自動車,航空機,インフラなど多くの産業分野では,競争力を確保するため,より高いレベルの品質管理や生産性向上が求められている。また,素材分野では,部品の高性能化を図るため,マルチマテリアルや複合材などの新素材開発や生産技術開発が行われており,それに対応する新たな検査方法も必要とされている。
多様化・高度化する検査技術への期待に対応すべく,島津製作所は,対象物の欠陥有無を判別するために超音波が伝播する様子を撮影する独特な非破壊検査技術を用いた超音波光探傷装置MAIVISTM MIV―500を開発した(図1)。
測定原理の概略図を図2に示す。対象物に連続した超音波振動による外的負荷を与え,表面を伝搬する超音波による微小な面外変形を生じさせる。検査対象面をレーザ光で照明し,表面からの反射光や散乱光を特殊カメラで撮影する。
撮影データを画像処理することで,超音波の伝搬状況を動画(以後,音場像)としてモニタ上で確認することができる。
対象物の表面あるいは表層付近に,亀裂・空洞・剥離などの欠陥が存在する場合,欠陥箇所では超音波の伝搬が乱れる。その乱れを音場像上で確認することで欠陥を識別することができる。
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