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彫刻研究誌 アートライブラリー
Online ISSN : 2758-0423
Print ISSN : 2436-9217
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22 巻 (2021)
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巻頭言
神戸 峰男
2021 年 22 巻 p. 1
発行日: 2021年
公開日: 2023/12/31
DOI
https://doi.org/10.57319/jsculpture.22.0_1
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(210K)
桜井祐一の彫刻における「生命感の表出」について
「あるポーズ」シリーズと晩年の作品を中心に
秋田 美鈴
2021 年 22 巻 p. 19-27
発行日: 2021年
公開日: 2023/09/04
DOI
https://doi.org/10.57319/jsculpture.22.0_19
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本稿は、桜井祐一(1914‐1981)の彫刻作品について、桜井が目指した「生命感の表出」がいかなる解釈とアプローチをもって取り組まれているのかを考察するものである。まず前提として、彫刻における「生命感」の具体的な意味合いについて改めて捉え直し、また桜井と相対化する意図から、オーギュスト・ロダンとヘンリー・ムーアの彫刻において、それぞれの言葉をもとに生命感がいかにして表現されているかを論考し、その解釈における多様性を確認した。そして、桜井の制作の背景にあった出来事や、桜井本人や身近な人物が残した言葉を参照しながら、実見調査を踏まえ作品分析を行った。結果、桜井は、「あるポーズ」シリーズにおいては、女の形に仮託して、普遍的で共通的な生命感を形象化するという理念のもとに造形を探求し、一方、晩年の作 品においては、人間存在に見出した主観的イメージとしての生命感を彫刻に再現しようとしていると考察により導いた。
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(730K)
原型制作の痕跡にみる「素材感が導く彫刻造形」に関する一考察
宮坂 慎司
2021 年 22 巻 p. 29-38
発行日: 2021年
公開日: 2023/09/04
DOI
https://doi.org/10.57319/jsculpture.22.0_29
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本論は、造形材料と作家の関わりに焦点を当て、素材感と彫刻造形の関係に新たな考察を与えることを目的とする。研究に際しては、技法書における素材論を検証し、併せて素材に対するアプローチに特徴の作家として佐藤玄々、長谷川昻、淀井敏夫を取り上げた。調査に際しては、作品及びその制作過程を示す原型に焦点を当て、これらについて実見・熟覧することで素材に関わる作家の姿勢と思想を考察した。結論として、素材感を示すテクスチャは、表面的な様相を示すだけのものではなく、作家にとっては自身の造形の導く要素ともなることが示唆された。素材は、制作行為の間に絶えず作家に関与し続けるものでもある。彫刻は、作家と素材との距離感が近い芸術領域であることは自明のことで、制作を実践している多くの彫刻家たちによって触覚的な芸術として位置づけられている所以もその点にあると考察する。実際に作家たちの原型制作に焦点を当て、その痕跡を検証したことで、それぞれの制作行為そのものに素材のイメージが内包されていた論考を得るに至った。
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(3993K)
彫刻制作における水性接着剤を補強材に活用した乾漆技法の一考察
武本 大志
2021 年 22 巻 p. 39-45
発行日: 2021年
公開日: 2023/09/04
DOI
https://doi.org/10.57319/jsculpture.22.0_39
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乾漆技法に用いられる漆は、樹液を精製して作られる天然樹脂であり、採取量も少なく、希少で高価な素材である。乾漆技法は錆漆(生漆と砥の粉と水を練り合わせたもの)を塗布した麻布を貼り重ねることによって造像する技法であるが、表層を塗装する漆塗りの技法とは異なり、内部の形態を維持するための補強工程にも漆を使用するため、多量の漆を必要とする。この補強工程において錆漆に代わる素材を用いることで、希少である漆の使用量を抑え、さらにはより強固な補強ができるのではないかと考えた。筆者の制作研究において補強材となる部分に水性接着剤を漆の代用としての活用を試みた。それによって、補強部分に水性接着剤を用いても充分に形態を維持する効果があることがわかった。さらに、従来の技法に比べ3分の1程度、漆の使用量を抑えることができた。
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(1636K)
彫刻芸術の造形的特質についての考察
—パラゴーネ論争を起点にして—
町野 紗恭
2021 年 22 巻 p. 55-62
発行日: 2021年
公開日: 2023/09/04
DOI
https://doi.org/10.57319/jsculpture.22.0_55
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現在、現代美術の台頭により、彫刻や絵画の線引きが曖昧になっている。その中で、彫刻芸術の在り方について様々なことが論議されている。歴史的にみると、こうした論議の一つにパラゴーネ論争が存在する。レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ・ブォナローティをはじめ、ルネサンス期からマニエリスム期にこの論争はピークを迎え、その後時を経て下火になりつつも現代にまで大きな影響をもたらすこととなった。いずれの芸術が高貴なのかはさておき、この論争は各芸術領域の特質に迫るものであり、彫刻芸術の造形的普遍性を捉える上で極めて重要なものとして捉えられる。この論争を踏まえた上で絵画と彫刻の違いからその特性を見出し、そして現代まで続く彫刻芸術の造形的普遍性を、彫塑制作者の立場から考察するのが本論の目的である。
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