拡大内視鏡は町田製, Storz社製, Wolf社製を用い, 等倍より150～300倍に拡大して観察し局所の細胞核の異型状態とその存在範囲を決定した.細胞核の異型とその範囲はKoilocytosis, CINやCISに容易に認められた.HPV (Human papilloma virus) の抗体はCIN527例に41%, CIS 30例に陽性であった.CIN, CISであった例の子宮腟部200例, 頸管内110例, 子宮内膜20例にズルフォン化多糖体 (分子量18000) を局所に使用し細胞核の異型は消失した.妊娠中の20例の子宮腟部のCIN, CISは容易に消失した.この機序はこの物質によってRNA-virusのreverse transcriptaseの阻害によって発生したと考えられた.
拡大内視鏡検索の必要性は最近に高くなって, 臨床診断に応用されている.これには弱拡大で細小血管の異常状態に注意し, 異常拡大がある場合は細胞核の異型が多い事は周知の事実である.拡大内視鏡検査で150～300倍にて核の異型が容易に認められる事は産婦科内視鏡学会雑誌に報告した.拡大内視鏡については1934年J.Pickを始めT.Antoineその他多数の発表がある.我国では1958年増淵, 藤森, 野田, 大川の報告がある.CIN, CIS, Koilocytosisの早期発見は拡大内視鏡検査によって容易である.Koilocytosis, CIN, CISはRNA-virus (Retrovirus) によって発生すると考えられている.これには現在H.P.V. (Human papilloma virus) , H.S.V. (Herpes symplex virus) を主とする事が知られている.RNA-virusにはreverse transcriptase (Fig.1) があって, これによってDNAが形成され, 細胞核に加入され, がん遺伝子を形成すると考えられている.このreverse transcriptaseを阻害する事によってRNA-virus増殖を阻止しCIN, CISの消失に応用した.

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