情報知識学会誌
Online ISSN : 1881-7661
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早期公開論文
早期公開論文の2件中1~2を表示しています
  • 大沼 太兵衛
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 2025_005
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/23
    ジャーナル フリー 早期公開

     Luciano Floridiが現代の高度情報社会における包括的な規範倫理として展開する情報倫理(Information Ethics, IE)の理論は,情報関連分野における倫理をめぐる議論において影響力を強めつつある.本研究では,その理論的フレームワークを図書館等の応用領域において実装するための方法論について考察を行った.まず,応用の観点から解決されるべきIEの理論的課題を,①基本原則の直接適用の困難性,②定量的把握の困難性,③善悪概念の具体的内容の曖昧さ,の3点に特定した.次に,既存の規範倫理理論のうち功利主義に着目し,IEの有する功利主義的側面を踏まえて規則功利主義の考え方を援用することで,上記課題の解決が図られることを示唆した.結論として,IEの倫理原則に,①二次的規則,②定量的観点,③分配の観点を導入することにより,IEの倫理原則を実装に繋げる可能性を提案した.

  • 名知 浩一郎, 西村 昭治
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 2025_006
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー 早期公開

     国会会議録には専門用語が多く含まれており,文章量も多いため,一般市民がその内容を理解するのは容易ではない.言語モデル(コンピュータが人間の言語を理解し,生成する技術)を活用して国会会議録を要約することができれば,一般市民の理解を促進できると考えられるが,現状では適切な言語モデルを選定することが課題となっている.本研究では,複数の言語モデルが作成した要約文を,自動評価と人手評価を組み合わせて総合的に評価し,国会会議録の要約に適した言語モデルを選定することを目的とする.まず,2022年の国会会議録データ(約6110万字)のなかから20 段落を無作為に抽出し,言語モデルおよび人手によって要約文を作成した.そして,これらの要約文と原文との類似度を,5つの自動評価指標および人手によって評価した.その結果,BERT言語モデルは原文に忠実で適切な単語選択と自然な文章生成を行うことができ,自動評価と人手評価の両方で高い評価を得た.現時点ではBERT言語モデルが国会会議録の要約に最も適切であると考えられる.

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