小園 凱夫
    セッションID: P-10
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    今回新たに開発された、アルコール系電解液を用い電解液の攪拌機能を備えた電解研磨装置を用いて、チタンの電解研磨を行い、研磨面の試料外観、表面粗さ測定、SEMよる表面観察などにより検討を加えた。その結果、電解液を攪拌しながら電解研磨を行う装置とアルコール系電解液を用いて研磨条件(浴温度および電解電圧)を最適化することで、純チタンおよびチタン合金加工材の鏡面研磨仕上げが可能であることが明らかになった。一方、純チタン鋳造材では光輝面は得られたが、加工材ほどの光沢鏡面は得られず、表面粗さも大きかった。これには前処理サンドブラストの種類や鋳造に起因した研磨面の析出層の影響が考えられた。今後、チタン鋳造体の電解研磨には鋳造条件や電解時間と研磨量の関係などを検討する必要があるものと思われる。
  • 藤井 勝也, 永松 浩, 永松 有紀, 田島 清司, 柿川 宏, 小園 凱夫
    セッションID: P-11
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    歯科臨床において、対合歯や隣接歯の修復に異種合金を用いると、それらの接触がガルバニ腐食やガルバニショックの原因になる。演者らは、チタンと歯科用合金が乳酸水溶液中で非接触状態で共存した場合の腐食挙動を調べて、合金単独での浸漬およびチタンと接触して浸漬した場合と比較した。チタンとの共存(接触・非接触)で、金合金、白金加金は溶出挙動に影響がなく、金銀パラジウム合金では、Agの溶出抑制、Cuの溶出促進がみられた。銀合金は単独でもAg、Zn等の溶出が著しかったが、チタンとの共存で明確な影響はなかった。コバルトクロム合金は、共存でCoの溶出促進がみられた。チタンからのTiの溶出は、銀合金との共存で抑制、白金加金では変化なし、他の合金では、溶出促進の傾向がみられたが、接触と非接触で有意差はなかった。非接触でも接触と同じく合金の腐食が起こりえるため、臨床で同一口腔内に異種合金を使用する場合は、部位が離れていても慎重に合金を選択する必要があることが示唆された。
  • 荒井 安彦, 陳 克恭, 高濱 有明夫, 永松 有紀, 田島 清司, 柿川 宏, 小園 凱夫
    セッションID: P-12
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    モロヘイヤはビタミンやカロテン、カルシウムを多く含む食材として注目され、サプリメントとして粉末状でも市販されている。本研究ではモロヘイヤの歯垢・歯石除去効果の特許に基づき、室温で超乾燥後粉砕したモロヘイヤ粉末を用い、研磨材、発泡剤、フッ素を含まない歯磨材の実用化に向けてその有効性を調べた。10wt%のモロヘイヤ粉末と水道水との混合液中に歯垢・歯石の付着が認められる抜去歯を浸漬し、色差計を用いてエナメル質表面の変化を観察した。その結果、浸漬だけで経時的に色差が増大し、5週目で歯垢・歯石の一部が除去されるとともに、浸漬前と比較して顕著な色調の変化が認められた。これは、主としてエナメル質表面の歯垢の除去に伴って明度および光沢が増したことによるものであった。また、使用したモロヘイヤは蛍光分析により活性窒素の生成抑制作用を示すことがわかった。以上の結果から、モロヘイヤを主要成分とする歯磨材は、研磨材を含まなくても高い歯磨効果を示すだけではなく、モロヘイヤの強い抗酸化作用によって口腔内での活性酸素、活性窒素の生成を抑制しあるいは消去する効果も期待される。
  • 増田 渉, 自見 英治郎
    セッションID: P-13
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)は膜結合型タンパク質であり、特に分泌や吸収といった機能に長けた細胞に多く存在している。本研究では、ラット舌下腺GGTの唾液分泌刺激 (交感・副交感神経刺激)による細胞内局在変化を、ショ糖密度勾配遠心法を用いて検討した。基底側膜、管腔側膜、分泌顆粒のマーカー分子としてそれぞれNa+/K+ ATPase、AQP5、およびMG1を用いた。無刺激時、大部分のGGT活性はMG1を含む低密度画分に回収されたが、Na+/K+ ATPaseとAQP5を含む高密度画分にも一部回収された。副交感神経刺激をして2時間後、高密度画分のGGT活性が増大する一方で、低密度画分のそれはMG1とともに消失した。またこの時MG1とGGT活性を含む新たな小画分が出現した。さらに刺激10時間後には無刺激時とほぼ同様の状態に戻った。一方、交感神経刺激では、全く変化が認められなかった。平時、GGT分子の大部分は分泌顆粒膜に存在するが、唾液分泌刺激に伴い分泌顆粒膜と管腔側膜との融合とともに細胞膜に移行し、そして再び分泌顆粒膜に取り込まれると考えられた。
  • 木尾 哲朗, 大住 伴子, 冨永 和宏, 河野 亮子, 西原 達次, 寺下 正道
    セッションID: P-14
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    よりよい歯科医師-患者関係を作れる態度を育成するため、平成17年度から3・4年次生を対象として医療コミュニケーションII、IIIが開講され、演者らはその講義・演習を担当している。対人関係はお互いのメッセージを適切に送り、受けることにより円滑に展開され、そのための適応能力は社会的スキルと呼ばれ、学習可能であるとされている。社会的スキルは概念、測定方法等に関して急速に研究が進められているが、歯学生に関する報告はまだない。今回、歯学生の社会的スキルを明らかにする目的で、性格と社会的スキルの関係について調査研究を行った。 対象は平成17年度医療コミュニケーション講義を受講した205名(3年次生95名、4年次生110名)とした。講義初日に性格分類の尺度として矢田部・ギルフォード性格テスト(5型15分類)を、また社会的スキル測定尺度としてAffective Communication Test (大坊、以下ACT)を行い、分析後、各タイプ間のACTについて多重比較検定を行った。 歯学生の性格分類結果はA type 16.1%、B type 14.1%、C type 20.0%、D type 38.5%、E type 11.2% であった。ACT平均点は男性58.8、女性61.9であった。5つの性格分類ごとのACT得点は Dtypeは、A、C、E typeより有意に高く、B typeは、C、E typeより有意に高くかった。また、C typeは、A、B、D typeより有意に低かった。以上の結果は性格と社会的スキルの間には相関関係があることを示唆するものである。今後さらなる研究が必要であると思われる。
  • 野見山 貴美子, 北村 知昭, 諸冨 孝彦, 上野 喜子, 辻澤 利行, 西原 達次, 寺下 正道
    セッションID: P-15
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    我々の研究グループは、象牙質・歯髄複合体の創傷治癒機構解明と再生療法確立を目的として、ラット由来RPC-C2A細胞を用いて研究を行ってきた。しかしながら、この細胞株は、象牙質を形成するのに必要とされる石灰化能について安定した結果が得られず、再生療法の研究を進めていく上で、いくつかの問題点を残していた。そこで今回、ラット歯髄より歯髄細胞を株化し、その性質について検討した。7日齢ラット切歯歯髄から細胞を分離した後、20ヶ月継代を続けた培養細胞(KN細胞)を限界希釈によりクローニングし、数種類の細胞株を樹立した。それらの細胞株のALP活性測定と、アスコルビン酸・β-グリセロリン酸存在下で30日間培養した後von Kossa染色を行い、歯髄細胞株の石灰化能を検討した。ラット歯髄より樹立したKN細胞の中からALP活性の高いものを3種類選び、KN-1、KN-2、KN-3細胞株とした。これらのKN細胞はvon Kossa染色でも強い陽性反応が認められた。今回、ラットより石灰化能を維持している歯髄細胞株(KN細胞)の樹立に成功した。
  • 高齢者の死亡率と生活活動能力
    高田 豊, 安細 敏弘, 秋房 住郎, 邵 仁浩, 園木 一男, 藤澤 聖, 竹原 直道
    セッションID: P-16
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    80歳高齢住民の高次生活活動能力と4年間追跡死亡率との関連を検討した。80歳福岡県住民1282名中、高次生活活動能力調査、口腔・全身診察、血液検査を受けた697名(男277、女420名)を対象として、健診後4年間の生命予後調査を行った。高次生活活動能力は13項目の活動能力指標(手段的自立5項目、状況対応4項目、社会的役割4項目)を質問していくつ可能かで判断した。4年間の追跡期間中に107名(男58、女49名:心血管病死27名、癌死27名、肺炎死22名、その他31名)が死亡した。コックスの比例ハザード回帰モデルを用いて性差、喫煙、飲酒、BMI、血圧、血清コレステロール値、血糖値で補正して死亡と活動能力の関係を解析した。全活動能力と状況対応能力がそれぞれ1項目増加すると、全死亡率が8%(P=0.035)と36%(P<0.001)減少、心血管病死は14%(P=0.039)と43%(P=0.002)減少した。肺炎死は状況対応能力が1項目増加すると43%(P=0.01)減少した。癌死と各種活動能力指標には関係がなかった。手段的自立と社会的役割の活動能力指標はいずれの死亡にも関連が認められなかった。80歳高齢住民では高次生活活動能力のなかでも特に状況対応能力が全死亡、心血管病死、肺炎死と良好な関係が認められ、これらの死亡の独立した予測因子であることが示唆された。
  • 高齢者のQOLと咀嚼
    高田 豊, 安細 敏弘, 粟野 秀慈, 秋房 住郎, 園木 一男, 藤澤 聖, 竹原 直道
    セッションID: P-17
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    80歳高齢住民における咀嚼機能・現在歯数と生活の質との関連を検討した。80歳福岡県住民1282名中調査に参加した823名を対象として、口腔診査、咀嚼機能アンケート調査、生活の質アンケート調査を行った。生活の質は、体の調子は良いか?食後に元気か?日常生活に満足か?友人との交流に満足か?フェイススケールは?の5項目で調査した。咀嚼能力は15個の食品をいくつ噛むことができるかで咀嚼高度不良群(4個以下)、咀嚼中等度不良群(5~9個)、軽度不良群(10~14個)、良好群(15個全て咀嚼)の4群に分けた。ロジスティック回帰分析で性差、配偶者有無、日常生活活動度を補正した。咀嚼良好群に比べて、咀嚼高度不良群では友人との交流に不満である頻度が3.9倍(P<0.01)、体調に不満の頻度が2.7倍(P<0.01)、食後元気でない頻度が2.4倍(P<0.01)、日常生活に不満である頻度が3.4倍(P<0.001)、フェイススケールで不満の頻度が2.4倍(P<0.01)とそれぞれ有意に高頻度であった。これらの生活の質の満足度と現在歯数に明らかな関係は認められなかった。80歳の超高齢者では咀嚼機能が良好であるほど生活の質も良好である。
  • 久保田 浩三, 村岡 宏祐, 横田 誠
    セッションID: P-18
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    歯学部教育の改変と共に、卒後臨床研修医の義務化に伴う卒前臨床教育も見直されることとなった。本学においても、補綴系・保存系臨床による統合型臨床教育が、平成17年度より本格実施がなされるようになった。それに伴い補綴系・保存系専門外来においても新たな臨床実習を行う必要性がでた。そこで、保存系専門外来である歯周病外来での臨床実習カリキュラムに対する改変のために、専門外来の臨床実習を受けた学生にアンケート調査を行った。歯周病外来での臨床実習は、1節(前期6日間、後期5日間)であるため、教授試問のほかに歯周疾患患者の治療計画の立案と歯周外科の見学を義務づけた。学生には、1節が終わるごとにアンケートを実施した。歯周病外来のカリキュラムに満足67%、普通29%、少し不満4%、不満0%であった。治療計画の立案と歯周外科の見学については、全て必要と答えた。今後アンケートを基に臨床実習を充実させていく予定である。
  • 森本 泰宏, 安細 敏弘, 鬼頭 慎司, 高田 豊, 竹原 直道, 大庭 健
    セッションID: P-19
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    高齢者においてパノラマX線写真上に検出された頸動脈の石灰化が血管障害の発症と関係があるか否かを検討する。8020データバンク構築のための疫学調査で集められた80歳のデータを使用した。調査の中で撮影された読影可能な659名のパノラマX線写真を対象に頸動脈の石灰化の存在を検討した。被検者の血管障害と関連する各種データに関して、石灰化のある群とない群との間で統計学的手法を用いて有意差の有無を検討した。検討したデータは、喫煙、血管障害の既往及び現病歴に関する問診、血圧、心電図の異常の存在、骨密度、コレステロール値及び血糖値であった。更に、5年後の生存の有無についても追跡可能な被検者に関して検討した。頸動脈の石灰化を認める群と認めない群で血管障害の既往に関して有意差を認めるものの、他のパラメータに有意差はなかった。更に、5年後の追跡調査で石灰化を持ったものと持っていないものに生存及び血管障害の発症に関する有意差は認められなかった。高齢者において、パノラマX線写真上で発見された頸動脈の石灰化の存在は必ずしも血管障害の続発を意味するものではない可能性が示唆された。
  • 第2報
    東 泉, 大住 伴子, 古賀 裕紀子, 安細 敏弘, 邵 仁浩, 秋房 住郎, 園木 一男, 藤澤 聖, 高田 豊, 竹原 直道
    セッションID: P-20
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    一般に口渇の出現頻度が高いとされる薬剤は,抗ムスカリン薬,抗コリン作用のある中枢神経作用薬などであるが,実際に服薬がどの程度口腔乾燥症に関与しているのか明確ではない.平成17年に北九州市内の年長者研修大学校で歯科・内科健診参加者231名を対象に薬に関するアンケート調査と服薬調査を行った.第2報として服薬状況と口腔乾燥検査との関係について検討した.健診参加者231名中128名が医療機関から処方された薬剤を1~10剤,服薬しており,服薬をしている人の平均年齢はしていない人に比べ高かった.使用していた薬剤全てのうち,添付文書の副作用の項目に「口渇」の記載のある薬剤数は半数近くにのぼった.服薬ありと答えた人のうち82名(全体の35%,服薬者の64%)が「口渇」の記載のある薬剤を1剤以上使用していたが,高頻度(5%以上)に口渇の出現する薬剤の使用は少なかった.同時に行った口腔乾燥検査(エルサリボ,刺激時唾液量,自覚症状)の結果との関連について調べたところ,服薬の有無により,安静時唾液量や刺激時唾液量に相違は認められなかった.服薬者のうち「口渇」の記載のある薬剤の服薬者に限ってみると,安静時唾液量が少ない人の割合やアンケート調査において口腔乾燥感を訴えた人の割合が高かった.
  • 柳田 泰志, 吉岡 泉, 冨永 和宏, 佐藤 耕一, 平島 惣一, 土生 学, 古田 功彦, 廣田 百合子, 兒玉 正明, Khanal A ...
    セッションID: P-21
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    九州歯科大学附属病院第1口腔外科の2次医療機関としての地域的な役割,患者の動向,疾患内容の実態を把握することを目的に臨床統計的観察を行った.1996年1月1日から2005年12月31日までの10年間における新来患者23850名について月別に新来患者数・疾患内容・紹介経路を分析した。過去10年間の年次移推では歯牙関連疾患・炎症疾患・顎関節疾患が減少しているのに対し粘膜疾患では増加が見られた.2000年から新来患者数が減少する傾向にあったが, 2004年より増加していた.これは2004年より導入された病診連携システムが近隣の歯科診療所から評価され,定着してきたこと,当科の病院助手が増員されたことなどが要因として考えられた.
  • 野代 悦生, 吉川 咲子, 山口 和憲
    セッションID: P-22
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    歯科治療において咬合平面の変化は、咀嚼筋や顎関節の順応など歯科矯正治療や顎変形症の治療後の安定を考える上で重要な問題である。従来より、咬合平面の決定法に関しては多くの研究があるが、現在個体の持っている本来の咬合平面を変化させた場合、咬合位(顎位)、歯の位置、顎関節などの変化とこれに伴う筋活動の変化は、はっきりとは解明されていない。そこで、我々は、実験的に変化させた咬合平面が元の咬合平面に回復する過程とその時の筋機能が、どのように変化、あるいは関与しているかを形態計測学的および筋電図学的に解析したので報告する。実験動物には日本白色家兎を使用し、切歯・臼歯を歯科用エンジンにて3通りに削合し実験的に咬合平面の位置を変化させた。筋活動を検討するため、実験開始前、実験開始後1日、3日、1週および2週に筋電図を採得した。さらに、同時に口腔模型も採得し、歯の状態を計測した。形態学的には、実験的に変化させた咬合平面は、家兎では数日間でほぼ術前の状態に戻った。筋電図学的には、実験後1日目には、咬筋の平均活動量がやや小さい傾向であったが3日目以降はほとんど実験前と差はなかった。以上のことより、歯が咬合により常時咬耗されるウサギでは、咬合平面を変化させることは一過性の影響であるが、人間の歯は、咬耗されにくいので、顎関節等へ障害を及ぼす可能性があることが示唆される。
  • 菅崎 紳, 管野 貴浩, 有吉 渉, 新名主 耕平, 高橋 哲, 西原 達次
    セッションID: P-23
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
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    グリコサミノグリカン(GAG)は単独、または他の増殖因子との相互作用により生物学的活性をもつことが報告されているが、その詳細なメカニズムについては不明な点が多い。そこで本研究では、異所性骨形成能をもつBMPとGAGの骨芽細胞分化に対する相互作用を分析した。マウス頭頂骨由来前骨芽細胞様細胞であるMC3T3-E1細胞にBMP-2、GAG(ヘパリンおよびヘパラン硫酸)を添加し、前骨芽細胞の分化、石灰化能について評価した。また、骨芽細胞の分化に必須の転写因子であるRunx2とOsterixのmRNA発現を解析した。ヘパリン、ヘパラン硫酸の単独投与により、ALP活性の低下、石灰化の阻害を認めた。BMP-2との併用投与群では、投与4日目まではBMP-2によるALP活性の増強を濃度依存的に抑制した。また、BMP-2により増強された投与4時間後のRunx2、Osterixの発現も抑制した。一方、投与6日目におけるALP活性は、BMP-2単独投与では既に増強はなくなっていたが、併用投与群において増強が認められた。以上より、ヘパリン、ヘパラン硫酸はBMP-2による骨芽細胞の分化増強作用に対し、作用時間の違いにより種々の影響を及ぼすことが示唆された。
  • 麻生 千織, 松木 貴彦, 鱒見 進一
    セッションID: P-24
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
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    上顎部分床義歯装着の際,患者の口腔感覚にどのような影響が生じるか調査することを目的とし,パラタルバー設定位置を基に4種の口蓋床を作製し、口蓋被覆部位の違いが厚さ弁別能に及ぼす影響について検討した.被験者は,顎口腔機能に異常が認められない正常有歯顎者10名(男性3名,女性7名,平均年齢26.6±3.03歳)である.実験片として基準片と厚さを0.2mmずつ薄くしたテスト片を用いた。基準片とテスト片をそれぞれ舌上に置き、舌と口蓋間で厚さを認識してもらった。そして基準片とテスト片の厚さが初めて異なると答えた時の差を弁別閾値とした。その結果,全部口蓋床と比較して中・後パラタルバー部位被覆口蓋床は弁別閾値が低くなったが,前パラタルバー部位被覆口蓋床との間に有意差は認められなかった。そして3つの中で前パラタルバー部位被覆口蓋床が最も弁別能が低く、中パラタルバー部位被覆口蓋床が高い傾向にあった。
  • 後藤 哲哉, 粟野 秀慈, 井上 博雅, 瀬田 祐司, 田中 敏子, 森本 泰宏, 山下 善弘, 吉田 充広
    セッションID: P-25
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
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    平成17年度より1年次生に対して『テュートリアルによるヒューマン・リレーションズ学習』が初めて本格的なテュートリアル教育として九州歯科大学に導入された。導入に際しては、国内外のテュートリアル教育に関するセミナーやワークショップに参加した教員を母体としたテュートリアル実施委員会を中心として準備が進められた。平成17年度は、1年前期の歯学概論の時間を10コマ20時間使い、この間3コマ(3週)を1クールとし3クール行った。学生は12の班に分けられ、班のメンバーは1クールが終了するごとに入れ替えた。また、テュータとしてのべ36名の教員がそれぞれの班に割り当てられ、さらに統括者としてそれぞれのクール、2名のテュータリーダーを配置した。今回は、1年次生の『テュートリアルによるヒューマン・リレーションズ学習』の詳細を紹介するとともに、同時に行ったテュータならびに学生アンケートの結果を分析したので報告する。今回のアンケートからはテュートリアル教育そのものに対しては高い評価をテュータ、学生双方から得られたものの、時間配分への改善やテュータの介入の難しさが指摘された。
  • 園木 一男, 内藤 徹, 村岡 宏祐, 田中 達朗, 高田 豊, 藤澤 聖, 森本 泰宏, 大庭 健, 横田 誠
    セッションID: P-26
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
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    脳卒中と歯周病との因果関係を前向き介入試験で明らかにする。平成15年歯周病患者に対し、歯周病評価、頚動脈エコー、頭部MRI、空腹時採血、病歴聴取を行った後、歯周病治療を開始。平成16、17年に再評価を行い、計12名(男性2名、女性10名)の3年間で3ポイントのデータを解析。pocket depth 6mm以上または4mm以上の部位数、bleeding on probingは治療後1年で有意に低下しており、2年後もよく保たれていた。重回帰分析では、頚動脈エコーの右総頚動脈内膜中膜厚(IMT)はHbA1cとの関係を認めたが、歯周病の指標との関係を認めなかった。頭部MRIでは、平成15年に動脈硬化性変化を認めた1名は1年後改善し、2年後まで変わらなかった(改善群)。1年後新たに動脈硬化性変化が2名に出現し、2年後まで変化しなかった(悪化群)。歯周病は両群で改善していた。少ない症例数であるが、歯周病治療が成功しても頭部MRIが悪化する患者がおり、また脳卒中を予測するIMTが血糖との関係を示したことから、歯周病より血糖などの他の因子の方が脳卒中を発症させる可能性が高いと思われた。
  • 田代 芳之, 武石 有司, 野田 智佳代, 田原 準郎, 横田 誠
    セッションID: P-27
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、口唇閉鎖不全を有し上顎前歯部の歯肉の腫脹を主訴に来院した患者に、徹底した歯周治療を行い口唇閉鎖不全が改善した症例を報告する。患者は、30歳女性で副鼻腔炎の既往があり、喫煙経験があった。現病歴は、数年前から上顎前歯部に歯肉腫脹が発現。その後1年間2軒の開業医でカリエス治療、ブラッシング指導、歯石除去を受けるが歯肉腫脹の再発を繰り返した。そこで重度歯周炎と診断され九州歯科学大学歯周病科を紹介され来院した。歯間部を中心に中等度から重度の歯周炎に罹患しており、3~3に1度の動揺度と150μm以上の歯間離開度が認められた。歯周治療はプラークコントロール、SRP、など非外科的処置を中心に行った。その結果、歯周ポケットの劇的な改善、動揺の減少、それに歯間離開度の顕著な減少が認められた。同時に初診時に認められた口唇閉鎖不全が歯周治療後に明らかに改善されていた。本症例は、歯周治療により歯間離開の閉鎖と口唇閉鎖不全の改善にも効果があることが示唆された。
  • 峰岡 哲郎, 粟野 秀慈, 力丸 哲哉, 倉田 洋史, 永島 志織, 吉田 明弘, 安細 敏弘, 竹原 直道
    セッションID: P-28
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
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    口腔バイオフィルムに関する最近の報告で,代表的な歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalis(Pg)とTreponema denticola(Td)が、in vitroバイオフィルムにおいて共生的関係にあることが明らかとなっている.本研究では,口腔内バイオフィルムにおけるPgとTdの関係を明らかにすることを目的とした.ハイブリダイゼーションプローブ(HP)によるリアルタイムPCR法を用いたPgとTdの定量法を開発し,九州歯科大学附属病院に来院した患者から採取した唾液,舌苔,歯肉縁下プラーク中のPgとTdの定量ならびに解析を行った.本研究で開発されたHPによるリアルタイムPCR法はPgとTdの菌体から抽出されたDNAを特異的に検出した.また同様にこのリアルタイムPCR法は患者から採取した唾液,舌苔,プラーク中のPgとTdの定量的検出にも有用であった.定量された唾液,舌苔,プラーク中のPgとTdのそれぞれのレベルは,Spearmanの相関分析の結果,高い相関関係があることが明らかとなった.本研究の結果,口腔内バイオフィルムにおけるPgとTdの関係は,共生的関係にある可能性が示唆された.
  • -症例報告-
    曽我部 浩一, 農蘇 千絵, 永松 浩, 西野 宇信, 佐伯 桂, 木尾 哲朗, 寺下 正道
    セッションID: P-29
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/31
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    九州歯科大学附属病院総合歯科では、臨床研修歯科医(以下研修医)の研修は複合研修方式を採用している。4月から7月までの4か月間は全員が当病院で研修を行う。その後は前期日程と後期日程の2グループに分けて協力型施設で研修を行う。平成18年度よりの歯科医師臨床研修義務化にあたり、現在の臨床研修内容を把握するための基礎資料として、研修医が担当医となり治療し発表した症例報告内容を分析した。研修開始4か月終了後より研修医に患者配当を行った。診療内容について発表し以下の項目を分析した。研修歯科医一人あたりの患者配当数、患者の年齢、性別、主訴、診断名、初診日から終診もしくは引き継ぎ日までの日数、患者ひとりあたりの平均治療回数、処置内容。研修医全員が症例報告を行った。おもな分析結果は平均配当数;1.4人。平均年齢;44.8歳。男女比;1:4。平均治療回数;10回。処置内容;保存系、補綴系、口腔外科系の順で多かった。平成17年度は研修医数が少ないこともあり、全員が少なくとも責任担当患者1症例以上の治療経験を持つことができた。このため充実した研修内容になったものと思われる。平成18年度は研修医数が増えるため症例の確保に工夫が必要と思われる。また4か月の短期研修もあるため、少し早い時期に患者配当を行うことも検討すべきと思われた。
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